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忍者部
第1話:社会科研究部?
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「鈴木 重清です。おれは、忍者の子孫です!」
入学式後の教室の中が、ものすごーく微妙な空気に包まれた。
(しまった、完全にスベった。小学生の時はこれでそれなりに盛り上がってたのに。。。
やっぱ、中学校は、小学校とは一味違うな。
こうなったら・・・)
「よろしくでござる、ニンニン♪」
重清がそう言うと、教室の中から僅かながら笑い声があがった。
(な、なんとか乗りきった)
ここ、忍が丘第2中学校は、忍が丘第2小学校の児童のおよそ半数と、忍が丘第3小学校の児童全員が入学する校区になっている。
そのため、重清たち第2小学校出身者は、どうしても少数派になり、味方が極端に少なくなるのである。
春休み中に考えた重清の決死の作戦はなんとか功を奏したようで、自己紹介後には何人かの第3小出身者から、
「よろしくな、ニンニン♪」
と声をかけられた。
「そのキャラで通すのキツいから、普通にしゃべらせてよ~」
重清はそうお道化て返すことで、それなりにクラスに溶け込むことに成功したのであった。
「さすがシゲ、もう友達作ったんだね」
そう、幼馴染みの風間 聡太が話しかけてきた。
聡太は、小学校の頃から重清と仲が良く、家も隣である親友なのである。
「そういえば、ソウは部活決めた??」
「まだなんだよね。シゲは?」
「おれもまだ。このあと見学に行こうかと思ってるんだけど、一緒に行こうよ!」
「えー、シゲが見るのって運動部でしょ?ぼく運動は苦手だからさぁ」
「わかってるって!だから、ソウが見たいところも一緒に行こうよ!」
「それなら、一緒に行ってあげよう」
「さんきゅ。最初は、野球部行ってもいい?」
「しょーがないなぁー」
そういうわけで、2人はまず野球部の見学へと向かって歩き出した。
野球部が練習しているグラウンドに着くと、野球部はバッティング練習をしており、数名の新入生らしき生徒が、バックネットから見学をしていた。2人はそこには加わらず、少し離れた場合から見学をした。
「シゲ、他の人みたいにあそこで見学しないでいいの?」
「いいのいいの、あそこ行くと、勧誘逃げられなさそうじゃん?」
「確かに。意外と考えてるねー」
「意外とは余計だっての」
いくつかの部活から勧誘されつつ、2人で談笑しながらしばらく見学していると、重清は近くに野球ボールが落ちているのに気がついた。
「野球部に入ったら、こんな所にボール落ちてるのとかも怒られそうだなー」
と、それを拾いながら聡太に話しかけると、聡太はそれには反応せずに呟いた。
「あ、ボールこっちにくるかも」
その言葉に反応して重清がバッターの方を見ると、まさにバッターがボールを打ち返しているところだった。
そしてそのボールは、聡太の言った通り2人の方に真っすぐに飛んできた。
重清は咄嗟に、持っていたボールを向かってくるボールに投げつけた。
重清が投げたボールは向かってくるボールに当たり、一方は上に、もう一方は下に、それぞれ方向をかえて地面へと落ちていった。
「あ、今の見られたら野球部から勧誘されそうだな。ソウ、他のとこ見に行こう!」
逃げるようにグラウンドを離れた2人は、聡太が見たい吹奏楽部の見学のため、校舎へと向かった。
「いやー、さっきのは危なかったね。でも、シゲのおかげで助かったよ」
「それ言うなら、ソウのおかげだろ!相変わらず、勘が鋭いな~」
「いや、あれはただ、しばらく見てたバッターの癖からして、あの位置に投げられたボールはこっちに飛んでくる可能性が高いのがわかっただけだよ」
「いやいや、勘よりもそっちの方がすげーだろ!おれがピッチャーでソウがキャッチャーなら、結構いい線いけるかもしんないぞ?」
「運動部はやだーー」
「ですよねぇー」
そんな会話をしながら校舎に向かう途中、2人は突然後ろから声をかけられた。
「君たち、ちょっといいかな??」
今まで後ろに人の気配を感じていなかった重清は不思議に思いながら、
「はい、なんですか?」
そう言っていぶかしげな眼を、その相手へと向けた。
「突然ごめんね。社会科研究部顧問の古賀です。あ、担当はもちろん社会。鈴木くんと風間くんだよね?君たち、部活は決めたの??」
古賀と名乗る教師は、重清と聡太を交互に見た。
突然の質問に戸惑っていたのか、不安そうな聡太は答えず、重清が古賀へと答えた。
「いえ、まだ決めてません。これから、吹奏楽部見学に行こうかと思っているところです」
「それはよかった。君たち、社会科研究部に入らない?」
「社会科研究部?」
「そ。これから説明会やるから、来なよ」
重清は、まだ不安そうな聡太に問いかけるように、顔を向けた。
聡太が不安そうな、怯えたような目で首を横に振るのを確認した重清は、
「いやー、せっかくですけど遠慮させてもらいます」
と古賀の提案を丁重にお断りした。
「残念だなー。来てくれたら、風間くんが今感じてる感覚の正体、教えてあげられるのに」
そう言って、古賀は聡太へと笑いかけた。
何のことかわからない重清が聡太に目をむけると、聡太は何かを決意したように、
「シゲ、行ってもいいかな?」
そう言って重清の顔を覗き込んだ。
「もちろん!古賀先生、断っておいてなんですけど、やっぱり行かせてください!どこに行けばいいですか?」
「私もこれから向かうから、着いてきて」
その言葉と同時に歩き出す古賀の後ろを歩きながら聡太は、
「シゲ、ありがとね」
と、重清に小声で話しかけた。
「いいって。どっちにしろ、次に見学に行く部活を選ぶ権利はソウにあったんだし」
「それでも、ありがと」
小さく笑ってそう返す聡太の顔にまだ不安が残っているのを、重清はただ笑顔で見つめることしかできなかった。
そのまま2人は古賀に連れられて、図書館の中にある小部屋へと足を踏み入れた。
そこにはいくつかの机と椅子が置いてあり、部屋の壁には掛け軸がかかっていた。
重清たちが部屋に入ると、既に数人が古賀の到着を待っているようであった。
そんな古賀が前に立ち、そこに集まった生徒たちを見渡した。
「さて、時間になったし、社会科研究部の説明を始めます。この社会科研究部では、その名のとおり社会科を研究します。ただし、ここでの研究は、基本的に試験に出るような内容は扱いません。
もしもそういうことを期待しているなら、入ることはオススメしません。
ここまでの説明で、入部の意志がない人は退席してもらって大丈夫ですよ」
古賀はそう言うと、部屋にいる生徒たちに笑みを向けていた。
重清が聡太を見ると、聡太は回りをキョロキョロと見回していた。
「ソウ、どうした?」
「ううん、なんでもない。シゲ、このまま残ってもいい?」
「ああ、いいよ」
そう言いながら重清も回りを見てみると、ほとんどの生徒は退席し始めており、残ったのは重清と聡太を除くと2人だけになっていた。
その2人のうち1人の女の子は、聡太同様回りをキョロキョロと見回していた。
部屋に残ったのが古賀を含めて5人だけになると、古賀はまた話し始めた。
「残ったのは4人か。珍しく、私がスカウトしなかった子が残ってるね。君は、どうしてうちに入りたいのかな?」
古賀は、そう残ったもう1人の男の子に話しかけた。
「父から、必ず社会科学部に入るようにと言われたので」
そう、男の子は答えた。
「なるほどね」
そう言って頷いた古賀は、笑顔でそのまま言葉をつづけた。
「さて、申し訳ないが、ここに残った4人には社会科学部研究部に入ってもらいます」
「ちょっと待ってください!」
そう言ったのは、聡太であった。
「古賀先生は、あの感覚の正体を教えてくれるって言いましたよね?それなのに、入部しろってどういうことですか!?」
「確かに、そう言ったね。嘘じゃないよ。でも、それを話すことはつまり、入部してもらうことになるんだよね」
「ちょ、それおかしくないですか!?」
重清はそう声をあげて、立ち上がった。
「話してしまうと、まずいようなことなんですか?」
「鈴木くん、いいとこついてるね。実はそのとおりなんだ」
古賀、そう言うと部屋の空気が変わった。
「さて、これで君たちはこの部屋から出られない」
その古賀先生の言葉を確かめるように、重清は部屋の扉を開けようとした。
が、どうやっても扉は開かなかった。
「鍵もないのに、なんでだよ!」
「だから、言ったでしょ。もう君たちは、社会科研究部に入るしかないんだよ」
重清は諦めて席へと戻った。
「じゃぁ、話を戻します。実はこの社会科研究部、忍者部なんです」
入学式後の教室の中が、ものすごーく微妙な空気に包まれた。
(しまった、完全にスベった。小学生の時はこれでそれなりに盛り上がってたのに。。。
やっぱ、中学校は、小学校とは一味違うな。
こうなったら・・・)
「よろしくでござる、ニンニン♪」
重清がそう言うと、教室の中から僅かながら笑い声があがった。
(な、なんとか乗りきった)
ここ、忍が丘第2中学校は、忍が丘第2小学校の児童のおよそ半数と、忍が丘第3小学校の児童全員が入学する校区になっている。
そのため、重清たち第2小学校出身者は、どうしても少数派になり、味方が極端に少なくなるのである。
春休み中に考えた重清の決死の作戦はなんとか功を奏したようで、自己紹介後には何人かの第3小出身者から、
「よろしくな、ニンニン♪」
と声をかけられた。
「そのキャラで通すのキツいから、普通にしゃべらせてよ~」
重清はそうお道化て返すことで、それなりにクラスに溶け込むことに成功したのであった。
「さすがシゲ、もう友達作ったんだね」
そう、幼馴染みの風間 聡太が話しかけてきた。
聡太は、小学校の頃から重清と仲が良く、家も隣である親友なのである。
「そういえば、ソウは部活決めた??」
「まだなんだよね。シゲは?」
「おれもまだ。このあと見学に行こうかと思ってるんだけど、一緒に行こうよ!」
「えー、シゲが見るのって運動部でしょ?ぼく運動は苦手だからさぁ」
「わかってるって!だから、ソウが見たいところも一緒に行こうよ!」
「それなら、一緒に行ってあげよう」
「さんきゅ。最初は、野球部行ってもいい?」
「しょーがないなぁー」
そういうわけで、2人はまず野球部の見学へと向かって歩き出した。
野球部が練習しているグラウンドに着くと、野球部はバッティング練習をしており、数名の新入生らしき生徒が、バックネットから見学をしていた。2人はそこには加わらず、少し離れた場合から見学をした。
「シゲ、他の人みたいにあそこで見学しないでいいの?」
「いいのいいの、あそこ行くと、勧誘逃げられなさそうじゃん?」
「確かに。意外と考えてるねー」
「意外とは余計だっての」
いくつかの部活から勧誘されつつ、2人で談笑しながらしばらく見学していると、重清は近くに野球ボールが落ちているのに気がついた。
「野球部に入ったら、こんな所にボール落ちてるのとかも怒られそうだなー」
と、それを拾いながら聡太に話しかけると、聡太はそれには反応せずに呟いた。
「あ、ボールこっちにくるかも」
その言葉に反応して重清がバッターの方を見ると、まさにバッターがボールを打ち返しているところだった。
そしてそのボールは、聡太の言った通り2人の方に真っすぐに飛んできた。
重清は咄嗟に、持っていたボールを向かってくるボールに投げつけた。
重清が投げたボールは向かってくるボールに当たり、一方は上に、もう一方は下に、それぞれ方向をかえて地面へと落ちていった。
「あ、今の見られたら野球部から勧誘されそうだな。ソウ、他のとこ見に行こう!」
逃げるようにグラウンドを離れた2人は、聡太が見たい吹奏楽部の見学のため、校舎へと向かった。
「いやー、さっきのは危なかったね。でも、シゲのおかげで助かったよ」
「それ言うなら、ソウのおかげだろ!相変わらず、勘が鋭いな~」
「いや、あれはただ、しばらく見てたバッターの癖からして、あの位置に投げられたボールはこっちに飛んでくる可能性が高いのがわかっただけだよ」
「いやいや、勘よりもそっちの方がすげーだろ!おれがピッチャーでソウがキャッチャーなら、結構いい線いけるかもしんないぞ?」
「運動部はやだーー」
「ですよねぇー」
そんな会話をしながら校舎に向かう途中、2人は突然後ろから声をかけられた。
「君たち、ちょっといいかな??」
今まで後ろに人の気配を感じていなかった重清は不思議に思いながら、
「はい、なんですか?」
そう言っていぶかしげな眼を、その相手へと向けた。
「突然ごめんね。社会科研究部顧問の古賀です。あ、担当はもちろん社会。鈴木くんと風間くんだよね?君たち、部活は決めたの??」
古賀と名乗る教師は、重清と聡太を交互に見た。
突然の質問に戸惑っていたのか、不安そうな聡太は答えず、重清が古賀へと答えた。
「いえ、まだ決めてません。これから、吹奏楽部見学に行こうかと思っているところです」
「それはよかった。君たち、社会科研究部に入らない?」
「社会科研究部?」
「そ。これから説明会やるから、来なよ」
重清は、まだ不安そうな聡太に問いかけるように、顔を向けた。
聡太が不安そうな、怯えたような目で首を横に振るのを確認した重清は、
「いやー、せっかくですけど遠慮させてもらいます」
と古賀の提案を丁重にお断りした。
「残念だなー。来てくれたら、風間くんが今感じてる感覚の正体、教えてあげられるのに」
そう言って、古賀は聡太へと笑いかけた。
何のことかわからない重清が聡太に目をむけると、聡太は何かを決意したように、
「シゲ、行ってもいいかな?」
そう言って重清の顔を覗き込んだ。
「もちろん!古賀先生、断っておいてなんですけど、やっぱり行かせてください!どこに行けばいいですか?」
「私もこれから向かうから、着いてきて」
その言葉と同時に歩き出す古賀の後ろを歩きながら聡太は、
「シゲ、ありがとね」
と、重清に小声で話しかけた。
「いいって。どっちにしろ、次に見学に行く部活を選ぶ権利はソウにあったんだし」
「それでも、ありがと」
小さく笑ってそう返す聡太の顔にまだ不安が残っているのを、重清はただ笑顔で見つめることしかできなかった。
そのまま2人は古賀に連れられて、図書館の中にある小部屋へと足を踏み入れた。
そこにはいくつかの机と椅子が置いてあり、部屋の壁には掛け軸がかかっていた。
重清たちが部屋に入ると、既に数人が古賀の到着を待っているようであった。
そんな古賀が前に立ち、そこに集まった生徒たちを見渡した。
「さて、時間になったし、社会科研究部の説明を始めます。この社会科研究部では、その名のとおり社会科を研究します。ただし、ここでの研究は、基本的に試験に出るような内容は扱いません。
もしもそういうことを期待しているなら、入ることはオススメしません。
ここまでの説明で、入部の意志がない人は退席してもらって大丈夫ですよ」
古賀はそう言うと、部屋にいる生徒たちに笑みを向けていた。
重清が聡太を見ると、聡太は回りをキョロキョロと見回していた。
「ソウ、どうした?」
「ううん、なんでもない。シゲ、このまま残ってもいい?」
「ああ、いいよ」
そう言いながら重清も回りを見てみると、ほとんどの生徒は退席し始めており、残ったのは重清と聡太を除くと2人だけになっていた。
その2人のうち1人の女の子は、聡太同様回りをキョロキョロと見回していた。
部屋に残ったのが古賀を含めて5人だけになると、古賀はまた話し始めた。
「残ったのは4人か。珍しく、私がスカウトしなかった子が残ってるね。君は、どうしてうちに入りたいのかな?」
古賀は、そう残ったもう1人の男の子に話しかけた。
「父から、必ず社会科学部に入るようにと言われたので」
そう、男の子は答えた。
「なるほどね」
そう言って頷いた古賀は、笑顔でそのまま言葉をつづけた。
「さて、申し訳ないが、ここに残った4人には社会科学部研究部に入ってもらいます」
「ちょっと待ってください!」
そう言ったのは、聡太であった。
「古賀先生は、あの感覚の正体を教えてくれるって言いましたよね?それなのに、入部しろってどういうことですか!?」
「確かに、そう言ったね。嘘じゃないよ。でも、それを話すことはつまり、入部してもらうことになるんだよね」
「ちょ、それおかしくないですか!?」
重清はそう声をあげて、立ち上がった。
「話してしまうと、まずいようなことなんですか?」
「鈴木くん、いいとこついてるね。実はそのとおりなんだ」
古賀、そう言うと部屋の空気が変わった。
「さて、これで君たちはこの部屋から出られない」
その古賀先生の言葉を確かめるように、重清は部屋の扉を開けようとした。
が、どうやっても扉は開かなかった。
「鍵もないのに、なんでだよ!」
「だから、言ったでしょ。もう君たちは、社会科研究部に入るしかないんだよ」
重清は諦めて席へと戻った。
「じゃぁ、話を戻します。実はこの社会科研究部、忍者部なんです」
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