君は俺の光

もものみ

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陽仁の独白ー陽仁sideー

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「…よく寝てる。」

 隣で無防備に眠る優月の頭をそっと撫で、陽仁がひとり呟く。

「んん…」

 優月が頭を撫でる陽仁の手にすり寄る。優月はよく眠っており、起きる気配はないのでおそらく無意識なのだろう。

(もう朝か…)

 不意に窓の外を見ると、すでに景色は白み始めていた。陽仁はこの夜一睡もしていない。優月がまたいなくなってしまわないか不安なのもあったが、一睡もできなかった理由はそれだけではない。昨晩優月と籍を入れ、ひと月ぶりに行為に及び、さらには番にまでなった。長年の念願がやっと達成されたのだ。その興奮あって寝ようなどという気分にはなれず、陽仁は一晩中優月を眺めていた。

「…。」

 陽仁は腕の中の優月をじっと見つめる。

(…まさかゆづにあそこまでされるとはね…。)

 流石の陽仁も、優月にここまでされるとは思っていなかった。昔から超がつくほどのネガティブな優月の行動は、陽仁にすら予測不能なところがあるのだ。

(まあそんな所も好きなんだけど…心配になる。発信機も盗聴器も全部ゆづに解除されたおかげで、人を送って探させるとかいうアナログなことする羽目になったし。…ほんとは籍入れる準備ができたらすぐ迎えに行くつもりだったんだけどね…)

 陽仁は優月と結婚する準備を、行っていた。―――――それこそ、ずっと、ずっと。陽仁はいつまでたっても自分のものにならない優月を囲い込む準備を、着々と進めていたのだ。優月のチョーカーにきつくマーキングを施して他のαを寄せ付けないようにして、その間に新居を探したり家族に話したりなんだりと準備を進めた。そして三月ほど前、ついに準備はおおむね整った。あとは優月にプロポーズして婚姻届を書くだけのところまでいったのだ。

 しかしここが一番の問題だった。普通にプロポーズしてもあのネガティブな優月のことだ、断られるに違いなかった。なんせ陽仁は付き合う時ですら散々断られ、さらに番になろうという話は未だに通ってすらいない。先に番になれていたら結婚は簡単だったのかもしれないが、そもそもそれを優月が許してくれなかったのだ。
 そこでこんな、先に手回ししきってからプロポーズをして、それから番になるなどという回りくどい手を取らざるを得なくなった。もう法的に囲い込んでしまった方が手っ取り早いのでは、と思ったのだ。結婚か番、どちらかが上手くいけばもう一方もそれを理由に丸め込めるだろうというわけだ。結婚してから番う。陽仁としては順番の問題でしかなかったので一向に構わなかった。しかし優月にどう結婚を承諾してもらうか。もう外側の手筈は整っているが、肝心のそれが。何か優月を認めさせるきっかけが必要だ。そう思った陽仁はある計画を思いつき、すぐさまそれを実行した。――――――――優月を、妊娠させる計画だ。
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