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狐と狸とそれから兎
第十二話
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《狸塚side》
たんっ、たんっ、たんっ
たんっ、たんっ、たんっ
廊下に全く同じリズムの2人分の足音が寸分狂わぬタイミングで鳴り響く。
「ねーねー、恋斗、どう思うー?」
「そうだねー、面白いと思うよ~!双子当てゲームの時なんか僕、わくわくしちゃった!!」
2人分の足音に混じって、やや高めの、これまた全く同じように聞こえる2人の男子のきゃっきゃっとした声が放課後の廊下を賑わせる。
「だよねー!僕もそう思う~!!白兎 幸人、だっけ?ゆきとの名前。」
「でも、白兎なんて聞いたことないねー?特待生なのかなー?」
「でも運動も好きって言ってたねー!」
「じゃあスポーツ特待?」
「どっちかな~?でもなんかー、Sクラスなのにどことなく普通~って感じがしたよね~」
「わかるわかる~!でもでもー、なーんか訳ありって感じじゃなかったー?」
「そうなんだよね~!普通!って感じだけどー、なんか違和感あるっていうか~」
「まああの狐が懐いてるっぽかった時点で普通ではなさそうなんだけどね~」
「それもそれだよ!あの狐が誰かに懐いてるとこなんて始めて見たよ!」
「いつも人とは必要最低限しか関わらないのに、ゆきととは一緒に帰るために待ってるみたいだしね~!」
「ね~!!気になるよねー!!」
「それにさ、見た?あの狐の顔。」
「あれは見ものだったよねー!」
「ふふっ、めったに僕らのこと見もしないのに、ゆきとと僕たちが喋ってるのを見た瞬間目の色変えちゃってさー!」
「まあ、あいつもともと目死んでるけどね!」
きゃははっと双子の笑い声が響く。普段からテンション高めな2人ではあるが、今日は特別機嫌がよく、お喋りが止まらない。
「でもあの狐の表情筋が愛想笑い以外で動くのなんてちょーレアじゃない?」
「ほんとそうだよねー!しかもそのあと、僕らに微笑みかけたよね?!」
「そうそう!!あれはいま思い出してもぞっとする~鳥肌ものだね!」
「でもー、あれを見る感じ、やっぱりそういう意味だよね?」
「そうだね~」
「「狐の獲物。」」
「ふふ、みたいだね。でも―――――なら、僕たちが邪魔してもいいよね?」
「ふふ、そうだね。でも………どこかの山の強欲な狸みたいに、兎ちゃんに火はつけられないようにしないとね?」
ふふふっと可愛らしい笑い声が人のいない廊下にこだまする。無邪気な子供のような可愛らしい笑い声に、楽しそうなそっくりの笑顔。一見ほのぼのとした光景のように見えるそれが、実際には無邪気さゆえの狂気をはらんでいるものだということを、未だ知るものはいないのだ。
幸人の、ターゲットである狸塚双子との嵐のような出会いはこうして幕を閉じたのだった。
たんっ、たんっ、たんっ
たんっ、たんっ、たんっ
廊下に全く同じリズムの2人分の足音が寸分狂わぬタイミングで鳴り響く。
「ねーねー、恋斗、どう思うー?」
「そうだねー、面白いと思うよ~!双子当てゲームの時なんか僕、わくわくしちゃった!!」
2人分の足音に混じって、やや高めの、これまた全く同じように聞こえる2人の男子のきゃっきゃっとした声が放課後の廊下を賑わせる。
「だよねー!僕もそう思う~!!白兎 幸人、だっけ?ゆきとの名前。」
「でも、白兎なんて聞いたことないねー?特待生なのかなー?」
「でも運動も好きって言ってたねー!」
「じゃあスポーツ特待?」
「どっちかな~?でもなんかー、Sクラスなのにどことなく普通~って感じがしたよね~」
「わかるわかる~!でもでもー、なーんか訳ありって感じじゃなかったー?」
「そうなんだよね~!普通!って感じだけどー、なんか違和感あるっていうか~」
「まああの狐が懐いてるっぽかった時点で普通ではなさそうなんだけどね~」
「それもそれだよ!あの狐が誰かに懐いてるとこなんて始めて見たよ!」
「いつも人とは必要最低限しか関わらないのに、ゆきととは一緒に帰るために待ってるみたいだしね~!」
「ね~!!気になるよねー!!」
「それにさ、見た?あの狐の顔。」
「あれは見ものだったよねー!」
「ふふっ、めったに僕らのこと見もしないのに、ゆきとと僕たちが喋ってるのを見た瞬間目の色変えちゃってさー!」
「まあ、あいつもともと目死んでるけどね!」
きゃははっと双子の笑い声が響く。普段からテンション高めな2人ではあるが、今日は特別機嫌がよく、お喋りが止まらない。
「でもあの狐の表情筋が愛想笑い以外で動くのなんてちょーレアじゃない?」
「ほんとそうだよねー!しかもそのあと、僕らに微笑みかけたよね?!」
「そうそう!!あれはいま思い出してもぞっとする~鳥肌ものだね!」
「でもー、あれを見る感じ、やっぱりそういう意味だよね?」
「そうだね~」
「「狐の獲物。」」
「ふふ、みたいだね。でも―――――なら、僕たちが邪魔してもいいよね?」
「ふふ、そうだね。でも………どこかの山の強欲な狸みたいに、兎ちゃんに火はつけられないようにしないとね?」
ふふふっと可愛らしい笑い声が人のいない廊下にこだまする。無邪気な子供のような可愛らしい笑い声に、楽しそうなそっくりの笑顔。一見ほのぼのとした光景のように見えるそれが、実際には無邪気さゆえの狂気をはらんでいるものだということを、未だ知るものはいないのだ。
幸人の、ターゲットである狸塚双子との嵐のような出会いはこうして幕を閉じたのだった。
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