極道の密にされる健気少年

安達

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圷と海斗の話

ホテル

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*圷視点






「気分が良さそうだな海斗。」

「すっごい映画面白かったから…!」

「そうかそうか。じゃあ泊まるホテル探すか。」



映画を見終えて俺はホテルに泊まる気満々でいた。海斗に色々教えてやれるし、何より俺が楽しみだったんだよな。それにこいつも喜ぶだろうと俺は勝手に思っていたが何故か海斗の顔色が曇っている。一体どうしたんだ。



「海斗?どうした?」

「…澪司さん。俺やっぱり家に帰りたい。いい?」



こりゃ珍しいこともあるもんだ。外に出たからにはとことん外で遊ぶかと思ったが家に帰りたいと。まぁ海斗の願いだ。ホテルに連れていくのもありかなと思っていたがこいつが嫌がるなら仕方がない。嫌がることはしたくねぇかな。



「当たり前だ。それなら家に帰ろう。」

「ありがとう澪司さん。」

「ああ。じゃあタクシーで帰るか。」

「…歩かないの?」



確かに歩いて帰れない距離でもない。だが海斗はすれ違う人が振り向くほど顔がいい。なんたって俺の嫁だからな。顔がいいのは当たり前だしこいつは顔だけじゃねぇ。俺が惹かれたのはこいつの内面だ。まぁそれは今はいいんだが俺の愛する嫁をどこの誰かも知らねぇやつが見るのは気に食わねぇもところがある。だからタクシーで帰りたいんだが…。



「家まで遠いだろ、な?」

「近いじゃん!」

「近くはねぇよ。それにもう夜だしタクシーの方が安全だ。」

「まだギリギリ夕方だよ。薄暗いぐらいだよ。」



海斗は俺の金が無くなることを心配してそう言ってくれてんだろうな。俺に海斗なりに気を使ってくれてる。けどそれは要らねぇ気だ。俺はお前が心配なんだよ。それと他のやつにお前を見せたくねぇ。



「いいからタクシーで帰るぞ。俺はお前を安全なまま家に連れて帰りたいんだ。」

「もう心配性だなぁ。」

「はは、そうだな。俺はお前を愛してるからな。心配にもなるさ。ここ近辺は俺らのシマとは言え危険なやつも多い。夜になると尚更だ。夜を狙って俺らを襲いに来るような連中もいるからよ。そんなやつにお前を会わせたくない。海斗も怖いだろ?さすがにそれは。」

「…怖いかも。タクシーで帰る。」



お、駄目元で海斗を脅してみたが意外と効いたなこりゃ。良かった良かった。それに嘘はついてない。まぁ危険な輩が来たとしても俺らの部下が捕まえて殺すだろうけどな。



「ありがとな海斗。お、いいところにタクシーが来たぞ。乗るか。」

「…うん!」



…?海斗の様子が少しおかしい。脅しすぎたか?いけねぇことをしちまったな。怖がらせすぎた。タクシー乗ったらとりあえず謝るか…と俺が思っていると海斗が…。



「澪司さん…。」

「ん?」

「…帰ったら…抱いて欲しい。」
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