極道の密にされる健気少年

安達

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志方と島袋に連れ去られる話

隠れんぼ

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「しゅーんーり。」

「たく、どこ行ったんだよ。」



あるリビングの一室でその男たちの声が響いた。その声の主は志方と島袋だ。なんでこうなっているのかと言うと全ては彼らがこの家を訪ねてきたことが始まりだ。駿里は玄関から音がして耳を済ました。それは嫌な予感がしたから。そして案の定駿里の嫌な予感は的中する。玄関から志方と島袋の声が聞こえた。寛也が出たあとでその二人が訪ねてくる。その理由は1つしかない。だから駿里は急いで寝室のベットの下に隠れたのだ。その駿里を捜し求めて志方と島袋はそう言いながら当たりを見渡す。



「やっぱ組長と一緒に行ったんじゃねぇの?」



声をかけても辺りを見渡しても駿里の姿がないので島袋がそう言った。いつもなら駿里はリビングのソファに座っているから。そんな島袋の問いかけに志方は答える。



「いやその可能性はゼロだ。組長を見届けた時駿里はいなかったからよ。だから駿里は今隠れてんだ。」

「なんでだよ。」

「俺達から逃げてるからに決まってんだろ。馬鹿かお前は。」

「はぁ?なんでだよ。」

「次から次に質問の多いやつだなお前は。いいか島袋、駿里が俺達から逃げる理由は1つだろ。分かってんだよ。今から俺らにされることを。」

「お前バラしたのか?」

「してねぇよ馬鹿。島袋じゃあるまいしそんなミスしねぇ。」

「おい志方、てめぇな…。」



こういう所に関して島袋は鈍い。仕事ではトップを争うほど重要視されている人物なのに駿里のことになると阿呆になる島袋をみて志方はため息をついた。



「まぁまぁ落ち着けって島袋。今は喧嘩してる場合じゃねぇ。それに駿里は察してるだけだ。まぁ俺たちが来ればこうなることは誰でも想像出来るしな。」

「…確かにそうだな。」

「だろ?」



志方がそう言うと島袋は腕を組んでなにやら考え始めた。そんな島袋を志方は黙って待ってやった。ここで何かを口出せばまた口論が始まる恐れがあったから。そんな志方の配慮もあってか島袋が自分の中で解決できたようで口を開いた。



「じゃあ隠れんぼの始まりってことか。」

「そういう事だ。たく、頭の悪い奴を相手にすると疲れる。」

「うるせぇな。つかよぉ、志方。」

「あ?」

「いい事思いついちまった。」

「なんだよ。」



駿里のことに関しては島袋は志方と1番気が合う。そのためこれから島袋が言うことが楽しみでたまらないというように志方は表情を明るくした。島袋が何かを企んでいるのを悟ったから。



「先に駿里を見つけた方が先に挿れるのはどうだ?」

「名案だ。」

「はは、やっぱ志方、お前最高だぜ。」

「その言葉そのままお前に返すぞ。よし、そうと決まったらやろう。時間が短くなっちまうからな。」

「そうだな。志方、お前は寝室を探せ。俺はこっち行くからよ。」

「おう。」



志方はそう言うと島袋の言うとおり寝室へと向かっていった。それも悪い笑みを浮かべながら。どんどん足を進めていく。駿里が隠れているだろう寝室に…。



「駿里。」



志方は寝室に着くとそう駿里の名を呼んだ。それは分かっていたからだ。駿里と長いこと時間を過ごしてきた志方だからこそ分かっていたのだ。駿里はなにかまずい事があると寝室にいつも隠れる。だから今回もそうだろうと確信していたのだ。



「いるのは分かってんだ。早く出てこい。」



志方は駿里が寝室に居ることは分かっていたがどこに隠れているのかまでは分からない。そのためそう言い駿里を慌てさせた。そうすることで焦った駿里はきっと動き出す。それを見るために耳を済ませ、しっかり観察をした。すると…。



「そこにいたか。」



志方はそういい足を進めて行った。その志方の行動にさすがにやばいと駿里はベットの下から出てきた。そして当然逃げようと志方から距離をとる。



「よぉ駿里。」

「来ないで…っ!!」



ベットの下から出た駿里は急いで志方から離れる。だが志方はどんどん近づいてくる。それも駿里が逃げられないような近づき方をしてくる。そのせいで駿里は寝室から出るドアまでたどり着くことが出来ない。



「そんな事言うなよ駿里。ほら、こっち来いって。」

「来ないでってば…っ!!」



何をされるのかわかっている駿里は志方に強気でそう返し志方から離れようとする。だか志方が上手い。詰め方が上手くて駿里の動ける範囲がどんどんなくなっていく。



「馬鹿。お前じゃ俺に勝てねぇよ。もう諦めろ。」

「やだっ、お願い志方さん見逃してよ…。」

「見逃す?馬鹿言ってんじゃねぇ。それにどうせ捕まるんだ。早い方がいいだろ。」



志方はそう言いながら駿里を追いつめ続ける。そしてついに駿里を部屋の端っこまで追い詰めることに成功した。



「…志方さん。」



部屋の隅まで追い詰められた駿里は座り込んでしまった。その駿里に視線を合わせる為に志方も座り込む。そして両手で駿里を挟み込むようにして壁に手をついた。



「そんな可愛い顔すんな。それともここで突っ込まれてぇの?」

「いやだ…っ、やだよ…っ。」

「だろ?じゃあ来い。」

「それもいや…っ!」



逃げられない。この部屋を出たところで島袋もいる。駿里は為す術をなくしてしまった。だがこのままだ待って連れて行かれるのも嫌だ。だから最後まで拒否をし続けるが…。



「だったら連れていくまでだな。」

「うわっ、やめ、志方さんはなしてっ!」

「無理だ。暴れたら落っこちるぞ。まぁそんな事絶対しねぇけど。」



駿里は志方によって抱きかかえてられてしまった。そして連れ去られてしまう。だから暴れてせめて志方の腕の中から逃げようとするが志方の腕力が強すぎて逃げることはおろか動くことすら出来なかった。



「おい島袋!」

「お、駿里いたのか。」

「ああ。さっさと行くぞ。」

「だな。」

「ねぇやだっ、おれはいやだってばっ!!」

「大丈夫だ。ちゃんと良くしてやるから。」



そういう問題じゃないんだよぉ…と駿里はその島袋の言葉に心の底から叫んだ。だが2人は足を止めない。止めるどころかどんどん早くなっていく。そしてもちろん駿里も逃げられない。



「おねがい…っ、やめてよっ、寛也にバレたら志方さん達だって怒られるんだよ…っ!!!」

「そうだな。でもまぁなんとかなるだろ、な?志方。」

「ああ。よし、着いたぞ駿里。隅から隅までお前を可愛がってやるからな。」




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