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2章
35話 自由
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はっと飛び起き、ひどく明るい景色にまず驚く。それから、改めて周りを見回し、ここがどこかを確認する。壁をぎっしりと埋める棚と、その棚をまたぎっしりと埋める画材やカンバスの数々。その、見慣れたアトリエの底で、漣は、半月ほど前に持ち込んだ折り畳み用マットレスにごろりと身を横たえている。
何となしに、壁にかけた時計で時間を確かめる。窓のない部屋では外の光で昼夜を判断できないのでデジタル時計を掛けている。その壁時計で時間を確認すると、午前六時を少し超えた頃。どうやら昨晩、ちょっと仮眠のつもりで横になったのが、意外とがっつり寝てしまったようだ。
それにしても、と、漣は寝起きで重い頭を振りながら思う。
また……ひどい夢を見てしまった。
具体的な内容は、相変わらず何も残っていない。ただ、嫌な夢を見た、という実感だけが、肺に染みついた煙草のヤニのように身体の奥にべったりとへばりついている。やけにうるさい鼓動。それが脈打つたびに、ずきずきとこめかみが痛む。
とりあえず身を起こし、バスルームに向かう。寝汗を吸って湿った衣類を洗濯機に放り込み、洗剤を入れて回す。そうして洗濯と乾燥を待つ間、漣はシャワーを浴びる。指どころか手のひらにも飛び散った油絵具を念入りに落とすが、それでも肌の奥に入り込んだ絵具はいくら擦っても取れない。肌色を下地に、さまざまな色彩がうっすらと滲む肌。自分の手だ、と、不意に漣は思う。毛穴の奥にまでテレピンの臭いが染み込んだ身体も――小奇麗なキャンパスの窓で、所在なくこちらを眺める見知らぬ男は、もう、どこにもいない。
ひとしきり身体を洗い終えた後で、そういえば今日はフリマだったことを思い出し、慌てて髭をあたる。顎周りがすっきりしたところで、シャワーと着替えを終えてキッチンに戻り、牛乳とカロリーメイトでさっさと朝食を済ませる。そういえばここ数日、カロリーメイトと牛乳で三食を済ませている。さすがに不健康かな。でも、まぁいいか。どうせ長生きなんてするつもりはないし。
とりあえず日課である荷物の回収を済ませ、体育館へ。今回は大物の出品予定が多いとのことで、フリマは体育館の方で開催されるらしい。行ってみると、すでにスタッフと思しき数名の住人が、計画書と思しきものの読み合わせをしていた。その輪の中に見知った顔を見つけた漣は、読み合わせが終わったタイミングで声をかける。
「おはようございます。あの、何か手伝う事ってあります?」
すると瑠香は、一瞬、漣を視界の隅でちらりと一瞥すると「ううん、とくに」と、薄く笑いながら足早にどこかに消えてゆく。これは……避けられたのだろうか。でも、どうして? ひょっとしてまた、何か地雷を踏み抜いてしまったとか? そう漣が訝しむ間にも、瑠香は別のスタッフと思しき男性と話を始める。何にせよ今は忙しそうだ。なら、詳しい話は後でやろう。
そうこうするうちに、体育館に続々と住人が集まってくる。中には、今まで見たこともない顔も紛れていて、こんな人もいたんだな、と、今更のように漣は驚く。ここで生活を始めて、もう二ヶ月近くが経つが、その間、顔も名前も知らない人間と同じ棟に住んでいたのかと思うと、少し不気味な気持ちになる。
だが、それを言えばここに入る前も、素性の知らない人間たちと毎日同じ電車に乗り合わせていたのだ。それを踏まえると、社会で生きることの本質は、そうした未知とのある種無神経な共存、と言えるのかもしれない。
その後、手近なスタッフに指示を受けながら、漣は設営の手伝いをこなしていった。ただでさえ貴重な男手にかかる声は多く、実際、多くの力仕事を任された。入口に看板をかけ、間仕切り用のパネルを倉庫と往復しながら何枚も運び入れる。そこに、展示予定の参加者たちが続々と作品を搬入してくる。
それを瑠香は、さくさくと手際よくスペースに誘導する。いきいきしている、というより、何かに追い立てられているようにも見える。やはり、何か辛いことでもあったのだろうか――
「……死ねば、いいのに」
つい口にした言葉に、漣ははっとなり、そして焦る。
何だ、今の。死ねばいいだなんて――こんなの、呼吸みたいにさらりと垂れ流していい言葉じゃない。瑠香の態度も妙だが、漣も漣で何かがおかしい。今日は声をかけるのをやめておこう。
その間も、作品は続々と搬入されてゆく。
作品は、いずれも小物は箱に、彫刻などの大物や絵画はカバーがかけられた状態で運び込まれる。カバーには、それぞれ運営が配布したタグが貼られている。1から5までのアラビア数字が記されたそれは、事前にキュレーターの鑑定により定められた鑑賞レベルを示す。小物は箱に入れたままフロア中央で陳列するが、彫刻や絵画などは、鑑賞レベルごとに仕切ったエリア内にそれぞれ並べる仕組みだ。
実は漣も、今回は一点だけ出品を許可されている。事前の鑑定によると、鑑賞レベルは5。ただ、漣自身はその鑑賞用スペースに入ることができないので、審美眼の高いスタッフに陳列は頼むことにした。
「じゃあ、山崎さん、お願いします」
すると山崎は、プロレスラーじみたゴツい見た目とは裏腹に愛らしい仕草で片目をつむる。彼の専門はガラス工芸。繊細な作品とは裏腹に、重い工具や竿を多く用いるガラス工芸では、自然と筋肉が育ってしまうらしい。そうでなくとも、高温の窯の前で長時間作業をするスタイルは、余程の情熱がなければもたないだろう。
そんな彼のギフトは〝忘却〟。触れた作品を割ってしまうと、記憶の一部をなくしてしまうらしい。
「りょーかい。ははっ、漣くんも早く5を取りなよ」
ばん、と平手で背中を叩かれ、思わずつんのめる。毎日、朝から晩まで重い吹き竿を扱う彼の手に叩かれると、男性の中でもそれなりに大柄な漣も簡単に吹っ飛んでしまう。
「あはは……はい、頑張ります」
そうしてついに、準備が整う。
「では、えーと、これより第八十九回フリーマーケットを開催しますっ!」
そう、主催者と思しき男性が声を張ると、どこからともなく拍手が響きはじめる。それはやがて万雷の響きとなり、独特の一体感でフロアを包んだ。いいなぁ、この感じ。
さっそく漣は鑑賞のためにフロアを回りはじめる。実は先週のテストで、漣は一気に4まで鑑賞レベルを上げていた。残念ながら嶋野に宣言した5は無理だったが、それでも施設内では異例の合格だったらしい。
改めて見ると、じつに多種多様な才能に溢れているのだと思う。
油彩画、水彩画、彫刻、工芸、ガラス、鋳物、焼き物、それに織物……美術品に限らない。例えば楽曲や歌でもギフトを付与されるアーティストはいる。海外の支部には、料理やダンスのギフテッドもいるそうだ。そして、その誰もが、外では決してお目にかからない突き抜けたセンスの持ち主なのだった。例えば中井の作る焼き物は、見つめているだけで心が吸い込まれてしまう。手捻り特有の柔らかなフォルムのせいか、それとも水のように淡く繊細な釉薬のせいか。発動条件は作品に触れること。だが、彼の作品はただ見ているだけで、心が、どこか深い山奥へと飛んでしまう。この釉薬の色と同じ澄んだ水をたたえる清浄な沢へと。
ほかにも、雨の山を描いた水墨画ではむせるような湿気を感じ、『白鳥』と題した、鉄板を折り曲げただけの工芸アートには、本当に、空へと飛翔する白鳥の羽ばたきが見えた。
すごい。
すごいすごいすごい、すごい!
こんなにもたくさんの〝美しい〟が存在するなんて。それが存在するこの世界も、ああ、なんて――
「す……ごいですね、これ!」
4のパーティション内に展示された水墨画を前に、思わず感動をぶちまける。すると、ちょうど別の住人との会話を終えた作者が、こちらを振り返り、ニッと笑う。
地毛と思しき金髪に、オリーブ色の瞳。どう見ても欧米系の風貌の彼は、実は元アメリカ人で、日本で活動中にギフテッドとして発見され、その後、わざわざ日本支部の施設に入るためだけに日本国籍を取ったらしい。日本の軟水と程よい湿度が、彼の表現にはどうしても必要だったそうだ。
「この、空気感……長谷川等伯の『松林図屏風』を思わせますね」
すると作者、もといロイド=カーペンターは「おお、わかるか」と、やけに隙間の多い前歯を見せる。極端に痩せた身体と、雑にまとめた伸び晒しの髪は、ぱっと見は京都の禅寺あたりに悟りにきたバックパッカーに見えなくもない。
「そう、俺は等伯を誰よりもリスペクトしている。独特な空間構成がもたらすミステリアスな世界観。墨の濃淡がもたらす空気感と奥行き。彼のアートは、画面の外にも奥にも無限の広がりを持つ。まさに東洋的な美の体現だ」
そしてカーペンターは「よくわかったな」とまた笑う。
「ええ。勉強しましたから……審美眼を上げるために」
実際、筆記のテストでは水墨画に関する知識も問われた。各派の画風や来歴、アーティストごとの特徴も。そんな知識がギフトの効果に抗うのに何の役に立つのかと、正直に言えば、今日までは思っていた。が、実際に住人たちのアートを見てまわり、ようやく漣は実感する。実際、これはとても有効だ。例えばカーペンターの水墨画にしても、ただ「綺麗だ」と受け取るのと、「等伯の清澄な空気感に、ターナーの濁ったロンドンのそれを意欲的に取り込もうとした」と理解するのとでは、小さいが、しかし決定的な違いがある。
その小さな違いが、ギフトをただの鑑賞物にしてしまう。
このアートにはそういうギフトがあるのだと、鑑賞者に理解させるのだ。そしてそれが、この協会で言うところの、鑑賞する、ということ。
「〝憂鬱〟でしたっけ、カーペンターさんのギフトは」
「そう。審美眼を持たずに見ると、普通の人間は丸一日動けなくなっちまう。効きすぎるとそのまま鬱病コース。なのに、見たいって奴は後を絶たなかった。まぁ、クスリでもキメる感覚だったんだろ」
そしてカーペンターは、酸っぱい梅干しでも齧ったような顔をする。どうやら彼は、ギフト目的に自分のアートを道具のように使われるのは嫌なタイプらしい。自ら道具のように駆使する嶋野とは対照的だ。
「ところで、さっき君のアートも見てきたんだが」
「えっ……そう、なんすか」
「ああ。あれはキュビズムか。そこに日本のポップアートのニュアンスを取り込んで、今世紀らしいクールな表現に仕上げている。いいね、俺は好きだよ」
その言葉に、漣はみぞおちのあたりが少し暖かくなる。ただ……あの絵を見たのだとしたら、心配なことが一つ。
「あの、体調の方は、大丈夫ですか」
するとカーペンターは、なぜか急に首を押さえ、ぐええ、と呻きはじめる。ただ、顔色の方はチアノーゼを示していないので、ああ、これはジョークだなと眺めていると、不意にカーペンターは真顔に戻り、「忘れてた、日本人にジョークは通じないんだ」と呆れ顔でぼやいた。
「まぁ平気だよ。わかったからね。こいつを見たら死ぬってのが」
その後も漣は鑑賞を続け、その合間に、漣の作品を見たという住人から感想を貰った。見ると、会場のあちこちでそんなやり取りが行なわれていて、新作のお披露目がメインのイベントなのだなと改めて漣は思う。実際、ほとんどの作品は開場前から譲渡先が決まっているらしく、交渉の話はまったく聞こえてこない。かくいう漣も、今回の新作は嶋野に譲るつもりで描いたのだ。
それでも、誰かに譲る前に他の住人たちに見てもらうのは悪くない、と漣は思う。誰かの部屋に収蔵されたら、自由な鑑賞は難しくなる。ここの住人は自室に他人を上げたがらない。嶋野のようにいろんな鑑賞レベルの作品を収集するせいだったり、単に部屋が散らかっているせいだったり。
だからこうして、自由に新作を鑑賞できるイベントはありがたい。それまで知らなかった住人の作品にも触れることができるから。……楽しいな、と、漣は思う。誰かのアートを見るのも、逆に自分のアートを見てもらうのも――そうして感想を貰うのも、楽しい。すごく、すごく楽しい。
てっきり窮屈な場所だと思っていた。でもここは、外の世界よりもずっと自由だ。
それは、きちんと線引きがなされているから。協会によってギフテッドが保護され、そうでない人達との間にきっちりと線が引かれている。だからギフテッドも安心して創作ができる。そうでない人々も、ギフトの害に怯える必要がない。
守られた二つの世界を無理に混ぜ合わせれば、待つのは双方にとっての不幸だけだ。その意味で、瑠香には辛い措置だったろうが、やはり嶋野は間違っていなかった。
3のパーティションに入ると、真ん中に二メートル近くはある巨大な木彫りの彫像が堂々と鎮座していた。傍目には立ち上る炎に見えるそれをじっと眺めていると、不意にそれが「よう」と声を発する。
「うぇ!?」
「何がうえ、だよバーカ」
そう、彫像の影から顔を覗かせたのは三原で、相変わらず不機嫌そうに漣を睨みつけてくる。
「あ、どうも……ひょっとしてこれ、三原さんの作品ですか」
「ああ。久しぶりに仏像を彫ってみた。どうよ!」
「……仏像?」
これが? と、改めて見上げてみる。相変わらずその全体は、有機物的なうねりに覆われ、仏像以前に人体らしきものを見出すことすら不可能だ。
「ああ。今回はちょっと新しいことに試してみたくてな。そういう時は、むしろ馴染んだモチーフに立ち返った方がいいんだ。仏像なら目ぇつぶっても彫れるぐらい馴染んでるからな」
「え、三原さん、仏師だったんすか」
すると三原は、しまったと言いたげに顔をしかめる。これは、自分のことをバラしたくない相手に、ついバラしてしまった人間の顔だ。
「あ、ああ、まぁな……ここに来る前は結構売れてて、専門誌にも載ってたんだぜ。まぁ、おかげで協会に見つかっちまったんだけど……いや、あたしのことはどうだっていいんだよ。今回やりたかったのは、鑑賞者の脳内、いや、心の中で完成するアートだな。鑑賞者が持つ仏性と呼応して生まれる感情だとか悟り、インスピレーションこそが作品、っていうか……」
そう、漣の前で珍しく長々と語る三原は、何となく照れているようにも見える。普段の彼女は瑠香のボディガード。そして今は、一人のアーティスト、ということだろう。魂の一部を曝け出し、批評に身構えたり、感想を待ち望んだり、そんな。
改めて、彼女の言う〝仏像〟を見上げる。相変わらずそれは、燃え上がる巨大なキャンプファイヤーにしか見えない。ただ、しばらくじっと眺めていると、何となく、その中に奇妙な表情が見えてくる。慈悲と無関心とを兼ね備えた、美しい容貌の男――
「お前、あれから何か瑠香と話したのか」
「えっ?」
振り返ると、三原がじっと漣を見上げている。非難、というより、純粋に訝る目。
「いえ、何も……」
「本当か?」
「えっ、ええ、はい。――瑠香さんが、どうしたんですか」
何となく嫌な予感を噛み締めつつ問えば、三原は拍子抜け、と言いたげに小さく溜息をつく。
「あいつ、今回、作品出してねぇだろ」
「えっ? ……そういえば」
言われてみれば。今日、彼女はスタッフとして立ち働くか、さもなければ他の住人の作品を鑑賞して回るだけで、自分のスペースで作品を展示するそぶりは一度も見せなかった。
「でも、作って……ましたよね?」
そう、三原から端材を貰い、それをせっせと彫っていたはずだ。ほとんど毎日、部屋に籠って――
「燃やしちまったんだよ。全部。庭で」
「えっ!?」
思いがけない言葉に漣は面食らう。燃やした? 自分の作品を? ……アーティストにとって、作品は自分の一部も同然じゃないか。
「ど……うして、」
「知るかよ。ただ、気に食わないから燃やしたって……自分の作品を燃やすなんてさ、あたしらにしてみりゃ自殺みたいなもんだよ。だから……まぁ、お前にフラれるとかしたんじゃねぇかなって」
「えっ? ……何で俺が瑠香さんを振らなきゃいけないんですか」
「あいつがお前に惚れてるからに決まってんだろ!」
叩きつけるように三原は怒鳴る。声に驚いた周囲の住人が、迷惑そうに、あるいは面白そうに振り返る。が、漣には、そんな周囲の視線を意識する余裕はなかった。
惚れている? 俺に? ……瑠香さんが?
「まぁ……お前絡みじゃねぇってんならもういいわ。忘れてくれ」
「え、いや、忘れられませんよ。俺は、あの人に助けられました。あの人が辛い思いをしているのなら、今度は俺が――」
「半端なこと言ってんじゃねぇよ! お前、キュレーターになるんだろ? あいつが引き留めるのも聞かずによ! だったらもう、あいつに関わるんじゃねぇよ! どのみちお前はあいつを悲しませちまう! 関わったところで、あいつが余計に苦しむだけなんだよ!」
「――っ」
何も。
何一つ、漣には言い返す言葉がなかった。確かに……すでに漣は選んでしまっている。キュレーターの道を。瑠香の願いを振り捨てる道を。
呆然となる漣に、さらに三原は告げる。突き放すような、でもどこか、縋るような声色だった。
「お前らは、最初から出会うべきじゃなかった。だから……もう、あいつに関わらないでやってくれ。頼む」
何となしに、壁にかけた時計で時間を確かめる。窓のない部屋では外の光で昼夜を判断できないのでデジタル時計を掛けている。その壁時計で時間を確認すると、午前六時を少し超えた頃。どうやら昨晩、ちょっと仮眠のつもりで横になったのが、意外とがっつり寝てしまったようだ。
それにしても、と、漣は寝起きで重い頭を振りながら思う。
また……ひどい夢を見てしまった。
具体的な内容は、相変わらず何も残っていない。ただ、嫌な夢を見た、という実感だけが、肺に染みついた煙草のヤニのように身体の奥にべったりとへばりついている。やけにうるさい鼓動。それが脈打つたびに、ずきずきとこめかみが痛む。
とりあえず身を起こし、バスルームに向かう。寝汗を吸って湿った衣類を洗濯機に放り込み、洗剤を入れて回す。そうして洗濯と乾燥を待つ間、漣はシャワーを浴びる。指どころか手のひらにも飛び散った油絵具を念入りに落とすが、それでも肌の奥に入り込んだ絵具はいくら擦っても取れない。肌色を下地に、さまざまな色彩がうっすらと滲む肌。自分の手だ、と、不意に漣は思う。毛穴の奥にまでテレピンの臭いが染み込んだ身体も――小奇麗なキャンパスの窓で、所在なくこちらを眺める見知らぬ男は、もう、どこにもいない。
ひとしきり身体を洗い終えた後で、そういえば今日はフリマだったことを思い出し、慌てて髭をあたる。顎周りがすっきりしたところで、シャワーと着替えを終えてキッチンに戻り、牛乳とカロリーメイトでさっさと朝食を済ませる。そういえばここ数日、カロリーメイトと牛乳で三食を済ませている。さすがに不健康かな。でも、まぁいいか。どうせ長生きなんてするつもりはないし。
とりあえず日課である荷物の回収を済ませ、体育館へ。今回は大物の出品予定が多いとのことで、フリマは体育館の方で開催されるらしい。行ってみると、すでにスタッフと思しき数名の住人が、計画書と思しきものの読み合わせをしていた。その輪の中に見知った顔を見つけた漣は、読み合わせが終わったタイミングで声をかける。
「おはようございます。あの、何か手伝う事ってあります?」
すると瑠香は、一瞬、漣を視界の隅でちらりと一瞥すると「ううん、とくに」と、薄く笑いながら足早にどこかに消えてゆく。これは……避けられたのだろうか。でも、どうして? ひょっとしてまた、何か地雷を踏み抜いてしまったとか? そう漣が訝しむ間にも、瑠香は別のスタッフと思しき男性と話を始める。何にせよ今は忙しそうだ。なら、詳しい話は後でやろう。
そうこうするうちに、体育館に続々と住人が集まってくる。中には、今まで見たこともない顔も紛れていて、こんな人もいたんだな、と、今更のように漣は驚く。ここで生活を始めて、もう二ヶ月近くが経つが、その間、顔も名前も知らない人間と同じ棟に住んでいたのかと思うと、少し不気味な気持ちになる。
だが、それを言えばここに入る前も、素性の知らない人間たちと毎日同じ電車に乗り合わせていたのだ。それを踏まえると、社会で生きることの本質は、そうした未知とのある種無神経な共存、と言えるのかもしれない。
その後、手近なスタッフに指示を受けながら、漣は設営の手伝いをこなしていった。ただでさえ貴重な男手にかかる声は多く、実際、多くの力仕事を任された。入口に看板をかけ、間仕切り用のパネルを倉庫と往復しながら何枚も運び入れる。そこに、展示予定の参加者たちが続々と作品を搬入してくる。
それを瑠香は、さくさくと手際よくスペースに誘導する。いきいきしている、というより、何かに追い立てられているようにも見える。やはり、何か辛いことでもあったのだろうか――
「……死ねば、いいのに」
つい口にした言葉に、漣ははっとなり、そして焦る。
何だ、今の。死ねばいいだなんて――こんなの、呼吸みたいにさらりと垂れ流していい言葉じゃない。瑠香の態度も妙だが、漣も漣で何かがおかしい。今日は声をかけるのをやめておこう。
その間も、作品は続々と搬入されてゆく。
作品は、いずれも小物は箱に、彫刻などの大物や絵画はカバーがかけられた状態で運び込まれる。カバーには、それぞれ運営が配布したタグが貼られている。1から5までのアラビア数字が記されたそれは、事前にキュレーターの鑑定により定められた鑑賞レベルを示す。小物は箱に入れたままフロア中央で陳列するが、彫刻や絵画などは、鑑賞レベルごとに仕切ったエリア内にそれぞれ並べる仕組みだ。
実は漣も、今回は一点だけ出品を許可されている。事前の鑑定によると、鑑賞レベルは5。ただ、漣自身はその鑑賞用スペースに入ることができないので、審美眼の高いスタッフに陳列は頼むことにした。
「じゃあ、山崎さん、お願いします」
すると山崎は、プロレスラーじみたゴツい見た目とは裏腹に愛らしい仕草で片目をつむる。彼の専門はガラス工芸。繊細な作品とは裏腹に、重い工具や竿を多く用いるガラス工芸では、自然と筋肉が育ってしまうらしい。そうでなくとも、高温の窯の前で長時間作業をするスタイルは、余程の情熱がなければもたないだろう。
そんな彼のギフトは〝忘却〟。触れた作品を割ってしまうと、記憶の一部をなくしてしまうらしい。
「りょーかい。ははっ、漣くんも早く5を取りなよ」
ばん、と平手で背中を叩かれ、思わずつんのめる。毎日、朝から晩まで重い吹き竿を扱う彼の手に叩かれると、男性の中でもそれなりに大柄な漣も簡単に吹っ飛んでしまう。
「あはは……はい、頑張ります」
そうしてついに、準備が整う。
「では、えーと、これより第八十九回フリーマーケットを開催しますっ!」
そう、主催者と思しき男性が声を張ると、どこからともなく拍手が響きはじめる。それはやがて万雷の響きとなり、独特の一体感でフロアを包んだ。いいなぁ、この感じ。
さっそく漣は鑑賞のためにフロアを回りはじめる。実は先週のテストで、漣は一気に4まで鑑賞レベルを上げていた。残念ながら嶋野に宣言した5は無理だったが、それでも施設内では異例の合格だったらしい。
改めて見ると、じつに多種多様な才能に溢れているのだと思う。
油彩画、水彩画、彫刻、工芸、ガラス、鋳物、焼き物、それに織物……美術品に限らない。例えば楽曲や歌でもギフトを付与されるアーティストはいる。海外の支部には、料理やダンスのギフテッドもいるそうだ。そして、その誰もが、外では決してお目にかからない突き抜けたセンスの持ち主なのだった。例えば中井の作る焼き物は、見つめているだけで心が吸い込まれてしまう。手捻り特有の柔らかなフォルムのせいか、それとも水のように淡く繊細な釉薬のせいか。発動条件は作品に触れること。だが、彼の作品はただ見ているだけで、心が、どこか深い山奥へと飛んでしまう。この釉薬の色と同じ澄んだ水をたたえる清浄な沢へと。
ほかにも、雨の山を描いた水墨画ではむせるような湿気を感じ、『白鳥』と題した、鉄板を折り曲げただけの工芸アートには、本当に、空へと飛翔する白鳥の羽ばたきが見えた。
すごい。
すごいすごいすごい、すごい!
こんなにもたくさんの〝美しい〟が存在するなんて。それが存在するこの世界も、ああ、なんて――
「す……ごいですね、これ!」
4のパーティション内に展示された水墨画を前に、思わず感動をぶちまける。すると、ちょうど別の住人との会話を終えた作者が、こちらを振り返り、ニッと笑う。
地毛と思しき金髪に、オリーブ色の瞳。どう見ても欧米系の風貌の彼は、実は元アメリカ人で、日本で活動中にギフテッドとして発見され、その後、わざわざ日本支部の施設に入るためだけに日本国籍を取ったらしい。日本の軟水と程よい湿度が、彼の表現にはどうしても必要だったそうだ。
「この、空気感……長谷川等伯の『松林図屏風』を思わせますね」
すると作者、もといロイド=カーペンターは「おお、わかるか」と、やけに隙間の多い前歯を見せる。極端に痩せた身体と、雑にまとめた伸び晒しの髪は、ぱっと見は京都の禅寺あたりに悟りにきたバックパッカーに見えなくもない。
「そう、俺は等伯を誰よりもリスペクトしている。独特な空間構成がもたらすミステリアスな世界観。墨の濃淡がもたらす空気感と奥行き。彼のアートは、画面の外にも奥にも無限の広がりを持つ。まさに東洋的な美の体現だ」
そしてカーペンターは「よくわかったな」とまた笑う。
「ええ。勉強しましたから……審美眼を上げるために」
実際、筆記のテストでは水墨画に関する知識も問われた。各派の画風や来歴、アーティストごとの特徴も。そんな知識がギフトの効果に抗うのに何の役に立つのかと、正直に言えば、今日までは思っていた。が、実際に住人たちのアートを見てまわり、ようやく漣は実感する。実際、これはとても有効だ。例えばカーペンターの水墨画にしても、ただ「綺麗だ」と受け取るのと、「等伯の清澄な空気感に、ターナーの濁ったロンドンのそれを意欲的に取り込もうとした」と理解するのとでは、小さいが、しかし決定的な違いがある。
その小さな違いが、ギフトをただの鑑賞物にしてしまう。
このアートにはそういうギフトがあるのだと、鑑賞者に理解させるのだ。そしてそれが、この協会で言うところの、鑑賞する、ということ。
「〝憂鬱〟でしたっけ、カーペンターさんのギフトは」
「そう。審美眼を持たずに見ると、普通の人間は丸一日動けなくなっちまう。効きすぎるとそのまま鬱病コース。なのに、見たいって奴は後を絶たなかった。まぁ、クスリでもキメる感覚だったんだろ」
そしてカーペンターは、酸っぱい梅干しでも齧ったような顔をする。どうやら彼は、ギフト目的に自分のアートを道具のように使われるのは嫌なタイプらしい。自ら道具のように駆使する嶋野とは対照的だ。
「ところで、さっき君のアートも見てきたんだが」
「えっ……そう、なんすか」
「ああ。あれはキュビズムか。そこに日本のポップアートのニュアンスを取り込んで、今世紀らしいクールな表現に仕上げている。いいね、俺は好きだよ」
その言葉に、漣はみぞおちのあたりが少し暖かくなる。ただ……あの絵を見たのだとしたら、心配なことが一つ。
「あの、体調の方は、大丈夫ですか」
するとカーペンターは、なぜか急に首を押さえ、ぐええ、と呻きはじめる。ただ、顔色の方はチアノーゼを示していないので、ああ、これはジョークだなと眺めていると、不意にカーペンターは真顔に戻り、「忘れてた、日本人にジョークは通じないんだ」と呆れ顔でぼやいた。
「まぁ平気だよ。わかったからね。こいつを見たら死ぬってのが」
その後も漣は鑑賞を続け、その合間に、漣の作品を見たという住人から感想を貰った。見ると、会場のあちこちでそんなやり取りが行なわれていて、新作のお披露目がメインのイベントなのだなと改めて漣は思う。実際、ほとんどの作品は開場前から譲渡先が決まっているらしく、交渉の話はまったく聞こえてこない。かくいう漣も、今回の新作は嶋野に譲るつもりで描いたのだ。
それでも、誰かに譲る前に他の住人たちに見てもらうのは悪くない、と漣は思う。誰かの部屋に収蔵されたら、自由な鑑賞は難しくなる。ここの住人は自室に他人を上げたがらない。嶋野のようにいろんな鑑賞レベルの作品を収集するせいだったり、単に部屋が散らかっているせいだったり。
だからこうして、自由に新作を鑑賞できるイベントはありがたい。それまで知らなかった住人の作品にも触れることができるから。……楽しいな、と、漣は思う。誰かのアートを見るのも、逆に自分のアートを見てもらうのも――そうして感想を貰うのも、楽しい。すごく、すごく楽しい。
てっきり窮屈な場所だと思っていた。でもここは、外の世界よりもずっと自由だ。
それは、きちんと線引きがなされているから。協会によってギフテッドが保護され、そうでない人達との間にきっちりと線が引かれている。だからギフテッドも安心して創作ができる。そうでない人々も、ギフトの害に怯える必要がない。
守られた二つの世界を無理に混ぜ合わせれば、待つのは双方にとっての不幸だけだ。その意味で、瑠香には辛い措置だったろうが、やはり嶋野は間違っていなかった。
3のパーティションに入ると、真ん中に二メートル近くはある巨大な木彫りの彫像が堂々と鎮座していた。傍目には立ち上る炎に見えるそれをじっと眺めていると、不意にそれが「よう」と声を発する。
「うぇ!?」
「何がうえ、だよバーカ」
そう、彫像の影から顔を覗かせたのは三原で、相変わらず不機嫌そうに漣を睨みつけてくる。
「あ、どうも……ひょっとしてこれ、三原さんの作品ですか」
「ああ。久しぶりに仏像を彫ってみた。どうよ!」
「……仏像?」
これが? と、改めて見上げてみる。相変わらずその全体は、有機物的なうねりに覆われ、仏像以前に人体らしきものを見出すことすら不可能だ。
「ああ。今回はちょっと新しいことに試してみたくてな。そういう時は、むしろ馴染んだモチーフに立ち返った方がいいんだ。仏像なら目ぇつぶっても彫れるぐらい馴染んでるからな」
「え、三原さん、仏師だったんすか」
すると三原は、しまったと言いたげに顔をしかめる。これは、自分のことをバラしたくない相手に、ついバラしてしまった人間の顔だ。
「あ、ああ、まぁな……ここに来る前は結構売れてて、専門誌にも載ってたんだぜ。まぁ、おかげで協会に見つかっちまったんだけど……いや、あたしのことはどうだっていいんだよ。今回やりたかったのは、鑑賞者の脳内、いや、心の中で完成するアートだな。鑑賞者が持つ仏性と呼応して生まれる感情だとか悟り、インスピレーションこそが作品、っていうか……」
そう、漣の前で珍しく長々と語る三原は、何となく照れているようにも見える。普段の彼女は瑠香のボディガード。そして今は、一人のアーティスト、ということだろう。魂の一部を曝け出し、批評に身構えたり、感想を待ち望んだり、そんな。
改めて、彼女の言う〝仏像〟を見上げる。相変わらずそれは、燃え上がる巨大なキャンプファイヤーにしか見えない。ただ、しばらくじっと眺めていると、何となく、その中に奇妙な表情が見えてくる。慈悲と無関心とを兼ね備えた、美しい容貌の男――
「お前、あれから何か瑠香と話したのか」
「えっ?」
振り返ると、三原がじっと漣を見上げている。非難、というより、純粋に訝る目。
「いえ、何も……」
「本当か?」
「えっ、ええ、はい。――瑠香さんが、どうしたんですか」
何となく嫌な予感を噛み締めつつ問えば、三原は拍子抜け、と言いたげに小さく溜息をつく。
「あいつ、今回、作品出してねぇだろ」
「えっ? ……そういえば」
言われてみれば。今日、彼女はスタッフとして立ち働くか、さもなければ他の住人の作品を鑑賞して回るだけで、自分のスペースで作品を展示するそぶりは一度も見せなかった。
「でも、作って……ましたよね?」
そう、三原から端材を貰い、それをせっせと彫っていたはずだ。ほとんど毎日、部屋に籠って――
「燃やしちまったんだよ。全部。庭で」
「えっ!?」
思いがけない言葉に漣は面食らう。燃やした? 自分の作品を? ……アーティストにとって、作品は自分の一部も同然じゃないか。
「ど……うして、」
「知るかよ。ただ、気に食わないから燃やしたって……自分の作品を燃やすなんてさ、あたしらにしてみりゃ自殺みたいなもんだよ。だから……まぁ、お前にフラれるとかしたんじゃねぇかなって」
「えっ? ……何で俺が瑠香さんを振らなきゃいけないんですか」
「あいつがお前に惚れてるからに決まってんだろ!」
叩きつけるように三原は怒鳴る。声に驚いた周囲の住人が、迷惑そうに、あるいは面白そうに振り返る。が、漣には、そんな周囲の視線を意識する余裕はなかった。
惚れている? 俺に? ……瑠香さんが?
「まぁ……お前絡みじゃねぇってんならもういいわ。忘れてくれ」
「え、いや、忘れられませんよ。俺は、あの人に助けられました。あの人が辛い思いをしているのなら、今度は俺が――」
「半端なこと言ってんじゃねぇよ! お前、キュレーターになるんだろ? あいつが引き留めるのも聞かずによ! だったらもう、あいつに関わるんじゃねぇよ! どのみちお前はあいつを悲しませちまう! 関わったところで、あいつが余計に苦しむだけなんだよ!」
「――っ」
何も。
何一つ、漣には言い返す言葉がなかった。確かに……すでに漣は選んでしまっている。キュレーターの道を。瑠香の願いを振り捨てる道を。
呆然となる漣に、さらに三原は告げる。突き放すような、でもどこか、縋るような声色だった。
「お前らは、最初から出会うべきじゃなかった。だから……もう、あいつに関わらないでやってくれ。頼む」
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