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修行と依頼
第30話:重清の暴走(不発)
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忍者部で模擬戦を行った翌日の朝、重清は前の日の晩にあることに気付き、それを実行しようと決心していた。
重清が気付いたこと。それは。
(おれって、古賀先生の契約に縛られていないんだから、少しくらい体育の授業で体の力使ってもいいんじゃねーのか!?)
という、事実である。
実際、古賀との契約では契約書のなかに、
『忍者以外の者に他言することを禁ずる。』という文言があった。
しかし血の契約により古賀との契約を破棄した重清は、もはやそれに縛られる必要はないのである。
それに気付いた重清はその日にある体育の授業で、それを試そうと思っているのであった。
(重清ー。ほんとに大丈夫なんだろうなぁ??)
昨夜、この作戦を聞かされたプレッソが、心配そうに重清の心にそう語りかけてくる。
(大丈夫だって!心配すんなよ、プレッソ!)
(お前のそういう能天気さが、逆にこえーんだよ!)
心の中でプレッソに、突っ込まれながら、重清は学校へと到着する。
なお、プレッソは既に重清と別行動しており、会話は全て重清の頭の中で行われてた。
そんな重清の様子を見た聡太が、重清に話しかける。
「プレッソ?なんだって?」
「いや、なんでもないよ。」
自身の作戦を話せば、絶対に止められると思った重清は、聡太にそう言って誤魔化すのであった。
重清と聡太が教室に着くと、クラスメイトが話しかけてくる。
「よ!忍者、風間くん、おはよう!」
「おはよう」
聡太が苦笑いしながらそう返す横で重清は、
「ちょ、いつまでおれのあだ名『忍者』なのさー。」
「お前があんな自己紹介したのがわりーんだってー」
そう言って笑いながら、クラスメイトは自分の席へと戻って行った。
「シゲ、いい加減あのあだ名、どうにかしたほうがいいんじゃない?」
「いや、おれもどうにかしたいけどさ。あだ名って自分じゃどうにもできないじゃん?」
心配する聡太に対し、重清は笑ってそう返すのであった。
そして待ちに待った体育の時間。
その日は50メートル走の測定であった。
(よし、あの時みたいに、足に体の力を集中させればいけるはずだ。一応、弱めにはしとかないとな。)
そう考えながら順番が来るのを待っていた重清であったが、ついにその時が来る。
「位置について・・・」
いかつい体育教師、森坂の号令が聞こえてくる。
(よーし、いくぞー!)
重清が足に少しだけ体の力を集中させる。
そのことに気付いた聡太が、
「ちょっ、シゲ!!」
そう声をかけるも、重清は気にせず森坂の号令に耳を傾けていた。
「よーい、どん!」
その声が聞こえると同時に、白い老猫が重清の足元を走り抜けていく。
それに驚いた重清は、まともに走り出すことができず、しかも足を体の力で若干ながらも強化していたために、その場で思いっきり転ぶことになる。
「いってぇ!!」
重清が声をあげたときには、既に先程の老猫の姿はなく、ただただ重清が転んだだけにしか周りには見えていなかった。
その様子を、空では1羽の鳥がみているのであった。
(あれって、古賀先生のハチじゃない?)
聡太は一瞬そんなことを考えるが、それよりもと重清の方に駆け寄る。
「シゲ、大丈夫!?」
「忍者、大丈夫か??」
聡太だけでなく、クラスメイトや森坂も駆け寄ってくる。
「あいたたた。すみません、大丈夫です。」
「いや、思いっきり足から血出してるじゃないか!風間、すまないが鈴木を保健室まで連れて行ってくれないか?」
森坂の言葉に、聡太は「はい。」と頷いて重清に肩を貸して保健室へと歩き出のであった。
「白い猫?そんなのいたかなぁ?でも、シゲの体の力以外にもなにか感じたから、何かいたのかもね?あ、それで思い出した!シゲ、多分さっきの、古賀先生にバレてるよ。空にハチっぽい鳥いたし。」
「はぁ!?マジかよ!?でもおれ、先生と契約してないから、辞めさせられるってことはないんじゃないか?」
「いや、まぁそうだけど。何かしらのお咎めはあるかもよ?」
「マジかよー。やばいかなぁ?」
「知らないよ!ちゃんと自分のやったことには責任とりなよ?」
「わかりましたよー。いててて。そんな事より、保健室まだ?」
「うわ、そんな事っていっちゃったよ。もーすぐ着くから我慢しなさい!」
そんな会話をしながらも、2人は保健室へと到着する。
「失礼しまーす。」
「はいはーい。あらあら、怪我しちゃったのね~。そこに座って~。あ、きみはもういいから、戻っていいわよ~。」
そう言って2人を出迎えたのは、この保健室の主、花園であった。
花園は、今年着任したばかりの23歳。年齢が比較的近く、また見た目の可愛さから、男子から絶大な人気を得ているのであった。
「すみません、体育で転んじゃって。ソウ、ここまでありがとうなぁー」
「うん。体育の授業少しサボれたし、気にしないで。じゃシゲ、ちゃんと治療してもらうんだよー。」
「あらあら、そんなこと、先生の前で言わないで欲しいなぁ~」
聡太の言葉に可愛く反論する花園の言葉に、
「すみません。」
と、顔を赤らめながら言って、聡太は保健室をあとにする。
「あらあら、顔赤くしちゃってかわいい。ソウくん?、彼女とかいるのかしら??」
「あいつは、風間聡太。おれは鈴木重清です。ってそれより先生、今の問題発言じゃないですか!?」
若干のジェラシーを感じながら、重清が花園につっこむ。
「あら、今のは忘れてちょうだい。それよりも、傷を見せて~?」
そう言って誤魔化す花園は、重清の傷を見て治療していく。
「はい、これで大丈夫!シゲくん?もう、転んじゃったりしないようにね~。あ、ソウくんにもよろしく伝えといてね~」
「いや、そう呼んでもらっていいっすけど・・・今度は心が痛いです!心の治療も要求します!」
「あら、そっちは専門外なのよ~。」
「職務怠慢だ!」
「はいはい、治療は済んだんだから、さっさと授業に戻りなさ~い。」
そう言われて重清は、モヤっとした気持ちのまま、保健室をあとにする。
保健室をあとにした重清がグラウンドへ向かっていると、授業が終わったクラスメイトたちが教室へと戻っているのに遭遇する。
「あ、シゲお帰り。もうそのまま教室に戻っていいって先生が言ってたよ。」
「お、忍者、大丈夫か?」
「へいへい、大丈夫でござるよ~」
そう言いながら重清は、聡太に妬ましさのこもった視線を送る。
「な、なにさ?」
「花園先生が、お前によろしく、だってさ。お前のことかわいいとか言ってたぞ?」
「は、な!?ちょ、からかわないでよ!!」
「おいっ、みんな!ソウのやつ、花園先生からかわいいとか言われたんだぞ!」
「「「「はぁ!?」」」」
重清の言葉に、その場にいた男子が一斉に聡太に妬ましさの視線を送る。
それを見た重清は、勝ち誇った顔で聡太を見るのであった。
「シゲ、変なこと言わないでよっ!そして、その顔凄くムカつくよ!!」
そんな聡太の言葉にみんなで笑いながら、男子は楽しそうに教室に戻るのであった。
そして放課後。
授業が終わり、部室へと向かおうとしていた重清と聡太に、担任の田中が声をかけてくる。
「おい、鈴木。お前体育の時間盛大に転んだんだって?森坂先生心配してたぞ?もう大丈夫なのか?」
「はい、大丈夫です!そのあとすぐ保健室に行ったんで。」
「あぁ、やっぱり保健室に行ったのも鈴木か。花園先生が風間のこと聞いてきたから、風間が保健室に行ったのかと思ってたよ。お前、ちゃんと花園先生に名乗ったのか?」
「あの先生、何してんだよ・・・」
「ん?なんか言ったか?」
「いえ、一応名乗ったんですけどね~。ちゃんと覚えてもらってなかったんですね~。」
と、重清は笑って田中との会話を終えて部室へと向かう。
「いや、なんでおれが花園先生のフォローしなくちゃいけないんだよ!」
「知らないよ。自分が勝手にフォローしてたんじゃないか。」
部室への行く途中にそう自分につっこむ重清に、聡太が冷たく言い放つ。
「じゃぁ、『森園先生はソウのことが好きみたいですよ~』とか言えばよかったのか??」
「シゲ、ナイスフォローだったよ。」
聡太はすかさず重清にそう返す。
そんなこんなで2人が忍者部の部室に到着すると、既にほかの全員がそろっていた。
「お、これで全員そろったね。申し訳ないんだが、今日は修行はいったん中止させてくれ。急な依頼が入ってしまった。これからショウたち4人には、そちらの対応をしてもらうことになった。早速だがショウ、3人を頼むよ。今回の依頼は、きみたちだけで充分対応可能なはずだから。」
「わかりました。では、行ってきます!」
そう言って、ショウを含めた先輩たちは、部室をあとにするのであった。
重清が気付いたこと。それは。
(おれって、古賀先生の契約に縛られていないんだから、少しくらい体育の授業で体の力使ってもいいんじゃねーのか!?)
という、事実である。
実際、古賀との契約では契約書のなかに、
『忍者以外の者に他言することを禁ずる。』という文言があった。
しかし血の契約により古賀との契約を破棄した重清は、もはやそれに縛られる必要はないのである。
それに気付いた重清はその日にある体育の授業で、それを試そうと思っているのであった。
(重清ー。ほんとに大丈夫なんだろうなぁ??)
昨夜、この作戦を聞かされたプレッソが、心配そうに重清の心にそう語りかけてくる。
(大丈夫だって!心配すんなよ、プレッソ!)
(お前のそういう能天気さが、逆にこえーんだよ!)
心の中でプレッソに、突っ込まれながら、重清は学校へと到着する。
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そんな重清の様子を見た聡太が、重清に話しかける。
「プレッソ?なんだって?」
「いや、なんでもないよ。」
自身の作戦を話せば、絶対に止められると思った重清は、聡太にそう言って誤魔化すのであった。
重清と聡太が教室に着くと、クラスメイトが話しかけてくる。
「よ!忍者、風間くん、おはよう!」
「おはよう」
聡太が苦笑いしながらそう返す横で重清は、
「ちょ、いつまでおれのあだ名『忍者』なのさー。」
「お前があんな自己紹介したのがわりーんだってー」
そう言って笑いながら、クラスメイトは自分の席へと戻って行った。
「シゲ、いい加減あのあだ名、どうにかしたほうがいいんじゃない?」
「いや、おれもどうにかしたいけどさ。あだ名って自分じゃどうにもできないじゃん?」
心配する聡太に対し、重清は笑ってそう返すのであった。
そして待ちに待った体育の時間。
その日は50メートル走の測定であった。
(よし、あの時みたいに、足に体の力を集中させればいけるはずだ。一応、弱めにはしとかないとな。)
そう考えながら順番が来るのを待っていた重清であったが、ついにその時が来る。
「位置について・・・」
いかつい体育教師、森坂の号令が聞こえてくる。
(よーし、いくぞー!)
重清が足に少しだけ体の力を集中させる。
そのことに気付いた聡太が、
「ちょっ、シゲ!!」
そう声をかけるも、重清は気にせず森坂の号令に耳を傾けていた。
「よーい、どん!」
その声が聞こえると同時に、白い老猫が重清の足元を走り抜けていく。
それに驚いた重清は、まともに走り出すことができず、しかも足を体の力で若干ながらも強化していたために、その場で思いっきり転ぶことになる。
「いってぇ!!」
重清が声をあげたときには、既に先程の老猫の姿はなく、ただただ重清が転んだだけにしか周りには見えていなかった。
その様子を、空では1羽の鳥がみているのであった。
(あれって、古賀先生のハチじゃない?)
聡太は一瞬そんなことを考えるが、それよりもと重清の方に駆け寄る。
「シゲ、大丈夫!?」
「忍者、大丈夫か??」
聡太だけでなく、クラスメイトや森坂も駆け寄ってくる。
「あいたたた。すみません、大丈夫です。」
「いや、思いっきり足から血出してるじゃないか!風間、すまないが鈴木を保健室まで連れて行ってくれないか?」
森坂の言葉に、聡太は「はい。」と頷いて重清に肩を貸して保健室へと歩き出のであった。
「白い猫?そんなのいたかなぁ?でも、シゲの体の力以外にもなにか感じたから、何かいたのかもね?あ、それで思い出した!シゲ、多分さっきの、古賀先生にバレてるよ。空にハチっぽい鳥いたし。」
「はぁ!?マジかよ!?でもおれ、先生と契約してないから、辞めさせられるってことはないんじゃないか?」
「いや、まぁそうだけど。何かしらのお咎めはあるかもよ?」
「マジかよー。やばいかなぁ?」
「知らないよ!ちゃんと自分のやったことには責任とりなよ?」
「わかりましたよー。いててて。そんな事より、保健室まだ?」
「うわ、そんな事っていっちゃったよ。もーすぐ着くから我慢しなさい!」
そんな会話をしながらも、2人は保健室へと到着する。
「失礼しまーす。」
「はいはーい。あらあら、怪我しちゃったのね~。そこに座って~。あ、きみはもういいから、戻っていいわよ~。」
そう言って2人を出迎えたのは、この保健室の主、花園であった。
花園は、今年着任したばかりの23歳。年齢が比較的近く、また見た目の可愛さから、男子から絶大な人気を得ているのであった。
「すみません、体育で転んじゃって。ソウ、ここまでありがとうなぁー」
「うん。体育の授業少しサボれたし、気にしないで。じゃシゲ、ちゃんと治療してもらうんだよー。」
「あらあら、そんなこと、先生の前で言わないで欲しいなぁ~」
聡太の言葉に可愛く反論する花園の言葉に、
「すみません。」
と、顔を赤らめながら言って、聡太は保健室をあとにする。
「あらあら、顔赤くしちゃってかわいい。ソウくん?、彼女とかいるのかしら??」
「あいつは、風間聡太。おれは鈴木重清です。ってそれより先生、今の問題発言じゃないですか!?」
若干のジェラシーを感じながら、重清が花園につっこむ。
「あら、今のは忘れてちょうだい。それよりも、傷を見せて~?」
そう言って誤魔化す花園は、重清の傷を見て治療していく。
「はい、これで大丈夫!シゲくん?もう、転んじゃったりしないようにね~。あ、ソウくんにもよろしく伝えといてね~」
「いや、そう呼んでもらっていいっすけど・・・今度は心が痛いです!心の治療も要求します!」
「あら、そっちは専門外なのよ~。」
「職務怠慢だ!」
「はいはい、治療は済んだんだから、さっさと授業に戻りなさ~い。」
そう言われて重清は、モヤっとした気持ちのまま、保健室をあとにする。
保健室をあとにした重清がグラウンドへ向かっていると、授業が終わったクラスメイトたちが教室へと戻っているのに遭遇する。
「あ、シゲお帰り。もうそのまま教室に戻っていいって先生が言ってたよ。」
「お、忍者、大丈夫か?」
「へいへい、大丈夫でござるよ~」
そう言いながら重清は、聡太に妬ましさのこもった視線を送る。
「な、なにさ?」
「花園先生が、お前によろしく、だってさ。お前のことかわいいとか言ってたぞ?」
「は、な!?ちょ、からかわないでよ!!」
「おいっ、みんな!ソウのやつ、花園先生からかわいいとか言われたんだぞ!」
「「「「はぁ!?」」」」
重清の言葉に、その場にいた男子が一斉に聡太に妬ましさの視線を送る。
それを見た重清は、勝ち誇った顔で聡太を見るのであった。
「シゲ、変なこと言わないでよっ!そして、その顔凄くムカつくよ!!」
そんな聡太の言葉にみんなで笑いながら、男子は楽しそうに教室に戻るのであった。
そして放課後。
授業が終わり、部室へと向かおうとしていた重清と聡太に、担任の田中が声をかけてくる。
「おい、鈴木。お前体育の時間盛大に転んだんだって?森坂先生心配してたぞ?もう大丈夫なのか?」
「はい、大丈夫です!そのあとすぐ保健室に行ったんで。」
「あぁ、やっぱり保健室に行ったのも鈴木か。花園先生が風間のこと聞いてきたから、風間が保健室に行ったのかと思ってたよ。お前、ちゃんと花園先生に名乗ったのか?」
「あの先生、何してんだよ・・・」
「ん?なんか言ったか?」
「いえ、一応名乗ったんですけどね~。ちゃんと覚えてもらってなかったんですね~。」
と、重清は笑って田中との会話を終えて部室へと向かう。
「いや、なんでおれが花園先生のフォローしなくちゃいけないんだよ!」
「知らないよ。自分が勝手にフォローしてたんじゃないか。」
部室への行く途中にそう自分につっこむ重清に、聡太が冷たく言い放つ。
「じゃぁ、『森園先生はソウのことが好きみたいですよ~』とか言えばよかったのか??」
「シゲ、ナイスフォローだったよ。」
聡太はすかさず重清にそう返す。
そんなこんなで2人が忍者部の部室に到着すると、既にほかの全員がそろっていた。
「お、これで全員そろったね。申し訳ないんだが、今日は修行はいったん中止させてくれ。急な依頼が入ってしまった。これからショウたち4人には、そちらの対応をしてもらうことになった。早速だがショウ、3人を頼むよ。今回の依頼は、きみたちだけで充分対応可能なはずだから。」
「わかりました。では、行ってきます!」
そう言って、ショウを含めた先輩たちは、部室をあとにするのであった。
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