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誘拐
謝罪
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「ごめっ、ごめんな…っ、ぅ、さぃっ、ごめっ、」
パニックを起こして我を見失っていたとはいえ、寛也に傷をつけてしまった駿里は罪悪感でいっぱいになり謝罪を繰り返していた。そんな駿里に寛也はキスをしたりハグをしたりしながら大丈夫だと繰り返す。
「謝るな。お前は何も悪くない。大丈夫。大丈夫だ。」
「…っ、でも、血が、ごめんなさっ、」
ただでさえ汚い体になってしまったと思い込んでいる駿里。なのに寛也に傷までもつけてしまったことで駿里は不安になっていたのだ。寛也に捨てられてもおかしくない。そう思うほどに。
「うっ、ふっ、ぅ、ごめんな、さいっ、」
「駿里。大丈夫だ。だからもうそんなに泣くな。それにお前が付けてくれた傷なんて逆に嬉しいからな。」
と、寛也は言って駿里を落ち着かせようとするも駿里は落ち着く様子がない。それどころかより泣き始めてしまった。
「いやっ、ぅ、ごめんっ、ごめんなさいっ、」
泣き続ける駿里に松下はなんて声をかければいいのか分からなくなった。いや今はそれが正解なのかもしれない。今の駿里に声をかけてもきっと泣くことしか出来ないだろうから。
「ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、」
「大丈夫。大丈夫だ。」
黙り込む松下とは打って変わって寛也は大丈夫とただひたすらに言っていた。しかし駿里はその寛也の大丈夫という言葉が怖かった。血も出ていて銃で撃たれて怪我もしておいて大丈夫なわけが無いから。なのに寛也は大丈夫という。そんな確証のない大丈夫は駿里に不安を募らせていくのだ。
「だいじょっ、ぶないっ、俺のこと、捨てないで…っ、」
「何言ってんだ。当たり前だ。お前が嫌っつっても離してやんねぇよ。」
と、寛也は言ってくれたけど駿里の不安はまだ取れない。だから駿里は…。
「おれが、汚くてもいいのっ、こんな汚い身体になっても俺のこと、捨てない…?」
駿里はそれを確認するためにそう言った。だが駿里がそういった途端に松下も寛也も顔色を変えた。怖い顔になった。だから駿里は思わず怖気付いてしまう。
「…ち、ちかっ、」
「なぁ、てめぇ今なんつった?」
駿里は寛也を怒らせるつもりじゃなかった。なのに怒らせてしまった。寛也にこんなに怖い声でそう言われるなんて思ってもいなかったから駿里は怖くて硬直してしまう。
「組長。落ち着いてください。駿里が怯えちまってます。」
「…ああ、悪い。」
寛也も怒るつもりなんてなかった。だが我慢が出来なかったのだ。駿里のせいじゃないのに駿里は自分を責めている。そして捨てられると思っている。その誤解を解きたいと思うあまりに感情が寛也は抑えきれなくなってしまったのだ。
「駿里。怯えさせるつもりはなかったんだ。すまないな。だがこれだけは約束してくれ。二度とそんな戯言を言うんじゃねぇ。俺はお前を監禁するほど執着してんだ。汚いなんて馬鹿を言うな。」
寛也は怒りを消し去り駿里に優しくそう言った。だがそう言った寛也に駿里は新たに疑問が生まれてしまう。それは…。
「ならっ…、ぅ、なんで、抱いてくれないの…?」
と、言うことだ。寛也は駿里のことを愛している。ならなんで抱いてくれないのだろう。上書きしてくれないのだろう、と駿里は不安なのだ。だが寛也には寛也なりの思いがある。それは駿里に無理をして欲しくないということだ。
「こんな状態のお前を抱けるか馬鹿。今はしっかり休むんだ。無理をするな。頼むから。」
「……………っ。」
寛也なりの優しさなのに駿里はショックを受けてしまう。抱いてくれないではなく抱くのが嫌なのかもしれないと勝手に解釈してしまったから。そしてそれに松下は気づいた。だから…。
「組長。抱いてやったらどうですか?」
と、言った。そしたら当然松下は寛也に睨まれた。寛也は駿里を休ませたいと思っているから。だがそれでは駿里の不安が解消されない。それを勘づいている松下は寛也の睨みに負けじと話し続けた。
「俺はそれがいいと思います。」
「…だが今はこいつに休むことを優先させるべきだろ。」
「いいえ。それは駿里にとってストレスだと思いますよ。な?駿里。お前は不安なんだよな。」
と、松下が言うと駿里は小さく頷いた。そんな駿里を見て寛也は駿里の思いに応えてやらないといけないと思いつつも怯えてしまっていた。駿里を抱くことでパニックをまた起こしてしまうのではないか、と。パニックを起こして1番辛いのは駿里自身だから。
「…ちかや。」
駿里が期待するような目で寛也を見ている。普段の寛也ならそんなことをされたらすぐにでも襲いかかるだろう。だが今は状況が違う。だから寛也は駿里の頭を撫でることしか出来なかった。そんな寛也を見て松下が…。
「大丈夫です組長。俺も見てますから。」
「は?お前、ずっとここにいるつもりなのか?」
寛也はそれを想定していなかったようで本気で驚いていた。松下が言っているその意味は3人でする、そういう事だから。
「はい。当然ですよ。俺も同席させてもらいますから。」
「…はぁ。仕方の無いやつだ。」
と、言いながらも寛也は安堵していた。松下がここにいてくれるのならば不安が少し解消されるから。そしてそれに松下も当然気づいていた。
「てことで俺と組長でお前の望むがままにしてやるよ、駿里。」
パニックを起こして我を見失っていたとはいえ、寛也に傷をつけてしまった駿里は罪悪感でいっぱいになり謝罪を繰り返していた。そんな駿里に寛也はキスをしたりハグをしたりしながら大丈夫だと繰り返す。
「謝るな。お前は何も悪くない。大丈夫。大丈夫だ。」
「…っ、でも、血が、ごめんなさっ、」
ただでさえ汚い体になってしまったと思い込んでいる駿里。なのに寛也に傷までもつけてしまったことで駿里は不安になっていたのだ。寛也に捨てられてもおかしくない。そう思うほどに。
「うっ、ふっ、ぅ、ごめんな、さいっ、」
「駿里。大丈夫だ。だからもうそんなに泣くな。それにお前が付けてくれた傷なんて逆に嬉しいからな。」
と、寛也は言って駿里を落ち着かせようとするも駿里は落ち着く様子がない。それどころかより泣き始めてしまった。
「いやっ、ぅ、ごめんっ、ごめんなさいっ、」
泣き続ける駿里に松下はなんて声をかければいいのか分からなくなった。いや今はそれが正解なのかもしれない。今の駿里に声をかけてもきっと泣くことしか出来ないだろうから。
「ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、」
「大丈夫。大丈夫だ。」
黙り込む松下とは打って変わって寛也は大丈夫とただひたすらに言っていた。しかし駿里はその寛也の大丈夫という言葉が怖かった。血も出ていて銃で撃たれて怪我もしておいて大丈夫なわけが無いから。なのに寛也は大丈夫という。そんな確証のない大丈夫は駿里に不安を募らせていくのだ。
「だいじょっ、ぶないっ、俺のこと、捨てないで…っ、」
「何言ってんだ。当たり前だ。お前が嫌っつっても離してやんねぇよ。」
と、寛也は言ってくれたけど駿里の不安はまだ取れない。だから駿里は…。
「おれが、汚くてもいいのっ、こんな汚い身体になっても俺のこと、捨てない…?」
駿里はそれを確認するためにそう言った。だが駿里がそういった途端に松下も寛也も顔色を変えた。怖い顔になった。だから駿里は思わず怖気付いてしまう。
「…ち、ちかっ、」
「なぁ、てめぇ今なんつった?」
駿里は寛也を怒らせるつもりじゃなかった。なのに怒らせてしまった。寛也にこんなに怖い声でそう言われるなんて思ってもいなかったから駿里は怖くて硬直してしまう。
「組長。落ち着いてください。駿里が怯えちまってます。」
「…ああ、悪い。」
寛也も怒るつもりなんてなかった。だが我慢が出来なかったのだ。駿里のせいじゃないのに駿里は自分を責めている。そして捨てられると思っている。その誤解を解きたいと思うあまりに感情が寛也は抑えきれなくなってしまったのだ。
「駿里。怯えさせるつもりはなかったんだ。すまないな。だがこれだけは約束してくれ。二度とそんな戯言を言うんじゃねぇ。俺はお前を監禁するほど執着してんだ。汚いなんて馬鹿を言うな。」
寛也は怒りを消し去り駿里に優しくそう言った。だがそう言った寛也に駿里は新たに疑問が生まれてしまう。それは…。
「ならっ…、ぅ、なんで、抱いてくれないの…?」
と、言うことだ。寛也は駿里のことを愛している。ならなんで抱いてくれないのだろう。上書きしてくれないのだろう、と駿里は不安なのだ。だが寛也には寛也なりの思いがある。それは駿里に無理をして欲しくないということだ。
「こんな状態のお前を抱けるか馬鹿。今はしっかり休むんだ。無理をするな。頼むから。」
「……………っ。」
寛也なりの優しさなのに駿里はショックを受けてしまう。抱いてくれないではなく抱くのが嫌なのかもしれないと勝手に解釈してしまったから。そしてそれに松下は気づいた。だから…。
「組長。抱いてやったらどうですか?」
と、言った。そしたら当然松下は寛也に睨まれた。寛也は駿里を休ませたいと思っているから。だがそれでは駿里の不安が解消されない。それを勘づいている松下は寛也の睨みに負けじと話し続けた。
「俺はそれがいいと思います。」
「…だが今はこいつに休むことを優先させるべきだろ。」
「いいえ。それは駿里にとってストレスだと思いますよ。な?駿里。お前は不安なんだよな。」
と、松下が言うと駿里は小さく頷いた。そんな駿里を見て寛也は駿里の思いに応えてやらないといけないと思いつつも怯えてしまっていた。駿里を抱くことでパニックをまた起こしてしまうのではないか、と。パニックを起こして1番辛いのは駿里自身だから。
「…ちかや。」
駿里が期待するような目で寛也を見ている。普段の寛也ならそんなことをされたらすぐにでも襲いかかるだろう。だが今は状況が違う。だから寛也は駿里の頭を撫でることしか出来なかった。そんな寛也を見て松下が…。
「大丈夫です組長。俺も見てますから。」
「は?お前、ずっとここにいるつもりなのか?」
寛也はそれを想定していなかったようで本気で驚いていた。松下が言っているその意味は3人でする、そういう事だから。
「はい。当然ですよ。俺も同席させてもらいますから。」
「…はぁ。仕方の無いやつだ。」
と、言いながらも寛也は安堵していた。松下がここにいてくれるのならば不安が少し解消されるから。そしてそれに松下も当然気づいていた。
「てことで俺と組長でお前の望むがままにしてやるよ、駿里。」
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