87 / 519
忍者部、戦力強化
第83話:最終日遭遇戦 その4
しおりを挟む
「「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!!!」」
シンとアカが、森の中を駆け抜ける。
それはもう必死に。
2人は逃げていた。
その後ろでは、“何か”によって木々が押し倒されており、その“何か”が2人の後ろを着いてきていた。
「アカ!あれ、なんとかならないのかよ!?」
「ムリですっ!あのパターン、わたし知らないですっ!!」
「ちっ。言われるとおりに、みんなを集めないと――――」
シンがそう口にした直後、シンの真後ろに雷が落ちる。
それが偶然ではないと感じたシンは、渋々改めて口を開く。
「ゆ、『勇者達』を集めないといけない。」
そう言って後ろにチラッと目をやると、満足そうな“何か”が目に入る。
(チッ。)
言いたくもないことを言わされた事に内心で舌打ちをしながらシンは、
「アカ!一旦分かれるぞ!ゆ、『勇者達』を集めるんだっ!」
「・・・りょーかいっ!」
シンの言葉につっこみたくなったアカであったが、敢えてそこには触れずにただそう言って頷き、それを確認したシンは、アカとは別の方向へ走り出す。
((向こうについて行って!))
お互いが、自分ではない方へ後ろの“何か”がついて行くことを期待した2人であったが、
「俺かよぉ~~~!何でだよ!?アカと仲良いじゃん!!」
そう言って、ついて来る“何か”から逃げるように走り、すぐにシンはアカの視界から消えていった。
「・・・シンさん。シンさんのこと、忘れません!」
アカはそう呟いて、『勇者達』を探すために再び走り出すのであった。
「・・・あれ、ここは?」
「あ、気が付いた?」
いつの間にか木にもたれかかって気絶していた恒久が目を覚ますと、目の前のショウが笑顔を向けてくる。
「おれは一体・・・あ。思い出した。」
「思い出しちゃった?ツネは、ソウに思いっきり飛ばされちゃったんだよ?」
「いや、思い出したって言ってるのに、わざわざ説明しなくていいですよ!っていうか、結構な高度まで飛ばされた気がするんですけど、なんで無事なんですかね?」
「う~ん。僕がツネを見つけたときには、今の状態だったからね。この空間の特性とかなんじゃないかな?」
「・・・流石は、シゲのばあさんだな。」
2人がそんな会話をしていると。
「い~~~たぁ~~~~~!」
突然そんな声とともに、シンが走ってくる。
「あ、シン。アカはどうしたの??」
「2人とも、走って!!」
ショウの言葉を無視し、さらに2人を追い抜きながらショウが叫ぶのを唖然としながら見ていた2人であったが、
「後ろ、後ろ!!!」
シンの言葉に2人が背後を振り向くと、木々をなぎ倒しながら向かって来る“何か”が目に入る。
瞬時に2人は、シンを追いかけて走り出した。
「シンさん、なんなんですかあれ!あれって、しげのばあ――――」
そう恒久が言おうとした直後、恒久の背後に雷が落ちる。
「・・・・・・」
流石にそれを偶然で片づけることはできず、恒久は口を噤んでシンに目をやると、
「わかったか!?余計なことを口にしたら、そうなるんだ!いいか、あれはなぁ、『大魔王』だ!!」
シンが、真に迫った顔で世界観を台無しにすることを口にするのを見た恒久は、
「いや、シンさん。さすがにそれ、意味わかんないっす。」
と、走り続けながらもちょっと噴出してシンにそう返す。
恒久のバカにするような顔にシンは泣きそうな顔をしながら、
「俺が考えたんじゃないやい!本人が言ってたんだって!
『私は大魔王だ。8人の勇者を集め、私と戦いなさい』って!
それからず~~っと追いかけられてるんだぞ?ずぅ~~~っとだ!
アカと二手に分かれたのに、何故か俺の方について来るんだよ!!!」
最早完全に泣きながら、シンがそう叫ぶ。
「・・・とにかく、『大魔王』を倒すために、『勇者達』を全員集めないといけないんだね。」
涙を流すシンに同情の目を向けながら、ショウが確認するようにシンに声をかける。
「そういうことです。」
鼻水を啜りながらそう返すシンを見て、先輩の涙に戸惑っていた恒久はただただ、
(ショウさん、ナイス取りまとめ!)
と、心の中で親指を立てていた。
「こういうとき、ソウがいたら全員すぐに見つかるんだけどな。」
「確かに、あいつのレーダーなら、一発ですもんね。」
シンの呟きに恒久が納得したように答えているのを見たショウは、恒久がソウに怒っていないことに安心して、笑っていた?
「ん?ショウさん、どうしたんですか、笑ったりして。」
こんな状況でそんな笑顔をしていたショウに恒久が声をかけるも、
「なんでもないよ。」
と、爽やかスマイルで返された恒久は、
「そうですか?それよりも、アイツを見つけたいですね。アイツなら、この状況について何か説明できるかもしれませんし。」
そう言って後ろをちらりと見る。
「まぁ、確かにな。」
恒久のその言葉に、シンも後ろへと目をやる。
「まぁとにかく、他の『勇者達』を探すしかないね。」
ショウの言葉に、2人は頷き、後ろから追ってくる“何か”かから逃げ続ける。
一方、恒久が言うアイツは・・・
シンとアカが、森の中を駆け抜ける。
それはもう必死に。
2人は逃げていた。
その後ろでは、“何か”によって木々が押し倒されており、その“何か”が2人の後ろを着いてきていた。
「アカ!あれ、なんとかならないのかよ!?」
「ムリですっ!あのパターン、わたし知らないですっ!!」
「ちっ。言われるとおりに、みんなを集めないと――――」
シンがそう口にした直後、シンの真後ろに雷が落ちる。
それが偶然ではないと感じたシンは、渋々改めて口を開く。
「ゆ、『勇者達』を集めないといけない。」
そう言って後ろにチラッと目をやると、満足そうな“何か”が目に入る。
(チッ。)
言いたくもないことを言わされた事に内心で舌打ちをしながらシンは、
「アカ!一旦分かれるぞ!ゆ、『勇者達』を集めるんだっ!」
「・・・りょーかいっ!」
シンの言葉につっこみたくなったアカであったが、敢えてそこには触れずにただそう言って頷き、それを確認したシンは、アカとは別の方向へ走り出す。
((向こうについて行って!))
お互いが、自分ではない方へ後ろの“何か”がついて行くことを期待した2人であったが、
「俺かよぉ~~~!何でだよ!?アカと仲良いじゃん!!」
そう言って、ついて来る“何か”から逃げるように走り、すぐにシンはアカの視界から消えていった。
「・・・シンさん。シンさんのこと、忘れません!」
アカはそう呟いて、『勇者達』を探すために再び走り出すのであった。
「・・・あれ、ここは?」
「あ、気が付いた?」
いつの間にか木にもたれかかって気絶していた恒久が目を覚ますと、目の前のショウが笑顔を向けてくる。
「おれは一体・・・あ。思い出した。」
「思い出しちゃった?ツネは、ソウに思いっきり飛ばされちゃったんだよ?」
「いや、思い出したって言ってるのに、わざわざ説明しなくていいですよ!っていうか、結構な高度まで飛ばされた気がするんですけど、なんで無事なんですかね?」
「う~ん。僕がツネを見つけたときには、今の状態だったからね。この空間の特性とかなんじゃないかな?」
「・・・流石は、シゲのばあさんだな。」
2人がそんな会話をしていると。
「い~~~たぁ~~~~~!」
突然そんな声とともに、シンが走ってくる。
「あ、シン。アカはどうしたの??」
「2人とも、走って!!」
ショウの言葉を無視し、さらに2人を追い抜きながらショウが叫ぶのを唖然としながら見ていた2人であったが、
「後ろ、後ろ!!!」
シンの言葉に2人が背後を振り向くと、木々をなぎ倒しながら向かって来る“何か”が目に入る。
瞬時に2人は、シンを追いかけて走り出した。
「シンさん、なんなんですかあれ!あれって、しげのばあ――――」
そう恒久が言おうとした直後、恒久の背後に雷が落ちる。
「・・・・・・」
流石にそれを偶然で片づけることはできず、恒久は口を噤んでシンに目をやると、
「わかったか!?余計なことを口にしたら、そうなるんだ!いいか、あれはなぁ、『大魔王』だ!!」
シンが、真に迫った顔で世界観を台無しにすることを口にするのを見た恒久は、
「いや、シンさん。さすがにそれ、意味わかんないっす。」
と、走り続けながらもちょっと噴出してシンにそう返す。
恒久のバカにするような顔にシンは泣きそうな顔をしながら、
「俺が考えたんじゃないやい!本人が言ってたんだって!
『私は大魔王だ。8人の勇者を集め、私と戦いなさい』って!
それからず~~っと追いかけられてるんだぞ?ずぅ~~~っとだ!
アカと二手に分かれたのに、何故か俺の方について来るんだよ!!!」
最早完全に泣きながら、シンがそう叫ぶ。
「・・・とにかく、『大魔王』を倒すために、『勇者達』を全員集めないといけないんだね。」
涙を流すシンに同情の目を向けながら、ショウが確認するようにシンに声をかける。
「そういうことです。」
鼻水を啜りながらそう返すシンを見て、先輩の涙に戸惑っていた恒久はただただ、
(ショウさん、ナイス取りまとめ!)
と、心の中で親指を立てていた。
「こういうとき、ソウがいたら全員すぐに見つかるんだけどな。」
「確かに、あいつのレーダーなら、一発ですもんね。」
シンの呟きに恒久が納得したように答えているのを見たショウは、恒久がソウに怒っていないことに安心して、笑っていた?
「ん?ショウさん、どうしたんですか、笑ったりして。」
こんな状況でそんな笑顔をしていたショウに恒久が声をかけるも、
「なんでもないよ。」
と、爽やかスマイルで返された恒久は、
「そうですか?それよりも、アイツを見つけたいですね。アイツなら、この状況について何か説明できるかもしれませんし。」
そう言って後ろをちらりと見る。
「まぁ、確かにな。」
恒久のその言葉に、シンも後ろへと目をやる。
「まぁとにかく、他の『勇者達』を探すしかないね。」
ショウの言葉に、2人は頷き、後ろから追ってくる“何か”かから逃げ続ける。
一方、恒久が言うアイツは・・・
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説

辺境の最強魔導師 ~魔術大学を13歳で首席卒業した私が辺境に6年引きこもっていたら最強になってた~
日の丸
ファンタジー
ウィーラ大陸にある大国アクセリア帝国は大陸の約4割の国土を持つ大国である。
アクセリア帝国の帝都アクセリアにある魔術大学セルストーレ・・・・そこは魔術師を目指す誰もが憧れそして目指す大学・・・・その大学に13歳で首席をとるほどの天才がいた。
その天才がセレストーレを卒業する時から物語が始まる。

プラス的 異世界の過ごし方
seo
ファンタジー
日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。
呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。
乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。
#不定期更新 #物語の進み具合のんびり
#カクヨムさんでも掲載しています

婚約破棄を告げた瞬間に主神を祀る大聖堂が倒壊しました〜神様はお怒りのようです〜
和歌
ファンタジー
「アリシア・フィルハーリス、君の犯した罪はあまりに醜い。今日この場をもって私レオン・ウル・ゴルドとアリシア・フィルハーリスの婚約破棄を宣言する──」
王宮の夜会で王太子が声高に告げた直後に、凄まじい地響きと揺れが広間を襲った。
※恋愛要素が薄すぎる気がするので、恋愛→ファンタジーにカテゴリを変更しました(11/27)
※感想コメントありがとうございます。ネタバレせずに返信するのが難しい為、返信しておりませんが、色々予想しながら読んでいただけるのを励みにしております。
されたのは、異世界召喚のはずなのに、なぜか猫になっちゃった!?
弥湖 夕來
ファンタジー
彼に別れを告げられた直後、異変を感じ気が付いた時には変わった衣服の人々に取り囲まれ、見知らぬ神殿に居たわたし。なぜか儀式を中断させた邪魔者として、神殿から放りだされてしまう。猫の姿になっていたことに気が付いたわたしは、元の世界に帰ろうと試みるが、どこに行っても追い立てられる。召喚された先は猫が毛嫌いされる世界だった。召喚物お決まりのギフトは小鳥の話を聞きとれることだけ。途方に暮れていたところを、とある王族のおねぇさんに拾われる。出だしに反し、裕福なお家でのイケメンさんに囲まれた猫ライフを満喫していると、

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

俺の娘、チョロインじゃん!
ちゃんこ
ファンタジー
俺、そこそこイケてる男爵(32) 可愛い俺の娘はヒロイン……あれ?
乙女ゲーム? 悪役令嬢? ざまぁ? 何、この情報……?
男爵令嬢が王太子と婚約なんて、あり得なくね?
アホな俺の娘が高位貴族令息たちと仲良しこよしなんて、あり得なくね?
ざまぁされること必至じゃね?
でも、学園入学は来年だ。まだ間に合う。そうだ、隣国に移住しよう……問題ないな、うん!
「おのれぇぇ! 公爵令嬢たる我が娘を断罪するとは! 許さぬぞーっ!」
余裕ぶっこいてたら、おヒゲが素敵な公爵(41)が突進してきた!
え? え? 公爵もゲーム情報キャッチしたの? ぎゃぁぁぁ!
【ヒロインの父親】vs.【悪役令嬢の父親】の戦いが始まる?

家族はチート級、私は加護持ち末っ子です!
咲良
ファンタジー
前世の記憶を持っているこの国のお姫様、アクアマリン。
家族はチート級に強いのに…
私は魔力ゼロ!?
今年で五歳。能力鑑定の日が来た。期待もせずに鑑定用の水晶に触れて見ると、神の愛し子+神の加護!?
優しい優しい家族は褒めてくれて… 国民も喜んでくれて… なんだかんだで楽しい生活を過ごしてます!
もふもふなお友達と溺愛チート家族の日常?物語
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる