22 / 39
守銭奴、転生する
第21話:勇者の従者
しおりを挟む
「うわぁ~。まさか勇者様、職業で差別された俺は助けてくれても、魔族ってだけでミーシアを拒否るんだ~」
俺のそんな言葉に、ジョーイは俯いていた。
ミーシアはただ、そんなジョーイを悲しそうに見つめていた。
あーあ。
勇者様、こんな綺麗な女を悲しませちゃったよ。
「・・・・確かに、キンジの言うとおりだね」
ジョーイは、そう言って顔を上げた。
「僕が間違っていたよ。種族なんて関係ない。別に彼女が、僕達に何かをしたわけじゃないんだ」
そう呟くように言ったジョーイは、ミーシアを見つめた。
「ミーシアさん、本当に申し訳ない。もしもあなたさえ良ければ、僕等についてきて欲しい」
ジョーイはそう言って、ミーシアに笑いかけた。
「ほ、本当に良いのですか?私は、魔族なのですよ?」
ミーシアは、戸惑いながらジョーイに答えていた。
「もうそんなこと、気にしません。ミーシアさんは、ミーシアさんです!」
ジョーイがそう言うと、ミーシアは突然その場に跪いた。
「勇者ジョセフ様。あなた様に救われたこの命、勇者ジョセフ様に捧げます。どうか私も、あなたの奴隷にしていただきたく―――」
「あーっ!!待って待って!硬い!硬っ苦しい!
奴隷とか、僕嫌だからね!それにジョセフ様なんて呼ばないでください!
ミーシアさんは、僕の2人目の友達なんですからっ!!」
ジョーイは慌ててそう言って、ミーシアの言葉を遮った。
おお、ジョーイ良いこというじゃねーか。
でも、ミーシア。
あんたの命を救ったの、俺じゃね?
どうせなら俺の奴隷に・・・・
あー、やばい。
奴隷にイケナイことするご主人様になっちゃいそうだわ。
俺が、1人モンモンとしながら心の中でミーシアにツッコんでいると。
「「えっ!?」」
ジョーイとミーシアが、同時に声を上げた。
え、なになに?
なんで2人して声揃えちゃってんの?
俺ちょっとジェラシーなんですけど。
「私が、勇者の、従者・・・」
ミーシアが、ぼそりと呟いた。
あれ、それなんか聞いたことあるぞ。
「あわあわあわあわ」
かたやジョーイは、1人あわあわしていた。
っていうか、ホントにあわあわ言うやついるんだな。
「なんだよ2人して。どうしたんだよ?」
俺は、あわあわしているジョーイを無視してミーシアに話しかけた。
「どうやら、私の職業が【勇者の従者】に変更されたようなのです」
そう返すミーシアの目からは、涙が溢れていた。
あ、それさっき、俺が成りそこねた職業じゃん!
うわ、ミーシア可哀想。
奴隷の首輪とか関係なしに、あんな奴の従者認定されちゃったよ。
とりあえず、これでミーシアの中でのジョーイに対する評価はだだ下がりだな。
勇者様ざまぁ。
はい。これでミーシアちゃん頂きました~。
「あーぁ。勇者様、女を泣かせちまったぞ?」
俺は、内心ほくそ笑みながらもそれを表に出さず、ジョーイに言った。
「あぁ・・・僕はなんてことを!ミーシアさん、本当に申し訳―――」
「ありがとうございますっ!!」
「「はい??」」
ジョーイの言葉を遮るように頭を下げたミーシアに、今度は俺とジョーイが声を揃えた。
いや、こんな奴とハモリたくなんてないんですけど。
「え、あの・・・・」
ジョーイが再びあわあわしていると。
「これまで無職だった私に、職業を与えてくださり、本当にありがとうございます!
こんな私ではありますが、これから貴方様に一生ついていきます!」
あれ、ミーシア喜んじゃってるぞ?
「えっと・・・そんな職業なのに、いいのかい?」
ジョーイは恐る恐る、ミーシアの顔を覗き込んだ。
いや、ほんと、いいのかミーシア?
【勇者の従者】なんて、クソ職業オブ・ザ・イヤー獲得できるレベルだぞ?
【明日潰れる会社の社畜】の方がよっぽどマシだぞ?
「良いなんてものではありませんっ!!職業は、変えることが出来ないのがこの世の摂理。私は一生、無職だと諦めていました。なのにジョセフ様のお陰で、私は職業を得ることが出来たのです!
これを喜ばずして、何を喜ぶと言うのでしょう!!」
いやミーシア。
なんかキャラ変わってねぇ?
なんでそんなに芝居がかってんの?
そして、なんでそんな熱い視線をジョーイに送っちゃってんの?
突然のキャラ変と共にテンションが臨界点を超えたミーシアに、しばし呆れる俺とジョーイ、そして完全に影の薄くなったクリアは、ひとまず王都へと帰ることにして、ミーシアを引きずるようにその場を後にした。
帰る道中、懐の心許なくなっていた俺は、ボアを数体見つけて瞬殺したわけだが。
そんなことをいちいち説明する気にもならないくらい、ミーシアのジョーイに対する熱い視線が気になった。
え?
少し前まで、ミーシア俺といい感じじゃなかった?
いや、たぶんこれは、ただの感謝の気持ちを込めているだけだ。
うん、きっとそうだ。
俺のそんな言葉に、ジョーイは俯いていた。
ミーシアはただ、そんなジョーイを悲しそうに見つめていた。
あーあ。
勇者様、こんな綺麗な女を悲しませちゃったよ。
「・・・・確かに、キンジの言うとおりだね」
ジョーイは、そう言って顔を上げた。
「僕が間違っていたよ。種族なんて関係ない。別に彼女が、僕達に何かをしたわけじゃないんだ」
そう呟くように言ったジョーイは、ミーシアを見つめた。
「ミーシアさん、本当に申し訳ない。もしもあなたさえ良ければ、僕等についてきて欲しい」
ジョーイはそう言って、ミーシアに笑いかけた。
「ほ、本当に良いのですか?私は、魔族なのですよ?」
ミーシアは、戸惑いながらジョーイに答えていた。
「もうそんなこと、気にしません。ミーシアさんは、ミーシアさんです!」
ジョーイがそう言うと、ミーシアは突然その場に跪いた。
「勇者ジョセフ様。あなた様に救われたこの命、勇者ジョセフ様に捧げます。どうか私も、あなたの奴隷にしていただきたく―――」
「あーっ!!待って待って!硬い!硬っ苦しい!
奴隷とか、僕嫌だからね!それにジョセフ様なんて呼ばないでください!
ミーシアさんは、僕の2人目の友達なんですからっ!!」
ジョーイは慌ててそう言って、ミーシアの言葉を遮った。
おお、ジョーイ良いこというじゃねーか。
でも、ミーシア。
あんたの命を救ったの、俺じゃね?
どうせなら俺の奴隷に・・・・
あー、やばい。
奴隷にイケナイことするご主人様になっちゃいそうだわ。
俺が、1人モンモンとしながら心の中でミーシアにツッコんでいると。
「「えっ!?」」
ジョーイとミーシアが、同時に声を上げた。
え、なになに?
なんで2人して声揃えちゃってんの?
俺ちょっとジェラシーなんですけど。
「私が、勇者の、従者・・・」
ミーシアが、ぼそりと呟いた。
あれ、それなんか聞いたことあるぞ。
「あわあわあわあわ」
かたやジョーイは、1人あわあわしていた。
っていうか、ホントにあわあわ言うやついるんだな。
「なんだよ2人して。どうしたんだよ?」
俺は、あわあわしているジョーイを無視してミーシアに話しかけた。
「どうやら、私の職業が【勇者の従者】に変更されたようなのです」
そう返すミーシアの目からは、涙が溢れていた。
あ、それさっき、俺が成りそこねた職業じゃん!
うわ、ミーシア可哀想。
奴隷の首輪とか関係なしに、あんな奴の従者認定されちゃったよ。
とりあえず、これでミーシアの中でのジョーイに対する評価はだだ下がりだな。
勇者様ざまぁ。
はい。これでミーシアちゃん頂きました~。
「あーぁ。勇者様、女を泣かせちまったぞ?」
俺は、内心ほくそ笑みながらもそれを表に出さず、ジョーイに言った。
「あぁ・・・僕はなんてことを!ミーシアさん、本当に申し訳―――」
「ありがとうございますっ!!」
「「はい??」」
ジョーイの言葉を遮るように頭を下げたミーシアに、今度は俺とジョーイが声を揃えた。
いや、こんな奴とハモリたくなんてないんですけど。
「え、あの・・・・」
ジョーイが再びあわあわしていると。
「これまで無職だった私に、職業を与えてくださり、本当にありがとうございます!
こんな私ではありますが、これから貴方様に一生ついていきます!」
あれ、ミーシア喜んじゃってるぞ?
「えっと・・・そんな職業なのに、いいのかい?」
ジョーイは恐る恐る、ミーシアの顔を覗き込んだ。
いや、ほんと、いいのかミーシア?
【勇者の従者】なんて、クソ職業オブ・ザ・イヤー獲得できるレベルだぞ?
【明日潰れる会社の社畜】の方がよっぽどマシだぞ?
「良いなんてものではありませんっ!!職業は、変えることが出来ないのがこの世の摂理。私は一生、無職だと諦めていました。なのにジョセフ様のお陰で、私は職業を得ることが出来たのです!
これを喜ばずして、何を喜ぶと言うのでしょう!!」
いやミーシア。
なんかキャラ変わってねぇ?
なんでそんなに芝居がかってんの?
そして、なんでそんな熱い視線をジョーイに送っちゃってんの?
突然のキャラ変と共にテンションが臨界点を超えたミーシアに、しばし呆れる俺とジョーイ、そして完全に影の薄くなったクリアは、ひとまず王都へと帰ることにして、ミーシアを引きずるようにその場を後にした。
帰る道中、懐の心許なくなっていた俺は、ボアを数体見つけて瞬殺したわけだが。
そんなことをいちいち説明する気にもならないくらい、ミーシアのジョーイに対する熱い視線が気になった。
え?
少し前まで、ミーシア俺といい感じじゃなかった?
いや、たぶんこれは、ただの感謝の気持ちを込めているだけだ。
うん、きっとそうだ。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
【完結】婚約を解消して進路変更を希望いたします
宇水涼麻
ファンタジー
三ヶ月後に卒業を迎える学園の食堂では卒業後の進路についての話題がそここで繰り広げられている。
しかし、一つのテーブルそんなものは関係ないとばかりに四人の生徒が戯れていた。
そこへ美しく気品ある三人の女子生徒が近付いた。
彼女たちの卒業後の進路はどうなるのだろうか?
中世ヨーロッパ風のお話です。
HOTにランクインしました。ありがとうございます!
ファンタジーの週間人気部門で1位になりました。みなさまのおかげです!
ありがとうございます!
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐@書籍発売中
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる