極道の密にされる健気少年

安達

文字の大きさ
上 下
574 / 579
圷と海斗の話

動揺

しおりを挟む
*圷視点






「何って…何もしてないですよ。変な事言わないで下さい組長。」

「何もしてねぇのに海斗はこんな顔になるのか?こいつはお前との関係を終わらせたいとまで言ったんだぞ。」



たく…。お前が勝手に外に出たりするからだろ海斗。昨日散々分からせたつもりだったが足りなかったか?どうしてお前は俺の傍から離れようとする。つか…関係を終わらせたいってなんだよ。そんなこと許さねぇよ。何があっても許さねぇ。お前は俺のもんだろ。



「どういう事だ?なぁ海斗。」

「… 澪司さ、ん…おれはっ、」



そんな風に怯えるぐらいなら初めから居なくならなければいいのに。俺の傍にずっといれば怯えることもない。俺が幸せにしてやる。他のやつになんか触らせない。俺が幸せにしてやれるのに。なんでお前は俺の言うことが聞けねぇんだ。



「黙ってちゃ分かんねぇだろ。海斗、早く答えろよ。」

「圷。やめろ。」



組長もなんでそんな顔をしてるんです?組長も俺と同じじゃないですか。駿里に…あなたの方がよっぽど酷いことをしてましたよね。俺の時だけ…止めるんですか。



「組長。これは俺と海斗の問題です。今は下がってて頂けませんか?」

「それは出来ねぇ。お前の問題は俺の問題でもある。」

「…ちゃんと話し合いますから。」



組長の部下思いなところはいつもだったら嬉しい。喜ぶそりゃな。けど今は要らねぇ。これは何度も言うが俺と海斗の問題なんだ。介入されたら…困る。



「悪いな圷。今のお前の言葉は信用出来ねぇ。」

「仕事では誰よりも信用してくださるのに。」

「それは当たり前だ。お前は仕事が出来るからな。だがこういった類の事に関しては不器用だ。何せお前はこれまで恋とかしたことがないもんな。俺と同じでな。」

「…だからなんですか。」



俺は不器用なんかじゃねぇ。海斗が…悪いことをするからだ。不安にさせる。どれだけこの世界が危険なことか…。海斗はそれを分かってない。海斗を守るためにはそうしねぇといけないんだ。



「圷。いい加減に気づけ。海斗を傷つけてんだよお前は。」

「…じゃあ言わせてもらいますけど組長も駿里に同じことをしてるじゃないですか。俺が同じ事をしたら止めるんですか?」

「ああ。そうだ。お前の言う通りだ。だがそれは過去の話。今は違う。」



…そうだ。組長は間違ってない。駿里は事務所にも来るし外にも出して貰えてる。康二がよく連れ添ってるから俺もそれは知ってる。だが…それでも俺は海斗を外に出したくない。怖いんだよ。つか…海斗はなんで組長の影に隠れてんだよ…。お前…。



「なぁ海斗。お前はどうなんだよ。お前は俺と話し合いすらもしたくねぇのか?」

「………俺はっ、」



また組長の後ろに隠れる…。なぁ海斗。俺をこれ以上怒らせてくれるな…。



「俺は……っ、ちゃんと澪司さんと話し合いたい…っ。けどいつもそれが出来ないじゃん… 澪司さんは俺と話すこともせずに…ベットに連れていくじゃん…!」

「それはお前が外に出ようとするから。」

「俺は一生部屋の中で暮らさないといけないの…!?」

「いや、そういうわけじゃねぇよ。」



そういう訳じゃねぇ。ただ勝手に外に出たりするのが続くようならそれは許可しない。危なっかしいからな。だからお前の行動次第だ。



「なら外に出たい。澪司さんお願い…。あそこにずっと一人でいるのは嫌だ…。」



外に…。とりあえずその場しのぎで許可すっか。ここで話してても無意味だしな。あと組長もいるし。こいつを連れて帰らねぇといけねぇからな。話はそれからでも遅くない。



「分かった。分かったよ海斗。」

「…いいの?」



いいや、良くねぇよ。出さねぇよ。これはその場しのぎの言葉だからな。組長にそれを悟られねぇようにしないと。組長は勘が鋭いから。



「ああ。すまないな海斗。組長にも迷惑をかけてしまってすみません。」

「…圷。ちゃんと話し合いをするんだぞ。」

「はい。」



すみません組長。俺は嘘をつきました。こいつが家出をした時点で俺は話し合いをする予定なんてない。連れて帰ってすることは一つだ。



「それなら海斗を連れて帰ってもいい。海斗、行っていいぞ。」

「…はい。寛也さんありがとう。」

「ああ。」

「海斗、おいで。帰ろう。」 



いい子だ海斗。そのままいい子でいればいいのに。だが…お前は俺のいいつけを破った。破ったどころか勝手に家も出た。だから帰ったらお仕置きだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ヤクザに囚われて

BL
友達の借金のカタに売られてなんやかんやされちゃうお話です

アダルトショップでオナホになった俺

ミヒロ
BL
初めて同士の長年の交際をしていた彼氏と喧嘩別れした弘樹。 覚えてしまった快楽に負け、彼女へのプレゼントというていで、と自分を慰める為にアダルトショップに行ったものの。 バイブやローションの品定めしていた弘樹自身が客や後には店員にオナホになる話し。 ※表紙イラスト as-AIart- 様(素敵なイラストありがとうございます!)

冷酷組長の狂愛

さてぃー
BL
関東最大勢力神城組組長と無気力美男子の甘くて焦ったい物語 ※はエロありです

少年ペット契約

眠りん
BL
※少年売買契約のスピンオフ作品です。 ↑上記作品を知らなくても読めます。  小山内文和は貧乏な家庭に育ち、教育上よろしくない環境にいながらも、幸せな生活を送っていた。  趣味は布団でゴロゴロする事。  ある日学校から帰ってくると、部屋はもぬけの殻、両親はいなくなっており、借金取りにやってきたヤクザの組員に人身売買で売られる事になってしまった。  文和を購入したのは堂島雪夜。四十二歳の優しい雰囲気のおじさんだ。  文和は雪夜の養子となり、学校に通ったり、本当の子供のように愛された。  文和同様人身売買で買われて、堂島の元で育ったアラサー家政婦の金井栞も、サバサバした性格だが、文和に親切だ。  三年程を堂島の家で、呑気に雪夜や栞とゴロゴロした生活を送っていたのだが、ある日雪夜が人身売買の罪で逮捕されてしまった。  文和はゴロゴロ生活を守る為、雪夜が出所するまでの間、ペットにしてくれる人を探す事にした。 ※前作と違い、エロは最初の頃少しだけで、あとはほぼないです。 ※前作がシリアスで暗かったので、今回は明るめでやってます。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

BL 生徒会長が怖い

かのほ
BL
絶大な権力を持つ生徒会執行部。みんな怯えて生活をしている。主人公は大人しく生活してたのに目をつけられてしまって...

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

処理中です...