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74.岩山に送られた奴ら
しおりを挟む上層部の会議が始まり、俺は一旦、学園の奥の懲罰室に移された。懲罰室とは言っても、今は使われておらず、実際はただの鍵のかかる客間。元懲罰室を、内装だけ整えて客間に変えるあたり、あの学園長は少し変わっている。
それにしても、また会議か。どうせ腹の探り合いで、何も決まらないに決まっている。上層部や公爵も、それが分かってて開くんだ。会議なんて建前で、実際は、連中がそれぞれ秘密裏に岩山に調査の者をやるための時間稼ぎだ。
しかし、それくらいはこちらも予想の範囲内。あいつらが会議を開いている間に、俺も作戦を進めよう。
岩山には、あらかじめ使い魔を飛ばしてある。コレリールが回収した破片で作ったものだ。その使い魔を使えば、岩山の様子がわかる。
使い魔は今、岩山を取り囲む森の中にいる。それを通して、森の中に連中が送り込んだ魔法使いの気配がないか探ると、簡単に見つかった。どいつもこいつも、隠れることもできないようで、魔力を追えば、その動きまで手に取るようにわかる。
一人は、魔力も大したことない魔法使い……多分、上層部の妖精が送ったんだろう。
あとは精霊が一人。こいつはダメだな。魔物に追われて逃げている。使い魔を探すどころじゃないだろう。
他にも精霊がいる。こいつは、公爵の息がかかった奴だ。公爵と精霊側は、別に動いているのか? もしくは、仲違いでもしたか……
そしてこいつも使えない。最初からやる気なんてないらしく、あたりをキョロキョロしながらまるで観光客だ。
三人かと思ったが……他にたくさんいるな……どいつもこいつも、どれだけ庭園の魔力が欲しいんだ。
とりあえず、森に送られた奴らに、たまに俺の使い魔の姿を見せながら、適当に逃げて、俺が使い魔を放ったことに現実味を持たせておくか。
そうして、今会議をしている連中が、いつまでも岩山に送った使者が使い魔を捕まえてこないことに痺れを切らし、ロフズテルの使い魔の片割れを持ち出す決定をするのを待つ。
少し疲れたし、ベッドで横になってやるか……
首輪と手枷、足枷はされているが、魔法を使えばベッドまで移動できる。そこに横になって、手枷は邪魔なので魔法で外す。足枷も外したいが、誰かが入ってきた時に、すぐに付け直さなければならないことを考えると、手枷だけにしておくしかない。
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