極道の密にされる健気少年

安達

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志方と島袋に連れ去られる話

お仕置きが行われるまで

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*駿里視点






























どうしよう…。そうだった俺勝手に外に出ちゃってたんだ。庵くんのこととか色々あったからすっかり忘れちゃってたよ…。ああ、なんてことだよほんとに。寛也すごい怒っちゃってる…。



「あの、寛也…。」

「言い訳は聞かねぇぞ。」



目の前で庵くん達がすごく揉めてるのに全然話が頭に入ってこない。だってそれどころじゃないんだもん。寛也は俺の事離してくれないし…。しかも寛也の俺を拘束している腕はすごい力が入ってる。それだけで寛也がどれだけ怒ってるのか俺は嫌でもわかった。



「ちか…っ、」

「黙ってろ駿里。話は後で聞いてやるから今は大人しくしとけ。」



寛也はそう言って優しく笑ってくれた。そうか。寛也は前で行われていることが気になっているんだ。よく見れば登場人物も増えている。この立派なお屋敷の住人かな…。俺は全然分からないし誰かは知らないけど寛也も康二さんも見守っている。だから悪い人たちじゃないんだなってことはわかった。けど俺そんなこと考えてる余裕なくない?帰ったら潰されることはもう分かりきっている。だったら少しでも寛也の怒りを少なくする方法を考えないと…。そんなふうに俺が考え込んでいると康二さんが…。



「やめろ翔真。」



と、康二さんが急に言った。考え込んでいた俺は目の前で行われていることを見ていなかった。だからそういった訳が分からず目の前の康二さんを重視した。すると康二さんは確か翔真…?さんの方を向いて怖い顔をした。康二さんがこの顔をする時は本気で怒っている時だ。これってまずい状況なんじゃないの!?でも誰も止めない。だから大丈夫なのかな…。俺が不安の中に包まれていると康二さんが話し始めた。



「いくら興奮していたとはいえ言っていい事と悪い事がある。分かるか翔真。それを言って1番傷つくのは庵なんだぞ。」




その話を聞いて俺はわかった。なんで康二さんが怒っていたのかってことを。康二さんは庵くんが傷つくことがないように止めたんだ。康二さんも過去に心に傷を負ったことがあるから。だから庵くんの気持ちがわかるんだ。何を言われたらどんな気持ちになるのかを知ってる。なんか普段見ない康二さんの姿だから新鮮だな。




「…すみません、松下さん。」



康二さんが松下さんって呼ばれてる。車でも思ったけどなんか面白いや。こうやって第三者としてみんなのことを見るのも悪くないな。俺はお仕置きのことなんて忘れてひっそり康二さんの観察をしていた。バカにしてるとかじゃなくてかっこよかったから。けど俺にはそんな余裕なかったんだ。



「組長。ここは俺が収めますので駿里と先に帰っていてください。」



え…?今なんて?



「そりゃ助かる。さすがは康二だ。」



何が助かるだよ…!帰ったら俺お仕置きされちゃう…っ、まだ心の準備できてないのに…!康二さん俺を帰らせないで……!



「いえ。駿里と話したいことが沢山あるでしょうから帰って話されてください。俺も後で罰を受けます。」



康二さんなんてことを言うんだ…………。いや完全に俺が悪いんだよ。そもそも俺が外に出たいなんて言わなかったらこうはならなかった。お仕置きされることもなかったよ。だから俺が悪い。絶対に俺が悪い。それは分かってるけどお仕置きされる前はせめて心の準備したいんだ…。けどやっぱり俺にはそんな時間ないらしく…。



「おい駿里行くぞ。」



って寛也に言われちゃった。しかも腕も掴まれて。俺は逃げたりなんかしないのに寛也は俺を逃がさないと言わんばかりに強い力で腕を引いてきた。



「ちかやっ、ちょっと待って…。」

「待たねぇ。おい志方、寄り道せずに帰れ。出来るだけ近道をしてな。」

「お任せを。」



任されないでよ…と俺は思わず志方さんに心の中で叫んだ。その後チラッと志方さんの顔を見た。もしかしたら助けてくれるかもしれないから。しかし…。



「俺に助けを求めても無駄だぞ駿里。」



と、志方さんに突き放されてしまった。だけどそれだけじゃなかったんだ。その俺の行動がどうやら寛也は気に食わなかったらしく立ち止まって俺の顔を鷲掴みにしてきた。



「なんだお前そんなことしてたのか?助けを求める立場じゃねぇだろ。さては反省してねぇな。」

「ちがうっ、ちゃんと反省してる…!!」

「そうは見えねぇがな。まぁいい。とりあえず車に乗れ。もちろんお前は俺の隣だからな。」

「分かってるよ…。」



そういった俺を寛也は半無理矢理車に乗せた。いや正しくは寛也の膝の上に乗せられた。だから俺は気が抜けない。この状態で寛也を怒らせたりなんかしたらとんでもないことになるから。



「なぁ駿里。」

「は、はい…。」



寛也を怒らせないようにと思うばかり俺は敬語になってしまった。その時志方さんが運転しながら笑っていたのが見えた。



「お前なんで勝手に外に出たんだ?」

「…えっと、」



俺は言葉に詰まった。正直に言えば寛也が心配だったから。いつもは護衛をつけていくのに誰一人としてつけずに外に出ていた。それもあって俺は寛也が心配だったんだ。だけどそれを恥ずかしさのあまり言えなくて黙り込んでしまった。そんなことをしてしまえば言うまでもなく寛也は怒る。だから案の定…。



「駿里。」

「…………?」

「家まで待つのはやめだ。車で仕置きをしてやろう。」

「え、まって、反省してるってば…!!」

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