極道の密にされる健気少年

安達

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志方と島袋に連れ去られる話

我慢

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「やだやだっ!!!」

「こら暴れんな。」



当然駿里は嫌なので暴れる。寛也だけならまだしも松下にも抱かれることになる。それが嫌だったのだろう。そんな駿里の気持ちを松下は悟った。悟ってしまった。だから松下は身を引くことにした。愛している駿里を自分の都合で傷つけるのは違うと思ったから。



「んじゃ俺はこの辺で帰りますね!お疲れ様っす組長!」



と、松下が言うと場が静まり返った。それは当然だろう。この局面で帰る?松下が?そんな事これまであっただろうか。いやないだろう。だから寛也も駿里も目を点にしていた。



「…あ?お前帰んのか?」



寛也は松下の気持ちが爆発しないように今回限りだが駿里に触れることを許可した。抱かせる気はなかったが触るだけならいいとしようと松下にこの機会を作った。しかし松下が帰ると言い出したので思わず寛也はそう言ってしまった。



「はい。俺はこれで帰ります。俺、そういやまだ翔真に教えてやんねぇといけないことあったの思い出してしまって。」

「…そうか。そういうことなら頼んだそ康二。」

「はい。失礼します。駿里もまた今度な。」

「う、うん…。」



そう返事をした駿里の頭を撫でると松下はこの家を後にした。翔真に教えてあげなければならないことなんてないはずなのに。それは今日翔真はこのマンションにいないから。森廣と出ているのだ。栗濱の所に。だから寛也は反省した。松下にいらない気を使わせてしまったから。



「ねぇ寛也。松下さんってなんか変わったよね。」



駿里は松下が帰ったあと寛也にそう言った。前の松下だったら駿里の気持ちなんて知らずにやりたい放題していただろう。だが最近は違う。先程はまぁあんなことになってしまったがそれでも今は踏みとどまったから。



「そうだな。けどあんま俺と2人っきりの時は他の男の話をするな。それよりも駿里。筋トレの続きやるか?」

「や、やるわけないじゃんか…!!」

「はは、そうかそうか。なら休んどけ。」

「…………。」



寛也の口から休んどけなんて言葉が出ると思わなくて駿里は思わずフリーズしてしまう。だが寛也もそんな事をさせるつもりはなかった。だが松下が我慢したんだ。だから今回は自分も我慢しようとそう言ったのだ。駿里にもあまり無理をさせたくなかったから。だが駿里は違ったようだ。何故か物欲しそうに寛也を見ていた。



「なんだやりてぇの?」

「…寛也が俺をその気にさせたのに放ったらかしにするなんて最低だ。」



確かに駿里のペニスは立ち上がってしまっていた。まぁあんな風に2人に触られたらそうなるのは当然だろう。だが寛也はそれにしても驚いた。駿里がそんな風に言ってくるとは思わなかったから。だから寛也は…。



「可愛いやつめ。」



と言って駿里にキスをすると寝室まで駿里を抱き抱えて連れて行った。そしてそこからはこれまでで1番と言っても過言ではないぐらい優しく駿里を抱いた。それから疲れ果ててしまった駿里をベットに寝かせ寛也は考え込んでいた。松下の事を…。寛也がそんな事をしていると誰かから電話がかかってきた。その相手は森廣だった。



「どうした森廣。急用か?」

「急用と言えば急用ですが電話で済ませられる程度のことです。」

「そうか。なら言え。」

「はい。あの組長、栗濱は結局どうしましょう。」

「あ?まだ殺してねぇのか?」

「あ、殺してよかったんですか?」



森廣はとても驚いたようで珍しく声を荒らげていた。寛也の指示無しで勝手なことはしない。そう決めていたから。そして勝手に思っていたのだ。寛也は栗濱を殺さずに生き地獄を味合わせる…と。だが違ったようだ。



「当たり前だ。ゴミはいらねぇよ。」

「そうですね。では埋めときます。」

「ああ。あいつら今は瀕死の状態か?」

「はい。そんな感じです。」

「それならそのまま山に捨てとけ。掘る時間がもったいない。」

「それだと見つかったら面倒ですよ。」



森廣の言う通りだ。見つかってしまえば後々面倒になる。いくら権力を使ったとしても人の死体が見つかってしまえば誰かが犠牲になる。だから森廣はそう言ったのだ。だがそんな森廣に寛也は…。



「あの森には誰も近づかねぇよ。警察だろうがな。あの森は俺のもんって知ってるからよ。」

「ま、それもそうですね。もし見つかったとしてもクマに襲われたということにでもしときましょう。」

「ああ。じゃあ切るぞ。」

「はい。」



寛也は森廣のその返事を聞くと電話を切った。そして駿里のことを見た。そしたらなんと駿里は目を開けていたのだ。だから寛也は思わずため息をついてしまう。また駿里が狸寝入りをしていたから。



「寛也、どんな山なのそれ。」

「…また狸寝入りか。お前は悪い子だな。」

「寛也の声が大きいんだよ。」

「そうだっか?それはすまない。」



と、言って寛也は駿里にキスをした。そんな寛也を駿里はガン見する。



「なんだよ。俺の顔になんか着いてるか?」

「ううん。そうじゃない。ていうかさ寛也、俺もその山に行ってみたい。」

「馬鹿か。誰が行かせるかよ。」



あの森はこれまで寛也が殺してきた人が沢山埋まっている。そんな物騒な場所に駿里を連れて行けるわけが無い。そのため寛也はすぐにそう言ったのだ



「なんでよ。そんなにだめなの。」

「そうだ。駄目だ。何がなんであろうともこれは譲らねぇ。」




と寛也が少し怖い顔をしてそう言った。これだけは絶対に駄目だから。そして駿里もそんな寛也の顔を見て諦めたようで顔をそっぽ向けた。少しいじけてしまったのだろう。そんな駿里をみて寛也は思わず笑ってしまう。



「なぁ駿里。そんなに行きてぇの?」

「…ちょっと興味があるんだ。」

「そうかそうか。なら三日三晩俺に抱き潰されてもいいなら連れて行ってやる。」

「……いや。」

「なら諦めるんだな。ほら寝とけ。」

「ぅー。」



寛也は少し嫌がっている駿里を無理やり寝かせた。そして微笑んだ。それは駿里との話し合いが出来て気持ちが聞けたから。松下との和解。これに関してはもう少し寛也は松下と話したいと思っている。だがそれはいつでも出来るのでそこまで問題視はしていない。それよりも寛也はあることが嬉しかった。それはラットも処分。そして新しい仲間も増えていった。そんなふうに変わりゆく旭川組も悪くないなと思いながら寛也は駿里の頭を撫で続けた。これからの旭川組に期待を持ちながら。



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