【本編完結】ネコの慰み者が恋に悩んで昼寝する話

迷路を跳ぶ狐

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番外編3.ずっとここにいたい

86.怒らせた?

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 僕は、ダンドに励まされながら歩いて、書庫まで来た。

 僕、こんなところ来たの、初めて。僕は本を読むことはほとんどないし、本に僕が近づくと、いつの間にかボロボロになっていることが多いから、なるべく本には近づきたくない。

 それを知っているダンドは、「じゃあ、待ってて」と言って、中に入って行く。

 中にセリュー、いるのかな? そう思ったら落ち着かない。ダンドはセリューが怖くないのかな?

 しばらくダンドが出てくるのを待っていると、後ろから急に声をかけられた。

「なにをしている?」
「オーフィザン様!?」

 そこに立っていたのは、寝所を出て行った時のままのオーフィザン様だった。

 やったあ! オーフィザン様に会えた!! だけど……あれ? オーフィザン様、なんだか、機嫌悪い? 怖い顔をしている。なんで? や、やっぱり、オーフィザン様にいただいた服を破いたこと、バレてるの?

「おい……何をしていたのか聞いているんだ。答えろ」
「あ……ぼ、僕は……オーフィザン様を探していました。オーフィザン様こそ、なんで……」
「俺はセリューに頼んだ本を受け取りに来た。昼間は部屋にいろと言っただろう」
「……ごめんなさい……」

 うううー……いきなり怒られた……どうしよう……僕、これから謝らなきゃいけないこと、たくさんあるのに。

 い、言わなきゃ……でもやっぱり怖くて言えないー!!

 悩む僕の服を、オーフィザン様は乱暴につかむ。おかげで、さっき兄ちゃんにとめてもらったボタンがまた外れちゃった。

「お……オーフィザン……様……?」
「悪い猫だ。俺のものだという自覚はあるのか?」
「え? え? あ、あります……」
「そうは思えんな。こんな姿で城を歩いて来やがって……」

 こんな姿って…………あ、や、やっぱり服のこと、バレてるんだ!!
 どうしようー!! 早く謝らなきゃ!! だけど怖い! く、口が開かない……くっついちゃったみたい。

 オロオロする僕が、話す勇気を出す前に、オーフィザン様は僕を壁際に突き飛ばす。

 うううー! 怒ってる……怖い……

「お、オーフィザン……様……」
「俺以外の奴の前で肌を晒すな」
「え?」
「……自分がどれだけ淫らな格好をしているのか、気づいていないのか?」

 み、淫ら? あ……も、もしかして、メイド服で歩いてきたから怒ってるの?

 確かに、この服で城の中を歩くなって言われた。だけど、これだってオーフィザン様が着ろって言った服なんだから、そんなに怒らなくても……

 オーフィザン様は、僕がダンドに借りたシャツを乱暴に剥ぎ取ってしまう。うー……どうしよう……

「お、オーフィザン様……? もしかして……その……ぼ、ぼ、僕が……ダンドに服を借りたことを怒ってるんですか?」
「……見てみろ」

 オーフィザン様は、僕のスカートをたくし上げる。

 え、え、なに? なんでこんなところでスカートめくるの!?

 え、え……わー!! なにこれ!!

 自分が着ているメイド服がどんなものかは知っているけど、スカートが破れてますます肌が出ているし、服から出ている肌には、あちこち赤い跡がついてる。

 これ……昨日オーフィザン様に抱かれた時につけられたキスマークだ。うそ……こんなの、恥ずかしすぎだよ!!

 顔がカイロになっちゃったみたいに熱い……もう涙目になっちゃう。

 それなのに、頭の上からは、オーフィザン様の意地悪な声が聞こえてくる。

「お前が俺の下で喘いでいた証拠だ」
「う……あ、あ……」

 ううう……僕、これ、ずっとつけて歩いてたんだよね……ペロケも、シーニュも、兄ちゃんも、ダンドにも……みんなに見られちゃったんだ。

 そういえばみんな、僕の格好のこと注意してた。ダンドがシャツを貸してくれたのも、そういうことだったんだ。

 みんなに見られた!! ううううーー!! 恥ずかしいよ……

 恥ずかしくてたまらないのに、オーフィザン様は、僕のスカートを離してくれない。見たくないのに……

「……や、やめてください……」
「言いつけを守らなかった罰だ」
「う……う……」

 そんな……じゃあ、僕、このままされるしかないの? だって、ここ廊下なのに……

「は、離してください……やだ!!」

 オーフィザン様が僕のシャツのボタンを一つ、二つと、僕に見せつけるようにして外していく。もう自分がされていることなんて、見たくもないのに、オーフィザン様は意地悪なことばっかり言う。

「クラジュ、ちゃんと見ていろ。さもないと、全てここで脱がすぞ」
「う、うううー……」

 オーフィザン様、いつもより意地悪度が増してる! 本気で怒ってるんだ!! どうしよう……自分が脱がされるところなんて、見たくない。だけど言われた通りにしないと、裸にされちゃう!!

 というかもう、服は肩からかかっているだけで、ほとんど裸だ。こんなに怒らなくてもいいのに、オーフィザン様は僕の露わになった胸に、ゆっくり掌を這わせる。

「や、やだ……オーフィザン様……許してください……」
「あれだけ言ったのに、言いつけを破ったんだ。簡単に許してはやらないぞ」
「う!!」

 い、痛いよ……首に強くキスされて、痛い……それなのに、キスされたら気持ちいい。

 ズキッと痛んだ首筋から唇が離れる。そこには僕の体にあるものより真っ赤なあとが残っていた。

 その後も、オーフィザン様は僕を許してくれない。いっぱいキスされちゃう。敏感なところがビクビクしてる。

「や、やめてください……うう!!」

 オーフィザン様、聞いてないー!!

 ついに股間にまで、手が伸びてくる。なんでそんなとこ触るの!?

 怖くて、その手から逃げようとするけど、オーフィザン様に捕まって、手首を壁に押し当てられてしまう。

 逃げられないまま、いやらしく感じるところを揉まれて、結局、腰を振ってしまう。そこだけが熱くなって、体から力が抜けていく。

「あ、あう……あうう……や、やめて……」

 もう立っていられない。足に力が入らなくなっているのに、オーフィザン様は僕の手首を掴んで頭の上に上げて、無理やり立たせる。せめて逃げるくらい自由にさせてくれればいいのに。

 僕は涙を流しながら、快楽に耐え続けた。

 やだ……触られているところ、熱くなってきた。こんなところで出せないのに!!

「やめて……ひゃああん!! やだあ……お願い……します…………ひゃ!!」

 僕は苦しくてボロボロ泣いているのに、オーフィザン様は、僕の首筋に何度も痛いキスをしてくる。勃ちあがり震えているものまで弄ばれて、もう限界だ。

 ついに快楽に負けた僕は、いっぱい我慢していたものを先から溢れさせた。噴き出た白いものが、オーフィザン様の手を汚し、ボロボロになったスカートの間からダラダラ流れ落ちてくる。

「う……う……ひ、ひどいよお……」

 こんなんじゃ、もうお城の中を歩けないよ……あんまりだ。

 僕が泣いているのに、オーフィザン様は意地悪そうに笑っている。

「これで、無断で城を歩けないだろう? もっといやらしくしてやろうか?」
「い、いや……やだあ……」

 無理……もう……怖くて恥ずかしくて、逃げたいのに、体に力が入らない。

 だけど、ふらふらの僕の耳に、力強い声が飛び込んできた。

「オーフィザン様! なにしてるんですか!? クラジュをいじめないでください!!」

 オーフィザン様を怒鳴りつけながら書庫から出てきたのはダンドだ。彼を見て、オーフィザン様はあからさまに嫌そうな顔をした。

「口うるさい奴が来たな……ダンド……なぜお前までここにいる?」
「オーフィザン様がいけないんです。クラジュに曖昧な態度とるから。クラジュ、心配になってオーフィザン様を探していたんですよ」
「心配? なにがだ?」
「それはクラジュに聞いてください」

 そう言われて、オーフィザン様は僕を見下ろす。

「なんだ?」

 なんだって聞かれても……なんでそんなに近くで話すの!? あと少しで、僕のおでこにオーフィザン様の唇が触れそうなくらいそばで聞かれて、ドキドキしてなにも考えられない。

「う、う……」
「どうした? 早く話してみろ。さもないとここで犯すぞ」
「ひっ……」

 こんなところで!? ダンドがいるのに……

 怯えてなにも言えないでいると、さっきの叱ってあげるっていう言葉は本気だったみたいで、ダンドはまたオーフィザン様を怒鳴りつける。

「オーフィザン様! 離れてください! それじゃクラジュが話せないでしょう!!」
「その口うるさいところはなんとかならないのか……」

 ブツブツ言いながらも、オーフィザン様は僕から離れてくれた。

 うわああん……助かった……ダンド……優しい……すごく頼もしく見える……

 だけど、そんな風にダンドを見ていたことがバレたのか、オーフィザン様は僕をひきよせ、彼から遠ざけるように背後に隠した。

「おい……これは俺のものだ。誘惑するな」
「オーフィザン様がクラジュをいじめるから悪いんです。クラジュが大人しくしてるからっていい気になって!!」
「こいつがいつ大人しくした? だいたい、言いつけを守らなかったのはクラジュの方だ」
「それだって、オーフィザン様がクラジュを不安にさせるからです。部屋に帰ったらクラジュの話をちゃんと聞いてあげてくださいね。いじめずに」
「……分かった分かった……行くぞ。クラジュ」

 ついに面倒になったのか、オーフィザン様は僕を抱っこして歩き出す。うー……部屋、行きたくない……
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