極道の密にされる健気少年

安達

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誘拐

キス

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*松下視点




なんなんだこれは…。志方が駿里とやけにくっついている。それを見ているだけの俺は正直面白くねぇが圷の様子がさっきからおかしい。だから多分志方は抱きつきたくてそうしてるのもあるが今は駿里の気を逸らしてんだろうな。



「圷。組長と話したい感じか?」



俺は駿里には絶対聞こえない声量でそう言った。その俺の問いかけに圷も静かに答えた。



「ああ。お前は志方と一緒に駿里をリビングに連れて行って欲しい。」

「分かった。」



その声も勿論駿里には聞こえないぐらいの小さな声だ。とにかく駿里に怪しまれないようにリビングに連れていかなきゃいけねぇからな。



「なぁ駿里。お前いつまで志方とくっついてんだよ。」



さぁミッション開始だな。だがその前に…とにかく駿里にくっつきっぱなしの志方には本気で腹が立っている。だから俺は作戦を実行しながら志方と駿里を離そうとした。



「お、俺に言われても…っ、」



まぁそうだよな。お前は志方に無理やりくっつかれてるだけだもんな。



「おい志方。独り占めすんなよ。」

「お前はずっと駿里と一緒にいたじゃねぇか。今ぐらい許せよ。」



確かにそうだな。志方の言う通り俺は駿里と一緒にいた。だが腹立つもんは腹立つんだよ。たく、ずっとくっつきやがって…。いくら作戦とは言えどもな、面白くねぇもんは見たくねぇんだよ馬鹿志方。



「許せねぇな。来い駿里。」

「えっ、ちょ、」



強引ではあったが俺は志方から無理やり駿里を引き剥がした。そんでそのまま駿里をリビングへと連れていく。それを組長は黙って見ていた。圷の様子を見て勘づいたんだろうな。けど志方は不機嫌になっちまった。まぁ仕方ねぇだろ。俺には駿里をリビングに連れていくっていうミッションがあんだから。


「…康二、てめぇ。」

「あ?何怒ってんだよ志方。お前も着いてくればいいじゃねぇか。」



圷が組長と話しあんの忘れたのかよこいつは…。全く…。だから俺はその馬鹿志方にリビングに来るよう言った。そしたら志方はハッとした様子で俺の後を着いてきた。



「言われなくても行くっての。」



そう言いながら俺の後を着いてきた志方と寝室を出た。そんでとりあえず俺は駿里をソファに座らせた。さて、ここからどう時間を稼ぐかが勝負だな。



「駿里。腹減ってねぇか?」



とりあえず俺は駿里に不信感を抱かれないよういつも通りの顔をしてそう聞いた。だがまぁ駿里はそういう事には敏感だ。だから気づかれちまった。



「康二さん。」

「どうした?」

「仕事の話してるの…?」

「ん?何がだ?」

「圷さんと寛也。」



駿里がそう言ったのを聞いて志方も俺も正直どうしようか迷った。だが知らねぇフリをすることにした。俺は実際、組長と圷がなんの話をすんのかしらねぇしな。



「さぁ、俺はなんも聞いてねぇから知らねぇ。志方知ってるか?」

「いいや。俺もなんも聞いてねぇよ。」



馬鹿志方も俺の話に乗ってくれた。だが駿里の中で何かモヤモヤすんだろうな。顔が曇っちまった。



「だよな。仕事の話なら俺らにも話すはずだしよ。こう見えても俺は幹部だからな。」

「そっか…。」



俺がなんと言おうとも多分駿里はモヤモヤしたままだろうな。だったら気を逸らしてやるまでだ。今は組長に会わせてやることが出来ねぇから。その間は俺達がしっかりこいつを見てやらねぇと。



「そんな考えすぎんなって駿里。もし仕事の話だとしても別に大した話じゃねぇだろうよ。」

「…康二さんはなんでそう思うの?」

「大変な事だったら今すぐにこの家出るだろ、な?けど出ないってことはそういうことだ。だからそんな顔すんな。」



って言っても不安だよな。色んなことがあったから。優しいこいつはあんな目に遭わされたとしても自分のせいで人が死ぬことを嫌う。それが駿里だ。だがだからといって俺達に口出しはしない。そこの判断は全部俺らに任せてくれるからな。



「駿里。」

「…なに?」

「可愛いやつ。」

「…っ、こ、康二さっ、なに急に!」



いつまでも顔を曇らせてる駿里に俺はなんの予兆もなしにキスをした。そしたら可愛いぐらいに狼狽えたからもう1回キスしてやった。



「な、なんだよ、なんでキスするのっ…!」

「お前がそんな顔してっからキスしたくなった。」

「康二ばっかりずりぃぞ。駿里、俺もすっからこっち向け。」

「あ、ちょっと待って…っ、」



って駿里は言って手をばたつかせたけどまぁ志方が止まるわけねぇよな。



「待たねぇよ。」

「や、っ、ぅ、んんっ、んー!!」



あーあ。深い方のキスされちまって。まぁけど志方と力の差がありすぎて逃げようにも逃げれない駿里を見るのも悪くはねぇ。



「んんっーーー!!」



志方はねちっこいからな。一度キスされたら中々解放してやんねぇやつだ。だから駿里がちょいちょい俺の事を見て助けを求めてくるけど俺はそれに気づかないふりをした。



「可愛いやつめ。」



俺はそう言いながら駿里の頭を撫でて耳を軽く噛んだ。駿里は耳を舐められんのは苦手だから今は勘弁してやる。今はな。お前が本調子になったら舐め尽くしてやるけどよ。



「んんっ、んっ、んー!!」



駿里の様子を見る限りは志方とのキスを別に嫌がってはないようだがやけに駿里は俺に助けを求めてくる。まぁそうか。あっちに組長いるから焦ってんだよな。この姿を見られてお仕置きされんの駿里だからよ。



「おい志方。長ぇぞ。一旦休憩入れてやれ。駿里に無理させんな。」




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