幼馴染は最強設定!

路地裏乃猫

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後日談。そして…

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「ねぇねぇ聞いたー?」
  隣の席で、女子がせっせとマスカラを厚塗りしながらそう切り出す。
 「なーにー?」
 「捕まったんだってー。あの連続強姦魔」
 「あー、あのイケメンばっか狙ってたっていう?」
 「そう、それ。しかもさぁすごくない? 犯人は全員格闘技経験者だったんだけど、なんか、一人で全部ぶちのめしちゃったって。一人で。すごくない? ねぇ」
 「あー……すごいんじゃね?」
  向かいで同じく化粧に勤しむ友人は、すでにこの話題に興味をなくしているらしい。
 「ってかさー、最近シューちゃんが普通に既読スルーしてくるんだけどぉ、マジありえなくない?」
 「あんたそれ普通に終わってるっしよ。早く次の彼氏見つけな?」
 「えー、じゃ次はどんな彼氏にしよっかなー。あ、柳沢くんとかアリかも」
 「あーそれはムリ。スペック違いすぎ。マジで」
 「ちょ、あんたマジでムカつくっ!」
  やがて二人は化粧を終えると、手早く荷物をまとめて教室を出て行った。相変わらず女子の会話は、仲がいいのか悪いのかわからん。
  確かなのは、彼女たちの会話が、かなりの部分で正確だったということだ。とくに、犯人は全員格闘者で、それを一人でやっつけたというくだりは、新聞にもテレビのニュースにも報じられていないはずだ。女子の情報力恐るべし。
  そう。あの日――
  犯人どもは、やがて駆けつけた警察官たちに身柄を取り押さえられた。
  ただ困ったのは、俺たちも乱闘に関わったかどで警察署に連れて行かれたことだ。犯人を捕らえたヒーローなのに何だよ、と理不尽に思わないでもなかったが、そこはそれ。日本は法治国家であり、どんな理由があろうと乱闘行為は許されないわけで。
  しかも俺たちの場合、なまじ高段者だったことも事情をややこしくした。
  一般に知られるとおり、黒帯保持者は武器所持者と同じ扱いになる。そうでなくとも結の反撃は、彼らに言わせれば明らかに反撃の範疇を越えていた。
  まぁ要するに〝やりすぎた〟わけであるが、そこは、まぁさすがの俺も否定できない。
  あの時、俺を押さえていた耳たぶカリフラワーは肩を極められ両肩脱臼。
  撮影係の金髪は、両肘の靭帯をねじ切られ全治三か月の大怪我。
  そして、最後の一人――あの巨漢の変態レスラーは、右肩脱臼に右肘の靭帯断絶、そのうえ脊椎損傷に網膜剥離と散々だったわけで。
  そんなわけで、当初は俺らも随分しぼられたわけだが、マンションに残されたパソコンから、結を拉致監禁するシーンを収めた映像が出てきたことでその風向きが変わった。
  さらに、ほかの被害者への暴行シーンを収めた映像(しかも、顔にモザイク処理を施す前の無修正版)も見つかり、捜査の軸はすぐに三人の余罪追及へと移った。
  結果、俺たちは厳重注意の末、不起訴処分ということで放免となった――
 「隙ありっ!」
  だしぬけに頸を絞められ、ぐへっ、と変な声が喉から出る。
  振り返ると、いたずらっぽい眼をした結が、俺の首に腕を回したまま、肩から乗り出すようにこちらを覗き込んでいた。
  どうでもいいが、頬が触れ合うほど近い。
 「何度も言ってるだろ? そうやって隙を見せるから、あんな雑魚にも簡単にやられちゃうんだ」
 「ざ、雑魚ってそりゃ、お前にとっちゃ雑魚だろうけどよ……」
 「ほら帰るよ。早く帰って稽古しなきゃ」
 「はぁ? つーか、大会は終わっただろうがよ……」
  今回の騒動を受け、結の親父さんは今回、俺と結に出場停止の処分を下した。
  俺に対しては、向こう見ずな行動で世間を騒がせてしまったことのペナルティとして。
  そして結に対しては、油断ゆえに自ら災いを招き入れたことを、同じ武道家として咎める意味を込めて。
  一応その自覚はあったのだろう。結は大人しく父の決定に従った……はずだが。
 「大会が終わったからって、稽古をおろそかにする僕だと思う?」
  なるほど。そういえばそういう奴だったわ。こいつ。
  多分、今回のことで一番悔しい思いをしたのは結だったろう。師範代としての気負いをもって臨んでいたはずの演武大会には出られず、といって、その怒りを何かにぶつけようと思えば、結局は心のバランスを乱してしまった自分に全て跳ね返ってしまうわけで。
  そんな自分への苛立ちを何とかしたくて、で結局、稽古で発散しようとなるわけだ。
 「わかったよ。ったく……」
  荷物を纏め、席を立つ頃には、もう結は廊下に駆け出していた。
 「ほら、早く!」
 「はいよ」
  やれやれ、とその背中を追いかける。
  要するに、技術はともかく、心はまだまだ未成年のガキだったというわけだ。そのことを自覚できたぶん、あいつとしても良い成長にはなっただろう。……と、俺は信じたい。
  昇降口で靴に履き替え、駐輪場に向かう。意外な人物に出くわしたのは、そんな時だ。
 「おや二人とも。今が帰りかい?」
  何となく身構えつつ振り返る。見ると、駐輪場脇の駐車場に停められたオレンジのミニから、今まさに翔兄が降りてくるところだった。
  例の事件の後で、結が事件に巻き込まれたことを知った翔兄は、結を家まで送り届けなかったことをひどく悔いた。あの日は、結が帰りにコンビニに立ち寄りたいと言い、待たせるのも何だから、と、結の方から家に届けてもらうのを断ったそうだ。
  その同時刻、同じコンビニに、偶然あの犯人どもが立ち寄っていたとも知らずに。
 「あ……翔兄さん」
  見ると、結がひどく照れくさそうにしている。
  そういえば、あれから結と翔兄の関係がどうなったかを俺はよく知らない。翔兄は何としても結を手に入れると言っていたが、今の結の態度を見ると、まさか……
 「ええと、例の演劇サークルの話ですけど」
 「は?」
  演劇? ――何の話だ? 
 「やっぱり、今の僕には必要ないかなと思います……新しいことに挑戦するのも、自分を見つめ直すのにいいという翔兄さんの言うことも分かるんですけど……でも、やっぱり合気道から逃げるかたちで手を出したくはないなと思って……すみません」
  ――例の件は考えてくれた?
  ――正直、僕にも何と答えればいいのか……。
 「あの時の!?」
  叫んでしまってから、しまったと慌てて口を閉ざす。この二人には、あの会話を盗み聞きしてしまったことは内緒にしているのだ。
  案の定、怪訝そうにこちらを振り返る二人をえへへと愛想笑いでいなすと、さりげなく結に探りを入れてみた。
 「その、何だよ、演劇って」
 「ああ、実は、知り合いの演劇サークルに入らないかって翔兄さんに誘われてて。でも、僕には稽古があるからってことで迷ってたんだけど……」
 「で結局、ノーというわけか。――まぁ君には、師範代としての責任もあるわけだし、それはそれで仕方ない、か」
  こともなげに言うと、翔兄はひょいと肩をすくめた。
  やはり、あの時の会話はこの演劇サークルのことだったらしい。
  なんだ……
  その真相にほっとしている自分に気づいて俺は戸惑う。――と、こちらを見つめる翔兄の視線に気づいた。
 「遼くん」
 「な、何すか」
 「そろそろ自分の気持ちには気づいたかい?」
 「は……どういう意味っすか?」
  問い返す俺に、翔兄は答えの代わりに厭味なほど上手いウインクをよこすと、何事もなかったように校舎の方へと立ち去っていた。
  自分の気持ち? ……どういうことだ?
 「どうしたの?」
 「いや……行こうぜ」
  俺は結を促すと、足早に駐輪場に向かった。
  道場へ戻る道を、結と並んで走る。
  この自転車通学が復活したのは、例の事件後。警察の取り調べも済み、ようやく身辺が落ち着いた頃、突然、朝から電話で呼び出しがあった。
  自転車での通学が復活したのは、それからのことだ。
  結局、あれは何だったのか……
  結の不調の原因は、いまだによく分からない。それに復調の理由も。
  ひょっとして、俺との関係が影響しているのか? けれどもウザいと言われてヘコみ、助けてもらって復調したという単純な答えでは、どうも十分ではない気がする。
  一体、どうして……?
  さりげなく隣を盗み見る。が、半分マフラーに埋もれた結の顔からは、その真意を汲み取ることはできなかった。
 「なに?」
  その眼が、なぜかじろりとこちらを睨み返してくる。相変わらず、こういうところは勘が鋭い奴だ。
 「別に……何でもねぇよ」
  とある交差点で、二人して足止めを喰らった時だ。
 「あのさ」
 「何だよ」
 「僕のこと……いや、やっぱり何でもない」
 「は……?」
  やがて道場に着いた俺たちを待っていたのは、思いがけない人間だった。ただし今は、見慣れたパジャマ姿ではなく、エンブレムのついたブレザーにネクタイ、チェックのパンツと近所でも有名な進学校の制服に身を包んでいる。
 「拓真!?」
  自転車を停めて駆け寄ると、拓真はマフラーに頬を埋めたまま、目元を優しく緩めた。
 「お久しぶりです」
 「お、おう……え? ってか何でここに?」
 「何でって、入門しに来たんですよ」
 「入門? うちの道場にか?」
 「はい。ああ、この人が生田くんの大事な……ええと、師範代の人?」
  今の言い間違いは、どうやらわざとらしい。それが証拠に、マフラーから覗く目は揶揄うように笑っている。
 「へぇ……綺麗な人だな。うん。確かにお似合いだ」
 「おい、さっさと本題に入ろうぜ。――で、入門したいってのはマジなのか?」
 「はい」
  頷くと、拓真は手元のボストンバッグから一枚の紙切れを取り出した。見るとそれは、ここの道場の入門書で、すでに必要事項が書き込まれ、しかも判子まで捺されている。
 「強くならなきゃって思ったんです」
  そう呟く拓真の目は、静かな決意に充ちていた。
 「ああいう目に遭ったのも、自分が弱かったことも原因の一つなんです。――もう、負けたくないんです。ああいう奴らには、絶対に」
  それに、と拓真は顔を上げる。
 「入門すれば、また、生田くんとも会えますし」
  そのはにかんだような笑みに、なぜかどきりとなる。この小動物めいた笑みには、何と言うか、どうも俺は弱いらしい。
 「おい結、よかったな。入門者だってよ」
 「あ……うん。よかったね」
  なぜか冴えない結の笑みに、俺はおやと思う。普段なら、入門者――それも自分と同年代の――と聞けば、それこそ仔犬のようにはしゃぎ回るのに。
 「ああ、それはそうと」
  つれない結のことは無視して、拓真に向き直る。
 「この間はほんと、ありがとう。あと、すまなかった。いろいろ無理させて」
  すると拓真は、ううん、と笑って、
 「逆に吐き出せてよかったよ。あのまま溜め込んでいたら、多分、もっと、ずっと苦しんでいただろうから」
 「お、おう……」
  が、それは結果論であって、本当は、取り返しのつかない傷を与える可能性もあったのだ。
  そして――あの時の俺が、それを全く躊躇しなかったことも事実で。
 「それに、お礼を言うのはむしろ僕の方だ。生田くんたちのおかげで、犯人を捕まえることができたわけだから」
 「お、おう……ああそうだ。俺たち、ちょうど今から稽古すんだ。よかったら、ちょっと見学して行かねぇか?」
  これ以上褒められると、気まずさと後ろめたさでおかしくなってしまいそうだ。少々強引に話題を切り替えてみれば、
 「ほんと? いい?」
  と、意外な好反応で食いついてくる。
 「おう。――お前もいいよな? 結」
  振り返り、一応のつもりで師範代にお伺いを立てる。と――
 「あ……うん。いいよ」
  何だか煮え切らない答えが返ってくる。
  あれ? やっぱりおかしい。普段ならここで、「どうぞどうぞ大歓迎だよ!」と、拓真以上の食いつきを見せるはずの結が、なぜ?
 「あ……そうだ」
  ぽふ、と拓真がミトンを嵌めたまま手を叩く。
 「今日は、早く帰って留守番するよう母に頼まれていたのを忘れていました。ごめんなさい生田くん。今日はここでお暇させてもらいますね」
  そして、さっさと踵を返し、駐輪場に停めてあったブランドものの自転車に跨る。
 「どうも、お邪魔しました」
  言い残し、颯爽と走り去ってゆく。そんな拓真の背中を、わけがわからずぼんやり見送っていると、だしぬけに強烈な膝カックンを喰らった。
 「うおっ……って、何だよこのチビ――」
  すかさず振り返る。と、
 「遼はさ」
 「は?」
 「あの時……どうして僕を助けてくれたの」
  マフラーに顔を埋め、消え入りそうな声でそう呟く結に、俺は、どう言葉を返すべきか困った。そういえば、こんな顔をした結を俺は今まで見たことがない……
 「……答えてよ」
  その眼が、なぜか恨みがましく俺を見上げる。
  どうして助けたか――
  正直、それは俺にもよく分からない。ただ強いて言うなら、そうしなければという衝動に突き動かされ、気づくとそうしていただけの話だ。
  まぁ結局は、俺の方が助けられる羽目になったわけだが。
 「な……何で、急にそんなこと訊くんだよ」
 「い、いいだろ別に! ……そ、そもそも、僕のことは邪魔だって思ってたんだろ? いちいち構うのは面倒くさいって……なのに、あれからお母さんに聞いたら、僕のこと、すごく必死に探してくれたって……わけわかんないよ! 何なんだよ遼って! 面倒だって言ったり、そのくせ助けに来てくれたりさ!」
 「う、うるせぇよ! それを言えば、お前こそワケわかんねぇだろ! 俺のこと必要ねぇとか言ったり、そうかと思えば事件の後は普通に接してきたり……ああわかったぞ。事件のおかげで、ようやく俺の存在の有難さに気づいたわけだな? 俺という護衛役のさ」
 「僕より弱い護衛なんか要らない」
 「うっ」
  その言葉には、さすがの俺も返す言葉に詰まる。というか、返す言葉がない。
  とはいえ、言われっ放しというのも男が立たないわけで。
 「じゃ……じゃあ何なんだよ。ひょっとして迷惑だったのか? どうせ一人でも切り抜けられたのに余計なことしやがってって、そう言いたいのか?」
 「そ、そうじゃない……けど」
 「じゃあ何なんだよ! マジでわけわかんねぇよお前!」
 「解れよっ!」
 「……は?」
  顔を上げた結の、涙で潤んだ黒い瞳に俺ははっとなる。
  形の良い薄桃色の唇から吐かれる白く浅い吐息。こんなふうに動揺を露わにした結を見るのは一体何年振りになるだろう。
 「……嬉しかったんだよ」
 「えっ?」
 「来てくれないと思った。だから……霧の向こうから遼の声が聞こえたとき、夢じゃないかと思った。でも……本当に来てくれて、すごく、嬉しかったんだ……」
 「……って」
  あの時は、そんな言葉は一言もなかったじゃないか。
  そう――あの頃の結ときたら、警察に保護された後も、取り調べの最中も、まるで助けられたことを迷惑がるかのような他人行儀ぶりだった。
  だから事件後、結から一緒に学校に行こうと電話を貰ったときはひどく面食らった。てっきり、看板に泥を塗った俺に愛想をつかせたとばかり思い込んでいたからだ。
 「だ、だからって……泣くことねぇだろ?」
 「泣くよ」
  言ったそばから、ずび、と洟を啜る。それにしてもひどい鼻声だ。
 「だって、遼が助けに来てくれたんだもん」
 「……は?」
  まさか。それって――
  おそるおそる、その頬に手を伸ばす。玉子のような頬に触れ、指の腹で涙をぬぐう。
  瞬間、俺は、自分の中のある感情の存在に気づいた。
  それは、ずっと心密かに抱き続け、しかし、決して認めることのできなかった――あるいは恐れていた――感情だった。
  結との関係を、同級生としての、幼馴染としての、あるいは師弟としての関係を壊してしまうかもしれないと、ずっと、向き合うことを恐れていた感情だ。
  俺は、結が好きだ。
  そっと顔を寄せ、その黒くて大きな瞳を覗き込む。その眼は、俺の視線を嫌がりもしなければ、かといって避けることもせず、じっと俺を見つめ返している。
  その間も、唇はますます近くなる。
  やがて、鼻先にその吐息がかかるほどに接近して――
 「……」
  先端を触れ合うだけの口づけは、一瞬で終わった。
  というより、それ以上は続けることができなかった。深くすることも。あまりにも脳味噌が沸騰していたから。
 「……あのさ」
  気まずい沈黙を先に破ったのは、結の方だった。
 「な……何だよ」
 「男同士は……その、キモいんじゃなかった?」
 「……お前は別」
 「どうして」
 「知るかよ。てめぇで考えろバーカ」
 「無理」
 「は? 何で」
 「……今その余裕ない」
  呟くように言ってから、マフラーの中に顔を埋めてしまう。頬や、それに貝殻のような耳朶は、すでに熟れた林檎のように真っ赤に染まっていた。
 「いつから」
 「結構前から……気づいたのは、中学の時かな。……遼が、クラスの女の子と付き合ってるって聞いてから」
 「は? 知ってたのか? あれ」
 「そりゃ……君はモテるから、そういう話はすぐ耳に入ってくるよ」
  むくれたように口を尖らせる結。てっきりバレていないとばかり思っていたのだが……
 「……稽古まで、まだ時間あるよね?」
 「あ、ああ……あと一時間ぐらいか?」
  手元の時計を見ると、ちょうど五時を回った頃だ。
 「少し……部屋で休まない?」
 「え?」
  時計から顔を上げた俺は、瞬間、マフラーの奥から縋るような目で見上げる結にはっとなる。ちょっと待て。いくら何でもそれは早すぎるだろ……
  でも。
 「ああ……いいぜ」
  結局、そう答えてしまう自分を止めることはできなかった。
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