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松下康二と駿里のお話
目覚め
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「…………ん………。」
駿里の目に光が差し込んできた。明るくていやでも目が覚めてしまう。もう朝なのだろうか。いや違う。朝なら電気が着いているはずがない。だったらなぜ…。
「…んん…………。」
朝はいつもパッと起きれる駿里なのになぜか今日は起きれなかった。異常に眠い。なんでだ。頭もクラクラする。手も痺れる。足だって痺れている。昨日は確か松下と一緒に過ごして…。そこから…。少しづつ動かない頭を使い駿里は考えた。そして徐々に思い出していく。そうだ。自分は睡眠薬を飲まされたんだ…と。それも松下によって。だからこんなにも起きられないのだ。目を開けようとしても起きられない。目が開かない。それを理解した駿里はなんとしてでも起きようとする。だが上手くいかない。早く。早く起きないといけないのに。松下の所に行かないと行けないのに。そんなふうに駿里が苦しんでいると遠くの方から声が聞こえてきた。
「……り……しゅ…………………!」
声が遠い。遠いところから聞こえる。誰の声なのかも分からない。それは駿里が睡眠薬を飲まされているためだろう。副作用が出ているのだ。やはり薬には抗えないのだろうか。いやそんなことは無い。諦めなければ結果は変わる。だから駿里は遠くから聞こえる声にまるで手を伸ばすようにしてもがいていた。
「…ん……………しゅ………り!!」
遠かったはずの声が段々と大きくなっていった。あと少し。あと少しだ。きっとあと少しで起きれる。目を開けろ!目を開けるんだ!駿里は自分に必死で話しかけた。そしてついにその瞬間は訪れる。
「…………はぁっ、はぁっ、ぇ、ここどこっ、」
起きた時駿里は自分の体から出ている異常な汗に気がついた。息も上がってしまっている。そんな状態ではあるがここが寛也の家ではないということはすぐにわかった。いつも寝ている場所だから。匂いだってもう覚えてしまっている。だからわかったのだ。だが駿里はまだ視界も開けておらず目の前が真っ白だ。そんな状態で周りを見渡していると近くにいた人物が話しかけてきた。
「おい馬鹿!お前何してんだ!急に起き上がんな。強い薬飲まされてんだからよ。」
まだ視界がボケていて誰かは分からない。けれど知っている。駿里はこの声を知っていた。しばらく聞くことのなかった久々の声。そう。この声は…。
「し、しばさん…!?」
「おう。俺だ。久しぶりだな駿里。まだ視界ボケてるみたいだな。」
「あのおれっ、いやそれよりも康二さんはどこにいるの…!?」
「ん?知らねぇよ。何の話してんだ。」
「とぼけないでっ、康二さんが危ない目に遭ってるかもしれないんだ!!」
駿里はそういい立ち上がろうとする。しかしそれが出来なかった。まるで後ろから拘束されているような感覚に陥った。だから駿里は後ろをゆっくり振り返った。そしてそこにあったものを見て駿里は目を見開いた。
「なんでっ、なにこれ、なんでこんなっ、」
「…悪い駿里。康二の所には行かせられねぇ。」
駿里は司波によってベットに手錠を繋がれていた。そのため起き上がることが出来なかったのだ。それを何とかして外そうと駿里は引っ張ったりなんだりするがこれは手錠だ。しかも寛也が持っている手錠だろう。だから簡単に外せるわけがなかった。そんなことをした司波に駿里は声を荒らげる。
「なんで…司波さんどうしてこんなことするの!!」
「何でもだ。ここで大人しくしてろ。それが寛也からの指示だ。」
「いやだ…そんなのいやだ…っ。」
「駿里。頼むから大人しくここにいてくれ。」
「いやだ…!!」
だってこうしている間に松下が…。駿里がここにいるということは松下に何かあったということだろう。寛也もここにいないことから憶測すると松下はかなり重篤なのだろう。だから駿里はこうして拒否をしているのだ。
「…駿里。」
「康二さんはいつも俺の事を助けてくれた。どんな時だって。だから俺は絶対康二さんのところに行きたい。それに最悪の事態になんてならない。だって約束したもん。死なないって。康二さんと俺約束したから。だからお願い。康二さんのところに行かせて…。手錠の鍵解除してください…。」
司波はそう駿里に言われ考えた。司波がここに来た時もう手遅れだと思った。寛也らがしている止血も心臓マッサージも止めようとした。もうきっと無駄だから。しかしそんな時松下が息を吹き返したのだ。それを見て司波は松下はやはり強い。そうとしか考えなかった。だが違うかもしれない。今そう思った。松下はもしかすると駿里との約束を守るためにもがいていたのかもしれない。そう考えた司波は駿里が寝ているこの部屋から出ていった。そんな司波をみて駿里は肩を落とした。
しかしーーー。
「え…。」
司波が戻ってきたのだ。それも手錠の鍵を持って…。そんな司波をみて駿里は思わず涙を零してしまう。司波が松下の所に連れて行ってくれるなんて思いもしなかったから。
「勘違いすんなよ駿里。俺はお前に借りを返したいと思っていたからこうしてるだけだ。お前には散々助けて貰ったからな。」
「ありがとう司波さん…っ。」
「ほら、早く立て。病院まで車飛ばすぞ。」
「うん…!」
駿里は司波に手を引かれ立ち上がった。そして部屋を出ると司波の車に乗りこみ病院を目指す。その病院まではすぐに着いた。司波がいつでも病院に行けるために近くに住んでいたのだろう。そして病院に着くや否や駿里と司波は走り松下がいるであろうところを目指した。ここは寛也が経営している病院のため患者は全て旭川組のものしかいない。だから走っても大丈夫なのだ。そんなこんなで駿里らがそこへ辿り着くと寛也や志方ら幹部達がいた。
「ちかや…。」
「は?駿里?お前なんでここに…どういうことだ司波。」
駿里の目に光が差し込んできた。明るくていやでも目が覚めてしまう。もう朝なのだろうか。いや違う。朝なら電気が着いているはずがない。だったらなぜ…。
「…んん…………。」
朝はいつもパッと起きれる駿里なのになぜか今日は起きれなかった。異常に眠い。なんでだ。頭もクラクラする。手も痺れる。足だって痺れている。昨日は確か松下と一緒に過ごして…。そこから…。少しづつ動かない頭を使い駿里は考えた。そして徐々に思い出していく。そうだ。自分は睡眠薬を飲まされたんだ…と。それも松下によって。だからこんなにも起きられないのだ。目を開けようとしても起きられない。目が開かない。それを理解した駿里はなんとしてでも起きようとする。だが上手くいかない。早く。早く起きないといけないのに。松下の所に行かないと行けないのに。そんなふうに駿里が苦しんでいると遠くの方から声が聞こえてきた。
「……り……しゅ…………………!」
声が遠い。遠いところから聞こえる。誰の声なのかも分からない。それは駿里が睡眠薬を飲まされているためだろう。副作用が出ているのだ。やはり薬には抗えないのだろうか。いやそんなことは無い。諦めなければ結果は変わる。だから駿里は遠くから聞こえる声にまるで手を伸ばすようにしてもがいていた。
「…ん……………しゅ………り!!」
遠かったはずの声が段々と大きくなっていった。あと少し。あと少しだ。きっとあと少しで起きれる。目を開けろ!目を開けるんだ!駿里は自分に必死で話しかけた。そしてついにその瞬間は訪れる。
「…………はぁっ、はぁっ、ぇ、ここどこっ、」
起きた時駿里は自分の体から出ている異常な汗に気がついた。息も上がってしまっている。そんな状態ではあるがここが寛也の家ではないということはすぐにわかった。いつも寝ている場所だから。匂いだってもう覚えてしまっている。だからわかったのだ。だが駿里はまだ視界も開けておらず目の前が真っ白だ。そんな状態で周りを見渡していると近くにいた人物が話しかけてきた。
「おい馬鹿!お前何してんだ!急に起き上がんな。強い薬飲まされてんだからよ。」
まだ視界がボケていて誰かは分からない。けれど知っている。駿里はこの声を知っていた。しばらく聞くことのなかった久々の声。そう。この声は…。
「し、しばさん…!?」
「おう。俺だ。久しぶりだな駿里。まだ視界ボケてるみたいだな。」
「あのおれっ、いやそれよりも康二さんはどこにいるの…!?」
「ん?知らねぇよ。何の話してんだ。」
「とぼけないでっ、康二さんが危ない目に遭ってるかもしれないんだ!!」
駿里はそういい立ち上がろうとする。しかしそれが出来なかった。まるで後ろから拘束されているような感覚に陥った。だから駿里は後ろをゆっくり振り返った。そしてそこにあったものを見て駿里は目を見開いた。
「なんでっ、なにこれ、なんでこんなっ、」
「…悪い駿里。康二の所には行かせられねぇ。」
駿里は司波によってベットに手錠を繋がれていた。そのため起き上がることが出来なかったのだ。それを何とかして外そうと駿里は引っ張ったりなんだりするがこれは手錠だ。しかも寛也が持っている手錠だろう。だから簡単に外せるわけがなかった。そんなことをした司波に駿里は声を荒らげる。
「なんで…司波さんどうしてこんなことするの!!」
「何でもだ。ここで大人しくしてろ。それが寛也からの指示だ。」
「いやだ…そんなのいやだ…っ。」
「駿里。頼むから大人しくここにいてくれ。」
「いやだ…!!」
だってこうしている間に松下が…。駿里がここにいるということは松下に何かあったということだろう。寛也もここにいないことから憶測すると松下はかなり重篤なのだろう。だから駿里はこうして拒否をしているのだ。
「…駿里。」
「康二さんはいつも俺の事を助けてくれた。どんな時だって。だから俺は絶対康二さんのところに行きたい。それに最悪の事態になんてならない。だって約束したもん。死なないって。康二さんと俺約束したから。だからお願い。康二さんのところに行かせて…。手錠の鍵解除してください…。」
司波はそう駿里に言われ考えた。司波がここに来た時もう手遅れだと思った。寛也らがしている止血も心臓マッサージも止めようとした。もうきっと無駄だから。しかしそんな時松下が息を吹き返したのだ。それを見て司波は松下はやはり強い。そうとしか考えなかった。だが違うかもしれない。今そう思った。松下はもしかすると駿里との約束を守るためにもがいていたのかもしれない。そう考えた司波は駿里が寝ているこの部屋から出ていった。そんな司波をみて駿里は肩を落とした。
しかしーーー。
「え…。」
司波が戻ってきたのだ。それも手錠の鍵を持って…。そんな司波をみて駿里は思わず涙を零してしまう。司波が松下の所に連れて行ってくれるなんて思いもしなかったから。
「勘違いすんなよ駿里。俺はお前に借りを返したいと思っていたからこうしてるだけだ。お前には散々助けて貰ったからな。」
「ありがとう司波さん…っ。」
「ほら、早く立て。病院まで車飛ばすぞ。」
「うん…!」
駿里は司波に手を引かれ立ち上がった。そして部屋を出ると司波の車に乗りこみ病院を目指す。その病院まではすぐに着いた。司波がいつでも病院に行けるために近くに住んでいたのだろう。そして病院に着くや否や駿里と司波は走り松下がいるであろうところを目指した。ここは寛也が経営している病院のため患者は全て旭川組のものしかいない。だから走っても大丈夫なのだ。そんなこんなで駿里らがそこへ辿り着くと寛也や志方ら幹部達がいた。
「ちかや…。」
「は?駿里?お前なんでここに…どういうことだ司波。」
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