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番外編16.オーフィザン様とデート!
173.猫だ!
しおりを挟む「ふわぁっ……!」
竜から落っこちそうになる僕を、オーフィザン様が支えてくれる。
だけど、ありがとうございますって言っても、オーフィザン様は僕に振り向いてくれなくて、使い魔の竜を操りそのまま空に飛んでいく。
「お、オーフィザン様……?」
呼びかけたら、オーフィザン様は僕に向かって手を伸ばす。そしたら、僕の首に首輪が現れた。いつも僕がつけている首輪じゃなくて、大きな鈴がついているお仕置き用の首輪だ! どうしようっ……!! オーフィザン様、すっごく怒ってるんだ!! な、なんで!?
僕を連れてオーフィザン様は旅館に戻ると、窓から僕らの部屋の中に入っていく。
「あ、あの……お、オーフィザン様!??」
「ここで待っていろ」
「へっ!? あ、は、はい!! えっと……でも……」
僕がおろおろしている間に、オーフィザン様は、部屋から廊下に出る襖を開けて、僕に振り向いた。
「絶対にここを動くなよ」
オーフィザン様はそう言って、一度は襖から出ていくけど、すぐにまた襖が開いて、顔を出した。そして、僕を睨みつける。
「絶対に動くなよ」
「ふぇっ!?」
びっくりする僕に、オーフィザン様はもう一回動くなと言って、部屋から出ていってしまった。
ど、どどどど、どうしようーー!! オーフィザン様がめちゃくちゃ怒ってる!!
なんで!? 僕、今回はほとんどドジしてないよ!?
お饅頭ボロボロにしちゃったし、何度かオーフィザン様を怒らせちゃったけど、何かが爆発したり壊れたり、周りが猫じゃらしまみれになったりもしてない。今日はいっぱい頑張って、ドジしないでいられたと思っていたのに!
どうしよう……なんでオーフィザン様、あんなに怒っているんだろう。僕、オーフィザン様にそんなに悪いことしちゃったの??
猫カフェにいた時は、オーフィザン様、楽しそうにしてた。あ、だけど、あの時もオーフィザン様に後でお仕置きって言われてる。僕が猫さんたちにもみくちゃにされて、それを見たオーフィザン様が妬いちゃったんだ。
じゃあオーフィザン様、そのことを怒ってるのかな?? オーフィザン様にやきもち妬かせちゃったから。僕の体はオーフィザン様のものなんだから、他の人に触らせちゃダメだったのかも……でも猫さんなのに?! 猫さんもダメなのかな……??
そうじゃなくてもしかしたら、僕がお城に行った時に、貴族の人たちに失礼なことをしちゃったのかも!! セリューをいつも怒らせちゃう僕は、やっぱりあの時みんなを怒らせちゃってて、それでオーフィザン様も怒ってるのかもしれない。だって、キョテルさん以外、すっごく怒ってたから! あれ? でも、あの時みんなを怒らせたのは、オーフィザン様なのに??
僕も何か大変なことをしてたのかな……もしかしたら、それでオーフィザン様は怒っているのかもしれない。
うう……よく分かんないけど、それならちゃんとごめんなさいって言いたい!!
僕も部屋を飛び出した。
廊下に出たら、ちょうど歩いてきた仲居さんとぶつかっちゃう。
「ふわあああっ!!」
「わあああっっ!! お、お客さまっ!??」
尻餅をついちゃった僕に、仲居さんはすぐに手を貸してくれる。
うう……早速ドジしちゃった。だってこれまでドジしなかったの、オーフィザン様がそばにいてくれたからだもん。そうじゃなかったら、絶対僕、ドジしちゃってたもん。
「ごめんなさい……あ、ありがとうございます! あの……オーフィザン様、知りませんか!?」
「オーフィザン様? ああ、さっき、庭の方に……」
「ありがとうございます!」
お礼を言って、庭に走る。
ここにいろって言われたって、あんな顔してるオーフィザン様、放っておけないもん!! 僕、オーフィザン様と一緒にいたいもん!
廊下を走っていたら、庭の池のそばに、オーフィザン様が立っているのを見つけた。
僕は、窓から飛び出して、オーフィザン様に飛びついた。
「お、オーフィザン様!!」
「クラジュ!?」
突然僕が飛びついてきて、オーフィザン様はびっくりしたみたい。すぐに振り向いてくれた。
「ぼ、僕が何かしてしまったのなら、話してください!! 僕、き、今日はいっぱい頑張って……オーフィザン様とデートできるように頑張ったのに……失敗しちゃって……僕……」
「クラジュ……」
オーフィザン様が呟いて、僕をぎゅうって抱きしめてくれる。お、怒ってたんじゃないのかな……? それなのに、オーフィザン様の抱きしめ方はすごく優しい。
見上げようとした僕だけど、僕の体が急に縮み出した!! 体があったかい光に包まれて、頭がくすぐったい。ぴょこんって猫の耳が生えたかと思えば、僕の体は本当に猫になっちゃう。
「ふええええ!? お、オーフィザン様!??」
慌てる僕の首の鈴がチリンって鳴る。ヒゲがピクって動いて、尻尾がピンって立ってる。手には丸くて柔らかい肉球。
本当に猫だ……僕、よく「バカ猫ーー!」って言われてるけど、本当に猫になるのは初めてだよ!!
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