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兎と犬の関係は?
第十三話
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《白兎side》
どこに行くのかと思いながら前を歩く人物について行く。随分教室から離れたところまでいくんだな。前を歩く人物の名前は犬飼 忠明(いぬかい ただあき)。年齢32歳。血液型O型。独身。担当教科数学。中高一貫の玉兎学園で中等部からこの学年のSクラスの担任をしているらしい。教師の基本プロフィールは事前に知らされていたので、既に頭に入れてあった情報を歩きながらおさらいした。
緩くパーマがかかった長めの茶髪を後ろで無造作に結んでいて、顔立ちはスッと通った鼻筋や甘い目元、それから右目の下の泣きぼくろが特徴的な、見た目は気だるげなイケメン教師って感じだな。クラス内でも結構人気のようで、チワワが何人かうっとり見つめていた。あだ名は"あっきー先生"とか、あと双子とか何人かは"いぬせん"って呼んでたな。でも"犬セン"はダメって言ってたっけ?まあ、無難に"犬飼先生"呼びでいいだろう。
そんなことを考えていたら目的地についたようで、犬飼がある教室の前で止まった。『数学準備室』。ふむ、高校棟1階、今の高校一年のフロアの北側一番端の部屋だな。犬飼の担当科目は数学だし、1階北側一番端という立地的にもこの場所は人が来ない、さしずめ犬飼の個人部屋状態になってる部屋ってとこか?
犬飼が教室の鍵を開け中に入るので、警戒しつつそれに続く。中にはいって辺りを見渡すと、部屋が荒れている以外には変わったところはない。キョロキョロしていると犬飼がこちらを振り返って話しかけた。
「あー、俺の担当数学なんだよ。ここは数学準備室で、俺しか使ってないからほぼ人は来ない。」
予想通りだ。
「そうなんですか。」
にこりと笑って返した。さあ、ここからが本題だ。ちゃんとこいつがどちら側の人間なのかを確認しないとな。
「それで、先生。なんのご用ですか?」
俺をわざわざ人の来ない場所まで連れてきた理由はなんだ?腹の探りあいか?
態度には出さず、むしろ顔には微笑みを浮かべたままで身構えた。が、予想に反して犬飼は気軽い態度で答えた。
「あー、なんだ、ご用ね、んーまあそんな身構えんなよ、気楽にいこうぜ。」
このへん避けたら座れんな、とか言って物が置かれたソファーの上を開け、自身は定位置らしいキャスター付きの椅子にどっかりと座った。
「ほら、お前も座れよ。茶はないが、ここまで来てもらって立ち話もなんだしな。」
「…長居するつもりはないので大丈夫ですよ?友人が待ってますので。」
「あー、そうか?そういやそんなこと言ってたな…。んじゃあ今日はちゃっちゃと済ませるかー」
「……」
気安い態度には裏があるようには見えないが、ならばなぜ自分はこんなところに呼ばれているのだ…?わざわざ人の来ない場所まで連れてきておいて、ただの編入生として用事があるわけではないだろう。にこやかな笑顔を崩さないまま犬飼をじっと見つめる。
「あー、そんな警戒すんなって、安心しろ、俺もそっち側だから。」
「…そっち側?」
念のため、訳がわからない風を装ってきょとんと首をかしげて見せる。
「あー、まどろっこしいのはいいよ。
お前だろ?例のスパイって。」
どこに行くのかと思いながら前を歩く人物について行く。随分教室から離れたところまでいくんだな。前を歩く人物の名前は犬飼 忠明(いぬかい ただあき)。年齢32歳。血液型O型。独身。担当教科数学。中高一貫の玉兎学園で中等部からこの学年のSクラスの担任をしているらしい。教師の基本プロフィールは事前に知らされていたので、既に頭に入れてあった情報を歩きながらおさらいした。
緩くパーマがかかった長めの茶髪を後ろで無造作に結んでいて、顔立ちはスッと通った鼻筋や甘い目元、それから右目の下の泣きぼくろが特徴的な、見た目は気だるげなイケメン教師って感じだな。クラス内でも結構人気のようで、チワワが何人かうっとり見つめていた。あだ名は"あっきー先生"とか、あと双子とか何人かは"いぬせん"って呼んでたな。でも"犬セン"はダメって言ってたっけ?まあ、無難に"犬飼先生"呼びでいいだろう。
そんなことを考えていたら目的地についたようで、犬飼がある教室の前で止まった。『数学準備室』。ふむ、高校棟1階、今の高校一年のフロアの北側一番端の部屋だな。犬飼の担当科目は数学だし、1階北側一番端という立地的にもこの場所は人が来ない、さしずめ犬飼の個人部屋状態になってる部屋ってとこか?
犬飼が教室の鍵を開け中に入るので、警戒しつつそれに続く。中にはいって辺りを見渡すと、部屋が荒れている以外には変わったところはない。キョロキョロしていると犬飼がこちらを振り返って話しかけた。
「あー、俺の担当数学なんだよ。ここは数学準備室で、俺しか使ってないからほぼ人は来ない。」
予想通りだ。
「そうなんですか。」
にこりと笑って返した。さあ、ここからが本題だ。ちゃんとこいつがどちら側の人間なのかを確認しないとな。
「それで、先生。なんのご用ですか?」
俺をわざわざ人の来ない場所まで連れてきた理由はなんだ?腹の探りあいか?
態度には出さず、むしろ顔には微笑みを浮かべたままで身構えた。が、予想に反して犬飼は気軽い態度で答えた。
「あー、なんだ、ご用ね、んーまあそんな身構えんなよ、気楽にいこうぜ。」
このへん避けたら座れんな、とか言って物が置かれたソファーの上を開け、自身は定位置らしいキャスター付きの椅子にどっかりと座った。
「ほら、お前も座れよ。茶はないが、ここまで来てもらって立ち話もなんだしな。」
「…長居するつもりはないので大丈夫ですよ?友人が待ってますので。」
「あー、そうか?そういやそんなこと言ってたな…。んじゃあ今日はちゃっちゃと済ませるかー」
「……」
気安い態度には裏があるようには見えないが、ならばなぜ自分はこんなところに呼ばれているのだ…?わざわざ人の来ない場所まで連れてきておいて、ただの編入生として用事があるわけではないだろう。にこやかな笑顔を崩さないまま犬飼をじっと見つめる。
「あー、そんな警戒すんなって、安心しろ、俺もそっち側だから。」
「…そっち側?」
念のため、訳がわからない風を装ってきょとんと首をかしげて見せる。
「あー、まどろっこしいのはいいよ。
お前だろ?例のスパイって。」
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