おれは忍者の子孫

メバ

文字の大きさ
上 下
12 / 519
忍者部

第11話:忍者は制服で

しおりを挟む
「とりあえず、この3つが試験の内容。この3つを、2週間後の部活の時間までに、全てクリアしてもらうよ?質問あるかな?」

その古賀の言葉に、古賀の説明中「あれっ?」と言っていたソウが声を出す。
「忍力の試験は、無いんですか?」
それに対し、古賀が答える。

「忍力の試験は、昨日武具や具現獣の具現化ができた時点で、半分終わったようなもんなんだよ。」
「もしかして、残りの半分ってのが、昨日先生が言っていた契約のもう1つの要素って言うのと関係あるんですか?」
今度はアカが尋ねる。

「いや、それはまた別。昨日、忍術は心・技・体と忍力で構成されるってことは話したよね?忍力は、ほかの3つの力をまとめる力を持っているんだ。でも、それだけじゃない。忍力は、他の3つの力を高めることができるんだ。」
古賀の説明に、4人は食い入るように聞いている。

「心・技・体の3つの力は、忍力を上乗せすることで通常よりも強い力を出すことができるんだ。今回の試験では、忍力も使って構わない。逆に、各試験では対応する力と忍力以外は使用できないようになっている。だから、試験では心・技・体それぞれの力と、忍力のみを使って試験を通過してもらうことになるからそのつもりで。」
古賀の説明に納得するソウの横で、今度はツネが手を上げる。

「忍力を使っていいということですが、それは武具の使用も可能、ということでしょうか。例えば技の試験、おれが具現化した手裏剣を使っても問題ないってことでいいんですか?」
それに対し、古賀は首を横に振る。
「残念だが、具現化した武具での攻撃は認められない。それは、アカの手甲にも言えることだから、そのつもりで。もちろん、シゲのプレッソも今回の試験では見学してもらう。」
古賀がアカに目を向けると、アカは残念そうに「りょーかいでーす。」と返し、シゲもまた頷く。
プレッソだけは、不機嫌そうに「なぁ」と鳴いていた。

「それともう1つ質問が。」
さらに、ツネが手を挙げる。
「試験って、制服のままやるんですか?」
「うん、そうだよ。もしかして、忍者っぽい格好とか期待してる?」
古賀のその言葉に、シゲが大きく頷いていた。
「基本的に、忍者部での活動は制服でやってもらうよ?ま、
休みの日は私服でも構わないけど。あ、アカは、スカートの下にジャージか何か履いてね。」
「理由を聞いても?」
ツネがさらに聞く。
「目立たないため、かな。もしも忍者として外で活動する時に、忍者っぽい格好なんかしてたら目立つでしょ?だからこそ、基本的に普段着ているもののままで活動してもらうよ。もちろん、服が破れたりしても、部室をを出たら元に戻るから安心してね。」
そう4人に告げた古賀は、そのまま話を続ける。

「とりあえず今日この後は、各試験に取り掛かってもらって構わない。シン、ケン、ノブの3人は、各試験場に向かってくれ。」
そう言われ、3人は瞬時に姿を消す。

3人が瞬時に姿を消したことに目を見張る4人を無視し、古賀が続ける。

「それと、ショウは各試験の担当からは外れてるけど、試験の総括的なことをやってもらう。それにショウは、忍力の扱いに長けてるから、そっちの方面で質問したいときはショウに聞いてみてね。私は、部室の素敵な機能(時間停止)を生かして仕事してるから、何かあったら声かけてね。ってことで、4人とも頑張って!」

((((軽っ!!!))))
古賀の相変わらずの軽さに、4人は心の中で突っ込む。

「あ、シゲ、1つ言い忘れてた。」
古賀が思い出したようにシゲに話しかける。
「さっきから見てたら、プレッソはずっとつまらなさそうにきみの頭の上で寝てるね。具現獣は、どこにいても具現者の中に戻すことが出来るし、目の前に召喚することが出来る。だから、プレッソがどこかに遊びに行きたいのなら、この森の中なら自由に遊ばせてても大丈夫だよ。」
古賀の言葉にシゲが驚く。

「え、そうなんですか!?それなら普段、学校に来る前に外自由に遊ばせて、ここに来るときに呼び出してもいけんじゃん!」
「いや、それはやめておいた方がいい。」
シゲの『ナイスアイディア!』な顔に若干いらっとしつつ、古賀がシゲの考えを否定する。
「こっち側であればそれでいいけど、向こうではそれは危険だ。場合によっては、プレッソが召喚される瞬間が誰かに見られる可能性がある。」
「あ、そうか。」
落胆するシゲに、古賀が続ける。
「この辺の話は、また後でしよう。今日はあと2時間ほどしかこっちにいられないからね。」
そう言われ、忍者部の部室が3時間しか使用できないことをシゲは思い出す。
「わかりました。で、プレッソ、お前これからどうする?」
シゲが頭の上のプレッソに声をかけると、プレッソは嬉しそうにシゲの頭から飛び降り、「なぁ♪」と目を輝かせて森へと走り去っていく。
「あいつ、ほんとに暇だったんだな。」
シゲが呟く後ろでは、ショウが笑顔で「可愛いなぁ」と、走り去るプレッソを眺めていた。

「さて、このあとどうする?それぞれ行きたいところに行くか?」
古賀が部室へと戻るのを見届けたあと、ツネの提案する。
ソウそれに賛成せず、別の提案をする。
「もしよかったら、今日だけは4人で全部の試験をやってみない?僕一人だと、不安なんだ・・・」
不安そうなソウにシゲは、
「お、それいいな!みんなの実力も見てみたいし。ツネ、アカ、どう?」

ソウの提案に、特段異議のない2人は、それぞれ頷く。
「じゃぁまずは、心の試験からだな!」
シゲが元気よくそう言って歩き出し、3人も着いていく。

(まるで修学旅行だな)
と、そんな4人をみてショウは苦笑いをしていた。

そして間もなく、4人とショウはシンのいる心の試験場へと到着する。
欠伸をしていたシンが、4人を迎える。
「あぁ、4人で来たんだ。小屋には1人ずつしか入れないけど、いいのかな?」
「はい、それで大丈夫です。シンさん、1つ質問なんですが。」
ソウが、シンの言葉に対して質問を投げ掛ける。

「ここでは、心の力を使って幻術を打ち破るってことだと聞いてるんですけど、そもそも心の力をどう出すか、いまいちわからないんですけど、どうすればいいんですか?」
「あぁ、それはね」
と、シンに代わってショウが答える。

「今回の試験はそれぞれ、忍力と、各試験に対応した力しか出せないようになってるって、古賀先生が言ってたでしょ?ここの場合、あの小屋に入ったら、技と体も、手裏剣や軍手を持った段階で、忍力と各試験に必要な力しか出せないようになってるんだ。
そのうえで、きみたちは昨日、忍力によって武具や具現獣を具現化したでしょ?それによって、忍力に関してはどんな力か、体感としてわかっているはずだよ。だから、それ以外に感じ取れるもう1つの力を高めることで、それぞれの試験に対応出来るようになるはずなんだ。
この試験は、心・技・体の力を感じ取り、しっかりと使うことを目的としてるからね。」

ショウの説明に、4人が頷く中、シンは不貞腐れたようにショウを見ていた。
「あ」
せっかくの、シンの先輩アピールを邪魔したことに気付いたショウは、思わず声をだし、続ける。
「シン、ごめん。ここはシンの担当だったね。で、でもほら、これは全ての試験に関係することだからさ!ぼく、試験の総括だし!ほ、他にシンから補足はあるかな?」
「全部ショウさんが言っちゃいましたよ!もう、この試験だけは見本見せられないって言うのに・・・」
「だから謝ってるでしょ?ほら、今度ジュース一本おごるから・・・」
「二本!」
「はいはい、わかったよ。」
ショウが苦笑いしてシンの要望を承諾する。
(一本は古賀先生におごらせよう)
そう、思いながら。

ショウの言葉に、少し機嫌をなおしたシンは、4人に目を向ける。
「さてと。で、誰から入る?」
そう聞かれ、4人は視線を交わす。そして、
「じゃ、とりあえずおれ行ってみる!」
そう言ったのは、シゲだった。
「シゲ、お前大丈夫か?既に技の試験でおもいっきり恥かいてんだぞ?」
ツネがつっこむ。
「ぐっ。だ、だからこそだよ!もう、あれ経験したら、怖いもんなんかないんだいっ!」
と、若干目を潤ませてシゲが叫ぶ。

「じゃぁ、シゲからだね。さっきショウさんから話があったとおり、小屋に入ったらまずは、心の力を感じ取ることに集中するんだ。そして、感じ取った心の力を高めるよう念じるんだ。」
シンの(やっとできた)先輩らしいアドバイスに、シゲは頷いで、小屋の中へと入っていく。
そして数分後。

「ぎぃゃぁーーーーーーーーー!」

シゲの悲痛な叫びが、周りにこだまするのであった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...