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誘拐
悩みが増えた
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「はぁ…。」
「おい康二!ため息ばっかついてんじゃねぇよ!手を動かせ手を!」
駿里と寛也が揃って事務所から出た直後から松下はため息ばかりついていた。そんな松下にさすがに我慢できず腹が立ったのだろう。志方が立ち上がり松下を睨みつけた。
「分かってら…。お前は相変わらず口うるせぇな志方。」
「あ!?なんだと!?つか俺が口煩くなるのはお前のせいだろ!お前が分かってねぇから俺が言ってんだろうが!!」
「おいおい志方。落ち着けって。お前は怒れば怒るほど康二の思うつぼだぞ。」
「圷はなんで我慢出来んだよ…。目の前でため息ばっかつかれてんだぞ。全く、お前が1番イカれてるな。」
「なんで俺に八つ当たりしてくんだよお前は。」
イライラしてるのは分かるが自分にまで八つ当たりしてくる志方に圷は呆れ顔だ。
「まぁいい。つかどうしたよ康二。何をそんなに悩んでんだ。」
「いや…。駿里は今どんな気持ちなのかなってよ。なぁ圷。お前は分かるか?」
「分かるわけねぇだろ。俺は駿里じゃねぇんだから。ただこれだけは確かだ。あいつは深い心の傷を負った。それも俺たちのせいでな。だから組長も一旦駿里を事務所に連れてきたんだろ。俺らがいた方がいいと思ったから。」
と、圷が言うと松下は黙り込んだ。そしてその沈黙の後また口を開いた。
「そうだよな…。はぁ…。なんで本音言わねぇんだろうあいつ。」
「は?どういう意味だ康二。」
松下が言ったことの意味がよく分からず志方は思わずそう聞き返した。だが圷には松下が言った言葉の意味が分かったようだ。
「はぁ…。」
「おい康二!!ため息ばっかついてないで説明しろや!」
「そうカッカすんなって志方。」
「今のは康二が悪いだろ。それともなんだよ。圷は分かったのか?さっきこいつが言った言葉の意味が。」
「ああ。」
「なら説明しろ。」
横暴な志方に圷までため息をつきたくなった。だが説明してやらんことには話が進まないので圷は仕方なく志方に説明することにした。
「いいか、志方。お前は駿里がどんな目に遭ったかを知ってるよな。」
「ああ。つかそれお前が教えてくれたんじゃねぇかよ圷。」
「そうだったか?まぁそれならいい。つかそれなら普通に悟れよ。駿里はあんな目に遭ったんだ。なのにあんなに普通にしてんだぞ。俺達が触れる度ビクビクして…なのにそれも隠そうとしてる。それにはさすがに馬鹿なお前でも気づいてんだろ志方。」
「ああ。馬鹿は余計だけどな。」
「ならもう言わなくても分かるだろ。あいつは気持ちを押し殺してんだ。怖くて怖くて仕方がない気持ちをな。それを押し殺して俺達に正常を装ってる。そんな事したらいつか爆発しちまうのによ。」
「ああ、なんだそういうことか。それなら心配いらねぇだろ。何言ってんだよ圷は。」
「は?」
志方こそ何を言っているんだと圷は目を丸くした。だってそうじゃないか。駿里は色んな感情が爆発しそうなのにそれを隠している。なのに大丈夫なわけが無いから。
「大丈夫じゃねぇだろ。お前こそ何言ってんだ志方。」
「圷の言う通りだ。ついにお前頭のネジ外れたか?」
と、圷に続くように松下がそう言った。そんな2人に志方はたまらず声を荒らげた。
「てめぇらはまじで失礼なやつだな。大丈夫だって。組長はそう判断したから上に駿里と上がったんだろ?それに今駿里は組長といるんだ。あいつが組長の前で感情を隠せるわけねぇだろ。俺達ならともかく2人っきりなってあいつが隠し通せるわけがねぇ。たく、馬鹿なのはどっちだよ。」
と、志方が言うと圷も松下も黙り込んだ。それはその通りだと思ったから。どうやら上手なのは志方だったようだ。松下はそれが少し悔しくて志方に八つ当たりしてしまう。
「…志方のくせに。最もな事を言いやがって。」
「はぁ?おい、てめぇ…。何八つ当たりしてきてんだよ康二。」
「志方が悪い。」
「おいやめろって康二。志方の言う通りだろ?ほらもう仕事に集中しろ。時間ねぇんだから。森廣さんに怒られちまうぞ。」
「それもそうだな。」
圷の言う通り時間が無い。松下はそれをわかっていてもため息を止められなかった。だがその悩みが解決した今仕事をしないわけにはいかない。森廣に怒られてしまうのはもちろん寛也にも怒られてしまうから。
「つーか何時までに終わらせればいいんだっけ?圷、覚えてるか?」
仕事量が多すぎて終わる未来が見えない志方は疲れきった顔をして圷にそう問うた。
「おい終わる時間ぐらい覚えとけよ。あと3時間ぐらいだ。それまでに終わらせるぞ絶対に。」
「はぁ!?3時間、え?圷の聞き間違えじゃねぇの!?そんな時間内に終わるわけねぇだろ!」
「だから時間ねぇっつってんだろ馬鹿康二。なのにお前ときたらため息ばっかつきやがって。仕事終わらせられなかったらペナルティだからな。」
「はは…実は圷が1番怒ってたんだな…。」
と、志方が言った。そして松下と圷が静かに怒っていたことを今知り急いで手を動かし始めた。圷は普段本気で怒ることが少ない分怒らせると怖いから。
「あーも、俺も駿里とイチャイチャしてぇのに!」
「黙れ康二。それは仕事が終わってからだ。」
「だってよ、これ以上圷を怒らせんなよくそ康二。」
「分かってら!志方は黙っとけ!」
「おい康二!ため息ばっかついてんじゃねぇよ!手を動かせ手を!」
駿里と寛也が揃って事務所から出た直後から松下はため息ばかりついていた。そんな松下にさすがに我慢できず腹が立ったのだろう。志方が立ち上がり松下を睨みつけた。
「分かってら…。お前は相変わらず口うるせぇな志方。」
「あ!?なんだと!?つか俺が口煩くなるのはお前のせいだろ!お前が分かってねぇから俺が言ってんだろうが!!」
「おいおい志方。落ち着けって。お前は怒れば怒るほど康二の思うつぼだぞ。」
「圷はなんで我慢出来んだよ…。目の前でため息ばっかつかれてんだぞ。全く、お前が1番イカれてるな。」
「なんで俺に八つ当たりしてくんだよお前は。」
イライラしてるのは分かるが自分にまで八つ当たりしてくる志方に圷は呆れ顔だ。
「まぁいい。つかどうしたよ康二。何をそんなに悩んでんだ。」
「いや…。駿里は今どんな気持ちなのかなってよ。なぁ圷。お前は分かるか?」
「分かるわけねぇだろ。俺は駿里じゃねぇんだから。ただこれだけは確かだ。あいつは深い心の傷を負った。それも俺たちのせいでな。だから組長も一旦駿里を事務所に連れてきたんだろ。俺らがいた方がいいと思ったから。」
と、圷が言うと松下は黙り込んだ。そしてその沈黙の後また口を開いた。
「そうだよな…。はぁ…。なんで本音言わねぇんだろうあいつ。」
「は?どういう意味だ康二。」
松下が言ったことの意味がよく分からず志方は思わずそう聞き返した。だが圷には松下が言った言葉の意味が分かったようだ。
「はぁ…。」
「おい康二!!ため息ばっかついてないで説明しろや!」
「そうカッカすんなって志方。」
「今のは康二が悪いだろ。それともなんだよ。圷は分かったのか?さっきこいつが言った言葉の意味が。」
「ああ。」
「なら説明しろ。」
横暴な志方に圷までため息をつきたくなった。だが説明してやらんことには話が進まないので圷は仕方なく志方に説明することにした。
「いいか、志方。お前は駿里がどんな目に遭ったかを知ってるよな。」
「ああ。つかそれお前が教えてくれたんじゃねぇかよ圷。」
「そうだったか?まぁそれならいい。つかそれなら普通に悟れよ。駿里はあんな目に遭ったんだ。なのにあんなに普通にしてんだぞ。俺達が触れる度ビクビクして…なのにそれも隠そうとしてる。それにはさすがに馬鹿なお前でも気づいてんだろ志方。」
「ああ。馬鹿は余計だけどな。」
「ならもう言わなくても分かるだろ。あいつは気持ちを押し殺してんだ。怖くて怖くて仕方がない気持ちをな。それを押し殺して俺達に正常を装ってる。そんな事したらいつか爆発しちまうのによ。」
「ああ、なんだそういうことか。それなら心配いらねぇだろ。何言ってんだよ圷は。」
「は?」
志方こそ何を言っているんだと圷は目を丸くした。だってそうじゃないか。駿里は色んな感情が爆発しそうなのにそれを隠している。なのに大丈夫なわけが無いから。
「大丈夫じゃねぇだろ。お前こそ何言ってんだ志方。」
「圷の言う通りだ。ついにお前頭のネジ外れたか?」
と、圷に続くように松下がそう言った。そんな2人に志方はたまらず声を荒らげた。
「てめぇらはまじで失礼なやつだな。大丈夫だって。組長はそう判断したから上に駿里と上がったんだろ?それに今駿里は組長といるんだ。あいつが組長の前で感情を隠せるわけねぇだろ。俺達ならともかく2人っきりなってあいつが隠し通せるわけがねぇ。たく、馬鹿なのはどっちだよ。」
と、志方が言うと圷も松下も黙り込んだ。それはその通りだと思ったから。どうやら上手なのは志方だったようだ。松下はそれが少し悔しくて志方に八つ当たりしてしまう。
「…志方のくせに。最もな事を言いやがって。」
「はぁ?おい、てめぇ…。何八つ当たりしてきてんだよ康二。」
「志方が悪い。」
「おいやめろって康二。志方の言う通りだろ?ほらもう仕事に集中しろ。時間ねぇんだから。森廣さんに怒られちまうぞ。」
「それもそうだな。」
圷の言う通り時間が無い。松下はそれをわかっていてもため息を止められなかった。だがその悩みが解決した今仕事をしないわけにはいかない。森廣に怒られてしまうのはもちろん寛也にも怒られてしまうから。
「つーか何時までに終わらせればいいんだっけ?圷、覚えてるか?」
仕事量が多すぎて終わる未来が見えない志方は疲れきった顔をして圷にそう問うた。
「おい終わる時間ぐらい覚えとけよ。あと3時間ぐらいだ。それまでに終わらせるぞ絶対に。」
「はぁ!?3時間、え?圷の聞き間違えじゃねぇの!?そんな時間内に終わるわけねぇだろ!」
「だから時間ねぇっつってんだろ馬鹿康二。なのにお前ときたらため息ばっかつきやがって。仕事終わらせられなかったらペナルティだからな。」
「はは…実は圷が1番怒ってたんだな…。」
と、志方が言った。そして松下と圷が静かに怒っていたことを今知り急いで手を動かし始めた。圷は普段本気で怒ることが少ない分怒らせると怖いから。
「あーも、俺も駿里とイチャイチャしてぇのに!」
「黙れ康二。それは仕事が終わってからだ。」
「だってよ、これ以上圷を怒らせんなよくそ康二。」
「分かってら!志方は黙っとけ!」
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