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70.なおさらだ!
しおりを挟む俺を縛る案は、ゲキファが断固拒否して、じゃあ他の奴にという案も断固反対され、結局、学園長がやったように、首輪をつけるだけになった。
その日は夜まで作戦決行の練習をして、翌日の早朝から、俺とゲキファとコレリールは、俺の部屋に集まった。
俺の首に首輪をつける役は、セアガレンに任せた。縄を解いて自由にするという条件で、そいつは引き受けてくれた。
それでも、朝になったら約束を反故にして、俺の部屋にはこないんじゃないかと思ったが、セアガレンは意外にも約束の時間にちゃんと来た。そして本当に、俺の首にそれっぽいものを作ってくれた。
「こんなもので満足か?」
セアガレンに聞かれ、俺は鏡を見て頷いた。
「魔力を封じる力はないのか?」
「ない。私に魔力を封じる首輪は作れない。だが、首輪そのものに、力を隠す魔法をかけた。もちろん首輪には力は何もないから、意味のないものなんだが……その首輪に、なんの魔法も感じ取れないと言われた時に、言い訳程度にはなるだろう。お前たち……」
「どうした?」
「ほ、本当に……岩の庭園の魔力を全て消す気なのか!?」
「ああ。なんだ……? しつこいぞ。文句があるなら、また縛る」
「いや……私では、お前たちに勝てない」
「急に大人しくなったな……それに、協力的すぎる。あれだけ俺を下衆と罵っていたのに」
「そ、それはっ……」
セアガレンは俺から顔をそむける。すると、ゲキファがそいつを見つめて言った。
「……嬉しいんじゃないんですか?」
「……っ!」
「岩の庭園の魔力がなくなれば、ここの監視のためにいるあなたの役目も終わる。セアガレン……あなたは、精霊たちの中で、初めて門を開いてくれた家の人だ。あなたたちは、交渉のテーブルについてくれた。ドグフヴル家も、あなたたちに感謝しています…………あなたがあんな扱いを受けることはない。こんな争いのために、あなたが傷つくことはないはずです」
「………………」
セアガレンは、無言で俯いていた。無理矢理ここへ連れてこられて、精霊たちのために働かされて、こいつも苦しかったのだろう。
俺は、セアガレンに向き直った。
「セアガレン……縄は切った。貴様は自由だ。好きにすればいい」
「……ヴァデス…………」
「しかし! 俺たちの邪魔はするな!! 貴様にとって都合がいいことならなおさらだ!!」
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