極道の密にされる健気少年

安達

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圷と海斗の話

心の余裕

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*圷視点






「ふぅ…。電話も終わった事だし海斗風呂に入れるか。中のも出してやんねぇとだしな。」



早めに中に出したやつをかき出してやらねぇと腹下しちまうからな。そうなったら苦しいのは海斗だ。せっかくの楽しい楽しいあの時間が苦にでもなったらとんでもねぇ話だ。だから俺は海斗を起こさないよう優しく抱きかかえて風呂場向かった。そこからはいつも通りだ。中のをかき出して湯船に浸かる。



「つか…髪伸びたな海斗。」



まぁそりゃそうか。俺が外に出してやんねぇんだから髪を切る時間もない。ちょっと髪が伸びてる今の海斗も好きだがやっぱ短髪が一番可愛い。



「美容院連れて行ってやんねぇとな。」



だが他人に海斗の髪を触らせたくない。独占欲が強いのは一生治んねぇよ康二。あ…てか康二って髪切るの得意じゃなかったか?あいつに頼むか。よし、そうしよう。



「…んー澪司さん…。」

「あ、悪い海斗。起こしちまったか。」

「ううん…暖かくて起きた。」

「湯船に浸かってるからなぁ。」

「…あったかい。」

「そうだな。」



まだ寝ぼけてんな海斗。それと疲れてる。まぁ色々俺のせいで余計なストレス与えちまったから。それが解決してホッとしてるのもあるんだろうな。



「海斗。明日髪切らねぇか?」

「…髪?」

「ああ。伸びてきたしよ。」

「美容院行ってもいいの?」

「それは…駄目だ。」



そうだよな。ちゃんと話さねぇとそういう思考になるよな。けど海斗は嬉しそうな顔をしてない。美容院には行きたくなかったのか…?



「じゃあ澪司さんが切ってくれる?」



はは…。可愛いなこいつ。俺に切ってもらう方が嬉しいのか。そんな嬉しそうな顔してよ。たく…。可愛いやつ。けどごめんな海斗。俺は不器用だから出来ねぇんだ。



「それも無理だ。俺は不器用だから。」

「なら誰が切ってくれるの…?」

「康二だ。」

「………っ!?」



康二の名前を出した途端、海斗が水しぶきを上げる勢いで驚いた。なんだ急に。そんな驚くことでもねぇだろ。



「どうした海斗。」

「どうしたじゃない!!俺あの人やだ!!くすぐってくるもん!!」

「あ、いや海斗。落ち着けって。あれは俺達のためを思ってしたことだ。」

「分かってるよっ、分かってるけどなんかちょっかいかけてきそうだもん!やだ!」

「そう言われても髪切れんのは康二だけなんだよな。」



困ったな…。海斗に嫌々させるのもあれだしな…。といっても俺が外部の美容院に連れて行きたくない。俺が行くことでなんか情報漏れたりしても危ねぇし。かと言って俺の行きつけの美容院に連れていくのもなぁ…。嫌なんだよなぁ。あー独占欲が邪魔して解決しねぇ。



「…澪司さん。それなら俺髪切らなくていい。」



どうすっかな。不貞腐れた顔しちまったぞ…。俺に抱きついてきて可愛いがこのまま髪を伸ばすのもな…。海斗だって本音としては切りたいだろうし…。



「じゃあこうしようか海斗。俺が近くにいるから。康二がなんかしたら中断しよう。それでいいか?」

「……澪司さん俺から絶対離れない?」

「ああ。約束だ。」

「なら切ってもらう…。けど康二さんはいいのかな?忙しくない…?」



ほんっと海斗は優しいな。いい子だ。いい子すぎる。優しすぎるんだよな。駿里と同じで。だからこいつらは仲がいいんだろうな。類は友を呼ぶって言うしな。



「そうだな。康二に予定聞いてからお願いをしよう。」

「うん…!」

「そろそろ上がるか。ゆだっちまう。」

「そうだね。」



海斗はそう言うと立ち上がろうとした。何考えてんだこいつ。足もろくに力が入らねぇくせに…!危ねぇな全く。



「海斗、何してんだ。抱っこしてやるから立ち上がろうとするな。」

「俺歩けるよ。」

「駄目だ。無理させたのは俺だから俺に介抱させろ。」

「わ、わかった。」

「よし。それでいい。」
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