極道の密にされる健気少年

安達

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志方と島袋に連れ去られる話

また喧嘩

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「1回って言った…。」

「1回だったろ?」

「でもあんなの聞いてない…。」

「そりゃ言ってねぇからな。」



ベットの上でいつも通りの喧嘩が繰り広げられていた。それはなぜなのか。当然寛也が原因だ。



「…寛也なんてもう知らないから。」



寛也はたしかに1回しかしないという約束を守った。だがその1回が駿里にとって長くて辛いものになったのだ。言わばイキ地獄だ。だから駿里は怒りのあまりそっぽ向いてそう言ったが寛也に…。



「ほぅ…。そんなこと言うやつは外に出してやらねぇよ。」

「…っ!?」



外に出さないと言われてしまった。それは嫌だ。外に出れるのはいつぶりか分からない。だから絶対に出たいと駿里は焦ったように寛也にすがりついた。



「や、やだ…っ、外いく。」

「その体で?無理すんなって。明日行こう。」

「…………。」



駿里は寛也にそう言われて悟った。絶対にわざと抱き潰したんだって…。



「ばか寛也っ、わざと抱き潰したでしょ…っ!!」

「そうだな。お前を出来る限り外に出したくねぇからな。」



言い訳するどころか寛也は認めた。そんな寛也に駿里は更に腹が立つ。寛也は毎日外に出てるんだ。それは駿里がやりたいこと。ずっとやりたかった事だ。外に行って色んなものを見たりお日様の日を浴びたり…と駿里はやりたい事が沢山ある。けれど寛也に外に出して貰えない。そんな日常がやっと変わる。そう思ったのに抱き潰され歩けることが出来そうに無くなった駿里。だからこうして寛也に腹が立つのは当然のことだろう。



「出るもん…っ、絶対出るから…。」

「その体で行くのか?俺は抱っこしてやんねぇよ?」

「いいもん…一人で行ってやる。」

「あ?おい待て。今なんつった?」



今のは禁句言葉だった。寛也は駿里の単独行動をとんでもないほど嫌う。それがただの発言であったとしても…。だから駿里は怒った寛也に腕を引かれ足で身体を拘束されてしまった。



「ちょっ、ちょっとっ、やだ離してよ…っ、」

「いいや離さねぇ。」



足と手で拘束されているだけなのに駿里は動けなくなってしまった。それでも諦めず逃げようと試みるがやはり逃げられなかった。それどころか更に寛也を怒らせてしまった。



「何逃げようとしてんだお前。」

「だ、だってっ、なんでそんなに怒るの…っ、冗談に決まってんじゃん…っ、」

「冗談?なぁ駿里。いい加減お前なら分かるよな。冗談であろうとなかろうとも言っていい事と悪い事があるってよ。」



寛也はそういった後駿里を更に引き寄せた。そして逃がさないと言わんばかりに駿里を睨みつける。その顔が怖くて駿里は少し萎縮してしまった。



「…その顔やだっ、こわい、から。」

「お前のせいだろ。お前さっきなんて言った?」

「…………っ。」



ちょっと冗談を言っただけじゃないか。そもそも寛也がこんなに駿里を抱き潰したりしなければきっとこうはならなかった。だから駿里は悔しくて黙りこくってしまった。そんな駿里をみて寛也が…。



「ほぅ。お前がそういうつもりならやることは1つだ。」

「…え?あ、ちょっ、やだっ!」

「うるせぇ。抵抗すんな。」

「や、やだっ!!」



急に寛也が起き上がったかと思えば駿里のお腹の上に乗ってきた。それはいわば馬乗りだ。そのため駿里は先程よりも逃げられなくなってしまう。



「退いてってばっ!」

「退かねぇよ。」

「俺もう限界なのっ、体痛いからやらない!」

「ああ、知ってるさ。俺もやるつもりはねぇよ?」

「…じゃ、じゃあなにするの?」

「お前なら分かるんじゃねぇの?」



寛也はそう言うと駿里の上着をめくり上げた。そしてそのまま素早く駿里の両手を掴み頭上で拘束する。そこまで来たらさすがの駿里も何をされるかわかったようで大暴れだ。



「おら暴れんな。」

「やだっ、それおれ嫌いっ、やめてお願いだから!」

「嫌?俺はお前の体が辛いだろうと思って配慮してやってんだぞ。有難く思え。」

「頼んでないじゃん俺そんなことっ、やめろってばっ!」

「なんだその口の利き方は。」



だって…っ。だって…っ。寛也が悪いんじゃん。俺の事抱き潰したりなんかしなかったら俺だって怒らなかった。禁句ワード言っちゃった俺も悪いけど寛也も寛也で悪いじゃんか!



「寛也の方こそなんだよ…っ!」

「あ?」

「俺を外に行かせたくないからって抱き潰してきたじゃんか!」

「けど俺はちゃんと1回って約束守ったろ?」

「そうだけどそういう問題じゃないじゃんか!」

「なんだよそれ。そもそも抱き潰したらダメなんて俺言われてねぇよ。」

「…そう、だけどっ、」



ああ、まずい。言い訳が思いつかなくなってしまった…。力でも勝てないのに言葉でも寛也に勝てない。そのため駿里は悔しそうに唇を噛み締めた。そんな駿里をみて寛也が口を開いてきた。



「駿里。他にも文句はあるか?」

「…………っ。」



文句は沢山ある。けどそれが思い浮かばない。どうしよう。このままじゃ擽られてしまう。俺が大嫌いなことなのに…っ。早く早く言い訳を…。だけど思いつかなかった。そんな俺を寛也が待ってくれるはずもなく…。



「文句はないようだな。それならお仕置きといこうか。」

「…おれわざと言ったんじゃないもんっ、」



一人で外に行くなんて嘘だ。俺はそもそも怖くて外に1人で行くなんて出来ない。あれは勢いで言ったことだ。だけど寛也はそれさえも許してくれないようだ。



「わざと言ってたら二度と外には出さねぇよ。鎖でもつけて閉じ込めておく。」

「え、それ…冗談だよね…?」

「冗談に見えるか?」



いや見えません。全く見えない。だから怖いんだよ寛也って…と駿里が萎縮しまくっていると寛也が駿里の体に触れてきた。



「や、やめてっ!」

「やめねぇよ。お仕置きするって言ってんだろうが。」

「おねがいっ寛也っ、もうしないから…っ、」

「ここで甘やかしたりしたらお前同じことするから駄目だ。それに本来なら泣くまでくすぐり続けてやりたいぐらいなんだぞ?だが外に出るからなぁ。1分間で許してやるよ。俺は優しいからな。」


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