君は俺の光

もものみ

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病院ー優月sideー

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(……行けるか…?)

 優月はキャップを深く被り直すと、覚悟を決めて診察室への廊下を歩み出した。

コツ、コツ、コツ、コツ

 俯きつつも不自然に見えないように意識して歩く。

コツ、コツ、コツ、コツ

 やけに足音が響く。廊下には優月たち以外誰もいない。

コツ、コツ、コツ、コツ

 そろそろ男の真横を通る。曲がり角が見えてきた。

(よし、あと少し…!)

 男の真横を優月が通過するも、男が優月に反応する様子はない。この様子だと男は本当にただの患者の家族とかなのかもしれない。優月はほっとする気持ちを引き締め、なんとか一定のペースを保ったまま診察室への道を歩く。曲がり角に差し掛かる。やった!優月が思った、その時――――――――

「すみません、」

 男が徐に優月に話しかけてきた。優月は心臓が跳ねるも、冷静に返す。

「何でしょうか。」

 声色を少しだけ変えて話す。

「実は私、ある患者を探しているんですが、」

 ドクン、ドクン、優月は心臓が嫌な音を立てるのを感じた。

「あなた――――――――――



ですよね?この辺でこの人を見ませんでしたか?」

 優月はほっとして力が抜ける。そう、優月は今、だった。清掃員の制服を着てキャップを被り、シーツの入ったカートを押しながら歩いていたのだ。

「…さあ……?すみませんが、ただの清掃員の僕には分かりかねます。」

 優月がそう答えると、男は「そうですか。」とだけ言って怪しむでもなく去っていった。
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