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修行と依頼
第46話:依頼
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「依頼に先立ちまして、皆様にここで注意事項を。」
小太郎(柴犬)の捜索のために外へ繰り出す途中、先頭を歩く翔(ショウ)が4人とプレッソに向き直り、ありもしないメガネをクイッと上げながら、妙な口調で話し出す。
「基本的に、術の使用は禁止となります。これは、古賀先生との契約に関係していますので。もちろん、これは周りに我々がアレ(忍者)であることがバレないようにするためです。身の危険に晒されたときには、使用を許可します。
ま、今回の依頼の場合は、視力の強化と忍力による感知くらいしか使わないと思うけどねー。」
若干キャラがブレながら説明する翔に、茜だけはときめいていた。
シンから紹介された先輩はいいのであろうか。
いいのである。
既に茜は、『なんか、他の子とも連絡取り合ってるっぽい』という女の勘により、その先輩との連絡をやめていた。
茜曰く、「わたしだけを見る人じゃないとダメ」とのことである。
そんなことはさておき、翔の説明を聞いていた恒久が、聡太に振り向いて尋ねる。
「ソウ、お前のレーダーで、例の犬、小太郎だっけ?見つけられないのか?」
その言葉に、聡太は首を振って答える。
「無理だね。ぼくのレーダー、一度相手を認識しないと、反応しないみたいなんだ。」
それを聞いた恒久は、残念そうな、それでいて面白そうな顔で、
「そっかぁ。でも、そのくらいの制限ないと、ソウのレーダーほんとにチートになっちまうな!」
と、笑っていた。
「ということで、地道に探すしかないみたいだね。本当だったらこういう時、別れて探すのが定石なんだろうけど、どうしたい??」
翔の言葉に、4人は視線を交わし、互いに頷き合って、翔に向く。
「「「「どうしましょう??」」」」
4人の揃った声に、翔はため息をつきながら、
「まったく。きみたち、考える気ないでしょ。今回はきみたちの練習みたいなもんなんだから、どうするか考えてみて?」
と、微笑みながら4人を促す。
そこで始まる作戦会議。
何故か、プレッソだけはいつの間にか翔の腕の中におり、そこからのリモート参加だったが。
※以降の会議は、人目につかないところでやっております。
恒「で、どうするよ?」
茜「ショウさんの言うとおり、別れて探したほうが効率よくない?」
聡「でもどう分かれる?」
茜「あ、わたし、翔さんとね。」
恒「なっ、お前それ、ただショウさんといたいだけだろ!?」
茜「え、悪い?」
恒「な、こいつ開き直りやがったぞ!?」
聡「はいはい、夫婦漫才はそのくらいにして。シゲはどう思う?」
重「んー、これさ、別れたとして連絡はどうする?」
恒「スマホでいいんじゃね?」
聡「まぁ、聞かれて困る内容でもないか。」
プ(おい重清、オイラたちが連絡役になるか?)
重「お、今プレッソからナイスアイデアいただきました!おれとプレッソが別れれば、いつでもどこでも繋がれます!」
恒「どこのケータイ会社だよ。でも、それいいな。」
茜「じゃぁ、ショウさんとわたしとプレッソで一つのグループ、残り物がもう一つのグループね。」
恒「残り物って、ひどくない??」
重「でも、残り物には福があるって言うぞ?」
恒「いまそれ関係ねーし、おれらにどんな福があるんだよ!?」
聡「まぁ、ムッツリとバカと元いじめられっ子だからねぇ。」
恒「ちょ、ムッツリ否定したいけど・・・ソウ、あんまり自分を卑下すんなよ?」
重「あれ、おれ今、ソウから明確にバカって言われたぞ?」
茜「全部事実じゃん。ってか、脱線しすぎ。」
重・恒「「お前が言うな」」
聡「あのさ、ショウさんとプレッソ組と、残り物組はどう?」
茜「え!?わたしも残り物組!?」
恒「ソウ、その心は?」
聡「単純に、ショウさん1人とぼくら4人で、やっと均衡取れるかなって。」
重「あー、そりゃ言えてるかも。」
恒「だな。じゃぁ、ムッツリとバカと元いじめられっ子と自意識過剰女だ!って誰がムッツリだよ!」
茜「自意識過剰ってひどくない!?わたし、可愛いわよね!?」
あ、この列車、脱線したまま進み続けるつもりだ。
そう思った聡太が、翔に向かって声をあげる。
「ショウさん、決まりました!!」
その声を聞いた翔が、苦笑いを浮かべながら答える。
「うん。全部聞こえてたからね。きみたち、脱線しまくりだね。」
「「「「ご、ごめんなさい」」」」
「ほんとだぜ、お前らもっと真面目にやれよ!」
プレッソが、翔の腕の中で偉そうに言う。
もう気分は、『悪の総帥の飼い猫』なのである。
「いやお前、会議中一言しか発言してないからな!?」
重清のプレッソへのつっこみに翔は、
「あー、いるよねぇ、そういう人。って、僕まで脱線しちゃったよ。」
そんなことを言いながら、話を続ける。
「それは置いておいて。さっきの組み分けでいいと思うよ。早速、捜索を開始するかな?」
翔がそう言うと4人はそれぞれが頷き、翔・プレッソ組と残り物組で、小太郎の捜索を行うこととなった。
「おーい!シゲ、そっちいたか~?」
恒久が少し離れたところにいる重清に大声で尋ねる。
「見つかんなーい!茜、そっちは~?」
「こっちも全然!ソウは~~~?」
「いないよ~~~!」
翔・プレッソ組と分かれてから30分後、残り物組は小太郎捜索に苦戦していた。
(やっぱり、もう少しばらけて探したほうがいいのかな?)
聡太がそう考えていると、重清が聡太の方へ駆け寄ってくる。
「今、プレッソから連絡が入った!向こうで、小太郎見かけたって!」
それを聞いた茜と恒久も駆け寄ってきて、重清に目を向ける。
「今、学校の近くの廃工場に入っていったのをショウさんが見かけたって。今回は、おれたちで捕まえられるようにって、ショウさんは待っててくれてるみたい!急ごう!」
重清の言葉を聞いて、3人は頷き、急いで学校の近くの廃工場へと向かう。
「や、待ってたよ。」
廃工場に着いた4人を、翔とプレッソが出迎える。
「小太郎君は、ここのどこかにいると思う。僕はここで待ってるから、あとはきみたちで探して捕まえてみて?」
翔の言葉に、4人は頷き、プレッソも翔の腕から飛び降りて、
「よし!頑張るぜ!」
とやる気を見せていた。
翔だけは、プレッソが自分の腕から出ていったことに、少し悲しそうな顔をしていた。
廃工場でそれぞれが分かれて小太郎の捜索に当たっている中、重清は大きなドラム缶が積まれている場所を捜索していた。
いつ頃からこの工場に人が入らなくなったのか。
ドラム缶は一部だけがしっかりと積まれた状態となっていたものの、多くは無造作に投げ出されたようにその辺に転がっていた。
と、そんなドラム缶から、小さな影が姿を見せた。
「あ、小太郎??」
重清がその影に声をかけると、依頼書の写真にあった柴犬の姿が、そこにあった。
小太郎は、声をかけた重清の姿を見ると、慌てたように逃げ出す。
「あ!そっちは危ない!!」
小太郎は、そのままドラム缶が積み重ねられた方へと走り出す。
すると、付近に立てかけられていた木材に小太郎がぶつかり、その木材が倒れることで近くのドラム缶をなぎ倒し、そのまま落下したドラム缶が小太郎に迫る。
「危ない!!」
重清が慌てて駆け寄る。
しかし、重清から小太郎までの距離は少し離れており、重清が間に合うことなくそのままドラム缶が小太郎を襲うのであった。
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「基本的に、術の使用は禁止となります。これは、古賀先生との契約に関係していますので。もちろん、これは周りに我々がアレ(忍者)であることがバレないようにするためです。身の危険に晒されたときには、使用を許可します。
ま、今回の依頼の場合は、視力の強化と忍力による感知くらいしか使わないと思うけどねー。」
若干キャラがブレながら説明する翔に、茜だけはときめいていた。
シンから紹介された先輩はいいのであろうか。
いいのである。
既に茜は、『なんか、他の子とも連絡取り合ってるっぽい』という女の勘により、その先輩との連絡をやめていた。
茜曰く、「わたしだけを見る人じゃないとダメ」とのことである。
そんなことはさておき、翔の説明を聞いていた恒久が、聡太に振り向いて尋ねる。
「ソウ、お前のレーダーで、例の犬、小太郎だっけ?見つけられないのか?」
その言葉に、聡太は首を振って答える。
「無理だね。ぼくのレーダー、一度相手を認識しないと、反応しないみたいなんだ。」
それを聞いた恒久は、残念そうな、それでいて面白そうな顔で、
「そっかぁ。でも、そのくらいの制限ないと、ソウのレーダーほんとにチートになっちまうな!」
と、笑っていた。
「ということで、地道に探すしかないみたいだね。本当だったらこういう時、別れて探すのが定石なんだろうけど、どうしたい??」
翔の言葉に、4人は視線を交わし、互いに頷き合って、翔に向く。
「「「「どうしましょう??」」」」
4人の揃った声に、翔はため息をつきながら、
「まったく。きみたち、考える気ないでしょ。今回はきみたちの練習みたいなもんなんだから、どうするか考えてみて?」
と、微笑みながら4人を促す。
そこで始まる作戦会議。
何故か、プレッソだけはいつの間にか翔の腕の中におり、そこからのリモート参加だったが。
※以降の会議は、人目につかないところでやっております。
恒「で、どうするよ?」
茜「ショウさんの言うとおり、別れて探したほうが効率よくない?」
聡「でもどう分かれる?」
茜「あ、わたし、翔さんとね。」
恒「なっ、お前それ、ただショウさんといたいだけだろ!?」
茜「え、悪い?」
恒「な、こいつ開き直りやがったぞ!?」
聡「はいはい、夫婦漫才はそのくらいにして。シゲはどう思う?」
重「んー、これさ、別れたとして連絡はどうする?」
恒「スマホでいいんじゃね?」
聡「まぁ、聞かれて困る内容でもないか。」
プ(おい重清、オイラたちが連絡役になるか?)
重「お、今プレッソからナイスアイデアいただきました!おれとプレッソが別れれば、いつでもどこでも繋がれます!」
恒「どこのケータイ会社だよ。でも、それいいな。」
茜「じゃぁ、ショウさんとわたしとプレッソで一つのグループ、残り物がもう一つのグループね。」
恒「残り物って、ひどくない??」
重「でも、残り物には福があるって言うぞ?」
恒「いまそれ関係ねーし、おれらにどんな福があるんだよ!?」
聡「まぁ、ムッツリとバカと元いじめられっ子だからねぇ。」
恒「ちょ、ムッツリ否定したいけど・・・ソウ、あんまり自分を卑下すんなよ?」
重「あれ、おれ今、ソウから明確にバカって言われたぞ?」
茜「全部事実じゃん。ってか、脱線しすぎ。」
重・恒「「お前が言うな」」
聡「あのさ、ショウさんとプレッソ組と、残り物組はどう?」
茜「え!?わたしも残り物組!?」
恒「ソウ、その心は?」
聡「単純に、ショウさん1人とぼくら4人で、やっと均衡取れるかなって。」
重「あー、そりゃ言えてるかも。」
恒「だな。じゃぁ、ムッツリとバカと元いじめられっ子と自意識過剰女だ!って誰がムッツリだよ!」
茜「自意識過剰ってひどくない!?わたし、可愛いわよね!?」
あ、この列車、脱線したまま進み続けるつもりだ。
そう思った聡太が、翔に向かって声をあげる。
「ショウさん、決まりました!!」
その声を聞いた翔が、苦笑いを浮かべながら答える。
「うん。全部聞こえてたからね。きみたち、脱線しまくりだね。」
「「「「ご、ごめんなさい」」」」
「ほんとだぜ、お前らもっと真面目にやれよ!」
プレッソが、翔の腕の中で偉そうに言う。
もう気分は、『悪の総帥の飼い猫』なのである。
「いやお前、会議中一言しか発言してないからな!?」
重清のプレッソへのつっこみに翔は、
「あー、いるよねぇ、そういう人。って、僕まで脱線しちゃったよ。」
そんなことを言いながら、話を続ける。
「それは置いておいて。さっきの組み分けでいいと思うよ。早速、捜索を開始するかな?」
翔がそう言うと4人はそれぞれが頷き、翔・プレッソ組と残り物組で、小太郎の捜索を行うこととなった。
「おーい!シゲ、そっちいたか~?」
恒久が少し離れたところにいる重清に大声で尋ねる。
「見つかんなーい!茜、そっちは~?」
「こっちも全然!ソウは~~~?」
「いないよ~~~!」
翔・プレッソ組と分かれてから30分後、残り物組は小太郎捜索に苦戦していた。
(やっぱり、もう少しばらけて探したほうがいいのかな?)
聡太がそう考えていると、重清が聡太の方へ駆け寄ってくる。
「今、プレッソから連絡が入った!向こうで、小太郎見かけたって!」
それを聞いた茜と恒久も駆け寄ってきて、重清に目を向ける。
「今、学校の近くの廃工場に入っていったのをショウさんが見かけたって。今回は、おれたちで捕まえられるようにって、ショウさんは待っててくれてるみたい!急ごう!」
重清の言葉を聞いて、3人は頷き、急いで学校の近くの廃工場へと向かう。
「や、待ってたよ。」
廃工場に着いた4人を、翔とプレッソが出迎える。
「小太郎君は、ここのどこかにいると思う。僕はここで待ってるから、あとはきみたちで探して捕まえてみて?」
翔の言葉に、4人は頷き、プレッソも翔の腕から飛び降りて、
「よし!頑張るぜ!」
とやる気を見せていた。
翔だけは、プレッソが自分の腕から出ていったことに、少し悲しそうな顔をしていた。
廃工場でそれぞれが分かれて小太郎の捜索に当たっている中、重清は大きなドラム缶が積まれている場所を捜索していた。
いつ頃からこの工場に人が入らなくなったのか。
ドラム缶は一部だけがしっかりと積まれた状態となっていたものの、多くは無造作に投げ出されたようにその辺に転がっていた。
と、そんなドラム缶から、小さな影が姿を見せた。
「あ、小太郎??」
重清がその影に声をかけると、依頼書の写真にあった柴犬の姿が、そこにあった。
小太郎は、声をかけた重清の姿を見ると、慌てたように逃げ出す。
「あ!そっちは危ない!!」
小太郎は、そのままドラム缶が積み重ねられた方へと走り出す。
すると、付近に立てかけられていた木材に小太郎がぶつかり、その木材が倒れることで近くのドラム缶をなぎ倒し、そのまま落下したドラム缶が小太郎に迫る。
「危ない!!」
重清が慌てて駆け寄る。
しかし、重清から小太郎までの距離は少し離れており、重清が間に合うことなくそのままドラム缶が小太郎を襲うのであった。
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