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守銭奴、勇者に巻き込まれる
第31話:特別依頼
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「ジョセフ様、キンジ様、ミーシア様、ようこそ冒険者ギルドへ」
いつものように出迎えてくれるポロア嬢。
あぁ。マジで癒やされる。
普段からバカ2人の相手をしているからな。
ポロア嬢は俺の唯一の癒やしだよ。
いや、あの店は別だぞ?
あっちはストレスとその他諸々の発散のためであって、癒やしにはならない。
いや、そりゃ癒やされてはいるんだけどよ。
どうにもまだお金ちゃんを使うことに慣れないんだよな。
お金ちゃんを犠牲にしているという後ろめたさがどうしても頭から離れない。
っとそんなことより。
「なんか今日、いつもよりも人が多くないか?」
俺は周りを見回しながら癒やしの権化へと声をかけた。
「はい。実はここから少し離れた村が何者かに襲われたとの情報が入りまして。
王様より特別依頼が入ったんです。
皆さん、その依頼を受けるためにこちらに集まっていらっしゃいます」
「ほぅ、特別依頼とな」
俺はすかさずポロア嬢の言葉に食いついた。
だって、特別依頼だぞ?
そりゃぁ報酬もたっぷり支払われるはずじゃないか。
「村を襲ったのが何者かが現時点では不明なので、その調査と、村を襲った犯人の捕縛もしくは討伐が依頼内容となります。
報酬は銀貨100枚です」
日本円でおよそ10万。
悪くない報酬ではあるが・・・
特別依頼と言う割にはしょぼい気がする。
「ちなみにパーティで依頼を達成した場合、1人銀貨100枚に?」
「いいえ、パーティに銀貨100枚となります。もしも複数のパーティで依頼を達成した場合、報酬は山分けです」
いやしょぼいだろ!?
あの豚なに考えてるんだよ!?
しかし、これで決まった。
この依頼は無しだな。
よく考えたら銀貨100枚なんて、ボア10頭分にしかならねぇじゃねぇか。
行くだけ損だな。
ん?だったらなんで他の奴らはこんな依頼を受けようとしているんだ?
不思議そうに周りの冒険者を見ていた俺の心を読んだかのように、ポロア嬢は説明を続けた。
「特別依頼は、達成することで王家や貴族からの信頼を勝ち取ることができます。
皆さん、この依頼を達成して安定した職に就きたいのですよ」
なるほどな。貴族様から信頼されれば、そいつから雇われることになるからこの程度の報酬でも食いつくってわけか。
ってことはあの豚、そこまで見越して特別依頼にしたんじゃねぇだろうな。
どこまで腐ってんだよ。
まぁ、俺には関係ない。
貴族となんて繋がり作るのも面倒くせぇしな。
こんな依頼、受けても得にもなりゃしねぇ。
「ちなみに、勇者ジョセフ様とそのパーティは強制参加となります」
ん?
今ポロア嬢、なにか言わなかったか?
は?強制参加?
「はぁ~~~!?」
俺はひと呼吸置いて叫んでいた。
「王様からのお達しですので」
苦笑いを浮かべてそう言うポロア嬢。
苦笑いも美しい。
じゃなくて!!!
なんでそんな面倒くさい依頼を強制的に受けなくちゃならねぇんだよっ!
そもそも村とやらを襲ったのが何者かも分かってねぇなんて、危ねぇじゃねぇか!!
ん?待てよ。勇者パーティは、とポロア嬢は言っていたな。
「だったら俺は、ジョセフとのパーティを解散する」
そうだよ。パーティさえ解散すれば俺が行く理由なんてないんだよ。
ジョセフだけ行かせて、俺は残って別の依頼を受ければいいんだ。
「ですがそうなると、その・・・キンジ様は依頼を受けることが出来なくなりますが・・・」
ポロア嬢はそう言いながら、不機嫌そうにこちらを見ている暗い男へと目を向けた。
そうだった!
俺はこのクソ職業、【勇者の奴隷】のせいで、1人じゃ依頼が受けられないんだ!
「キンジ、この依頼、受けよう」
悶絶している俺に、ジョセフがそう声をかけてきた。
いやお前、さっきまで今日は誕生日だから依頼受けたくないって言ってたよな!?
こんなとこで人助けスイッチ入れてんじゃねぇよっ!!
「キンジ、諦めるんだ。人助けスイッチの入ったジョセフ様は、誰にも止められない」
あ、『人助けスイッチ』被った。
じゃなくて!
なんだよミーシアのその、『ジョセフ様のことを一番理解している私』によった表情!!
「それと皆さん、ジョセフ様をお待ちになっていたのでそろそろイライラがピークに達しようとしていらっしゃいます」
ポロア嬢の最後の言葉と、周りの冒険者から向けられる殺気に、結局俺はクソッタレな特別依頼とやらを受けることになった。
こうなったら、依頼の達成はこいつら有象無象共に任せて、俺は身の安全の確保に注力しよう。
そうだ。そうしよう。
こいつらは依頼達成が目的なんだ。
俺達が活躍しない方が良いはずだ。
これぞウィンウィンな関係だ。
「キンジ、ミーシア!村を襲った不届き者、僕達が必ず退治しよう!」
気合い入れてんじゃねぇよザコ勇者がっ!!
お前いつもなんの役にも立ってねぇじゃねえかよ!!
いつものように出迎えてくれるポロア嬢。
あぁ。マジで癒やされる。
普段からバカ2人の相手をしているからな。
ポロア嬢は俺の唯一の癒やしだよ。
いや、あの店は別だぞ?
あっちはストレスとその他諸々の発散のためであって、癒やしにはならない。
いや、そりゃ癒やされてはいるんだけどよ。
どうにもまだお金ちゃんを使うことに慣れないんだよな。
お金ちゃんを犠牲にしているという後ろめたさがどうしても頭から離れない。
っとそんなことより。
「なんか今日、いつもよりも人が多くないか?」
俺は周りを見回しながら癒やしの権化へと声をかけた。
「はい。実はここから少し離れた村が何者かに襲われたとの情報が入りまして。
王様より特別依頼が入ったんです。
皆さん、その依頼を受けるためにこちらに集まっていらっしゃいます」
「ほぅ、特別依頼とな」
俺はすかさずポロア嬢の言葉に食いついた。
だって、特別依頼だぞ?
そりゃぁ報酬もたっぷり支払われるはずじゃないか。
「村を襲ったのが何者かが現時点では不明なので、その調査と、村を襲った犯人の捕縛もしくは討伐が依頼内容となります。
報酬は銀貨100枚です」
日本円でおよそ10万。
悪くない報酬ではあるが・・・
特別依頼と言う割にはしょぼい気がする。
「ちなみにパーティで依頼を達成した場合、1人銀貨100枚に?」
「いいえ、パーティに銀貨100枚となります。もしも複数のパーティで依頼を達成した場合、報酬は山分けです」
いやしょぼいだろ!?
あの豚なに考えてるんだよ!?
しかし、これで決まった。
この依頼は無しだな。
よく考えたら銀貨100枚なんて、ボア10頭分にしかならねぇじゃねぇか。
行くだけ損だな。
ん?だったらなんで他の奴らはこんな依頼を受けようとしているんだ?
不思議そうに周りの冒険者を見ていた俺の心を読んだかのように、ポロア嬢は説明を続けた。
「特別依頼は、達成することで王家や貴族からの信頼を勝ち取ることができます。
皆さん、この依頼を達成して安定した職に就きたいのですよ」
なるほどな。貴族様から信頼されれば、そいつから雇われることになるからこの程度の報酬でも食いつくってわけか。
ってことはあの豚、そこまで見越して特別依頼にしたんじゃねぇだろうな。
どこまで腐ってんだよ。
まぁ、俺には関係ない。
貴族となんて繋がり作るのも面倒くせぇしな。
こんな依頼、受けても得にもなりゃしねぇ。
「ちなみに、勇者ジョセフ様とそのパーティは強制参加となります」
ん?
今ポロア嬢、なにか言わなかったか?
は?強制参加?
「はぁ~~~!?」
俺はひと呼吸置いて叫んでいた。
「王様からのお達しですので」
苦笑いを浮かべてそう言うポロア嬢。
苦笑いも美しい。
じゃなくて!!!
なんでそんな面倒くさい依頼を強制的に受けなくちゃならねぇんだよっ!
そもそも村とやらを襲ったのが何者かも分かってねぇなんて、危ねぇじゃねぇか!!
ん?待てよ。勇者パーティは、とポロア嬢は言っていたな。
「だったら俺は、ジョセフとのパーティを解散する」
そうだよ。パーティさえ解散すれば俺が行く理由なんてないんだよ。
ジョセフだけ行かせて、俺は残って別の依頼を受ければいいんだ。
「ですがそうなると、その・・・キンジ様は依頼を受けることが出来なくなりますが・・・」
ポロア嬢はそう言いながら、不機嫌そうにこちらを見ている暗い男へと目を向けた。
そうだった!
俺はこのクソ職業、【勇者の奴隷】のせいで、1人じゃ依頼が受けられないんだ!
「キンジ、この依頼、受けよう」
悶絶している俺に、ジョセフがそう声をかけてきた。
いやお前、さっきまで今日は誕生日だから依頼受けたくないって言ってたよな!?
こんなとこで人助けスイッチ入れてんじゃねぇよっ!!
「キンジ、諦めるんだ。人助けスイッチの入ったジョセフ様は、誰にも止められない」
あ、『人助けスイッチ』被った。
じゃなくて!
なんだよミーシアのその、『ジョセフ様のことを一番理解している私』によった表情!!
「それと皆さん、ジョセフ様をお待ちになっていたのでそろそろイライラがピークに達しようとしていらっしゃいます」
ポロア嬢の最後の言葉と、周りの冒険者から向けられる殺気に、結局俺はクソッタレな特別依頼とやらを受けることになった。
こうなったら、依頼の達成はこいつら有象無象共に任せて、俺は身の安全の確保に注力しよう。
そうだ。そうしよう。
こいつらは依頼達成が目的なんだ。
俺達が活躍しない方が良いはずだ。
これぞウィンウィンな関係だ。
「キンジ、ミーシア!村を襲った不届き者、僕達が必ず退治しよう!」
気合い入れてんじゃねぇよザコ勇者がっ!!
お前いつもなんの役にも立ってねぇじゃねえかよ!!
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