極道の密にされる健気少年

安達

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志方と島袋に連れ去られる話

巣箱

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「へぇ。そうなんだ。」



自分から聞いておいてなんだが駿里はまるで興味が無い、そういうふうな反応をしてしまった。まぁ知らない名前だったのだからどう返せばいいか分からなくてそうなったのもある。だが寛也はそう言ってきた駿里を見て目を釣りあげた。そりゃそうだろう。聞かれて答えたのにこんな反応をされたのだから。そのため寛也は駿里の顔を鷲掴みにした。



「なんだお前。駿里から聞いてきたんだろ。なのに興味なさそうなツラしやがってよ。」

「はは、ごめんごめん。」

「たくよぉ。」



そういったもののそういうところも可愛い。そう思ってしまった寛也。だから寛也は結局駿里に強く言うことが出来ず頬をフニフニとするばかりだった。そんな寛也に今度は松下が話しかけてきた。



「組長。」

「なんだよお前は。」



松下に話しかけられた寛也は少し面倒くさそうにそう答えた。駿里を可愛がっていた最中に話しかけられたのだからその反応をするのも無理はないだろう。だがそれでも松下は寛也に聞きたいことがあったのだ。その内容というのが…。



「もしそいつが本当にいたら仲間にするつもりですか?」

「そいつ?誰のことだ?」

「さっき言ってた男です。」

「ああ、亮のことか。」



寛也が名指しでその男の名を呼んだ途端松下は分かりやすく機嫌が悪くなった。そんな松下を見て寛也は少し苦笑いだ。だけどどこか嬉しそうにしていた。



「なんだよお前その顔は。亮がそんなに嫌なのか?」

「嫌です。」

「あはは、康二さんめっちゃ正直じゃん。」



あまりにも松下が正直に答えたので駿里は思わず笑ってしまった。だが松下からすれば笑い事ではないようで大真面目な顔をして答えてきた。



「あったりめぇだろ。お前だって喘いでる姿を他人に見せたくないだろ?」

「…康二さんほんとさいてい。」

「は?じゃあお前は別にセックスしてる姿他人に見られてもいいってことか?」

「そういうことじゃないからっ、康二さんのばか…!!!」



どこをどう見ても松下が悪いがそんな松下の挑発に乗ってしまった駿里も駿里だ。そのため寛也は喧嘩をし始めた2人をみてため息をついた。そして駿里を腕の中に閉じ込めた。



「うわっ、なにすんだよ寛也!」

「何って決まってんだろ。お前らがしょうもない喧嘩をするから止めた迄だ。それにお前はせっかく外に出れたんだぞ駿里。喧嘩して終わるとか嫌だろ。」

「だって康二さんが…!」

「そうだな。確かに今のは康二が悪い。」

「元はと言えば組長が悪いです。」



松下は相当亮という存在が気に食わないのだろう。そこまで亮を嫌悪する訳は松下にしか分からない。けれどこういう時は大抵松下は自分の感情を閉ざす。そのため寛也も無理に聞くことはしなかった。そして松下が満足する答えを言うことにした。



「たく、分かったから。仲間にはしねぇよ。それに亮は器用なやつだからな。俺が構わなくてもいい感じに生きてんだろうよ。」

「そうだったらいいね。」



寛也がそう言うと松下は安心したようで表情が優しくなった。何ともわかりやすいやつだ。そんな松下とは裏腹に優しい駿里は寛也の顔を見てそう言った。そして会話が一段落したこのタイミングを見計らって駿里はある願いを寛也に言うことにした。



「ねぇねぇ寛也。」

「ん?なんだ?」

「せっかく外に出たんだからどこかお店に行こうよ。」

「「それは駄目だ。」」



駿里は確かに思った。ダメだろうなって。けど寛也も少しぐらい考えてくれると思ったのだ。なのに2人は口を揃えて即答した。そのため駿里は分かりやすくテンションが下がってしまった。



「…何も口を揃えて言わなくてもいいじゃん。」

「はは、そんな顔すんなって駿里。でも逆に言えば俺と組長が口を揃えて言うほど駄目ってことだぞ?」

「…でもどうしてダメなの?」



駄目駄目と言われても駿里は訳が分からない。どうしてダメなのかが分からないのだ。それは当然だろう。駿里はずっと巣箱に閉じ込められているのだから。そのため外がどれだけ危険なのか。そしてヤクザという人間がどれだけ酷い人間なのか知らないのだ。そんな駿里の頭を撫でながら寛也は端的に説明した。



「危ねぇからだ。どこに誰が潜んでんのかわかんねぇのにお前を表には出せねぇよ。」

「…なんだよそれ。」



納得いかない。駿里はそんな顔をしていた。そのため今度は松下が駿里の頬を撫でて優しく話し出した。



「じゃあお前はわけの分かんねぇ奴に連れ去られてもいいのか?何されるかわかんねぇぞ。」

「そんな脅し俺には効かないからっ、別に怖くないし。」

「ほぅ…お前も強くなったもんだな駿里。」



松下の脅しに動じることなく駿里がそう言った。そんな駿里に感心したのか寛也は駿里の顎を上にあげてそう言ってきた。だが違うのだ。強いのではない。そうではなく…。



「違うよ寛也。俺が強いんじゃなくて寛也と康二さんが怖いだけ。」

「「は?」」

「だから俺の中で一番怖いのは寛也と康二さんだって言ってるの…!」

「はぁ?意味わかんねぇ。俺たち駿里にはすげぇ甘々ですよね組長。」



と、松下。



「俺はそのつもりだったがお前には伝わっていなかったようだな。」



と、寛也が言ってきた。だが寛也は言うだけでは済まなかった。ここは外なのに何を考えているのか寛也は駿里の服の中に手を入れてきたのだ。それにはたまらず駿里は大慌てだ。



「ま、まって寛也…っ!」

「待つわけねぇだろ。それにこれは俺の善意だぞ?お前に愛が伝わってないようだから分からせてやろうと思ってな。」

「そ、そーゆーところが怖いの…っ!」

「は?どういう所だよ。」



寛也よって服の中に手を入れられた駿里は大慌てだ。なのにその状況を楽しむかのように松下は笑みを浮かべながらそう言ってきた。



「全部身体で分からせてくるようなところ…っ!」

「そりゃそれが一番効果的だからな。お前には暴言とか暴力よりも快楽の方がよく効く。」

「そうそう。康二の言う通りだぞ駿里。ここいじってやるだけで体の力も抜けちまうんだから。そんで逃げられなくなっても足掻き続けるお前の姿は信じらんねぇほどそそる。」



と、寛也は言いながら駿里の乳首を触り始めた。ここは外なのに!誰が見てるか分からないのに!



「や、やだっ、はなせ…っ!!」

「離したらお前どっか行くだろ。外に出たからって自由じゃねぇんだからな。」

「…そんなのわかってるよ。」



寛也が言った言葉に駿里はショボンと肩を落としてしまった。自由ではない。それは駿里にとっては辛いことだった。確かに寛也のことは愛している。だけど外に出れないし食事も制限される。そこの不満はやはり溜まっていく一方なのだ。そんな駿里の気持ちを感じとったのか寛也は駿里の服の中から手を抜いた。



「まぁお前が羽目さえ外さなきゃこれから定期的に外に出してやる。」

「ほんとに…!?」

「ああ。お前次第だ。」



寛也はそう言いながら駿里の頭を撫でた。すると駿里は先程とは打って代わり嬉しそうな顔をした。そんな駿里をみて寛也は微笑んだ。



「素直に喜ぶところはお前らしくていいな。」

「確かにそうですね。」



松下がそう言いながら駿里の頬を撫でてくる。その松下に駿里はある疑問を問いかける。



「てか康二さんはいつまでいるの…。」

「いちゃ悪いかよ。」

「…静かにするならいていいよ。」



本当は嫌なんだろう。だけどそれを言ったら松下は間違えなく機嫌を悪くする。だから駿里はそう言ったのだろう。そんな駿里をみて寛也が笑ってきた。



「はは、やっぱりお前は強くなったよ駿里。」

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