26 / 39
守銭奴、転生する
第25話:規則は規則
しおりを挟む
「そちらの方は本当に魔族なのですか?」
ポロア嬢のその言葉に、ジョーイがこれまでの経緯を話し始めた。
「な、なるほど。それでジョセフ様の従者に・・・」
話を聞いたポロア嬢は、ひとまず納得したようだ。
「それで、ミーシアをここで冒険者登録したいんだが」
俺はすかさず、ポロア嬢へと声をかけた。
「それは許可できないな、奴隷」
しかし返事をしたのはポロア嬢ではなく、その後ろに影のように立つ暗めの男だった。
お前に言ってねーよ!
俺とポロア嬢の会話に割り込んでんじゃねーぞクソが!
「また出やがったな。また規則がどーとか言うつもりか?」
「・・・そ、そうだ!規則だ!」
ん?なんだ今の間は。
まさか。
「ポロア嬢、悪いけどここの規則、見せてかれねーか?」
「おい、待てっ!」
「・・・わかりました」
「ポロアっ!このような下賤な輩に、見せる必要などない!」
「しかし、冒険者に規則の説明をするのは、ギルド職員の職務のはずです。そう、規則にも書かれているかと思いますが。違いますか?ギルドマスター?」
おぉ、ポロア嬢悪い顔してる。
っていうかこの暗い男、ギルドマスターなのかよ。
ギルマスってのはもっとこう、歴戦の強者とかがなるもんなんじゃねーのか?
こいつ、どう見ても事務職じゃねーか!
「しかしこいつは、冒険者ではないじゃないか!」
「だったら、僕には見る権利があるだろう」
ギルマスの言葉に、ジョーイが進み出た。
「ぐっ・・・」
はっは!ざまぁ、ギルマス!
ジョーイ、たまには役に立つじゃねーか。
「ジョセフ様、こちらが規則です」
ポロア嬢はすかさず、規則の書かれた薄い本をジョーイへと差し出した。
いやー、ポロア嬢、さすがに仕事が早い!
もうこれ、ポロア嬢がギルマスでいいんじゃないでしょうかね?
ジョーイはポロア嬢から規則を受け取ると、パラパラと中を見たあと、それを俺に渡してきた。
「僕には何が書いてあるかさっぱりだ。キンジ、済まないが僕の代わりに読んでくれないか?
僕が自分の奴隷に何をしようとも、悪くはないですよね?」
ジョーイはそう言いながら、ギルマスに笑いかけた。
「・・・・・・・」
ギルマスはそれに何も答えず、押し黙っていた。
おぉ。ジョーイ。
お前、やってくれんじゃねーか!
ま、それでさっきの失態が帳消しになんねーけど。
「かしこまりました、御主人様」
俺は精一杯わざとらしく、恭しい態度でそれを受け取ると、中を読んでみた。
「おい。ここには『魔族が冒険者になれない』だなんて、書いていないぞ?どういうことだ?」
中をあらかた見た俺は、ギルマスを睨みつけた。
「ちっ。しかし、その魔族も勇者様の奴隷なのでしょう?であれば結局、登録など出来ませんよ」
ギルマスは悔し紛れに、ジョーイへと反論してきた。
「あんた、話聞いてたか?確かにこのクソったれ規則には、奴隷は冒険者になれないと書かれていた。だかなぁ、こいつは【奴隷】じゃない。【勇者の従者】だ。従者が冒険者になれないなんてことも、ここには書かれていないみたいだが?」
「そ、そんなもの、信用できると思うか?」
なんかもう、ギルマスの言うことがめちゃくちゃになってかやがったぞ。
「だったら、あの水晶で調べてみればいいだろ?」
「はい、こちらですね」
俺の言葉と同時に、いやむしろ、若干被せ気味に、ポロア嬢は職業を確認するための水晶を、ミーシアへと手渡した。
流石、仕事のできる美女ポロア嬢だ。
「では、失礼する」
ミーシアそう言うとら差し出された水晶へと手をかざしていた。
「はい、確認しました。確かに彼女の職業は、【勇者の従者】で間違いありません。こちらの方の冒険者登録に、問題はありませんよね?」
ポロア嬢はそう言いながら、ギルマスにとびっきりの笑顔を向けた。
ポロア嬢、やっぱ見た目だけじゃなく、性格も素晴らしい。
今夜、デートでもどうですか?
最悪、ワンナイトでも!
「ポロアさん、ありがとう」
ジョーイがポロア嬢に頭を下げると、
「いいえ、気にしないでください。勇者様のお役に立てるのならば、本望ですので・・・」
そう言いながらポロア嬢は、ポッと顔を赤らめた。
赤らめた、だと?
おい待て、どういうことだ。
ふとミーシアに目を向けると、ポロア嬢のジョーイに対する熱い視線に、不機嫌そうな顔を向けていた。
は?え?
あれですか?三角関係ってやつですか?
だったら俺はさしずめ、三角関係を上から眺める、三角錐の頂点ってとこか。
・・・・悲しいわ!悲しすぎるわその立ち位置!
ふざけんなよ!この一連の騒動、ジョーイは何の役にも立ってねーじゃねーかよ!!
ポロア嬢のその言葉に、ジョーイがこれまでの経緯を話し始めた。
「な、なるほど。それでジョセフ様の従者に・・・」
話を聞いたポロア嬢は、ひとまず納得したようだ。
「それで、ミーシアをここで冒険者登録したいんだが」
俺はすかさず、ポロア嬢へと声をかけた。
「それは許可できないな、奴隷」
しかし返事をしたのはポロア嬢ではなく、その後ろに影のように立つ暗めの男だった。
お前に言ってねーよ!
俺とポロア嬢の会話に割り込んでんじゃねーぞクソが!
「また出やがったな。また規則がどーとか言うつもりか?」
「・・・そ、そうだ!規則だ!」
ん?なんだ今の間は。
まさか。
「ポロア嬢、悪いけどここの規則、見せてかれねーか?」
「おい、待てっ!」
「・・・わかりました」
「ポロアっ!このような下賤な輩に、見せる必要などない!」
「しかし、冒険者に規則の説明をするのは、ギルド職員の職務のはずです。そう、規則にも書かれているかと思いますが。違いますか?ギルドマスター?」
おぉ、ポロア嬢悪い顔してる。
っていうかこの暗い男、ギルドマスターなのかよ。
ギルマスってのはもっとこう、歴戦の強者とかがなるもんなんじゃねーのか?
こいつ、どう見ても事務職じゃねーか!
「しかしこいつは、冒険者ではないじゃないか!」
「だったら、僕には見る権利があるだろう」
ギルマスの言葉に、ジョーイが進み出た。
「ぐっ・・・」
はっは!ざまぁ、ギルマス!
ジョーイ、たまには役に立つじゃねーか。
「ジョセフ様、こちらが規則です」
ポロア嬢はすかさず、規則の書かれた薄い本をジョーイへと差し出した。
いやー、ポロア嬢、さすがに仕事が早い!
もうこれ、ポロア嬢がギルマスでいいんじゃないでしょうかね?
ジョーイはポロア嬢から規則を受け取ると、パラパラと中を見たあと、それを俺に渡してきた。
「僕には何が書いてあるかさっぱりだ。キンジ、済まないが僕の代わりに読んでくれないか?
僕が自分の奴隷に何をしようとも、悪くはないですよね?」
ジョーイはそう言いながら、ギルマスに笑いかけた。
「・・・・・・・」
ギルマスはそれに何も答えず、押し黙っていた。
おぉ。ジョーイ。
お前、やってくれんじゃねーか!
ま、それでさっきの失態が帳消しになんねーけど。
「かしこまりました、御主人様」
俺は精一杯わざとらしく、恭しい態度でそれを受け取ると、中を読んでみた。
「おい。ここには『魔族が冒険者になれない』だなんて、書いていないぞ?どういうことだ?」
中をあらかた見た俺は、ギルマスを睨みつけた。
「ちっ。しかし、その魔族も勇者様の奴隷なのでしょう?であれば結局、登録など出来ませんよ」
ギルマスは悔し紛れに、ジョーイへと反論してきた。
「あんた、話聞いてたか?確かにこのクソったれ規則には、奴隷は冒険者になれないと書かれていた。だかなぁ、こいつは【奴隷】じゃない。【勇者の従者】だ。従者が冒険者になれないなんてことも、ここには書かれていないみたいだが?」
「そ、そんなもの、信用できると思うか?」
なんかもう、ギルマスの言うことがめちゃくちゃになってかやがったぞ。
「だったら、あの水晶で調べてみればいいだろ?」
「はい、こちらですね」
俺の言葉と同時に、いやむしろ、若干被せ気味に、ポロア嬢は職業を確認するための水晶を、ミーシアへと手渡した。
流石、仕事のできる美女ポロア嬢だ。
「では、失礼する」
ミーシアそう言うとら差し出された水晶へと手をかざしていた。
「はい、確認しました。確かに彼女の職業は、【勇者の従者】で間違いありません。こちらの方の冒険者登録に、問題はありませんよね?」
ポロア嬢はそう言いながら、ギルマスにとびっきりの笑顔を向けた。
ポロア嬢、やっぱ見た目だけじゃなく、性格も素晴らしい。
今夜、デートでもどうですか?
最悪、ワンナイトでも!
「ポロアさん、ありがとう」
ジョーイがポロア嬢に頭を下げると、
「いいえ、気にしないでください。勇者様のお役に立てるのならば、本望ですので・・・」
そう言いながらポロア嬢は、ポッと顔を赤らめた。
赤らめた、だと?
おい待て、どういうことだ。
ふとミーシアに目を向けると、ポロア嬢のジョーイに対する熱い視線に、不機嫌そうな顔を向けていた。
は?え?
あれですか?三角関係ってやつですか?
だったら俺はさしずめ、三角関係を上から眺める、三角錐の頂点ってとこか。
・・・・悲しいわ!悲しすぎるわその立ち位置!
ふざけんなよ!この一連の騒動、ジョーイは何の役にも立ってねーじゃねーかよ!!
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
【完結】婚約を解消して進路変更を希望いたします
宇水涼麻
ファンタジー
三ヶ月後に卒業を迎える学園の食堂では卒業後の進路についての話題がそここで繰り広げられている。
しかし、一つのテーブルそんなものは関係ないとばかりに四人の生徒が戯れていた。
そこへ美しく気品ある三人の女子生徒が近付いた。
彼女たちの卒業後の進路はどうなるのだろうか?
中世ヨーロッパ風のお話です。
HOTにランクインしました。ありがとうございます!
ファンタジーの週間人気部門で1位になりました。みなさまのおかげです!
ありがとうございます!
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐@書籍発売中
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる