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一章
7.嫌だぞそんなの!
しおりを挟む色々あったけど、何とか食事の準備ができて、俺とフィアデスは、食事を始めた。
今日の食事は、俺が大量に焼いたキノコ。皿はないから、フライパンから直接フォークで刺して食べることにした。
呆れていたフィアデスも、なんだかんだ言って腹が減っていたらしい。焼けたキノコを、次々フォークで刺しては、口の中に放り込んでる。
「お前……そんなんで、本当に廃墟の街にたどり着けると思っていたのか?」
「この先の森を抜けた先だってことは知ってる。生きて歩いていけば着くだろ」
「バーカ……呆れるわ……」
「人をバカバカ言うんじゃねえよ!! お前のこと、領主様に報告したからな!! い、今はこうして仲良く飯食ってやってるけど、領主様に拘束しろって言われたら、俺はお前を拘束する。覚悟しておけよ……いた!!」
こんっと、俺の頭に何かがぶつかった。それは鳥の形をした石で、羽を羽ばたかせている。領主様の城からの使い魔だ!! きっと、指示を持ってきてくれたんだ!!
「見ろ。領主様からのお返事だ。お前……覚悟はいいか?」
聞いているうちに鳥は一枚の紙に姿を変える。するとそこには「いいから任務を達成しろ」と、一言だけ書いてあった。それ以外は何もない。
「…………え? い、いいからって……え?」
ポカンとする俺。え? 伝令、これだけ?? も、もうちょっと……なんかあっても良くないか!? というか、フィアデスのことはどうすればいいんだ??
呆然とする俺の前で、フィアデスが噴き出している。
「バーカ。いい加減気づけよ。捨てられたんだよ。お前」
「そ、そんなはずないだろ!! ら、ランファルジさんが言ったんだ!! 任務さえ達成すれば、俺の無実を信じるって……」
「それにしては、何も支援がねえなぁ?」
「……それは……」
「ついでに、廃墟の街の場所すら知らねえ。任務を達成させようとしているようには思えねえな」
「……」
そんなこと言われると……本当にそんな気がしてくる……
俺は、首を横に振って、立ち上がった。
「あーー!! うるせーーっっ!! これは任務なんだよ!! お前は俺を廃墟の街に案内しろ!!! こうなったら、何が何でも任務達成して帰ってやる!!」
「……うるっせえな……そんなに行きたきゃつれてってやるよ」
「ほ、本当か!?」
「俺だって、てめえを放っておくわけには行かねえ。コソコソ裏口から入ってこられて、バティラート様のものを盗まれたんじゃたまんねえからな」
「バティラート様?」
「……バルデステイラート様。てめえがこれから会いに行く、廃墟の魔法使いだよ。いいか、あの方は、城からひでぇ扱いを受けたせいで、てめえらに不信感を持ってる。てめえみてえな情けねえ奴がノコノコ出て行っても、盗みの疑いをかけられて拷問されて死ぬだけだ」
「は!!?? なんでだよ!」
「あの城の物を先に勝手に持っていきやがったのはてめえらだろうが!!! 覚悟しとけよ」
「お、おいっ……! 待てよ!! 俺は何も盗む気なんかねえぞ!」
「あの方はそんなこと信じねえ。拷問されて、終わりだ」
「ごっ……じ、冗談だろ!? じゃあどうやったら信じてもらえんだよ!? 俺はただ、任務でリストのものを借りに行くだけだ!」
「どうやったって信じてもらえねえよ。残念だったな。諦めろ」
「はあーーー!!?」
フィアデスはニコニコしながら「死んだら墓くらい作ってやる」なんて言ってる。冗談じゃねえ! 嫌だぞ! そんなの!!
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