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25 テンプレの神に見放された俺は聖女さまに縋ることにする
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えー、聖女について。
ていうか、今更悪役令嬢モノのテンプレに触れることに一体何の意味があるのかと俺も思うのだが、そこはそれ。とにかく出てきちまった以上は改めて触れる必要がある。
そもそも、悪役令嬢モノなるものが、乙女ゲームという巨大な原木から生じたいち派生ジャンルといえる。
ゆえに、オリジンたる乙女ゲームのテンプレもある程度は踏襲している。その一つが、聖女ってやつの存在だ。原種である乙女ゲームの本来のヒロインであり、途中、悪役令嬢に貶められるなどの困難に見舞われつつも聖なる力に目覚め(大体が治癒だとか国家護持だとか)、その力をきっかけにヒーローとの絆を深めてゆく。……んで、そのメタとして派生した悪役令嬢モノでは、この貶める側である悪役令嬢が逆に主人公となり、最後の断罪からの破滅を回避するわけだが、まぁざっくり言えば、聖女とは悪役令嬢の敵であり、ヒーローを奪い合うライバル、ということになる。
んで、だ。
ご存じのとおり、この世界ではすでに悪役令嬢モノのテンプレは崩壊している。ヒーローはイザベラなど眼中にないし、何ならバカ王子枠たる俺にガチ恋中。もう無茶苦茶である。……が、オリジンたる乙女ゲームのそれはどうだ? 聖女が現われたということは、少なくとも乙女ゲーム的な世界ではあるのだろう。いや、それがいかなる派生ジャンルであれ、「的」である以上は乙女ゲームの要素が含まれており、だからその、あれだ、制約ってやつは原始的であるほど強いというか、要は、オリジンたる乙女ゲームの原則は免れ得ないのだ。
そう。本人たちの想いはどうあれ、世界は二人を、ヒーローと聖女を引き合わせようとする。その原則は、原子核と電子を結び付けるクーロン力のように絶対だ。つまり、今の俺にとって彼女ことマリー=ランカスタは、俺からウェリナを引き剥がすための最終兵器とも言えるのだ。
……と、期待したい。
ていうか、今更悪役令嬢モノのテンプレに触れることに一体何の意味があるのかと俺も思うのだが、そこはそれ。とにかく出てきちまった以上は改めて触れる必要がある。
そもそも、悪役令嬢モノなるものが、乙女ゲームという巨大な原木から生じたいち派生ジャンルといえる。
ゆえに、オリジンたる乙女ゲームのテンプレもある程度は踏襲している。その一つが、聖女ってやつの存在だ。原種である乙女ゲームの本来のヒロインであり、途中、悪役令嬢に貶められるなどの困難に見舞われつつも聖なる力に目覚め(大体が治癒だとか国家護持だとか)、その力をきっかけにヒーローとの絆を深めてゆく。……んで、そのメタとして派生した悪役令嬢モノでは、この貶める側である悪役令嬢が逆に主人公となり、最後の断罪からの破滅を回避するわけだが、まぁざっくり言えば、聖女とは悪役令嬢の敵であり、ヒーローを奪い合うライバル、ということになる。
んで、だ。
ご存じのとおり、この世界ではすでに悪役令嬢モノのテンプレは崩壊している。ヒーローはイザベラなど眼中にないし、何ならバカ王子枠たる俺にガチ恋中。もう無茶苦茶である。……が、オリジンたる乙女ゲームのそれはどうだ? 聖女が現われたということは、少なくとも乙女ゲーム的な世界ではあるのだろう。いや、それがいかなる派生ジャンルであれ、「的」である以上は乙女ゲームの要素が含まれており、だからその、あれだ、制約ってやつは原始的であるほど強いというか、要は、オリジンたる乙女ゲームの原則は免れ得ないのだ。
そう。本人たちの想いはどうあれ、世界は二人を、ヒーローと聖女を引き合わせようとする。その原則は、原子核と電子を結び付けるクーロン力のように絶対だ。つまり、今の俺にとって彼女ことマリー=ランカスタは、俺からウェリナを引き剥がすための最終兵器とも言えるのだ。
……と、期待したい。
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