極道の密にされる健気少年

安達

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松下康二と駿里のお話

キスしない *

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「あぁ゛っ、きつい゛っ、ぁ、あっ、あぁあっ、いやた゛っ、ぁ!!」



4回目の射精が終わっても尚松下は駿里に快楽を送る。注ぎ込み逃さない。逃がしてくれない。辛いのに辛くて辛くてたまらないのに駿里はどうすることも出来なくてひたすら泣いていた。そして再び訪れてきた大きな波に駿里は目をぎゅっとつぶる。



「やた゛っ、ぁ、いや゛っ、あぁっ、あぁあっ、ぁ、いく゛っ、ぅ、や、いっちゃ、いく゛っ、ぁーーーーーっ!!」



駿里の5度目の射精だ。疲れ果てた駿里を追い込むには相当な刺激だ。そしてまた変わらず攻められ続けると思っていた。だが松下は顔を上げ駿里のペニスを解放してくれた。後孔からも指を抜いてくれた。駿里はその安堵から涙がとまらない。涙がひたすら流れ続けた。



「可愛い顔に仕上がったな。」

「はぁっ…はぁっ…はぁっ…もうやだ…っ、ぅ、」

「お前ほんと可愛いな。」



松下は呑気にそう言ってくる。そしてキスをしようとしてきた。だから駿里は避けてやった。こんなやつとキスなんてしたくなかったから。駿里は息も耐えたえになっているのに。息をするのもやっとなのに!どれだけ辛かったことか。絶頂を迎えても解放されない恐怖と辛さは松下には分からない。だから余計に駿里は腹が立った。



「っ、さわるな…!」

「無理だ。」



そういい松下は駿里の唇を狙い顔を近づけてくる。だが当然駿里は避けた。今駿里がこんなにも腹が立っている原因は紛れもなく松下だから。



「嫌だっ、キスしない…!」

「なんでだよ。」



なんで?そんなの決まってる。松下が嫌だから。あれだけ泣きわめいたのにやめてくれなかったから。駿里の意思を無視してきたから!だから怒っている。松下もこうなることは容易に想像できただろう。だったらこれは当然の結果だ。



「おれ、何回も、いやだって…いったのにっ!」

「そうだっけ?」



ここまで来てなんと松下はそうとぼけてきた。そしてまた駿里にキスをしようとしてくる。揶揄ってくるにも程がある。そんな松下に本気で腹が立った駿里は禁句言葉を口走ってしまう。



「…もう康二さんきらい。大っ嫌い。」

「おいおいこの状況でそんなこと言うか?」



松下がそういいながら駿里の鼻を軽く噛んできた。そして噛んだ後に軽く駿里の鼻にキスをしてきた。当然それを駿里は拒否し逃げようとした。だが松下が顔を鷲掴みにしてきたがために出来なかった。



「嫌がんなって。」

「だって康二さんが…っ!」

「俺がなんだよ。」



そう言った松下の顔を見て駿里は思った。ああもう完全にスイッチが入っている…と。こういう顔をしている時の松下は止まらない。止めてくれない。止めようとする努力もしてくれない。だから駿里は考えた。ここは素直に受け入れた方が早く終わるかもしれない…と。だけどそうしたら松下がさらに暴走するかもしれない。それは嫌だ。だったら答えは決まっている。松下を拒否し続けてやる。



「きらい…康二さんきらい…退いて早く。」

「嫌だね。」

「俺だっていやだっ、早く退け…っ!」

「無理だって言ってんだろ。なぁ駿里。あんま可愛い顔してるとほんとに気絶するまで俺やんぞ。」

「…や、やだ。」



松下の今の言葉が冗談に聞こえなかった駿里は動きを止めた。抵抗することを止めた。そうしないと松下に何をされるか分からなかったから。そして松下は駿里が大人しくなったことをいいことに駿里の口にキスを落とした。




「おい駿里。てめぇ露骨に嫌な顔してんじゃねぇよ。」

「…だって、」

「気持ちよくする。」

「そういう問題じゃないの…。」

「なぁ頼むよ駿里。俺溜まってんの。」



松下のその言葉の意味を駿里はいやでも理解した。仕事尽くし。そして仕事がない時は駿里の世話をしてくれている松下。だから性欲を吐き出せるところなんてないだろう。だから松下はこうして駿里により興奮してしまうのだ。



「…俺には寛也がいるからだめなの。」

「1回だけ。」

「1回でもやだ…。」



それは駿里が反対の立場だったら絶対泣くから。寛也がほかの男や女を抱いたなんて知った時はショックで立ち直れないだろう。だから駿里はそう言った。だがそんな駿里の言葉に松下はとても寂しそうな顔をした。演技かもしれないが…。いやしれないじゃなくて絶対に演技だ。



「…演技ってバレバレだから。」

「なんだよ。面白くねぇな。」



松下はそう言うと駿里の首元に吸い付いた。そして再び顔を上げると駿里は焦った顔をしていた。その理由は松下も分かっている。駿里は恐れているのだ。その恐れから焦りが顔に出てしまっている。その原因は言うまでもなく寛也だ。



「康二さんいい加減にのいて…っ。」

「1回抱かせろ。そしたら自由にしてやる。」



それを信じろと…?そんなの無理だ!そう言われて駿里が1度で解放された試しがこれまであっただろうか。いやない。きっと1度もない。だからもちろん駿里はその松下の言葉に首を振る。



「…いやだ。」

「まぁそう言うと思った。仕方ねぇな。」



そういい松下は何故か駿里の上から退いてくれた。駿里からしたら良かった。だけど急にガラッと変わった松下に駿里は逆に恐怖を覚えた。



「康二さん怖い…。」

「はぁ?なんだよその言い方。せっかく俺が我慢してやってんのに。」

「ご、ごめん。」

「お前があまりにも嫌そうだから今日は抱かないでやる。だからまた今度、な?」



また今度なんてない。駿里には寛也がいるから。でも駿里は松下の気持ちにも気づいている。自分に依存している。愛してくれている。それを知っている。けどその気持ちに応えることは出来ない。



「…今度もない。」

「そうかそうか。まぁお前と組長が喧嘩したらいつでも慰めてやるから俺ん所来いよ。」

「…うん。」



また嫌だとかぬかしてくると思っていた駿里だったが素直にそう頷いた。変なやつ…と松下は思わず笑ってしまう。



「馬鹿…そこは拒否するとこだろ。」



あれだけ嫌がっていたのに寛也と喧嘩となれば松下の元に自ら来る。そんな駿里に松下はそう言った。嬉しいけれど寛也と喧嘩でもしなければ駿里は自分の元に来てくれない。それを嫌でもわかってしまう。だから松下はやはり駿里が寛也のものだと分かっていても悔しかった。



「…だって寛也怒ったら怖いし。」

「だな。俺も本気で怒られた時は死すら感じる。」

「だよね。俺も。」



駿里の場合はやり殺されるという方の死だろう。だが松下の場合は殴り殺されるという意味の死だ。お互い違うがやはり寛也が怒ったら怖いということ。それをこうして分かち合える仲がいるからこそ駿里は寛也への不満がたまらないのかもしれない。というかそれより駿里は松下に聞きたくて仕方がないことがあった。



「てか康二さんなんでここに来れたの?仕事は?」



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