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17.二人きり!?

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 ヴィユザとマモネークが部屋に戻って行き、僕の部屋の前に残ったのは僕と会長の二人だけ。廊下にも他に学生はいなくて、二人きりだ。

 二人きりなんて……いつもならすごく嬉しいのに、どうしよう……会長の顔が見れない!!

 だってさっき、生徒会室であんなことがあったばっかりだぞ!! それなのに……また会長と二人きりなんて……い、いや、会長となら、僕はいいんだ!! 会長になら……だけどやっぱりいきなりはっ……!!

 まだそんなところまでいくのは怖いけど、それでも会長と一緒にいたい。
 恐る恐る振り向いたら、会長も、僕を見下ろしてくれていた。

「可愛いな……そんなに真っ赤になって」
「へっ……!? そ、そんなっ……だ、だって……」

 なんで会長はそんなに平気な顔してるんだ……会長のポーカーフェイスはいつものことだけど、今は、今何考えてるかわからなくて困る!

 二人きりでこんな風になるの、僕だけ!?? 変に焦って、会長に面倒臭いって思われたらどうしよう!!

「あ、暑いのかなー?? 今日!! 暑いですよね!!」
「そうだね。さっき、ヴィユザに撫でられた時も、ちょっと赤かった」
「へ!? そうですか!? な、仲間なんて言うから、照れただけです…………う、嬉しかったのかな!? あんなこと言うから……あ、あははは」
「ふーーーーん……」
「……」

 なんだろう……今、一瞬、会長が怒った時の目になったような気がしたんだけど……気のせいかな??

 気のせいに決まってる。だって会長は、僕の頬にちゅってキスをして、優しく微笑んでるから。

「明日からまた忙しいんだから、早く部屋に戻って休んだほうがいいよ」
「あっ……そ、そうですね……」

 キスされたところがくすぐったい。だけど、ちょっと寂しい。

 ここでお別れなんだ。もう少しそばにいたいのに。

 二人きりでこれから何かあるかも、なんて考えてたの、僕だけか。

「す、すみません。会長!! 気がつかなくて……お、送ってくれて、ありがとうございました!」
「うん。じゃあ、部屋に入ろうか」
「…………へ??」
「へ? って、なに? 早く部屋に入ろう?」
「え、えっと……」

 部屋にって、どういうことだろう……僕の部屋に入るの?

 僕の、部屋に……き、来てくれるのか!?

「い、いいんですか……?」
「うん? 当然だろ? それとも、嫌?」
「い、嫌じゃありません! そ、そうだ! 僕、お茶入れます! お菓子も……か、会長が大好きなもの、買い付けてきました!」
「本当? 嬉しいな……そんなに気を遣わなくてもいいのに……」
「い、いいんです! だって、生徒会長にここまで送ってもらったんだし……お茶くらい入れておもてなししなきゃ失礼です!!」
「失礼って……そんなことないよ」
「だ、だって、会長が僕の部屋に来てくれるなんて、嬉しい……まるで恋人……いや、恋人なんだ……僕だけが……僕だけが、会長の恋人……」
「え?」
「あ!! いえっ……! ち、違うんです! 僕、幸せだなって思って……」

 会長が僕の部屋に来てくれる。それだけで嬉しい。
 だ、だけど、そしたら部屋に二人きりで、二人きりで部屋にいたら、当然そこにはベッドもあるわけで……さ、さっきみたいに迫られたら……

 恐る恐る、会長に振り向いた。そしたら、目があってしまう。
 会長はニコって笑ってくれるけど、僕は恥ずかしくてびっくりして、もう真っ赤だった。
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