極道の密にされる健気少年

安達

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*松下視点




「駿里。朝だぞ。起きろって。」

「……ん………。」



たく、こいつは…。昨日夜更かししたせいで起きやしねぇ。全く。俺の気持ちも考えてくれよ。あー今すぐに抱きてぇ…。



「いい加減起きろって駿里。朝飯の時間に遅れちまうぞ。」

「…………ん、おきる…。」



…可愛い。まじでこいつ朝から俺の限界突破を試みてんな。俺はもう勃起寸前。今から朝飯だってのに…。



「いい子だ駿里。」

「康二は駿里に甘いねぇ。」

「あ?」



誰かと思って後ろを振り返れば志方じゃないか。甘い?そりゃ当然だ。可愛んだからな。当然だろ。



「何当たり前のこと言ってんだか。お前邪魔だからそこどけ。」

「嫌だね。」

「あ?志方、てめぇ喧嘩売ってんのか?」

「別にそんなつもりはねぇよ。駿里に朝の挨拶をするだけだ。」

「おい志方やめとけって。組長そろそろ帰ってくるから。」



そう。組長は今ちょっと部屋を出てるだけですぐに戻ってくる。だから下手な真似は出来ないんだよ。なのに志方ときたら…。たく、まじで呑気だなこいつ。昨日もグースカ寝やがって。



「大丈夫だって。駿里、おはよ。」

「…おはよ志方さん。」

「んー?寝ぼけてんのか?可愛いな。こっち向いてみろ。」

「おい志方!」

「うっせねぇな。ちょっとぐらい大丈夫だって。」



あーもー。俺はどうなっても知らねぇからな。好きにしろ。知ーらね、と俺は駿里と志方から離れて自分の準備を始めた。まぁ準備って言っても着替えるだけだがな。



「駿里。可愛いやつー。」

「…んーも、志方さん。」



くそ…羨ましい。寝ぼけてるから駿里もされるがままになってる。あんなに志方に抱きしめられてキスされてんのに嫌がらねぇ…。俺だってしてぇよ。けど組長がそろそろ帰ってくるからな…と、言ってるうちに帰ってきたようだ。



「おい志方。何してんだ。」

「…え、組長。」



はは、ざまねぇ。言わんこっちゃねぇだろうが。精々組長に怒られろ。



「ちょっと戯れてただけです。」



何が戯れてただけだ。嘘ばっかつきやがって。ちゃっかり駿里の耳も舐めてただろうが。嘘つき志方が。



「嘘をつくな志方。いいから駿里から離れろ。たく…。」

「えー。もう少しだけ一緒いていいですか?」

「駄目に決まってんだろ。」

「いて゛!」



お?組長が手を出した。珍しい。最近じゃ駿里の前では俺らにも手をあげなくなったんだよな組長。でもそれが我慢出来ねぇほど志方にイラついたのかもな。ざまねぇよ。



「痛いじゃないですか組長。」

「知るか。さっさと準備しろ。お前は康二を見習え。」

「…はーい。」



はーい、じゃねぇよ。マイペースやろうが。もっと早くテキパキ動け。俺らは部下だぞ。



「志方!さっさとしろ!組長を待たせるな!」

「んだよ康二。うるせぇな。姑かよ…。」

「…てめぇ。腹立つ野郎だな。けど今は時間ねぇからまじで急げ。」

「え?そんなやばい?」

「初めからそう言ってんだろ。早くしろ志方。馬酔木さん待たせちまう。」

「やべぇ…。」



やっと急ぎ出しやがったこいつ。まぁ事の重大さを理解してなかったからってのもあるだろうけど。それにしてもマイペースなんだよな。



「組長、おまたせしました。」

「すみません志方が準備遅くて。」



と、俺らが組長に頭を下げに行くと組長は駿里を抱き抱えていた。とりあえず服だけ着替えさせて朝食を食べさせに行く感じだろう。



「大丈夫だ。行くぞお前ら。」

「「はい。」」



今日はえらく組長機嫌がいいな。どうしたんだ?朝だからか?まぁ機嫌がいいに越したことはねぇか。



「組長。朝食ってみんな揃うんですかね?」



もし海斗が来るなら駿里はものすごく喜ぶだろう。だから俺は組長にそう聞いた。



「多分な。」

「圷も来ますか?」

「ああ。来ると言っていた。」

「そうですか。良かったです。」

「そうだな。」



組長の機嫌がいい理由はもしかしたらこれかもしれない。海斗が来る。そしたら駿里も喜ぶ。それが組長は嬉しかったのかもしれないな。



「駿里喜ぶでしょうね。」

「そうだな。そういや昨日も駿里は海斗に会ったんだろ?康二。」

「はい。だから余計に嬉しいと思います。目も覚めるでしょうね。」

「そうだな。」
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