おれは忍者の子孫

メバ

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修行と依頼

第49話:中忍体模擬戦 開始

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小太郎捜索の翌日。

忍者部では、古賀の言っていたとおり中忍体を想定した訓練が始められることとなっていた。

「それで、中忍体を想定した訓練ってどんなことするんですか?」
いつものように、恒久が手を上げて質問する。

「とりあえずは、中忍体と同じルールで2組に分かれて競ってもらうよ。まぁ、人数は4対4になるけどね。
それに伴って、持ち点も7から6に変更する。他に質問はあるかな?」
古賀の言葉に、ソウが手を上げる。

「ルールでは、『倒されると』点数を引かれると言う事でしたが、それはつまり、その、相手を気絶させなきゃいけないってことですか?」
ソウの質問に、重清、恒久、アカは息を呑む。

珍しく、重清だけでなく恒久とアカも、そこにまで考えは及んでいなかったのである。

「そう不安に思わなくていいよ。本番の時もだけど、訓練のときも、きみたちにはこれを身につけてもらう。」
そう言って古賀が取り出したのは、潜水スーツのような、頭からつま先までを覆える薄手の布のようなものであった。

「これを、今着ている制服の上に着てくれ。」
「えー、かっこ悪~~い。」
アカが早速文句を言いだす。

「安心して。これはね、着たらそのまま服と体に同化するようになっているから。見た目だけでなく、着ている方にもほとんど着用感を感じさせないという優れものなんだよ。便利だろ??」
「おぉ~~!それで、お値段は?」
古賀の言葉に、アカが声を上げる。

「テレビショッピングかよ。それで、それを着るのと、さっきのソウの質問との関係はなんなんですか?」
恒久がアカにつっこみつつ、古賀に尋ねる。

「これはね、一定の攻撃を受けると、使用者を動けなくするのさ。例えば頭や心臓などの致命傷となる箇所に攻撃を受けた場合は一発で動けなくなるし、手足などに当たった場合はその箇所だけが動かせなくなる。もちろん、ある程度の強い攻撃でないといけないけどね。しかも、これはそれなりに耐久性があるから、ある程度の攻撃は体までは通さない。そのうえで、ルール上全ての武具は殺傷力を下げることが決められているんだ。
ここまで言ったら、少しは安心できたかな??」

「はい!ありがとうございます!」
ソウは、古賀の言葉に笑顔で頷く。

「ということで、早速これを着て。そのあとで、今日のチーム分けを発表しま~す。」

「おぉ、マジで全然わかんねぇ!これで耐久性もあるんだろ?便利だよな!先生、なんでこれ、模擬戦とかには使わないんですか??」
聡太と話していた重清が、その話の流れで古賀に質問する。

「え?だって、これ使って模擬戦しても緊張感ないじゃない?これはあくまで、中忍体の練習の時にしか使うつもりないからね。」
古賀が意地の悪そうな顔で答えるのであった。

「さて、とりあえずみんな着たようだね。じゃぁ早速、今日のチーム分けを。
ショウ・ケン・恒久・アカ。この4人が一つのチームだ。」

「やったぁ~~~!」
ショウと同じチームになったことを喜ぶアカの声が、あたりに響き渡る中、それを無視して古賀が続ける。
「で、シン・ノブ・ソウ・重清がもう一つのチームね。今日はこれで試しに中忍体のルールに沿った試合をやってもらう。とりあえず、いったん分かれてそれぞれのチームで作戦を立ててほしいんだけど、その前にソウ。」
「へいっ!」
突然古賀から話をフラれて慌てたソウが謎の返事をしつつ、古賀に向く。

「ソウのレーダー、一旦ここのメンバーの情報をクリアにできるかな?」
「クリアに?」
「そ。だって、通常の中忍体だったら相手を認識していない状態で始まる可能性もあるでしょ?今の状態だと、ソウのレーダーにはここにいる全員が出てきゃうからね。それだと、最初からショウのチームが圧倒的に不利になる。それに、ソウにとっても訓練の意味がなくなるしね。」
「あー、なるほど。ちょっと試してみます。」

そう言ってソウが、スマホ型のレーダーに目を向ける。

(おぉ、普通のスマホみたいに『機能』のアイコンがあったよ。これ見ると、あ、なんか記録クリアってある。個人個人でのクリアができそうだな。全員するのはなんか嫌だから、個人個人でやろう。)

なんだかんだソウがレーダーをいじった後、ソウが顔を上げる。
「先生、なんとか個人ごとの情報クリアができそうです。」

「よし、じゃぁそれぞれ、決まった陣地まで行ってそこで作戦でも練って。ソウは陣地で行ったあとで、チームじゃない4人の情報だけクリアしてね。じゃ、20分後に開始するから。いったん解散!」


古賀の合図のあと、シン・ノブ・ソウ・重清とプレッソが自分たちの陣地へと到着する。

「さてと、ここにあるのが校旗だ。これの隠し場所と、リーダーの選出がまず決めなきゃいけないことかな?」
陣地へ到着してすぐ、シンが口を開く。

「リーダーは、シンじゃないのか?」
ノブがシンに対して答える。
「ノブ、その理由は?」
「なんとなくだ!」
「・・・まったく。2人はどう思う?」
シンがノブに呆れながらソウと重清に目を向ける。

「ぼくも、シンさんがリーダーがいいと思います。」
「おれは、ソウがいいと思うんですけど・・・」
ソウと重清の言葉を聞いて、シンが悩みながらソウに声をかける。

「ん~、ソウはどうしておれがいいと思うんだい?」
「シンさんは、この中で一番周りが見れると思うんです。ノブさんは、超接近戦タイプなので、リーダーではなく最前線で戦った方が効率がいい気がしますし、ぼくとシゲは、たぶん自分のことで精いっぱいな気がして・・・」
「なるほど。シゲは?どうしてソウがいいと?」

「さっきソウが、シンさんがリーダーが良いといった理由と一緒で、ソウが一番周りが見えると思ったからです。こいつのレーダーもすごいし、ソウ自身もいつも冷静で、判断力あると思いますし。」

シゲの言葉を聞いて、シンは頷きながら口を開く。
「なるほどね。おれも、ソウはリーダーの器だとは思っている。だからリーダーとしての動き方を学んでほしいという思いもある。ただ、今日は君達の初めての中忍体模擬戦だ。
だから、できれば今日はソウもシゲも前線に立ってもらって、中忍体のルールを経験してほしいと思うんだ。だから今日のところは、おれがリーダーってことで、いいかな?」

シンの言葉に、シゲも頷く。
ソウは、『リーダーの器』と言われたことで、赤面しながら頷いていた。

「よし!リーダーは決まりだ!作戦はどうするよ、リーダー!?」
ノブが笑いながらシンにそう言うと、
「まったく、リーダーってのはあくまでルール上のものなんだから、作戦はノブもちゃんと考えてよね。」
そう言いながらシゲとソウに笑いかけるシンに、4人は笑いあうのであった。

「いや、そんなこといいから作戦考えろよ。」
和やかムードに突入した4人につっこむプレッソなのであった。

こうして4人とプレッソは作戦を練り、時間となる。
どこからともなく古賀の声が、あたりに鳴り響く。

「え~、みなさま~、準備はよろしいでしょうか~?では、始め!!」
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