おれは忍者の子孫

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忍者部、戦力強化

第58話:重清の新術

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部屋に入ってきた重清の兄、公弘と裕二は、重清に向けて片手をあげる。

「いや、なんなの?このいい感じの登場、雑賀家の伝統かなんかなの!?」
混乱した重清が言うと、

「あたしのお茶目な演出さ。こういうの、嫌いかい?」
「いや、むしろかっこいいし、いつかはおれもこういう登場してみたいなあって、じゃなくて!キミ兄ちゃんとユウ兄ちゃんが、さっきばあちゃんが言ってた、特別講師ってやつなの?」

「なんだい、自分から聞いておいて・・・」
そうブツブツいいながら、雅が公弘と裕二に目を向ける。

「公弘は、あの人の才能を受け継いでいるのか、人に教えるのが上手いんだ。それに対して、裕二はあたしの才能を受け継いで、術を作る才能がある。こう見えても、この年で既に5つの忍術を作ってるからね。」

「ばあちゃん、『こう見えて』ってのは失礼じゃないか?」
裕二が、大学に入って染めた髪をかき上げながら返すと、
「そんなチャラチャラした見た目でよく言うよ。あたしは、そんな髪型、認めてないからね!あの人は、一度だってそんな髪型にしたことないってのに。」

(((まぁそりゃぁ、あの髪じゃぁね。)))
兄弟揃って心の中でつっこみながらも、裕二が不貞腐れたように返す。

「じゃぁ、じいちゃんがこんな髪型してたら、嫌いになってるの?」

「そりゃ、まぁ、なんだ・・・悪くはないね。」
顔を赤らめて言う雅を見て、してやったりと重清にピースしてくる裕二に、

(いや、ばあちゃんの乙女な部分とか引き出さないでいいから!)
重清は密かにつっこむのであった。

相変わらずの脱線のあと、気を取り直して雅が口を開く。
「とにかく、この2人が重清を指導してくれるから、安心して2人に任せな。ってことで、公弘、裕二、あとは頼んだよ。」
そう言って掛け軸の向こうへと去っていく雅の背を見送ったあと、公弘が口を開く。

「ってことになったから、よろしく。早速だけど重清、お前はどんな術がいいと思ってるんだ?」
「んー、中・近距離に攻撃できるような術かなぁ??『〇〇波ー』みたいな。」
「お前、ガキかよ。」
「ガキだよ!中学生はまだ、立派なガキだよ!」
裕二のつっこみに、重清がムキになってそう返す。

「はいはい、喧嘩はやめ。裕二、重清はこう言ってるけど、どう思う?」
「あぁ、こっちは問題ないかな。」
「だよね。こっちもだ。」
「2人とも、何の話してるのさ?」
重清が2人に尋ねるも、それには答えずに公弘が話し出す。

「重清ってさ、昔っからあれ得意だったよね。ゲームセンターにある、銃使うやつ。」
「へ?うん、他は兄ちゃん達に勝てなかったけど、あれだけは絶対勝ってたけど。急にどうしたのさ?」

「重清さ、銃を武器にするってのはどうかな?」
「銃を??」
公弘の言葉に、重清は首を傾げる。

「でも、銃なんて手に入らなくない?モデルガンでも使うの?」
「お前はバカか。そのための忍術だろうが。」
「バカだけども!そんなストレートに言わなくてもいいだろ!?」
裕二の言葉に、言い返す重清。

「はいはい、話が進みません!それより重清、どう思う?」
「どうって。そりゃぁ、カッコイイとは思うけど。じゃぁ、新しく覚える術は銃を出す術ってこと??」
「いや、違うんだな、これが。銃を出す術は、俺が既に作ってる。それを、お前にやるよ。」

「え!?じゃぁ、おれが忍術作るわけじゃないの?」
残念そうにそう言う重清に、公弘が笑って答える。

「話はまだ途中なんだって。それより重清、銃を武器にするっていうのは、OKってことでいいのか?」
「うん。じゃぁ、OKで。」

「良かった。これでダメだったら、イチから考え直さなきゃいけなかったからな。ってことで裕二、とりあえずその術を重清にあげて。」
「りょーかい。」
そう言って裕二は、自身の忍術契約書を発現させる。

「ほいっ。これで良し。」
裕二の言葉と同時に、重清の脳内に着信音が流れる。

「重清、忍術の契約書出してみ?」
裕二の言葉を聞いて、重清が忍術の契約書を具現化させると、


--------

忍術契約書
契約者 雑賀 重清

作成した忍術
なし

契約主である忍術
具現獣銃化の術

契約した忍術
鉄壁の術

具現獣の忍術
鉄玉の術

--------

「契約主である忍術、具現獣、銃化の術??」
重清が声をあげると、プレッソも忍術の契約書を覗き込む。
「裕二、これは、オイラが銃になるってことか?」

「そゆこと。ちなみに、『契約主である忍術』ってのは、重清にその術の契約変更の権限があるってことな。作ったのは俺だけど、それはそのまま重清に譲渡したってわけ。だから俺にはもう、その術をいじる権利はないんだよ。」

「譲渡した??」
「ノリさんから聞いてないか?術の譲渡の話。」
公弘の言葉を聞いて、重清は「あ」と声をあげる。

「何か聞いたなー。作った忍術を協会に譲渡する人もいるとかなんとか。」
「それそれ。それを俺は重清個人に対してやったってわけよ。」
「でも、ユウ兄ちゃん、いいの??」
「ん?あぁ、俺具現獣出せないし、全く使えないんだよね。この術、お前のために作っただけだし。」

その言葉を聞いた重清は、嬉しさのあまり裕二に抱きつこうとする。
「うわっ、危ねえ!」
裕二に華麗に避けられたことで、勢い余ってそのまま床にダイブした重清は、涙目になりながら裕二に恨みがましい目を向ける。
「せっかくの可愛い弟のハグを避けんなよっ!」
「ハグなんてやだよ、気持ち悪ぃ。喜んでくれてるんならさ、今後の誕プレとかクリプレとか、一切なしってことでよろしく!」

そう言って親指を立てる裕二に重清は、
「いや、未だかつて、誕プレもクリプレももらったことないし!」
と、さらなる恨みがましい目を向けると、
「じゃぁ訂正。お前が生まれて死ぬまでの間、誕プレとかクリプレとか一切なしってことで!」
そう言って両手の親指を立てる裕二に、

「まぁ、いいけどさ。」
そう言って笑う重清であった。
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