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松下康二と駿里のお話
初めての話
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「…もう康二さん目が覚めないかと思った。」
駿里は松下の横に寝転んでそう言った。そんな駿里を松下は抱きしめた。しかしまだ身体は自由に動かないのだろう。松下は片手で駿里を引き寄せるのみだった。そして松下はその不自由な身体を使い駿里の頭を優しく撫でる。
「ごめんな駿里。でも心配してくれてありがとうな。」
「そんなの当たり前だよ。」
松下は何度も言うが駿里にとって大切な存在だ。喧嘩ができる存在。駿里にとって初めて気を許せた人物だ。これまで気を使って生活してきた駿里の生活をガラリと変えてくれた男。だから駿里はものすごく感謝をしているのだ。その為駿里が心配するのは当然のこと。しかしそれをわかっていても松下は嬉しかったようだ。そんな松下に駿里は優しく微笑んだ。
「お前いつもは嫌がるくせにこういう時は素直だな。」
「だってそれは…いつもは康二さんがしつこいんだもん。」
「はは、そうだな。」
松下がそう言って笑ってきた。この松下の笑顔を見るだけで駿里は安心出来た。いつもはあれだけ執拗くて嫌なのにやっぱりいなくなるのは耐えられない。そう確信できた。
「それとさ、約束守ってくれてありがとう康二さん。」
「んなの当たり前だ。お前との約束を俺が守らねぇ訳ねぇだろ。」
そういい松下は駿里の頭を撫でる。そうしただけで駿里は嬉しそうに笑った。いつもだったら耐えられずすぐさま抱いていただろう。しかしそんなことをする余裕が無いほど松下はあることがずっと気になっていた。だからそれを駿里に聞くことにした。きっとこれからの事に関係してくるから。
「…あのさ駿里。一つ聞いてもいいか?」
「うんいいよ。どうしたの?」
松下の問いかけに対して駿里は笑顔でそう頷いてきた。その姿が可愛くて松下は自分の体恨んだ。痛みのあまりさすがに動けそうにないから。しかしそれで良かったかもしれない。大切な事を聞けるから。今思うと松下が駿里を襲うことなくこうして話が出来るのは久しぶりかもしれない。
「いや…あんまいい話じゃねぇんだけどよ。正直なところお前どこまで知ってんだ?」
「どこまでって?」
「俺がこうなった理由だ。」
松下の話があまりにもざっくりすぎたので理解出来てない様子だった駿里だが松下がそう言うと話の内容を理解した様子だった。
「…え、そういえば俺何も知らない。てかそれよりも康二さん俺に睡眠薬飲ませたでしょ!!」
「うるせぇ大きな声を出すな。傷口に響くだろうが。つか今更だろ。」
「そういう問題じゃない…っ、どれだけ俺が心配したと思ってんだ!」
「それはすまないと思ってる。もうしない。約束する。」
「………なら許す。」
あれだけ声を荒げてきたからもう少し怒るかと思っていたのに駿里がそういった事で松下は少し驚いたような顔をした。だが許して貰えるならなんでもいい。どんな駿里でも可愛いことには変わりないから。
「なんだいいのかよ。簡単に許してくれんだな。」
「康二さんは約束守ってくれるから。」
「よく分かってんじゃねぇか。」
今回の件により駿里の中で松下康二は約束を守る男というのが定着したらしい。だから松下はこれは使えるかとしれないと早くも悪いことを考え始める。これを使えば駿里を丸め込んで抱くことができそうだから。そんなことを考えていると松下はふと思い出した。志方が帰ってきていないということを。
「つか志方遅ぇな。道に迷ってんのか?」
「心配なら俺見てこようか?」
「いやいい。やめとけ。そんなことしなくていい。お前は俺のそばにいろ。」
「わかった。」
松下がそう言うからには何かわけがある。そう思った駿里はすぐにそう返事をした。そんな駿里をみていると松下は少し罪悪感が湧いてしまった。きっと寛也は駿里のことを待っているはずだから。しかし相手が寛也と言えども松下は駿里を渡したくない。今しか出来ないこの駿里との戯れ。せっかく志方がくれたこの幸せな時間を自ら手放したくなった。だがさすがにそれはダメだ。寛也にも迷惑がかかってしまうから。だから駿里に直接それを言うことにした。
「お前…組長には連絡しなくていいのかよ。多分心配してんぞ。早く帰った方がいいんじゃねぇの?俺の事は気にしなくていいからよ。」
「康二さんが満足したら電話するよ。きっと志方さんもそうしてくれるよ。」
駿里がなんの迷いもなくそう言ってきた。その言葉を聞いて松下は思わず涙を流しそうになった。同情でもなんでもないその言葉。きっと駿里は本心でそう言った。それは駿里自身も松下の事が心配でたまらないから。そんな駿里の頭を松下はまた撫でた。
「お前も大人になったな。出会った時はあんな子供だったのに。」
「え…俺そんなに子供だった?」
「ああ。精神年齢かなり低かったぞ。」
「…そんなことないって言いたいけど確かにそうかも。」
「そうやって認める事ができるってもの成長した証拠だ。」
松下が駿里に立派になったな…なんて言いながら駿里の頬を撫でてきた。それにはさすがに駿里も嬉しくなった。嬉しくて笑みが隠せない。それにはきっと褒められたことも怒られた事も全部駿里にとって松下が初めてだった事が関係してるだろう。そんな風に駿里が嬉しさに浸っているとだんだん調子に乗り始めた松下が悪い笑みを浮かべ始める。
「なぁ駿里。お願いがあんだけどいいか?」
「なに?」
「約束守った俺に褒美をくれるか?」
「…それは、えっと。な、内容によるかもだけど聞くだけ聞く。」
「お前からキスをしてくれ。俺が満足するまでキスをしたら帰してやる。手は出さない。俺は動けねぇからな。だからそこは安心しろ。」
駿里は松下の横に寝転んでそう言った。そんな駿里を松下は抱きしめた。しかしまだ身体は自由に動かないのだろう。松下は片手で駿里を引き寄せるのみだった。そして松下はその不自由な身体を使い駿里の頭を優しく撫でる。
「ごめんな駿里。でも心配してくれてありがとうな。」
「そんなの当たり前だよ。」
松下は何度も言うが駿里にとって大切な存在だ。喧嘩ができる存在。駿里にとって初めて気を許せた人物だ。これまで気を使って生活してきた駿里の生活をガラリと変えてくれた男。だから駿里はものすごく感謝をしているのだ。その為駿里が心配するのは当然のこと。しかしそれをわかっていても松下は嬉しかったようだ。そんな松下に駿里は優しく微笑んだ。
「お前いつもは嫌がるくせにこういう時は素直だな。」
「だってそれは…いつもは康二さんがしつこいんだもん。」
「はは、そうだな。」
松下がそう言って笑ってきた。この松下の笑顔を見るだけで駿里は安心出来た。いつもはあれだけ執拗くて嫌なのにやっぱりいなくなるのは耐えられない。そう確信できた。
「それとさ、約束守ってくれてありがとう康二さん。」
「んなの当たり前だ。お前との約束を俺が守らねぇ訳ねぇだろ。」
そういい松下は駿里の頭を撫でる。そうしただけで駿里は嬉しそうに笑った。いつもだったら耐えられずすぐさま抱いていただろう。しかしそんなことをする余裕が無いほど松下はあることがずっと気になっていた。だからそれを駿里に聞くことにした。きっとこれからの事に関係してくるから。
「…あのさ駿里。一つ聞いてもいいか?」
「うんいいよ。どうしたの?」
松下の問いかけに対して駿里は笑顔でそう頷いてきた。その姿が可愛くて松下は自分の体恨んだ。痛みのあまりさすがに動けそうにないから。しかしそれで良かったかもしれない。大切な事を聞けるから。今思うと松下が駿里を襲うことなくこうして話が出来るのは久しぶりかもしれない。
「いや…あんまいい話じゃねぇんだけどよ。正直なところお前どこまで知ってんだ?」
「どこまでって?」
「俺がこうなった理由だ。」
松下の話があまりにもざっくりすぎたので理解出来てない様子だった駿里だが松下がそう言うと話の内容を理解した様子だった。
「…え、そういえば俺何も知らない。てかそれよりも康二さん俺に睡眠薬飲ませたでしょ!!」
「うるせぇ大きな声を出すな。傷口に響くだろうが。つか今更だろ。」
「そういう問題じゃない…っ、どれだけ俺が心配したと思ってんだ!」
「それはすまないと思ってる。もうしない。約束する。」
「………なら許す。」
あれだけ声を荒げてきたからもう少し怒るかと思っていたのに駿里がそういった事で松下は少し驚いたような顔をした。だが許して貰えるならなんでもいい。どんな駿里でも可愛いことには変わりないから。
「なんだいいのかよ。簡単に許してくれんだな。」
「康二さんは約束守ってくれるから。」
「よく分かってんじゃねぇか。」
今回の件により駿里の中で松下康二は約束を守る男というのが定着したらしい。だから松下はこれは使えるかとしれないと早くも悪いことを考え始める。これを使えば駿里を丸め込んで抱くことができそうだから。そんなことを考えていると松下はふと思い出した。志方が帰ってきていないということを。
「つか志方遅ぇな。道に迷ってんのか?」
「心配なら俺見てこようか?」
「いやいい。やめとけ。そんなことしなくていい。お前は俺のそばにいろ。」
「わかった。」
松下がそう言うからには何かわけがある。そう思った駿里はすぐにそう返事をした。そんな駿里をみていると松下は少し罪悪感が湧いてしまった。きっと寛也は駿里のことを待っているはずだから。しかし相手が寛也と言えども松下は駿里を渡したくない。今しか出来ないこの駿里との戯れ。せっかく志方がくれたこの幸せな時間を自ら手放したくなった。だがさすがにそれはダメだ。寛也にも迷惑がかかってしまうから。だから駿里に直接それを言うことにした。
「お前…組長には連絡しなくていいのかよ。多分心配してんぞ。早く帰った方がいいんじゃねぇの?俺の事は気にしなくていいからよ。」
「康二さんが満足したら電話するよ。きっと志方さんもそうしてくれるよ。」
駿里がなんの迷いもなくそう言ってきた。その言葉を聞いて松下は思わず涙を流しそうになった。同情でもなんでもないその言葉。きっと駿里は本心でそう言った。それは駿里自身も松下の事が心配でたまらないから。そんな駿里の頭を松下はまた撫でた。
「お前も大人になったな。出会った時はあんな子供だったのに。」
「え…俺そんなに子供だった?」
「ああ。精神年齢かなり低かったぞ。」
「…そんなことないって言いたいけど確かにそうかも。」
「そうやって認める事ができるってもの成長した証拠だ。」
松下が駿里に立派になったな…なんて言いながら駿里の頬を撫でてきた。それにはさすがに駿里も嬉しくなった。嬉しくて笑みが隠せない。それにはきっと褒められたことも怒られた事も全部駿里にとって松下が初めてだった事が関係してるだろう。そんな風に駿里が嬉しさに浸っているとだんだん調子に乗り始めた松下が悪い笑みを浮かべ始める。
「なぁ駿里。お願いがあんだけどいいか?」
「なに?」
「約束守った俺に褒美をくれるか?」
「…それは、えっと。な、内容によるかもだけど聞くだけ聞く。」
「お前からキスをしてくれ。俺が満足するまでキスをしたら帰してやる。手は出さない。俺は動けねぇからな。だからそこは安心しろ。」
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