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あや様リクエスト
寄り道
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*御子柴視点
「あの、御子柴さん…。」
「ん?」
「ちょっと遠回りしませんか…?」
遠回り…?急にどうしたんだ。ああ…いや急にじゃねぇか。坊ちゃんの所に戻りたくねぇんだろうな。坊ちゃんは勘がいいから駿里が何をされたのかすぐに分かるはず。だから駿里は時間を稼ぎたいのか。
「駿里はどこに行きたいんだ?」
「…特にはないけどっ、」
「じゃあ頭のところに行くか。」
「馬酔木さんですか?」
「嫌か?」
「嫌じゃないです…!」
「そうか。なら行こう。」
駿里の顔が明らかに変わった。嬉しそうな顔になった。まぁたまには駿里のわがままに付き合ってやんねぇとな。坊ちゃんには後で連絡しとこう。
「だがあんまり長居は出来ねぇぞ。坊ちゃんが心配するからな。」
「分かってます。少しだけ。」
「だな。」
本当は長居したいんだろうけど…それはちょっと聞いてやれねぇ。忙しいとかそういうわけじゃねぇけど駿里には帰るべき場所があるからよ。
「頭!入っていいですか?」
「…あ?御子柴?どうした?」
この様子だと寝てたな…。全く…。まぁ夜仕事してたから仕方ねぇってのもあるか。
「駿里が来てます。」
「そうか。入れ。」
頭はとことん駿里に甘い。俺だけだったら追い返すつもりだったろうに駿里と聞けばすぐに部屋の中にいる。まぁ俺も人の事言えねぇけどよ。
「駿里。よく来たな。」
「こんにちは馬酔木さん。」
「どうしたんだ急に。」
「馬酔木さんとお話しに来ました。」
「そうかそうか。なら話そう。御子柴、お前も座れよ。いつまで立ってんだ。」
「では、お言葉に甘えて。」
この頭の顔を他の部下の連中が見たらびっくりするだろうな。もう引退したとはいえ元極道だ。だから顔つきは若干怖いまま。今でも頭を怖がってる部下も少なくない。だが駿里の前となれば全く違う。駿里ってすげぇな。
「寛也がここに来ることをよく許したな。まさか黙って来たのか?」
「…えっと、寛也に外に出ることは言ってたけど、ここに来るのは言ってないです。」
「はは、そうかそうか。たまにはいいだろ。駿里もそんな顔すんなよ。なぁ御子柴。」
「そうですね。駿里、お前は何も気にせずここにいるといい。気も使わなくていい。」
「ありがとうございます。」
お礼なんて言わなくてもいいのに。いい子だよなほんとに。
「そういえば駿里、碓氷がお前を探していたが会ってないか?」
「さっき会えました。それで御子柴さんと出会ったんです。」
「そうだったのか。御子柴は常にこの屋敷を散歩してるからな。出会う確率が高いだろう。」
「散歩…?」
ちょっと頭…。散歩ってなんですか散歩って。見張りって言ってくださいよ。まるで俺が暇みたいじゃないですか。
「頭。散歩じゃないです。」
「はは、そうだな。見張りだな。」
「そうですよ。」
「見張りしてるってことは誰かが侵入してきたんですか…?」
お、さすが駿里。勘が良くなってきたな。賢くもなってきた。
「そうだな。頭は引退したとはいえ命を狙われることが多々あるんだ。って言っても弱い奴らだけだからすぐに倒せるけどな。」
「怖いですね。けど御子柴さんがいれば安心だ。」
可愛いこと言ってくれるじゃねぇか。その通りだぜ駿里。俺が生きてる限り頭が怪我するなんてことは絶対にない。それは俺の使命だからな。
「そうだな駿里。御子柴は俺の右腕だからな。」
「御子柴さんと馬酔木さんは寛也と康二さんみたいです。」
「寛也と康二か?確かにあいつらもいいコンビだよな。」
康二か…。頭はそう言ったけど俺は康二よりも森廣が選ばれて欲しかったと密かに思った。森廣ほど坊ちゃんのことを考えてる人はいないだろうから。たしかに康二の方が坊ちゃんと過ごす時間は長いだろう。けどそれ以前に森廣はずっと坊ちゃんを支えてんだ。まぁあいつも褒められるためにやってるわけじゃねぇから余計なことは言わないでおこう。
「なぁ御子柴。お前もそう思うだろ?」
「そうですね。お?噂してたら本人が来たみたいですね。」
「本人…?」
「ああ。外を見てごらん駿里。」
俺がそう言うと駿里はガラス張りになってるドアの方を見た。それでそこにいた人物を見て飛び起きるようにして立ち上がった。
「こ、康二さん…。」
「あの、御子柴さん…。」
「ん?」
「ちょっと遠回りしませんか…?」
遠回り…?急にどうしたんだ。ああ…いや急にじゃねぇか。坊ちゃんの所に戻りたくねぇんだろうな。坊ちゃんは勘がいいから駿里が何をされたのかすぐに分かるはず。だから駿里は時間を稼ぎたいのか。
「駿里はどこに行きたいんだ?」
「…特にはないけどっ、」
「じゃあ頭のところに行くか。」
「馬酔木さんですか?」
「嫌か?」
「嫌じゃないです…!」
「そうか。なら行こう。」
駿里の顔が明らかに変わった。嬉しそうな顔になった。まぁたまには駿里のわがままに付き合ってやんねぇとな。坊ちゃんには後で連絡しとこう。
「だがあんまり長居は出来ねぇぞ。坊ちゃんが心配するからな。」
「分かってます。少しだけ。」
「だな。」
本当は長居したいんだろうけど…それはちょっと聞いてやれねぇ。忙しいとかそういうわけじゃねぇけど駿里には帰るべき場所があるからよ。
「頭!入っていいですか?」
「…あ?御子柴?どうした?」
この様子だと寝てたな…。全く…。まぁ夜仕事してたから仕方ねぇってのもあるか。
「駿里が来てます。」
「そうか。入れ。」
頭はとことん駿里に甘い。俺だけだったら追い返すつもりだったろうに駿里と聞けばすぐに部屋の中にいる。まぁ俺も人の事言えねぇけどよ。
「駿里。よく来たな。」
「こんにちは馬酔木さん。」
「どうしたんだ急に。」
「馬酔木さんとお話しに来ました。」
「そうかそうか。なら話そう。御子柴、お前も座れよ。いつまで立ってんだ。」
「では、お言葉に甘えて。」
この頭の顔を他の部下の連中が見たらびっくりするだろうな。もう引退したとはいえ元極道だ。だから顔つきは若干怖いまま。今でも頭を怖がってる部下も少なくない。だが駿里の前となれば全く違う。駿里ってすげぇな。
「寛也がここに来ることをよく許したな。まさか黙って来たのか?」
「…えっと、寛也に外に出ることは言ってたけど、ここに来るのは言ってないです。」
「はは、そうかそうか。たまにはいいだろ。駿里もそんな顔すんなよ。なぁ御子柴。」
「そうですね。駿里、お前は何も気にせずここにいるといい。気も使わなくていい。」
「ありがとうございます。」
お礼なんて言わなくてもいいのに。いい子だよなほんとに。
「そういえば駿里、碓氷がお前を探していたが会ってないか?」
「さっき会えました。それで御子柴さんと出会ったんです。」
「そうだったのか。御子柴は常にこの屋敷を散歩してるからな。出会う確率が高いだろう。」
「散歩…?」
ちょっと頭…。散歩ってなんですか散歩って。見張りって言ってくださいよ。まるで俺が暇みたいじゃないですか。
「頭。散歩じゃないです。」
「はは、そうだな。見張りだな。」
「そうですよ。」
「見張りしてるってことは誰かが侵入してきたんですか…?」
お、さすが駿里。勘が良くなってきたな。賢くもなってきた。
「そうだな。頭は引退したとはいえ命を狙われることが多々あるんだ。って言っても弱い奴らだけだからすぐに倒せるけどな。」
「怖いですね。けど御子柴さんがいれば安心だ。」
可愛いこと言ってくれるじゃねぇか。その通りだぜ駿里。俺が生きてる限り頭が怪我するなんてことは絶対にない。それは俺の使命だからな。
「そうだな駿里。御子柴は俺の右腕だからな。」
「御子柴さんと馬酔木さんは寛也と康二さんみたいです。」
「寛也と康二か?確かにあいつらもいいコンビだよな。」
康二か…。頭はそう言ったけど俺は康二よりも森廣が選ばれて欲しかったと密かに思った。森廣ほど坊ちゃんのことを考えてる人はいないだろうから。たしかに康二の方が坊ちゃんと過ごす時間は長いだろう。けどそれ以前に森廣はずっと坊ちゃんを支えてんだ。まぁあいつも褒められるためにやってるわけじゃねぇから余計なことは言わないでおこう。
「なぁ御子柴。お前もそう思うだろ?」
「そうですね。お?噂してたら本人が来たみたいですね。」
「本人…?」
「ああ。外を見てごらん駿里。」
俺がそう言うと駿里はガラス張りになってるドアの方を見た。それでそこにいた人物を見て飛び起きるようにして立ち上がった。
「こ、康二さん…。」
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