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松下康二と駿里のお話
朝
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「当然ですよって言いたいところですが駿里は相当疲れていたようですよ。俺が寝るように急かしてベットに横になった瞬間寝ましたからね。」
志方はそう言いながら眠ってしまった駿里の頭を優しく撫でた。寝ている駿里は何をしても怒ることがないから言ってしまえばやり放題だ。だが今はちょっかいをかけない。それもそのはず。志方は今寛也と電話中なのだから。
『そうか。まぁ寝れたんなら良かった。ありがとな。』
「いえ。これしきの事当然です。それより俺は組長に驚きましたよ。」
『何がだ。』
「組長が駿里を康二のそばにつかせるってことをお許しになったじゃないですか。まさかお許しになると思ってなかったので竜巻でも来るのかと思いましたよ。」
寛也は駿里が半径1メートル以上離れるだけで怒るのに今や駿里を手元から離している。それもずっとだ。志方や圷が見張っていたとしても寛也は不安だろう。だからこそ志方は今回の件に驚いたのだ。そんな志方に対して寛也は笑った。
『たく、お前は俺をどんな奴だと思ってんだ。』
「組長の駿里に対する独占欲は人一倍凄いのでまさかと思ったんです。」
『まぁ正直俺も面白くねぇ所もある。けど今はそんなこと言ってられねぇからな。康二が治るなら何でもするさ。駿里も家にいるより康二のそばにいた方が安心するだろうからな。』
「そうですね。組長の言う通りです。」
志方は最近寛也の余裕のない姿ばかり見ていたからかそう言ってきた寛也に頼もしさを覚えた。駿里といるとどうしても寛也は余裕を無くす。だけど本来の寛也はそんなんじゃない。そんなもんでは無い。寛也は自分の感情を読ませることもしない上に相手を簡単に堕とす。そんな寛也を久しぶりに見た気がして志方は自然と笑みを浮かべていた。頼もしいな…と。
『じゃあ志方。引き続き駿里と康二の見張りを頼む。俺は天馬の事でやらなきゃ行けねぇ事があるからよ。』
「承知しました。」
『くれぐれも天馬の事は駿里に言うなよ。』
「もちろん承知しております。では、失礼します。」
『ああ。』
寛也との電話を切った後志方は思わずため息をついてしまった。まさか身内から裏切り者が出るなんて思ってもいなかったから。それも天馬だ。幼い頃からずっと傍にいたのに志方は悔しくなる。寛也がどんな判断をして制裁を下すのか病院にいる志方には分からない。だから気になる…気になって仕方がない。しかし今志方は目の前にいる駿里を守らなければならない。そのため志方は自分の欲望を押し殺して大切な人を守ることに専念した。
「駿里。朝起きたらお前の好物を用意しててやるからな。だから今は…今だけは何も考えずに寝てるんだぞ。」
志方は眠ってしまった駿里に頭を撫でながらそう言った。しかし当然駿里から返事が返ってくることは無い。眠っているのだから当然だ。そんな駿里に志方は微笑んだ。
「相変わらずお前の寝顔は堪んなく可愛いな。」
そう言い志方は朝が来るのを待った。駿里が起きて元気になっているはずの朝を…。そして松下が目覚める奇跡を待ちながら。
*
「起きたか駿里。おはよう。」
志方がカーテンを開けたのだろう。太陽の光が目に入り駿里は目が覚めた。そして近くにあった時計を見てみるとお昼頃になっていた。寝すぎても身体に悪いと思った志方はその行動をしたのだ。そんな志方に駿里は朝の挨拶をする。
「…おはよう志方さん。」
「おう。おはよう駿里。調子はどうだ。」
「元気。」
「そりゃよかった。」
志方はそういいニカッと笑うと駿里の頭を少し乱暴に撫でた。その志方の姿をみて駿里は松下と重ねてしまった。この志方の笑みはどこか松下と似ていたから。
「駿里。康二はまだ起きてねぇよ。けど容態は安定してる。夜心臓も止まってねぇしいい感じだ。」
「…そっか。」
「そうだ。だから飯食おうな。」
「うん。」
志方は駿里が大人しくそう返事をしてきたので少し驚いていた。まぁもし食べないと言ったとしても無理にでも食べさせようとするつもりだった。しかしその必要はもうないので志方は起き上がった駿里を抱き抱えた。
「全部食わなくていいから食べれるだけ食べろ。残したとしても俺が食べるからよ。」
「志方さんのご飯は?」
「俺はもう食べた。けどあまりにも早く食べちまったからちょい腹減ってんだよ。だから残しても悪いなんて思わなくていい。むしろ嬉しいからな。」
駿里の食べ物を残す事に対する罪悪感はとてつもなく大きい。それを軽減させるために志方はそう言ったのだ。しかしそう言ったところで駿里は昨日と同じことをするかもしれない。だから志方はもう一押しをするために再び口を開いた。
「だから無理して食うなよ。昨日圷から聞いたぞ。無理して食べて体調崩したってな。もし今日も同じことしたら速攻襲う。康二が起きるまで抱き続けてやるからな。」
「わ、わかった。」
志方は駿里をそう脅すために言ったのかもしれないが駿里からしたらそれは脅しでは無いように感じた。志方なら本当にやりかねないから。だから駿里は焦ってそう返事をしたのに志方は何故か隣に座ってきた。しかもその手がどこか変な感じだった。
「し、志方さん…?」
「んー?」
「ちょ、変な触り方しないでよ…っ!」
「いやぁ、ほんとにやってもいいなって思ってよ。お前がいいならするか?康二が目を覚ますかもしれねぇし。」
志方はそう言いながら眠ってしまった駿里の頭を優しく撫でた。寝ている駿里は何をしても怒ることがないから言ってしまえばやり放題だ。だが今はちょっかいをかけない。それもそのはず。志方は今寛也と電話中なのだから。
『そうか。まぁ寝れたんなら良かった。ありがとな。』
「いえ。これしきの事当然です。それより俺は組長に驚きましたよ。」
『何がだ。』
「組長が駿里を康二のそばにつかせるってことをお許しになったじゃないですか。まさかお許しになると思ってなかったので竜巻でも来るのかと思いましたよ。」
寛也は駿里が半径1メートル以上離れるだけで怒るのに今や駿里を手元から離している。それもずっとだ。志方や圷が見張っていたとしても寛也は不安だろう。だからこそ志方は今回の件に驚いたのだ。そんな志方に対して寛也は笑った。
『たく、お前は俺をどんな奴だと思ってんだ。』
「組長の駿里に対する独占欲は人一倍凄いのでまさかと思ったんです。」
『まぁ正直俺も面白くねぇ所もある。けど今はそんなこと言ってられねぇからな。康二が治るなら何でもするさ。駿里も家にいるより康二のそばにいた方が安心するだろうからな。』
「そうですね。組長の言う通りです。」
志方は最近寛也の余裕のない姿ばかり見ていたからかそう言ってきた寛也に頼もしさを覚えた。駿里といるとどうしても寛也は余裕を無くす。だけど本来の寛也はそんなんじゃない。そんなもんでは無い。寛也は自分の感情を読ませることもしない上に相手を簡単に堕とす。そんな寛也を久しぶりに見た気がして志方は自然と笑みを浮かべていた。頼もしいな…と。
『じゃあ志方。引き続き駿里と康二の見張りを頼む。俺は天馬の事でやらなきゃ行けねぇ事があるからよ。』
「承知しました。」
『くれぐれも天馬の事は駿里に言うなよ。』
「もちろん承知しております。では、失礼します。」
『ああ。』
寛也との電話を切った後志方は思わずため息をついてしまった。まさか身内から裏切り者が出るなんて思ってもいなかったから。それも天馬だ。幼い頃からずっと傍にいたのに志方は悔しくなる。寛也がどんな判断をして制裁を下すのか病院にいる志方には分からない。だから気になる…気になって仕方がない。しかし今志方は目の前にいる駿里を守らなければならない。そのため志方は自分の欲望を押し殺して大切な人を守ることに専念した。
「駿里。朝起きたらお前の好物を用意しててやるからな。だから今は…今だけは何も考えずに寝てるんだぞ。」
志方は眠ってしまった駿里に頭を撫でながらそう言った。しかし当然駿里から返事が返ってくることは無い。眠っているのだから当然だ。そんな駿里に志方は微笑んだ。
「相変わらずお前の寝顔は堪んなく可愛いな。」
そう言い志方は朝が来るのを待った。駿里が起きて元気になっているはずの朝を…。そして松下が目覚める奇跡を待ちながら。
*
「起きたか駿里。おはよう。」
志方がカーテンを開けたのだろう。太陽の光が目に入り駿里は目が覚めた。そして近くにあった時計を見てみるとお昼頃になっていた。寝すぎても身体に悪いと思った志方はその行動をしたのだ。そんな志方に駿里は朝の挨拶をする。
「…おはよう志方さん。」
「おう。おはよう駿里。調子はどうだ。」
「元気。」
「そりゃよかった。」
志方はそういいニカッと笑うと駿里の頭を少し乱暴に撫でた。その志方の姿をみて駿里は松下と重ねてしまった。この志方の笑みはどこか松下と似ていたから。
「駿里。康二はまだ起きてねぇよ。けど容態は安定してる。夜心臓も止まってねぇしいい感じだ。」
「…そっか。」
「そうだ。だから飯食おうな。」
「うん。」
志方は駿里が大人しくそう返事をしてきたので少し驚いていた。まぁもし食べないと言ったとしても無理にでも食べさせようとするつもりだった。しかしその必要はもうないので志方は起き上がった駿里を抱き抱えた。
「全部食わなくていいから食べれるだけ食べろ。残したとしても俺が食べるからよ。」
「志方さんのご飯は?」
「俺はもう食べた。けどあまりにも早く食べちまったからちょい腹減ってんだよ。だから残しても悪いなんて思わなくていい。むしろ嬉しいからな。」
駿里の食べ物を残す事に対する罪悪感はとてつもなく大きい。それを軽減させるために志方はそう言ったのだ。しかしそう言ったところで駿里は昨日と同じことをするかもしれない。だから志方はもう一押しをするために再び口を開いた。
「だから無理して食うなよ。昨日圷から聞いたぞ。無理して食べて体調崩したってな。もし今日も同じことしたら速攻襲う。康二が起きるまで抱き続けてやるからな。」
「わ、わかった。」
志方は駿里をそう脅すために言ったのかもしれないが駿里からしたらそれは脅しでは無いように感じた。志方なら本当にやりかねないから。だから駿里は焦ってそう返事をしたのに志方は何故か隣に座ってきた。しかもその手がどこか変な感じだった。
「し、志方さん…?」
「んー?」
「ちょ、変な触り方しないでよ…っ!」
「いやぁ、ほんとにやってもいいなって思ってよ。お前がいいならするか?康二が目を覚ますかもしれねぇし。」
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