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番外編.触手です
19.口答えをするのか?
しおりを挟む何も着ていない体で、後ろ手に縛られた俺に、魔王様が手首を差し出してくる。その手首には、細い触手が巻きついていた。細くて、まるで枯れた蔓みたいなそれは、すでに力を失っているらしく、魔王様の手首から、だらんと垂れていた。
あれを口でちぎっちゃえばいいんだ。
それでも躊躇ってしまい、恐る恐る顔を上げる俺に、魔王様は微笑んだ。
「やれ。歯を立てるなよ」
「はい……」
恥ずかしい……下半身だって、何も着ていなくて、恥ずかしいものまで全部丸見えで、魔王様に跨るなんて。
だけど、やらなきゃ……
俺は両手を縛られたまま、立ち膝で進んで魔王様に近づいたけど、途中でバランスを崩して、魔王様の足に乗ってしまう。重くないのかなって思ったけど、魔王様はすごく楽しそう。なんともないみたい。それどころか、早くしろと急かされてしまう。
恥ずかしいけど、魔王様の太ももに跨りながら、差し出された手首に絡みついた触手を、パクッと咥えた。
「んっ……! ん……!!」
そのまま触手を引っ張ろうとしたけど、なかなか千切れない。それどころか、魔王様が手を引くから、俺はそれを咥えたまま引っ張られて、尻を上げる形になってしまう。
「んっ……!」
一体、なにをするんだ。
触手を咥えたまま引っ張られて、俺は魔王様の体に乗っかってしまう。それなのに、魔王様はめちゃくちゃ楽しそう。
「お前、今、歯を立てただろう」
「だ、だって……無茶言わないでください!! 噛み付かなきゃ取れません……!」
「罰だ。尻を上げろ」
「へ?? や、やだっ…………!」
裸で魔王様の体に乗ってるだけでも恥ずかしいのに、その上、お尻まで上げるなんて、絶対に無理だ。
何度も首を横に振ると、魔王様の顔にますます加虐的なものが広がっていく。
「尻を上げろ」
「うっ…………やだ……」
「イウ……」
そんな声で囁くなんてずるい……俺が、魔王様のこと好きなこと知ってて、そんなこと言うんだ。
ビクビクしながら、俺は尻を上げた。いつも魔王様に貫かれるところだ。
あまりの羞恥で、涙が出そうだ。それなのに、魔王様は容赦なく俺を追い詰める。
「イウ……尻を打ってください、だ」
「……は!?」
「尻を鞭で打ってください、だ」
魔王様がニヤニヤ笑いながら言うけど、そんなこと、絶対に嫌だ。裸で後ろ手に縛られて、尻まであげてるんだぞ!! こんなに恥ずかしいことされてるんだ……そろそろ許してもいいだろ!
ぎゅうって目を瞑って、俺は魔王様の言葉を聞かないように耐えた。
それなのに、魔王様に呼ばれたら、俺は目を開いてしまう。
「イウ」
「……」
「イウ、言え」
「……っ!」
震える唇を開く。それはまだ震えていて、なかなか動かない。だけど……
ビクビクしながら、唇を動かした。なかなか声が出なくて、やっと出た時、もう恥ずかしさだけで体が熱くて、涙まで滲んでいた。
「お、俺の……俺の、尻……鞭で打って……く、ください…………」
「いい子だ……」
「ひゃああぁっ……!!」
バシッと、強い衝撃が尻を打ち付ける。お尻がじんじん痛む。何かと思って振り向けば、俺の背後には、あの触手がウネウネ蛇みたいに鎌首をもたげて揺れている。あれが俺の尻を打ったんだ!
こんなことになるなら、触手、元気にしなければよかった!! なんで自分で元気にした触手に責められてるんだ!! 俺っ……!!
尻を打たれて赤い跡をつけられて涙目になる俺を、魔王様が眺めている。めちゃくちゃ楽しそう……このままだと、ずっと尻を責められる。
「口答えをするか?」
「だ、だって……ああっ!!」
刺すような快楽に襲われて、俺は背後に振り向いた。すると、俺の尻に、あの触手が絡みついて、ピクピクしている後孔をつついている。
「い、いやっ……魔王様っ……!」
「嫌なら早く、俺に絡みついた触手を取れ」
「はい!!」
もう、このまま口答え続けていたら、何をされるか分からない。俺は、魔王様の触手に唇で触れた。
だけど、歯を立てちゃダメなんだ。歯が触れたら、絶対また触手で打たれる!!
力が入らない。急がないといけないのに、歯を立てたらダメで、ジレンマの中でもがく俺に、魔王様は残酷に笑う。
「遅いぞ」
「だ、だって…………っ!!」
頑張って触手を咥えて、魔王様の手首から引き離そうとするけど、うまくいかない。唇に力を入れて触手を引き離そうとして、唇の端から唾液が漏れて行く。溢れたものが、魔王様の腕を伝って、布団を濡らした。それでも、魔王様の手首に絡みついたものは外れない。もう、触手も俺の口の周りもドロドロだ。
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