推しの悪役令息に転生しましたが、このかわいい妖精は絶対に死なせません!!

もものみ

文字の大きさ
上 下
8 / 9
バッドエンド回避計画!

第八話

しおりを挟む
「テオ!!」

 セオドアが驚いて扉の方を見る。

「あ、お父様!」

 扉を開けて部屋へと飛び込んできたのはオスカー・フォーサイスー--ー-セオドアと同じ美しいシルバーの髪に、セオドアのものよりもずっと濃い青、インディゴの瞳を持つ、きりりとした精悍な顔つきの美男子。五年ほど前にセオドアの母が亡くなってからこれまで一人でセオドアを育てた、セオドアの父だ。

(ああ、お父様、やっぱりテオにそっくりだけど大きくなっても中性的な顔つきのテオとは違って、男らしい顔つきでイケメンだなあ…。)

 オスカーは一昨日仕事で王都に行って、ついでに用事を済まして帰るから帰りは今日の夜になると言っていたはずだが、もう帰ってきたのだろうか?予定より早いし、なんだかとても慌てている様子だ。

「お父様、お帰りなさい!」

 セオドアがにこっとほほ笑む。と、オスカーが駆け寄っくる。

「テオ!大丈夫なのか!?」
「え?」
「テオが倒れたと聞いて、急いで戻ってきたんだ!」
「あ…」

 なるほど、どうやらオスカーはセオドアが倒れたとの報告を受けて心配して急いで帰ってきてくれたらしい。

「へへ、心配かけてごめんなさい。もうすっかり良くなったよ!」

 セオドアがオスカーに笑いかける。

「そうかい…?ならいいけど、無理しちゃいけないよ。今日はもう早く寝るんだ。少し早いけど夕飯の準備をさせるから、一緒に食べよう。」

 本来今日まで夕飯はセオドア一人でとるはずだったのだが、オスカーが早く帰ってきたことによって今日は一緒に食べられるらしい。セオドアは大好きな父の誘いに笑顔でうなずいた。






◇◇◇◇◇




 
 セオドアは夕食の時、オスカーにいろいろなことを学んでみたいと伝えた。オスカーはこれまでのほほんとしていた息子の突然の申し出に驚いた様子だったが、それを了承してくれた。それでさっそく次の日からセオドアの修業が始まった。

「うーん、やっぱりまだ魔法はうまく使えないなあ。」

 あれから数週間ほど経ち、セオドアはオスカーがつけてくれた教師に魔法を習って練習の成果もあり、木と水の中級魔法まで使えるようになった。この時点ですでに二属性の魔法を扱えることに教師は大変感激していたようなのだが、そんなことにはセオドアは気づいていなかった。

「習ったことはできるんだけど、すぐ疲れちゃう…。」

 そう、セオドアはすでに才能を発揮してはいるのだが、なんせセオドアの体には体力がないのだ。そのため、セオドアはまだコントロールしてうまく魔法を使うことができない。完璧にコントロールして魔法を使いこなせる時間はいまだせいぜい数分程度だ。ちなみに、剣術も同じく習おうとしたのだが、こちらは体力がなさ過ぎてすぐに倒れてしまったので断念した。

(というか、お父様からストップが出たんだよなあ…。)

 セオドアは剣術の授業を受けた日のことを思い出して苦笑いする。

 授業中に貧血を起こして倒れてしまったセオドアは、気が付いたらまた自室のベッドに寝かされていたえ。そして起きたらオスカーがベッドの傍らにいて、にっこりと笑いながらもっと健康になるまで剣術の授業は禁止だと言い渡されてしまったのだ。有無を言わせない笑顔はかなり迫力があってかなり怖かったがその顔には心配がにじんでおり、セオドアはおとなしく言うことを聞くことにした。それで今は一日に数時間、魔法の授業と、マナーや簡単な算術等この世界の貴族として必要な教育とを交代で受けている。

「疲れた…。」

 セオドアが呟き、ごろんと寝転がる。今セオドアがいるのは、別荘広大な庭の一角にある花畑だ。本日は勉強はお休みで一日暇だったので、セオドアお気に入りの場所で魔法の復習をしていた。

「やっぱりここ、すっごくいい場所だなあ…」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

可愛い悪役令息(攻)はアリですか?~恥を知った元我儘令息は、超恥ずかしがり屋さんの陰キャイケメンに生まれ変わりました~

狼蝶
BL
――『恥を知れ!』 婚約者にそう言い放たれた瞬間に、前世の自分が超恥ずかしがり屋だった記憶を思い出した公爵家次男、リツカ・クラネット8歳。 小姓にはいびり倒したことで怯えられているし、実の弟からは馬鹿にされ見下される日々。婚約者には嫌われていて、専属家庭教師にも未来を諦められている。 おまけに自身の腹を摘まむと大量のお肉・・・。 「よしっ、ダイエットしよう!」と決意しても、人前でダイエットをするのが恥ずかしい! そんな『恥』を知った元悪役令息っぽい少年リツカが、彼を嫌っていた者たちを悩殺させてゆく(予定)のお話。

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️ 第12回BL小説大賞に参加中! よろしくお願いします🙇‍♀️

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼毎週、月・水・金に投稿予定 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。

悪役令息に転生したので、断罪後の生活のために研究を頑張ったら、旦那様に溺愛されました

犬派だんぜん
BL
【完結】  私は、7歳の時に前世の理系女子として生きた記憶を取り戻した。その時気付いたのだ。ここが姉が好きだったBLゲーム『きみこい』の舞台で、自分が主人公をいじめたと断罪される悪役令息だということに。  話の内容を知らないので、断罪を回避する方法が分からない。ならば、断罪後に平穏な生活が送れるように、追放された時に誰か領地にこっそり住まわせてくれるように、得意分野で領に貢献しよう。  そしてストーリーの通り、卒業パーティーで王子から「婚約を破棄する!」と宣言された。さあ、ここからが勝負だ。  元理系が理屈っぽく頑張ります。ハッピーエンドです。(※全26話。視点が入れ代わります)  他サイトにも掲載。

悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

悪役令息、皇子殿下(7歳)に転生する

めろ
BL
皇子殿下(7歳)に転生したっぽいけど、何も分からない。 侍従(8歳)と仲良くするように言われたけど、無表情すぎて何を考えてるのか分からない。 分からないことばかりの中、どうにか日々を過ごしていくうちに 主人公・イリヤはとある事件に巻き込まれて……? 思い出せない前世の死と 戸惑いながらも歩み始めた今世の生の狭間で、 ほんのりシリアスな主従ファンタジーBL開幕! .。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ HOTランキング入りしました😭🙌 ♡もエールもありがとうございます…!! ※第1話からプチ改稿中 (内容ほとんど変わりませんが、 サブタイトルがついている話は改稿済みになります) 大変お待たせしました!連載再開いたします…!

買われた悪役令息は攻略対象に異常なくらい愛でられてます

瑳来
BL
元は純日本人の俺は不慮な事故にあい死んでしまった。そんな俺の第2の人生は死ぬ前に姉がやっていた乙女ゲームの悪役令息だった。悪役令息の役割を全うしていた俺はついに天罰がくらい捕らえられて人身売買のオークションに出品されていた。 そこで俺を落札したのは俺を破滅へと追い込んだ王家の第1王子でありゲームの攻略対象だった。 そんな落ちぶれた俺と俺を買った何考えてるかわかんない王子との生活がはじまった。

処理中です...