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志方と島袋に連れ去られる話
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「あ、組長。お疲れ様です。」
今の寛也は誰がどう見ても本気で怒っている。なのに松下は寛也が怒っていることなどまるで気にしていないように普通にそう答えた。
「康二。俺はお前にこいつを抱けと言ったか?」
「いいえ。」
「なら何してんだよてめぇは。」
そう言い松下を睨みつける寛也の後ろで森廣はため息をつく。もしものことがあった時のために森廣は寛也について来ていたのだ。だがまさかこんなことになっているとは森廣も予想していなかった。そのため松下のやらかしにため息しか出ない。
「確かに俺は組長にこいつを抱けなんて指示はされてません。ですが俺をここに駿里と二人っきりにしたらどうなるかなんて簡単に想像ができるじゃないですか。」
「あっ、ぃ、こうじさん…っ!」
松下はいつもなら寛也に怒られた途端に頭を下げる。だが今回は何故か引かなかった。そしてあろうことか少し腰を動かして駿里のいい所を擦った。それも寛也の前で。そのため森廣がすかさず松下に…。
「やめろ康二。組長をこれ以上怒らせるな。」
と、言って森廣は松下を本気で睨んだ。それほど松下はとんでもないことをしているのだ。
「森廣さん。今俺は組長と話してるんです。あなたの意見は聞いていない。」
「…康二。お前ほんとにどういうつもりだ。何がしたい。」
寛也には稀に逆らう松下だが森廣には全く逆らわない松下。なのに今は森廣に歯向かった。そんな松下を駿里は心配そうに見つめた。いつもと違う。どこかが違う松下が心配になったのだ。そしてそれは寛也も同じだったようだ。だが森廣だけは違った。どんな状況であったとしても寛也は組長だ。その事実は変わることは無い。そのため寛也には歯向かうことは許さない。それが森廣の考えなのだ。
「黙り込んでんじゃねぇよ。お前の気分なんて知ったこっちゃねぇんだよ分かるか康二。お前は組長にさっきから舐めた態度を取り続けてる。どういうつもりなんだ。」
森廣は松下の胸ぐらをつかみそうな勢いでそう言った。しかし実際にはそれをしない。今は駿里の前だから。駿里を怯えさせることだけは森廣は避けたかったのだ。
「おい康二…」
「やめろ森廣。もういい。」
と、言って森廣をとめたのは寛也だった。まさかの展開に森廣は目を丸くする。1番怒っていてもおかしくない寛也が松下を庇ったのだから。
「ですが組長…」
「俺がいいと言っているんだ。お前は下がれ。」
「…はい。失礼しました。」
ただでさえ怒っている寛也をこれ以上刺激するわけにはいかない。そう思った森廣は1歩後ろに下がりながらそう言った。そして寛也は森廣が大人しくなったのを確認すると視線を松下に移した。
「康二。」
「…なんですか?」
「お前がどうしてここまで俺に歯向かうのかは知らねぇがとりあえずそれを抜け。話は後でいくらでも聞いてやるから。お前が怒ってる理由は俺とお前の問題だろ。駿里は関係ねぇ。離してやれ。」
寛也は松下のことを真っ直ぐ向いてそう言った。ただ怒るだけでは何も解決しないと寛也は分かったから。松下がいつもと違う行動をしている。だからきっとなにか訳があると思ったのだ。そのため寛也は松下に寄り添うように優しくそう言った。すると松下が…。
「…はい。」
と、言って松下は陰茎を駿里の後孔から抜いた。そしてその後松下は寛也と向き合うようにして立ち上がった。
「組長。」
「なんだ?」
立ち上がった松下とは裏腹に寛也はベットに横たわったまま起き上がれない駿里の近くに行った。そしてそのまま寛也は優しく駿里の頭を撫でた。
「…俺に寄り添うことが出来るなら駿里にもそれをしてあげてくださいね。」
駿里の身体を心配するように頭を撫でていた寛也に松下はそう言った。とても真剣な顔をして。そこでやっと寛也は分かった。松下が何故森廣に歯向かったのか…。どうしてここまで駿里を抱き潰したのか…ということを。
「生意気な事を…。お前はほんとに馬鹿なやつだ。」
松下が駿里を抱いたあの時はただ単に感情を抑えきれなくなり理性が爆発してしまったのかもしれない。だがそうだとしても松下はちゃんと寛也と駿里を仲直りさせようとしての行動をした。これだけ駿里を愛しているのに。駿里のために寛也との関係をどうにかしようと動いてくれていた。そんな松下に寛也は思わず頭を下げたくなってしまった。
「そうですね。組長に似たのかもしれないですね。」
「…生意気だな。」
寛也は松下を見てそう言った。その寛也の顔はどこか嬉しそうだった。寛也は松下がこんなにいい大人になったことが嬉しかったのかもしれない。
「おい森廣。この馬鹿をさっさと事務所に連れていけ。後で俺も行くから。」
「承知致しました。おら康二。さっさと行くぞ。」
と、森廣は返事をすると松下の腕をガッと掴み歩き出した。そんな森廣に抵抗するように松下は足をその場に踏み留める。
「ちょ、ちょっと森廣さん。俺は組長に話があるんですってば…!」
「この馬鹿が。これ以上組長を刺激すんな。それに後で事務所に来て下さるってさっき言ったじゃねぇか組長は。いいから来い。」
そう言って森廣は無理矢理松下を連れてこの家を出た。そのためこの寝室には寛也と駿里の二人っきり。だから駿里は緊張してしまった。先程本気の喧嘩をしてしまったから。
「駿里。大丈夫か?」
「…………っ。」
寛也に優しくそう言われても駿里は何も答えられない。どうしようか考えていたのだ。本当の自分の気持ちを言わなくてはいけない。しかし言えばまた喧嘩になる。そう思うとどうすればいいか分からなくなってしまった。そんな駿里に寛也はまた優しく話しかけた。
「俺が怖いのか?」
「…いや、そうじゃなくて、」
話し合いがしたい。寛也に本当の気持ちを言いたい。駿里はそれがしたいのだ。だが寛也はただ単に駿里は自分に怯えていると思っている。だから…。
「大丈夫。何もしねぇから。あの時は悪かった。」
「……もうおこっ、てない、の?」
「ああ。」
駿里はそれについても不安だった。いくら優しくしてくれていても心のどこかで寛也は怒っているかもしれないと思っていたから。だから駿里は安心した。
「駿里。」
「…なに?」
「少し話をしよう。」
寛也の突然の言葉に駿里は思わず泣きそうになった。寛也が寄り添ってくれようとしてる。寛也がしたいようにするんじゃなくて駿里の気持ちを聞いてくれようとしてる。それが駿里は嬉しかった。そのためゆっくりと駿里は頷いた。
「お前は今何かしたい事があるのか?」
「…え?」
「何でもいい。外に行ってしたいことを言ってみろ。」
寛也は単刀直入にそう言った。あれだけ駿里が外に出たがっていたから何かしたい事があったのかもしれないと思ったのだ。だが駿里はそういう訳ではなかった。ここに居続けると外が恋しくなって外に出たいと言った。だから特に外に出てなにかがしたいという訳ではなかったのだ。だけど駿里はふと思いついた。それは…。
「…ちかや、とドライブしたい。」
「そうか。可愛いなお前。それだけか?」
「ほか、は海いきたいっ!」
「分かった。なら近々行こうな。」
「…いいの?」
まさか寛也が許してくれるなんて思わなかった。先程あれだけ怒っていたのに。この短期間で寛也に何があったのだろうか。駿里は不思議で仕方がなかった。そんな風に考え込んだ駿里の頬にキスを落とすと寛也は口を開いた。
「ああ。お前をここにずっと閉じ込めたいってのは俺の勝手だからな。お前はそれで窮屈な思いをしてきた。だから本当にすまないと思ってる。」
「…ちかや、急にどうしたの?」
今まで寛也の口からそんなこと言われたことがない。だから駿里は驚きが止まらなかった。そんな駿里の頭を撫でながら寛也は話を続けた。
「森廣に言われたんだ。それでハッとした。俺は自分の事しか考えてねぇなって。」
「…いや、そんなことない。俺の方こそそうだよ。寛也の気持ち考えずにここから出ていくなんて言ってごめんなさい。」
「お前はいい子だな。」
ここに駿里を閉じ込めておきたいというのは寛也の勝手なのに駿里はそう言って寛也に謝った。そんないい子な駿里が寛也はさらに愛おしくなった。しかし今は駿里に先にすべきことがある。だから寛也は…。
「駿里。一先ず風呂に入ろう。」
「…うん。ベタベタいや。」
「そうだな。」
と、言って寛也は止まった。あるものが目に入ったのだ。そのあるものというのは松下が散々駿里の体につけたキスマークだ。
「これも風呂で落ちてくれればいいんだけどな。」
「…上からつけ直したら寛也の痕になるよ。」
「していいのか?」
「寛也がしたいな、ら…。」
「ならやらせてもらう。」
今の寛也は誰がどう見ても本気で怒っている。なのに松下は寛也が怒っていることなどまるで気にしていないように普通にそう答えた。
「康二。俺はお前にこいつを抱けと言ったか?」
「いいえ。」
「なら何してんだよてめぇは。」
そう言い松下を睨みつける寛也の後ろで森廣はため息をつく。もしものことがあった時のために森廣は寛也について来ていたのだ。だがまさかこんなことになっているとは森廣も予想していなかった。そのため松下のやらかしにため息しか出ない。
「確かに俺は組長にこいつを抱けなんて指示はされてません。ですが俺をここに駿里と二人っきりにしたらどうなるかなんて簡単に想像ができるじゃないですか。」
「あっ、ぃ、こうじさん…っ!」
松下はいつもなら寛也に怒られた途端に頭を下げる。だが今回は何故か引かなかった。そしてあろうことか少し腰を動かして駿里のいい所を擦った。それも寛也の前で。そのため森廣がすかさず松下に…。
「やめろ康二。組長をこれ以上怒らせるな。」
と、言って森廣は松下を本気で睨んだ。それほど松下はとんでもないことをしているのだ。
「森廣さん。今俺は組長と話してるんです。あなたの意見は聞いていない。」
「…康二。お前ほんとにどういうつもりだ。何がしたい。」
寛也には稀に逆らう松下だが森廣には全く逆らわない松下。なのに今は森廣に歯向かった。そんな松下を駿里は心配そうに見つめた。いつもと違う。どこかが違う松下が心配になったのだ。そしてそれは寛也も同じだったようだ。だが森廣だけは違った。どんな状況であったとしても寛也は組長だ。その事実は変わることは無い。そのため寛也には歯向かうことは許さない。それが森廣の考えなのだ。
「黙り込んでんじゃねぇよ。お前の気分なんて知ったこっちゃねぇんだよ分かるか康二。お前は組長にさっきから舐めた態度を取り続けてる。どういうつもりなんだ。」
森廣は松下の胸ぐらをつかみそうな勢いでそう言った。しかし実際にはそれをしない。今は駿里の前だから。駿里を怯えさせることだけは森廣は避けたかったのだ。
「おい康二…」
「やめろ森廣。もういい。」
と、言って森廣をとめたのは寛也だった。まさかの展開に森廣は目を丸くする。1番怒っていてもおかしくない寛也が松下を庇ったのだから。
「ですが組長…」
「俺がいいと言っているんだ。お前は下がれ。」
「…はい。失礼しました。」
ただでさえ怒っている寛也をこれ以上刺激するわけにはいかない。そう思った森廣は1歩後ろに下がりながらそう言った。そして寛也は森廣が大人しくなったのを確認すると視線を松下に移した。
「康二。」
「…なんですか?」
「お前がどうしてここまで俺に歯向かうのかは知らねぇがとりあえずそれを抜け。話は後でいくらでも聞いてやるから。お前が怒ってる理由は俺とお前の問題だろ。駿里は関係ねぇ。離してやれ。」
寛也は松下のことを真っ直ぐ向いてそう言った。ただ怒るだけでは何も解決しないと寛也は分かったから。松下がいつもと違う行動をしている。だからきっとなにか訳があると思ったのだ。そのため寛也は松下に寄り添うように優しくそう言った。すると松下が…。
「…はい。」
と、言って松下は陰茎を駿里の後孔から抜いた。そしてその後松下は寛也と向き合うようにして立ち上がった。
「組長。」
「なんだ?」
立ち上がった松下とは裏腹に寛也はベットに横たわったまま起き上がれない駿里の近くに行った。そしてそのまま寛也は優しく駿里の頭を撫でた。
「…俺に寄り添うことが出来るなら駿里にもそれをしてあげてくださいね。」
駿里の身体を心配するように頭を撫でていた寛也に松下はそう言った。とても真剣な顔をして。そこでやっと寛也は分かった。松下が何故森廣に歯向かったのか…。どうしてここまで駿里を抱き潰したのか…ということを。
「生意気な事を…。お前はほんとに馬鹿なやつだ。」
松下が駿里を抱いたあの時はただ単に感情を抑えきれなくなり理性が爆発してしまったのかもしれない。だがそうだとしても松下はちゃんと寛也と駿里を仲直りさせようとしての行動をした。これだけ駿里を愛しているのに。駿里のために寛也との関係をどうにかしようと動いてくれていた。そんな松下に寛也は思わず頭を下げたくなってしまった。
「そうですね。組長に似たのかもしれないですね。」
「…生意気だな。」
寛也は松下を見てそう言った。その寛也の顔はどこか嬉しそうだった。寛也は松下がこんなにいい大人になったことが嬉しかったのかもしれない。
「おい森廣。この馬鹿をさっさと事務所に連れていけ。後で俺も行くから。」
「承知致しました。おら康二。さっさと行くぞ。」
と、森廣は返事をすると松下の腕をガッと掴み歩き出した。そんな森廣に抵抗するように松下は足をその場に踏み留める。
「ちょ、ちょっと森廣さん。俺は組長に話があるんですってば…!」
「この馬鹿が。これ以上組長を刺激すんな。それに後で事務所に来て下さるってさっき言ったじゃねぇか組長は。いいから来い。」
そう言って森廣は無理矢理松下を連れてこの家を出た。そのためこの寝室には寛也と駿里の二人っきり。だから駿里は緊張してしまった。先程本気の喧嘩をしてしまったから。
「駿里。大丈夫か?」
「…………っ。」
寛也に優しくそう言われても駿里は何も答えられない。どうしようか考えていたのだ。本当の自分の気持ちを言わなくてはいけない。しかし言えばまた喧嘩になる。そう思うとどうすればいいか分からなくなってしまった。そんな駿里に寛也はまた優しく話しかけた。
「俺が怖いのか?」
「…いや、そうじゃなくて、」
話し合いがしたい。寛也に本当の気持ちを言いたい。駿里はそれがしたいのだ。だが寛也はただ単に駿里は自分に怯えていると思っている。だから…。
「大丈夫。何もしねぇから。あの時は悪かった。」
「……もうおこっ、てない、の?」
「ああ。」
駿里はそれについても不安だった。いくら優しくしてくれていても心のどこかで寛也は怒っているかもしれないと思っていたから。だから駿里は安心した。
「駿里。」
「…なに?」
「少し話をしよう。」
寛也の突然の言葉に駿里は思わず泣きそうになった。寛也が寄り添ってくれようとしてる。寛也がしたいようにするんじゃなくて駿里の気持ちを聞いてくれようとしてる。それが駿里は嬉しかった。そのためゆっくりと駿里は頷いた。
「お前は今何かしたい事があるのか?」
「…え?」
「何でもいい。外に行ってしたいことを言ってみろ。」
寛也は単刀直入にそう言った。あれだけ駿里が外に出たがっていたから何かしたい事があったのかもしれないと思ったのだ。だが駿里はそういう訳ではなかった。ここに居続けると外が恋しくなって外に出たいと言った。だから特に外に出てなにかがしたいという訳ではなかったのだ。だけど駿里はふと思いついた。それは…。
「…ちかや、とドライブしたい。」
「そうか。可愛いなお前。それだけか?」
「ほか、は海いきたいっ!」
「分かった。なら近々行こうな。」
「…いいの?」
まさか寛也が許してくれるなんて思わなかった。先程あれだけ怒っていたのに。この短期間で寛也に何があったのだろうか。駿里は不思議で仕方がなかった。そんな風に考え込んだ駿里の頬にキスを落とすと寛也は口を開いた。
「ああ。お前をここにずっと閉じ込めたいってのは俺の勝手だからな。お前はそれで窮屈な思いをしてきた。だから本当にすまないと思ってる。」
「…ちかや、急にどうしたの?」
今まで寛也の口からそんなこと言われたことがない。だから駿里は驚きが止まらなかった。そんな駿里の頭を撫でながら寛也は話を続けた。
「森廣に言われたんだ。それでハッとした。俺は自分の事しか考えてねぇなって。」
「…いや、そんなことない。俺の方こそそうだよ。寛也の気持ち考えずにここから出ていくなんて言ってごめんなさい。」
「お前はいい子だな。」
ここに駿里を閉じ込めておきたいというのは寛也の勝手なのに駿里はそう言って寛也に謝った。そんないい子な駿里が寛也はさらに愛おしくなった。しかし今は駿里に先にすべきことがある。だから寛也は…。
「駿里。一先ず風呂に入ろう。」
「…うん。ベタベタいや。」
「そうだな。」
と、言って寛也は止まった。あるものが目に入ったのだ。そのあるものというのは松下が散々駿里の体につけたキスマークだ。
「これも風呂で落ちてくれればいいんだけどな。」
「…上からつけ直したら寛也の痕になるよ。」
「していいのか?」
「寛也がしたいな、ら…。」
「ならやらせてもらう。」
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