極道の密にされる健気少年

安達

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誘拐

カラクリ

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「…どこに行くんですか?」



犯されすぎて歩くこともままならなくなってしまった駿里は真によって抱きかかえられ運ばれていた。そんな真に駿里はそう問うた。どこに行くのか全く分からなかったから。



「どこって決まってんだろ。旭川に会いにいくんだよ。」



まるで真が何を言ってるんだお前はというように駿里にそう言った。そのため駿里は徐々に信じてしまった。この残酷極まりないマフィア達を…。



「ここに、ほんとに寛也が…?」

「そうだ。だから何も言わずに待ってろ、な?」



まだ駿里は不安そうにそう言った。そんな駿里を騙し込むために凪は偽りの笑顔を作ってそう言った。



「…………はい。」

「そんな顔すんなって駿里。」

「真の言う通りだぞ。あ、ほら駿里。あそこ見てみろ。」



と、凪に言われて駿里が言われるがままに指のさされた方向を見てみるとそこには…。



「寛也…………っ!!!!!」



寛也いた。夢じゃない。現実だ。やっと駿里は寛也に会うことが出来たのだ。それだけじゃない。寛也に加えて松下、圷がいた。そしてもう1人は見覚えのある男の人がいた。確か寛也の知り合いの人。名前は…亮だ。そのみんなに会えたこと。それが嬉しくて嬉しくて駿里は溢れ出る涙を床に落とし続けた。



「おっと、危ねぇから暴れんな駿里。下ろしてやるから。」



寛也のところに行きたくて仕方がない駿里は真の腕の中で大暴れをした。そんな駿里に真はそう言いながらゆっくりと下ろしてやった。しかし…。



「…あ、の、」

「あ?なんだ?」



真は下ろしてくれたものの駿里のことを離そうとしなかった。だから駿里は真のことを離してと言うように見た。しかし真は相変わらず駿里を離そうとしない。そのため寛也は堪らず超えを荒らげた。



「…おい。どういうつもりだ。駿里を返せ。」

「ちかや…。」



寛也が助けに来てくれた。本当にそうなんだ。駿里は今の寛也の言葉にどれほど安心したか…。しかし真はまだ駿里を腕の中に閉じ込めたまま。怒り狂った寛也を見てもお気楽な顔をしていた。



「まぁまぁそう怒らないで下さいよ旭川さん。とりあえず話しましょうか。」



真と同様にお気楽そうな凪はそう言いながら笑っていた。この状況をまるで楽しむかのようにして…。そのため当然寛也は腹が立ち凪を睨みつける。だが相手はマフィアだ。下手に手を出すわけにはいかない。もしかしたら駿里に危害が出てしまうかもしれないから。



「お前らと話すことなんてねぇ。いいから駿里を返せ。」



寛也はとにかく駿里を暉紘らから遠ざけたかった。なんとしてでも駿里を自分の手の中に入れたかった。だからそう言ったが暉紘はそう簡単に駿里を渡してくれなかった。



「それは困りますね旭川さん。」

「困るのはこっちだ。駿里を攫っておいて今更話すこと?馬鹿言ってんじゃねぇ。」



暉紘に負けじと寛也はそう言い返した。少しでも隙を見せてしまえば負けてしまう相手だから。



「旭川さん。それはつまり俺らを敵に回すということでしょうか。」

「そうだ。」



暉紘の問いに寛也はそう答えた。その瞬間暉紘の顔つきがなぜか変わった。どこか楽しそうで哀れんだような顔になった。



「…へぇ。旭川さんは部下が死んでもいいんですね。」

「は?」



何を言ってるんだこいつはと言わんばかりに寛也は暉紘を見た。しかしその瞬間…!!



バン!!!!



と、言う爆音と共に誰かの苦しむ声が聞こえた。その声のした方を寛也が見てみるとそこには…。



「…康二!!」



なんと松下が何者かによって撃たれてしまっていた。運のいいことに急所ではなく撃たれたのは腕だった。しかしだからこそ寛也は焦っていた。これは脅し。次は急所を狙うぞという暉紘らの脅しだと気づいたから。



「すんませ、ん組長…避けきれませんでした…。」



松下は自分が撃たれてしまったことにより寛也にもダメージを与えてしまったことに謝罪した。銃口を避けることなんて出来もしないのに寛也のために松下はそう言った。俺のことは気にせず駿里を救ってくださいと言うように…。



「…いや康二、お前が謝る必要はねぇだろ。悪い、俺のせいだ。立てるか?」

「はい、もちろんで、す…。」



松下はそういったもののかなり痛そうだった。それもそのはずだ。銃で打たれてしまったのだから。しかし松下はそんな痛みどうでもよかった。それよりも駿里が心配だった。駿里に見られてしまったから。撃たれた姿を…。



「あーあ。旭川さんのせいですよ。俺達の言うこと聞かないから。」

「…てめぇら。」



暉紘の言葉についに寛也は本気でキレた。だって目の前には駿里がいる。その駿里の目の前で撃ったのだ暉紘らは。しかも松下を…。そんな松下を見て駿里は案の定固まってしまっている。状況が把握出来ず混乱しているのだろう。だから寛也が怒らないはずがなかった。



「…どういうつもりだ。」

「どういうつもり?これはこっちのセリフですよ旭川さん。話も聞かずに駿里を返せだなんて言われても困ります。だから話をしますよね旭川さん。」

「…話が違う!!」



暉紘が笑いながら寛也にそう言い終わった時駿里が突然声を荒らげた。大切な大切な松下を傷つけられてしまったから。



「あ?どうしたよ駿里。」



話が違うと騒ぎ立てた駿里に凪は悪い笑みを浮かべながらそう言った。



「さっき、俺を、寛也に返すって…。」

「えー俺そんな事言ったっけ?」



駿里はやっとここで気づいた。暉紘らに騙されたということを。いやそれだけじゃない。寛也まで傷つけられる羽目になった。あの時ちゃんと疑っていればこうはならなかったのに。そのため駿里は罪悪感でいっぱいになってしまった。自分が傷つけられるのはまだいいが寛也らまで傷つけられるのは嫌だから。



「多分言ってねぇと思うんだけどなぁ。ボスが言いました?」

「いや、言ってないな。」



凪に続くように暉紘もそう言った。そんな暉紘らを駿里は絶望した目で見ることしか出来なかった。なんでわざわざこんなことまでするのか…。ここまで追い込む必要なんてないじゃないか…。



「…なん、で。」

「俺らを信じたお前が悪い。」



真は駿里の事を見ながらそう言った。その言葉を聞いた駿里は自分を責めたてた。信じたのが悪い…。そうだ…。悔しいけどこの人たちの言う通りだから。



「ほら旭川さん早く。今度はそっちの部下撃ちますよ?」

「…やめて!」



凪が圷のことを指さしながらそう言った。そのため駿里はそれを全力で止めようと声を荒らげた。そんな駿里を見て圷は目に涙を溜める。今は無力すぎて駿里を助けてやることなんてできない。なのに駿里は一生懸命自分のことを助けてくれようとしていたから。だから圷は悔しかった。



「こーら。駿里は黙ってろ。旭川さんが困るだろ?」



凪は容赦なく寛也を追い込んでいった。しかし寛也は負けなかった。それは当たり前に駿里を助けるためだ。仮に自分が死ぬことになったとしても寛也は駿里をこの地獄から救いあげる。その覚悟だったのだ。だから寛也は冷静にことを進めようとした。しかし松下が…。



「おい!やめろ!駿里に触れんじゃねぇ!」



と、言って声を荒らげてしまった。我慢出来なかったのだろう。駿里に触れられていることに…。



「やめろ康二…、今は黙ってろ。」



冷静さにかけてしまえば確実に暉紘らに負けてしまう。それだけじゃない。それは駿里を苦しめることになってしまう。そのため寛也は松下にそう言った。



「…っ、組長、でも、」

「いいから言うことを聞け康二。今は俺の言うことを聞いてくれ、頼む。」

「………はい。」



松下は駿里を助けたいがあまりに怒り狂うことしか出来なかった。多分撃たれてしまったことで相手はとんでもない人。それを松下は身をもって知ったからだろう。だがだからこそ冷静にならなければならない。そのため松下は寛也の言うことを聞いた。そんなふうに大人しくなった松下を見て寛也は口を開いた。



「…話ってのは?」

「まぁまぁ旭川さん。いいから座ってくださいよ。いつまでそこに立ってるつもりですか?」



暉紘のその言葉に寛也は腹が立ったもののそれを隠して言う通りに座った。

しかし…。



「…は?」



椅子に座った寛也には確かに見えた。あるものが…。見えてしまったのだ…。



「どうしました旭川さん。」



全てをわかっている暉紘はさぞ楽しそうに寛也にそう言った。そんな暉紘に寛也は言い返すことも出来なかった。



「……………。」

「急に黙り込んじゃいましたね。でもやっと分かりましたよね。旭川さんの置かれている立場が。それならどうしたらいいか、旭川さんには分かりますよね。俺は信じてますよ。旭川さんの次の行動を。」

「………………。」



暉紘は黙り込んだ寛也にそう言った。だが寛也はまだ言い返さない。いや言い返せないのだ。そのため圷も松下も駿里もどうしたものかと寛也を見ていた。

ーーーしかし次の瞬間寛也がとんでもないことを口にした。



「帰るぞお前ら。」



寛也がそういった途端場が静まり返った。松下や圷に至っては目を見開いている。そして何より1番驚いているのは駿里だった。



「組長…?なにを、言ってるんですか…?」



松下は混乱しすぎて冷や汗が出ていた。駿里をなんとしてでも助ける。そのつもりでここまで来たのだからそれは当然だろう。しかしそんな松下に寛也は…。



「いいから言うことを聞け。お前ら早く帰るぞ。」

「…っ、なんで!?どうしてなの寛也!!!」



訳が分からない。どうして見捨てられたのか駿里にはまるで分からなかった。なんで?どうしてなの?というように駿里は泣きながら寛也に声を荒らげた。



「……………。」

「どうして無視するの!!寛也!!おれ、ずっと待ってたんだよ!寛也が来てくれるの信じて頑張って耐えてたんだよ!!」



その駿里の声を無視して寛也は立ち上がり歩き出した。そんな寛也に松下と圷は拳を握りしめながらついて行くしかなかった。寛也なしでは何も出来ず敗北する。それに寛也がなんの理由もなく駿里を見捨てるはずなんてないから。



「こらこら駿里。旭川さんを困らせちゃいけねぇだろ。早くお前の部屋に戻るぞ。」



凪は楽しそうに駿里を拘束しながらそう言った。その凪の拘束を頑張って振りほどこうとしながら駿里は声を荒らげ続けた。寛也が…あの寛也が駿里のことを見捨てるなんてそんなことあるはずないから。



「やだっ、やだやだっ!寛也っ、ねぇ寛也!!俺はここにいるよ!!なんで!ずっと一緒にいるって言ったじゃん!ばか!!なんでよ!!」

「ほら駿里。戻るぞ。おいで。」



凪は腕の中にいる駿里をギュッと抱きしめそう言う。しかしそんな凪の声は駿里には届かない。だって駿里の目から寛也の姿が見えなくなりそうだったから。



「なんでだよ寛也!!俺はここにいるじゃんか!!助けに来てくれたんじゃないの!!どうして!!俺のこと見捨てるの!!」

「凪。駿里を落ち着かせてこい。」



こうなるように仕向けたのは暉紘だがここまで駿里がパニックになるとは思わなかったようだ。そのため駿里を落ち着かせるように暉紘は凪にそう言った。



「はーい。承知ですボス。ほら駿里、行くぞー。」

「やだっ、はなしてっ!俺は寛也に話があるの!!」

「大丈夫だ駿里。あいつに捨てられても俺らがちゃんとお前を守ってやるから。」



真はそう言いながら駿里の頭を撫でた。だがそんなもの駿里にはいらなかった。寛也がいい。寛也じゃないと嫌。寛也が…。なのに寛也はどこかに行ってしまった。だから駿里は寛也を追いかけなきゃいけないんだ。



「いやだっ、なんで、なんでよ!!」

「落ち着けって。今はまだ混乱してるだろうけど時間が解決するからよ。」

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