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18.俺の計画が……
しおりを挟むこんなゴミの住処にも、朝は来るらしい。
寮の部屋に帰り、一晩眠ったはずなのに、頭が痛い。よく考えたら、考えすぎて眠ってないんだ。
なんだあいつらは。一人は父と兄を殺して王になろうとする下衆。一人は、ずっと俺に付き纏っていたらしいストーカーじゃないか。
あんな奴ら、二度と近寄りたくない。
俺は研究所を再興するために、一年かけて準備をしたんだ。それがなんでこんなことに……
研究所を復活させるには、王と伯爵に対する交渉が不可欠。しかし、二人には近づけない。ならばそいつらが頼りにしている後継者たちを狙うつもりだったのに……
あんなのが後継者で大丈夫なのか。
いや、何を悲観的になっているんだ。
ベッドの上で寝返りを打って考え直す。
よく考えてみたら、これはチャンスではないか。
確かにあの二人はゴミだ。しかし、二人を陥れて、俺の言いなりにするという計画が台無しになったわけではない。
むしろ、あいつらは俺を慕っている。あいつらを調教し、俺の部下とするのはどうだ。王にもダメージが与えられ、二人ともいずれ王政に関わる者たちだ。
そう。俺はついているんだ。俺の目的を達成するために、これほど素晴らしい駒はいない! うん。そうだ。
何度も頷く。
だったら今日から早速行動開始だ。
まずは……コレリールの方から行くか。あいつなら、破壊の魔法に興味があるらしいし、部下にするならあいつのほうが楽そうだ。なにより、公爵とは手を切らせないと危ない。
ちょっと近づきたくない気がするが……どちらかと言うとゲキファの方が近づきたくない。あいつは身の危険を感じる。
いざとなればゲキファを殺す手も……いや、ダメだ。あいつは伯爵の息子。そんなものを殺せば、俺の方が糾弾されてしまうではないか。
くそ……伯爵め!! 面倒なものを俺に押し付けやがって!! 今度あったらぶち殺す!!
とにかく、まずはあいつらに近づいてみよう。話はそれからだ。
俺は、コレリールの部屋に行くために扉を開けた。
しかし、扉の向こうには一人の男が立っていた。ゲキファだ。
昨日、ずっと俺をつけていたかもしれないことが判明したばかりなのに、そんな男が部屋の前に立っていたらめちゃくちゃ怖い!!
朝から俺の部屋の前に立っている男は、まるで自覚がないのか、頬をかいて「おはよう、ヴァデス」と挨拶をしてくる。怖いわ!
「な、なんだ貴様は!! なぜこんなところにいる!?」
「なんでって……ヴァデスに会いにきたんだけど……」
「困ったような顔をするな。好青年のふりもやめろ!! 朝から自分の部屋の前に、昨日付きまといが判明した男が立っていたらキモいわ! 学内警備隊を呼ぼうか!?」
「お、落ち着いて……勝手に会いにきてごめん……」
「全くだ!! この下衆が!! 地べたに額を押し付け謝罪しろ!! 俺は予定外の行動をとられるのが嫌いなんだ。分かったら俺に会う時はっ……って、何してるんだ!!」
本当にそいつが床に膝をついて、俺は焦った。何してるんだこいつ! 仮にも伯爵の息子がそんなことをしているものだから、すこぶる目立つ。廊下を歩いている奴らが、こっちに振り向いているじゃないか!
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