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忍者部、戦力強化
第86話:最終日遭遇戦 その7
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「「「はぁっ!!」」」
ショウとノブ、そして、アカが、大魔王ヘハラブへと飛びかかる。
ショウは杖により側面から、ノブとアカはそれぞれ自身の拳で前面と背後から攻撃を仕掛けるも、杖を口で、2つの拳をそれぞれ片手で受け止めるヘハラブ。
「3人揃って、そんなもんかい?」
その言葉の直後にヘハラブより発せられる衝撃波によって吹き飛ばされる3人。
その時には、距離を置いていた恒久の手裏剣と、重清の複数の弾丸がヘハラブへと迫っていた。
(ほぉ。重清は銃無しでもある程度弾丸の術を使えるようになったみたいだね。ちゃんと、金の力も込められているね。でも・・・)
「甘いよ。」
そう口にしながら大魔王は、迫りくる手裏剣と弾丸に向けて手をかざすと、手裏剣と弾丸はピタリと動きを止め、大魔王の目の前で静止する。
そのまま大魔王が小さく手を振ると、手裏剣と弾丸はそれまでのスピード以上の速さで主の元へと飛びかかる。
「「なぁっ!?」」
まさかそのまま自身の攻撃が返されるとは思っていなかった2人は、重清の出した盾の後ろに隠れ、その反撃に耐える。
「「ぐぁっ!!」」
2人がそんな叫び声を上げている中、シンが火炎の術を、ソウが新たに使えるようになった火砲の術を、大魔王に向けてそれぞれ放つ。
交差した2つの術は、交わり、大きな火の玉となって大魔王へと襲いかかる。
「くらえぇーーーっ!」
それと同時に、大魔王の頭上から、1メートル程の鉄玉となったプレッソが降り注ぐ。
「タイミングは、なかなかいいじゃないか。」
そう言って大魔王は降りかかるプレッソを難なく避け、そのまま軽々とプレッソを、向かい来る火の玉に向けて蹴りつける。
「はぁ!?」
自身の最大、最重量の鉄玉を軽々とサッカーボールのように蹴る大魔王に驚きの声を上げながら、青白く光る鉄玉が火の玉へとぶつかり、そのまま火の玉は霧散する。
しかしそれでもなお、鉄玉は勢いをそのままにシンとソウに向かって飛んでいく。
「やばっ!!」
そう声を上げた重清は、先程の反撃でボロボロになりながら、プレッソを自身の中に戻してソウ達に向かう鉄玉を消し去る。
(プレッソ、大丈夫かっ!?)
(あぁ、蹴るときにばあちゃんが水の力をオイラに付与したみたいだ。直接のダメージは蹴られた分だけだよ。)
(わかった!少し休んでろ!)
(助かる。)
重清とプレッソがそんな会話をしているさなか、ヘハラブの背後からチーノが現れる。
チーノの動きに反応を見せなかったヘハラブの背を、金の力で強化したチーノの爪が引き裂いた。
「ガキィン!」
かに思われた。
「さすがはチーノだ。やられるまでどこにいるか全く分からなかったよ。シロだったら、今ので決着がついていただろうねぇ。ただ、今のあんたじゃ、力不足みたいだよ?」
金の力を身に纏った大魔王が、そう言ってチーノに振り向き、そのままチーノを掴んで重清の方へと放り投げる。
「うわっと!」
重清は何とか飛んでくるチーノを受け取り、
「チーノ大丈夫か!?」
そう声をかけると、
「えぇ。それよりも重清、気づいてる?」
「ん?」
「あいつ、まだ術の1つも使っていないわよ。」
「あ。」
チーノの言葉に、重清だけでなく全員が満身創痍のなか声を出していた。
ソウとケンだけは、
((っていうか、あの色気のある猫は何者?))
と別の方向にも思考が逸れていたが。
「くっ。みんな、いったん退いて、体制を整えよう!」
先ほどの大魔王からの衝撃で木に全身をぶつけていたショウが、ふらつく足で立ち上がりながらそう叫ぶも、その瞬間にはショウの目の前に大魔王が現われ、そのまま蹴り飛ばされてしまう。
「良い判断だねぇ。でも知らなかったのかい?大魔王からは逃げ―――――」
「それだけは言わせるかぁ!!!」
大魔王の暴言に、我らがつっこみ恒久が、果敢にも大魔王へと攻め込んでいく。
彼の心の中にあったのはただ、「続きを言わせてはいけない」というそんな想い。
「大魔王!後ろからくらえ!おれの手裏剣!!」
恒久が叫ぶと、
「ほう、幻感の術かい。さすがは伊賀家だねぇ。」
そう言った大魔王は、なにも来ていないはずの背後に少し目を向けて続ける。
「ちぃっ!」
大魔王が何のダメージも受けていないことに舌打ちする恒久に対し大魔王は笑みを浮かべる。
「でもねぇ。幻感の術は、相手に自身の力を認識させ、そのうえで相手の感覚を支配して使う術だろう?
まだ妾に大して力を示してもいないのに使ったって、意味はないよ?」
大魔王の言葉に、恒久はただ俯くしかなかった。
本来、恒久が先ほど使用した幻感の術は、大魔王の言うような条件によって初めて効果のある技である。
例えば、既に恒久が大魔王に対して、『正面にいながら何度も背に手裏剣を当てていた』とする。
そのうえで幻感の術をかけた場合、術の対象となった大魔王は、恒久が手裏剣を投げる動作する、もしくは先ほどのように「後ろから手裏剣が来ている」と言うなどにより、『後ろから手裏剣が来ているかもしれない』状況を作るだけで、恒久が実際に手裏剣を投げていなくとも大魔王は手裏剣を背後に浴びる幻覚を見ることになる。
それだけではなく、五感を支配された対象者は、それによってダメージすらも受けることになるのである。
「くそっ!やっぱまだ扱いきれなかったか!だったら!!」
自棄になった恒久は、そう言いながら幻刀の術を発動し、大魔王に構える。
「ツネ、落ち着いて。次は5人で行くよ。」
先ほど蹴り飛ばされたショウと、駆け付けたノブ、ケン、アカが、恒久の元へと集まり、大魔王に再び構える。
ショウとノブ、そして、アカが、大魔王ヘハラブへと飛びかかる。
ショウは杖により側面から、ノブとアカはそれぞれ自身の拳で前面と背後から攻撃を仕掛けるも、杖を口で、2つの拳をそれぞれ片手で受け止めるヘハラブ。
「3人揃って、そんなもんかい?」
その言葉の直後にヘハラブより発せられる衝撃波によって吹き飛ばされる3人。
その時には、距離を置いていた恒久の手裏剣と、重清の複数の弾丸がヘハラブへと迫っていた。
(ほぉ。重清は銃無しでもある程度弾丸の術を使えるようになったみたいだね。ちゃんと、金の力も込められているね。でも・・・)
「甘いよ。」
そう口にしながら大魔王は、迫りくる手裏剣と弾丸に向けて手をかざすと、手裏剣と弾丸はピタリと動きを止め、大魔王の目の前で静止する。
そのまま大魔王が小さく手を振ると、手裏剣と弾丸はそれまでのスピード以上の速さで主の元へと飛びかかる。
「「なぁっ!?」」
まさかそのまま自身の攻撃が返されるとは思っていなかった2人は、重清の出した盾の後ろに隠れ、その反撃に耐える。
「「ぐぁっ!!」」
2人がそんな叫び声を上げている中、シンが火炎の術を、ソウが新たに使えるようになった火砲の術を、大魔王に向けてそれぞれ放つ。
交差した2つの術は、交わり、大きな火の玉となって大魔王へと襲いかかる。
「くらえぇーーーっ!」
それと同時に、大魔王の頭上から、1メートル程の鉄玉となったプレッソが降り注ぐ。
「タイミングは、なかなかいいじゃないか。」
そう言って大魔王は降りかかるプレッソを難なく避け、そのまま軽々とプレッソを、向かい来る火の玉に向けて蹴りつける。
「はぁ!?」
自身の最大、最重量の鉄玉を軽々とサッカーボールのように蹴る大魔王に驚きの声を上げながら、青白く光る鉄玉が火の玉へとぶつかり、そのまま火の玉は霧散する。
しかしそれでもなお、鉄玉は勢いをそのままにシンとソウに向かって飛んでいく。
「やばっ!!」
そう声を上げた重清は、先程の反撃でボロボロになりながら、プレッソを自身の中に戻してソウ達に向かう鉄玉を消し去る。
(プレッソ、大丈夫かっ!?)
(あぁ、蹴るときにばあちゃんが水の力をオイラに付与したみたいだ。直接のダメージは蹴られた分だけだよ。)
(わかった!少し休んでろ!)
(助かる。)
重清とプレッソがそんな会話をしているさなか、ヘハラブの背後からチーノが現れる。
チーノの動きに反応を見せなかったヘハラブの背を、金の力で強化したチーノの爪が引き裂いた。
「ガキィン!」
かに思われた。
「さすがはチーノだ。やられるまでどこにいるか全く分からなかったよ。シロだったら、今ので決着がついていただろうねぇ。ただ、今のあんたじゃ、力不足みたいだよ?」
金の力を身に纏った大魔王が、そう言ってチーノに振り向き、そのままチーノを掴んで重清の方へと放り投げる。
「うわっと!」
重清は何とか飛んでくるチーノを受け取り、
「チーノ大丈夫か!?」
そう声をかけると、
「えぇ。それよりも重清、気づいてる?」
「ん?」
「あいつ、まだ術の1つも使っていないわよ。」
「あ。」
チーノの言葉に、重清だけでなく全員が満身創痍のなか声を出していた。
ソウとケンだけは、
((っていうか、あの色気のある猫は何者?))
と別の方向にも思考が逸れていたが。
「くっ。みんな、いったん退いて、体制を整えよう!」
先ほどの大魔王からの衝撃で木に全身をぶつけていたショウが、ふらつく足で立ち上がりながらそう叫ぶも、その瞬間にはショウの目の前に大魔王が現われ、そのまま蹴り飛ばされてしまう。
「良い判断だねぇ。でも知らなかったのかい?大魔王からは逃げ―――――」
「それだけは言わせるかぁ!!!」
大魔王の暴言に、我らがつっこみ恒久が、果敢にも大魔王へと攻め込んでいく。
彼の心の中にあったのはただ、「続きを言わせてはいけない」というそんな想い。
「大魔王!後ろからくらえ!おれの手裏剣!!」
恒久が叫ぶと、
「ほう、幻感の術かい。さすがは伊賀家だねぇ。」
そう言った大魔王は、なにも来ていないはずの背後に少し目を向けて続ける。
「ちぃっ!」
大魔王が何のダメージも受けていないことに舌打ちする恒久に対し大魔王は笑みを浮かべる。
「でもねぇ。幻感の術は、相手に自身の力を認識させ、そのうえで相手の感覚を支配して使う術だろう?
まだ妾に大して力を示してもいないのに使ったって、意味はないよ?」
大魔王の言葉に、恒久はただ俯くしかなかった。
本来、恒久が先ほど使用した幻感の術は、大魔王の言うような条件によって初めて効果のある技である。
例えば、既に恒久が大魔王に対して、『正面にいながら何度も背に手裏剣を当てていた』とする。
そのうえで幻感の術をかけた場合、術の対象となった大魔王は、恒久が手裏剣を投げる動作する、もしくは先ほどのように「後ろから手裏剣が来ている」と言うなどにより、『後ろから手裏剣が来ているかもしれない』状況を作るだけで、恒久が実際に手裏剣を投げていなくとも大魔王は手裏剣を背後に浴びる幻覚を見ることになる。
それだけではなく、五感を支配された対象者は、それによってダメージすらも受けることになるのである。
「くそっ!やっぱまだ扱いきれなかったか!だったら!!」
自棄になった恒久は、そう言いながら幻刀の術を発動し、大魔王に構える。
「ツネ、落ち着いて。次は5人で行くよ。」
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