極道の密にされる健気少年

安達

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駿里がお仕置きされた話

集合

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「なんですかそれ。組長だけ狡いですよ。」



口よりも手を動かせと言われた松下は寛也にそう言い返した。それには休もうとしていた駿里も慌てる。このまま松下が寛也を丸め込む可能性もゼロではないから。だが今日に至っては大丈夫そうだった。



「狡いってなんだお前。つか狡いもクソもねぇよ。」

「ありますよ。」

「ねぇって。しつけぇな。」



寛也の言う通りだ。そもそも駿里は寛也のものだ。だから松下が抱くこと自体可笑しな話なのだ。なのに松下がいつも目を盗んでそんなことをするから寛也はご立腹だ。しかしそれは松下の精神面にも関わってくることなので寛也は多少は大目に見ている部分がある。しかし今日だけはダメなのだ。駿里がこれからするパーティをものすごく楽しみにしていたから。だから今日だけは松下に手出しをさせるわけにはいかないのだ。なのに松下ときたら…。



「俺だって駿里と楽しみたいですもん。」

「なんだお前。今日はやけに図々しいな。」 

「なんですかその言い方…!」

「事実だ。」



寛也にそう言われ松下はすぐに言い返そうとする。だがその時ある音がしたことで松下はそれを遮られてしまった。その音というのは…。



ガチャ



この音は玄関からした音だった。その音を聞いた寛也は時計を見る。今何時か見ることで誰が来たのかを何となく想像できるから。寛也は把握しているのだ。いつ誰が何時に仕事を終えるかなということを。



「他の奴らも来たみたいだな。」

「そうですね。あいつらのことです。仕事を早めに切り上げたのでしょう。」

「だな。」



今の時刻では仕事を終えられるはずがない。いやこの組の幹部たちならそれができるかもしれないがそれにしても無謀な時間だ。あの大量の仕事を終えるには無理な時間だった。だから松下はそう言ったのだ。そして彼らが来たことを確認すると松下は先程とは表情を変えて駿里を見た。



「駿里、起き上がれそうか?」



松下はソファに寝転んでいる駿里に向かってそう言った。それにはちゃんとした理由があった。そのため寛也も口出ししてこなかったのだ。だがその理由に駿里はまだ気づいていない。だから普通に返事をした。



「うん、さっきよりは復活したから。」

「そうか。」



駿里はそう言ったがまだ多少は身体が辛そうだ。そんな駿里をみて松下はそう呟いた。そして松下は駿里が起き上がる補助をする。



「まだ身体辛いかも知んねぇけど出来るだけ事後ってことを悟られないようにしとけよ。」

「…う、うん。」



松下がなんでそういったのか分からなかったけど駿里はとりあえず返事をした。そんな呑気な駿里に松下は更に水を差すように話し始めた。



「あいつらに事後ってバレたら襲われちまうだろうからな。」

「…え!」



駿里は何も考えてなかった。だって松下はちゃんと寛也に許可をとって駿里に触れようとしていたから。だから駿里は安心していた。寛也さえいれば大丈夫だって。だがよく考えればそうだ。志方が寛也の許可を取るだろうか。いや取らないだろう。それどころか志方は寛也にバレないように駿里の体に触ってくるかもしれない。それを想像しただけで駿里は背筋が凍った。そんな駿里をみて今度は寛也が口を開いた。



「お前何驚いてんだ。当然だろ。康二だってさっきあんなに言ってたじゃねぇか。」



確かに松下は言ってた。しかし決して襲ってくることは無かった。それが何を意味するのか駿里はやっとわかった。それは松下はものすごく我慢してくれてたんだということだ。



「…じゃああの時康二さんはすっごい我慢してたの?」

「あの時って言うか今もだな。まぁお前はなんも気にすんな。それよりあいつらを呼びに行くぞ駿里。」



駿里は松下にそう言われながら手を引かれた。きっと志方らはリビングのドアの前で待っているから。彼らはいつもそうだ。寛也がなにか立て込んでいる様子の時は呼ばれたとしても待機している。そして今もそうだ。だから松下は志方らを呼びに行こうと駿里を誘ったのだ。その誘いに駿里は笑顔で頷いた。



「いく…っ!」

「よし、行こう。では組長、あいつら通しますね。」

「ああ。頼んだぞ康二。」



寛也のその返事を聞くと松下は駿里を抱き上げた。少しでも体に負担をかけないために。そして松下はそのまま足を進めていきリビングと玄関の廊下を繋ぐ扉を開けた。



「よぅお前ら。」

「お前なんでもういんだよ。」



寛也が開けたと思ったドアはまさかの松下が開けていた。そんな状況に皆驚いている様子だった。しかし志方だけは呆れていた。そのためそう言ったのだ。


「細かいことは気にすんなって志方。それより早く入れよ。」

「お前の家じゃねぇだろ。」

「うるせぇな圷。」



ド正論を圷に言われたが松下はすぐにそう言い返した。まぁたしかにほぼ松下の家でもある。第2の家と言うべきだろうか。それほどまでに松下はここに入り浸っているのだから。



「駿里、元気だったか?」

「うん!元気!圷さんは?」

「俺も元気だ。」



こんな風に家に来た幹部全員に話しかけられた駿里。圷、志方、島袋の全員だ。こうしてみんなが揃っている姿を見るのはやはり嬉しかった。



「お前のその顔久しぶりに見た。可愛い。」



先程まで嬉しさに浸っていた駿里だったが志方のその一言により石のように固まった。志方は一瞬にして駿里が事後ということを見抜いた。そして案の定下半身のある部分が大きくなっている。それを見て駿里は固まってしまったのだ。そんな駿里を庇うように圷が志方をシバいた。



「やめろ志方。駿里が怯えるようなことを言うな。」

「んだよ圷。そんなこと言ってどうせお前海斗の事抱き潰してんだろうが。つかこいつがエロいのが悪い。それよりそもそも組長!俺らが来る前にやんないでくださいよ。我慢すんの辛いんですから。」

「はは、それは悪かったな。」



寛也が笑ったのは嬉しかったから。志方が成長していたから。前の志方だったら寛也が目の前にいようがいまいが駿里に襲いかかっていただろう。しかしそれをしなかった。だから寛也はなんだか嬉しくなったのだ。そんな風に呑気に笑う寛也に志方はため息をついた。



「全くもう…。ほんとになんてことをするんですか。まぁいっか。何はともあれ組長、ということで俺は駿里と戯れますね。」

「はぁ?」



どうやったらそんな結論にたどり着くのだろうか。寛也は一瞬志方が何を言っているのか分からなかった。そのため思わず目が点になってしまった。そんな寛也をさらに呆れさせる一言を松下が言ってきた。



「なら志方、俺も混ぜろ。」

「おいおいお前らやめとけって。今から森廣さんが来るんだぞ。怒られんぞ。」



呆れてものも言えなくなった寛也の代わりに圷がそう言った。2人は森廣が怖いのだ。だからそういえば必然的に2人の動きが止まる。寛也はその隙を逃さず駿里をすぐさま呼んだ。



「駿里、こっちに来い。」

「う、うんっ…。」

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