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狐と狸とそれから兎
第十一話
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「あー、すまん、ちょっと白兎と話あるから放してもらえるか?」
またしても救いの声をかけたのは担任だった。後ろには話を終えた狐塚もいる。
「あ、それから狸塚。委員会のやつらがお前ら探してたぞ。」
「えー!僕たちゆきととしゃべってるのにー!」
「だから白兎は俺が用事あるんだって…。それに委員会のやつらもなんか急いでるみたいだったから行ってやれ。」
双子がぶーぶーと文句を言っている。俺はそれを聞き流して狐塚の方をちらっと見ると、狐塚は狸塚のことなど目にも入らぬようにこちらだけを見てにこりと微笑んだ。
「白兎くん、話し終わるまで待ってるから一緒に部屋帰ろ。」
「あ、う、うん。分かったありがとう。」
狐塚は白兎の用事が終わるのを待っていてくれるようだ。正直、荷物はすでに運ばれていて寮の部屋の場所も分からなかったので助かる。学園全体の地図はもらったので共同のスペースの場所やらは分かるが、俺の部屋の場所までは書いていなかったので、同室の狐塚が案内してくれるなら安心だ。俺が狐塚とそんな会話をしていると、担任は慣れたように双子を上手くいなしたようで向こうから呼ばれた。
「じゃあ行くぞ、白兎。」
「はい。」
狐塚と仲が悪いらしい双子が気がかりで、教室を出る前に後ろの様子をうかがうと双子の方も狐塚には目もくれずこちらに寄ってきた。
「じゃあゆきと!僕たちこれから行かなきゃいけないみたいだから僕らも行くね!」
「僕ら以外とあんまり仲良くしちゃダメだよ!色々あぶないから!」
「「また明日!!」」
双子がそう言い残して賑やかに去っていった。嵐のような2人だったな…。なんだか少ししか話していないはずなのにすごく疲れた……。でもまだ気は抜けない。これから担任と話をして、担任が『どちら側』なのかを見極めて、狐塚にも怪しまれないようにしつつ上手く近づいて、それからターゲットやさっき双子が言っていた学園特有の事情も聞いておかなければならない。この学園では何時いかなる時も気を抜いてはいけないのだ。俺は双子と別れてからもう一度気を引き締めて、担任の後を追った。
またしても救いの声をかけたのは担任だった。後ろには話を終えた狐塚もいる。
「あ、それから狸塚。委員会のやつらがお前ら探してたぞ。」
「えー!僕たちゆきととしゃべってるのにー!」
「だから白兎は俺が用事あるんだって…。それに委員会のやつらもなんか急いでるみたいだったから行ってやれ。」
双子がぶーぶーと文句を言っている。俺はそれを聞き流して狐塚の方をちらっと見ると、狐塚は狸塚のことなど目にも入らぬようにこちらだけを見てにこりと微笑んだ。
「白兎くん、話し終わるまで待ってるから一緒に部屋帰ろ。」
「あ、う、うん。分かったありがとう。」
狐塚は白兎の用事が終わるのを待っていてくれるようだ。正直、荷物はすでに運ばれていて寮の部屋の場所も分からなかったので助かる。学園全体の地図はもらったので共同のスペースの場所やらは分かるが、俺の部屋の場所までは書いていなかったので、同室の狐塚が案内してくれるなら安心だ。俺が狐塚とそんな会話をしていると、担任は慣れたように双子を上手くいなしたようで向こうから呼ばれた。
「じゃあ行くぞ、白兎。」
「はい。」
狐塚と仲が悪いらしい双子が気がかりで、教室を出る前に後ろの様子をうかがうと双子の方も狐塚には目もくれずこちらに寄ってきた。
「じゃあゆきと!僕たちこれから行かなきゃいけないみたいだから僕らも行くね!」
「僕ら以外とあんまり仲良くしちゃダメだよ!色々あぶないから!」
「「また明日!!」」
双子がそう言い残して賑やかに去っていった。嵐のような2人だったな…。なんだか少ししか話していないはずなのにすごく疲れた……。でもまだ気は抜けない。これから担任と話をして、担任が『どちら側』なのかを見極めて、狐塚にも怪しまれないようにしつつ上手く近づいて、それからターゲットやさっき双子が言っていた学園特有の事情も聞いておかなければならない。この学園では何時いかなる時も気を抜いてはいけないのだ。俺は双子と別れてからもう一度気を引き締めて、担任の後を追った。
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