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遅咲きの花は大輪に成る
遅咲き花は大輪に成る
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「お腹いっぱい。食べすぎた。」
「おお。よく食べたな。ちょっと多めに作ったから全部食べんのは無理だろうと思ってたのに完食するなんて偉いぞ駿里。」
寛也に頭を撫でられ駿里は満足そうに笑っていた。おなかいっぱい食べる事も出来て幸せなのだ。そんな幸せまっただなかの駿里の目にあるものが目に入った。
「あっ…!!」
「どうした?」
急に目を輝かせて満面の笑みになった駿里に寛也はそう問いかけた。嬉しいことがあったことはすぐにわかったがその内容までは分からなかったから。だがそんな寛也も駿里の話を聞いて笑みを浮かべることになる。
「花が咲いてる!」
「花?何言ってんだお前。」
「寛也がくれた花だよ!寛也から貰ったやつ!あれ!あれ見てよ!」
駿里が指さしながらとても楽しそうにそう言った。体の痛みすらも忘れてしまうほどに嬉しいのだろう。駿里は寛也の膝から飛び降りてそう言ったのだから。
「おお。立派な花だな。」
「こんな綺麗な花が咲くなんて思いもしなかった…!」
「そうだな。だがこれはお前がめげすに世話をした結果だ。良かったな。」
寛也はまるで子どもをあやしている気持ちにまでなったが駿里が嬉しそうにしている姿を見て寛也は気を悪くするわけが無い。だから寛也は駿里に釣られて笑いだした。
「みんなにも見せたい!」
「そうだな。お前の努力を見せに行こうな。」
「やった…っ!」
「まぁ今日はゆっくり休むがな。お前まともに歩けねぇんだから。つか、にしてもこの花はなんだろうな。俺は初めて見たぞ。」
「俺も見たことないかも。」
「だよな。」
それほど大きくもないその花。なのにとても綺麗に見える。まるで輝いているようにも見えた。光の反射のせいだろうか?だがそれにしても綺麗だった。その綺麗な花を見て名前すら検討もつかない2人は首を傾げる。
「調べても出てこないや…。」
「だな。」
名前が知りたかった駿里は寛也のパソコンを借りて調べ物を開始したが出てこなかった。この花はなんなのだろうか。それに他にも疑問がある。それは…。
「でもなんでこんなに咲くの遅かったんだろ…。」
「まぁ遅咲き花は大輪に大輪に成るっていうだろ?」
「遅咲き花…?」
「ああ。そうだ。過程を頑張れば頑張るほど結果が出るということだ。だからこれはお前が引き出した結果だ。」
寛也にそう言われ駿里はとても嬉しくなった。あれから毎日水をあげることを止めなかったおかげだ。その駿里なりの頑張りを褒められて駿里は嬉しくてたまらない。
「寛也って褒め上手だね。」
「何を言う。ほんとのことを言った迄だ。」
「なら素直に喜ぶ。」
「そうしろ。」
寛也がそういい駿里の腕を引いた。そしてまた自分の膝の上に座らせる。その瞬間駿里は寛也の匂いに包まれて安心感に覆われた。
「あったかい…。」
「眠たくなってきたか?まぁ深夜だもんな。いつもだったらお前はもう寝てる頃だ。」
「寛也もね。」
「そうだな。」
寛也と駿里が顔を見合せて笑ったその時玄関の方から音がした。こんな深夜に誰だと寛也は玄関の方を見ていた。すると入ってきたのは意外な人物だった。
「あ、圷さんだ。」
寛也の予想では松下か志方。そのどちらかと思っていたが意外な人物が訪ねてきたことに目を丸くした。だが駿里は驚かなかったようで寛也の膝からおりると圷の元に駆け寄った。そんな駿里の頭を圷は優しく撫でる。
「おい駿里。戻ってこい。つか圷。お前海斗は連れてきてねぇのか?」
「海斗は今事務所にいます。」
「そうなの!?俺も事務所に行きたい…!」
「駄目だ。今何時だと思ってんだ。深夜だぞ。」
「…………。」
寛也の言う通りだ。だが駿里はちょっとワクワクしてしまった。深夜に出歩くことなんてそうそうない。だから海斗がいるなら尚更行きたいと思ってそう言ったが案の定寛也に却下されてしまった。
「そんな顔しても駄目だ。つか圷、お前も深夜に何の用だ。」
「駿里にお礼が言いたくて来ました。」
「何も深夜に来なくてもいいだろ。駿里が起きてなかったらどうしてたんだ。」
「組長の明日の予定を見て駿里が抱き潰されてることはわかってたので来たんですよ。」
寛也は圷にそう言われグーの手も出なかった。さすがすぎる。寛也の予定まで把握してここに来た。松下とはまるで大違いだ。
「はは、さすがだな圷。で?駿里に礼ってなんだ?」
「海斗の事です。」
「海斗?俺なんかしたっけ?」
海斗に何かをした覚えがない駿里は圷の言ったことに首を傾げる。そんな駿里に圷は笑った。
「お前のおかげで出会えたんだ。海斗には。俺の今の幸せは全部お前のおかげだ。だから本当に感謝してる。組長にも幸せを与えてくれたしな。そんで今も海斗と話し合いをする機会をくれた。お前は本当にヒーローだな。」
「…そんな褒めても何も出てこないよ。」
本当は嬉しくてたまらなかったけど恥ずかしくなった駿里は寛也に隠れてそう言った。そんな駿里の頭を寛也は優しく撫でる。
「はは、俺は別に見返りを求めちゃいねぇよ駿里。ただお前に感謝してる。それだけだ。」
褒められることは気持ちがいい。誰かの役に立てた時は心地がいい。駿里はそんな気持ちにひたって嬉しそうに笑った。だがそんな駿里に対して寛也は厳しかった。駿里の顔を圷から逸らさせるように顔を動かし寛也の方を向かせた。
「おい駿里。照れてんじゃねぇ。」
「別にいいじゃんか…っ!」
「駄目だ。そんな顔俺以外にすんな。」
「駿里も大変だな。」
「ほんとだよ…。」
寛也に視界さえも束縛されている駿里を見て圷が同情したようにそう言った。そんな圷に駿里は静かに頷く。そうしたことでまた寛也を怒らせたというのは言うまでもないだろう。そしてそんな二人を見て圷は用も済んだことだし帰ろうとした。だがその時圷の視界にある花が入った。
「組長、この花どうしたんですか?立派ですね。」
「ああ。これか。駿里が育てたんだ。」
「お前が?すげぇじゃん。こんな立派な花初めて見たぞ。」
圷に褒められるとどうしてこうも嬉しいのだろうか。駿里は感情が今ハイの状態になっている。それも継続的に。嬉しくてたまらない。
「花がなかなか咲かなくてダメだって諦めそうだったけど咲いたんだ。」
「良かったな。」
圷は幹部の誰よりも優しい。駿里が言ったことに対してだいたい褒めてくれる。だから駿里は圷にあることを思った。
「圷さんも海斗を幸せにしてね。」
そうすることで1番幸せになるのは圷だから。その駿里の思いが通じたのだろう。圷も嬉しそうに笑った。
「勿論だ。でも駿里もな。」
「うん。寛也のことは任せてよ。」
「おいおい駿里。それは俺のセリフだろ。」
「はは、そうですね。組長の言う通りです。」
圷は今この瞬間が幸せでたまらなかった。こうしてずっと笑っていたい。誰一人欠けることなくこの組を継続していきたい。歳なんて取りたくもない。このままずっと…。だがそんな訳にもいかない。だから今のこの幸せをかみ締め明日に繋いでいく。
「この幸せがずっと続くといいですね。」
「そうだね圷さん。」
「安心しろ。お前らの幸せは俺が保証してやるから。」
寛也にそう言われると本当にそうなる気がした。寛也の言葉はまるで魔法のようだ。本当にそれが叶ってしまうのだから。だからこうして皆が慕う組長へとなったのだろう。まぁ逆を言えば新しい風が入ってこない。そういったデメリットある。だが今が幸せなのならそれでいい。だって今が幸せなら明日もきっと幸せなはずだから。
「だから安心してこれからも生きるといい。駿里は特にな。」
「うん…!」
遅咲き花は大輪に成るーーーend
「おお。よく食べたな。ちょっと多めに作ったから全部食べんのは無理だろうと思ってたのに完食するなんて偉いぞ駿里。」
寛也に頭を撫でられ駿里は満足そうに笑っていた。おなかいっぱい食べる事も出来て幸せなのだ。そんな幸せまっただなかの駿里の目にあるものが目に入った。
「あっ…!!」
「どうした?」
急に目を輝かせて満面の笑みになった駿里に寛也はそう問いかけた。嬉しいことがあったことはすぐにわかったがその内容までは分からなかったから。だがそんな寛也も駿里の話を聞いて笑みを浮かべることになる。
「花が咲いてる!」
「花?何言ってんだお前。」
「寛也がくれた花だよ!寛也から貰ったやつ!あれ!あれ見てよ!」
駿里が指さしながらとても楽しそうにそう言った。体の痛みすらも忘れてしまうほどに嬉しいのだろう。駿里は寛也の膝から飛び降りてそう言ったのだから。
「おお。立派な花だな。」
「こんな綺麗な花が咲くなんて思いもしなかった…!」
「そうだな。だがこれはお前がめげすに世話をした結果だ。良かったな。」
寛也はまるで子どもをあやしている気持ちにまでなったが駿里が嬉しそうにしている姿を見て寛也は気を悪くするわけが無い。だから寛也は駿里に釣られて笑いだした。
「みんなにも見せたい!」
「そうだな。お前の努力を見せに行こうな。」
「やった…っ!」
「まぁ今日はゆっくり休むがな。お前まともに歩けねぇんだから。つか、にしてもこの花はなんだろうな。俺は初めて見たぞ。」
「俺も見たことないかも。」
「だよな。」
それほど大きくもないその花。なのにとても綺麗に見える。まるで輝いているようにも見えた。光の反射のせいだろうか?だがそれにしても綺麗だった。その綺麗な花を見て名前すら検討もつかない2人は首を傾げる。
「調べても出てこないや…。」
「だな。」
名前が知りたかった駿里は寛也のパソコンを借りて調べ物を開始したが出てこなかった。この花はなんなのだろうか。それに他にも疑問がある。それは…。
「でもなんでこんなに咲くの遅かったんだろ…。」
「まぁ遅咲き花は大輪に大輪に成るっていうだろ?」
「遅咲き花…?」
「ああ。そうだ。過程を頑張れば頑張るほど結果が出るということだ。だからこれはお前が引き出した結果だ。」
寛也にそう言われ駿里はとても嬉しくなった。あれから毎日水をあげることを止めなかったおかげだ。その駿里なりの頑張りを褒められて駿里は嬉しくてたまらない。
「寛也って褒め上手だね。」
「何を言う。ほんとのことを言った迄だ。」
「なら素直に喜ぶ。」
「そうしろ。」
寛也がそういい駿里の腕を引いた。そしてまた自分の膝の上に座らせる。その瞬間駿里は寛也の匂いに包まれて安心感に覆われた。
「あったかい…。」
「眠たくなってきたか?まぁ深夜だもんな。いつもだったらお前はもう寝てる頃だ。」
「寛也もね。」
「そうだな。」
寛也と駿里が顔を見合せて笑ったその時玄関の方から音がした。こんな深夜に誰だと寛也は玄関の方を見ていた。すると入ってきたのは意外な人物だった。
「あ、圷さんだ。」
寛也の予想では松下か志方。そのどちらかと思っていたが意外な人物が訪ねてきたことに目を丸くした。だが駿里は驚かなかったようで寛也の膝からおりると圷の元に駆け寄った。そんな駿里の頭を圷は優しく撫でる。
「おい駿里。戻ってこい。つか圷。お前海斗は連れてきてねぇのか?」
「海斗は今事務所にいます。」
「そうなの!?俺も事務所に行きたい…!」
「駄目だ。今何時だと思ってんだ。深夜だぞ。」
「…………。」
寛也の言う通りだ。だが駿里はちょっとワクワクしてしまった。深夜に出歩くことなんてそうそうない。だから海斗がいるなら尚更行きたいと思ってそう言ったが案の定寛也に却下されてしまった。
「そんな顔しても駄目だ。つか圷、お前も深夜に何の用だ。」
「駿里にお礼が言いたくて来ました。」
「何も深夜に来なくてもいいだろ。駿里が起きてなかったらどうしてたんだ。」
「組長の明日の予定を見て駿里が抱き潰されてることはわかってたので来たんですよ。」
寛也は圷にそう言われグーの手も出なかった。さすがすぎる。寛也の予定まで把握してここに来た。松下とはまるで大違いだ。
「はは、さすがだな圷。で?駿里に礼ってなんだ?」
「海斗の事です。」
「海斗?俺なんかしたっけ?」
海斗に何かをした覚えがない駿里は圷の言ったことに首を傾げる。そんな駿里に圷は笑った。
「お前のおかげで出会えたんだ。海斗には。俺の今の幸せは全部お前のおかげだ。だから本当に感謝してる。組長にも幸せを与えてくれたしな。そんで今も海斗と話し合いをする機会をくれた。お前は本当にヒーローだな。」
「…そんな褒めても何も出てこないよ。」
本当は嬉しくてたまらなかったけど恥ずかしくなった駿里は寛也に隠れてそう言った。そんな駿里の頭を寛也は優しく撫でる。
「はは、俺は別に見返りを求めちゃいねぇよ駿里。ただお前に感謝してる。それだけだ。」
褒められることは気持ちがいい。誰かの役に立てた時は心地がいい。駿里はそんな気持ちにひたって嬉しそうに笑った。だがそんな駿里に対して寛也は厳しかった。駿里の顔を圷から逸らさせるように顔を動かし寛也の方を向かせた。
「おい駿里。照れてんじゃねぇ。」
「別にいいじゃんか…っ!」
「駄目だ。そんな顔俺以外にすんな。」
「駿里も大変だな。」
「ほんとだよ…。」
寛也に視界さえも束縛されている駿里を見て圷が同情したようにそう言った。そんな圷に駿里は静かに頷く。そうしたことでまた寛也を怒らせたというのは言うまでもないだろう。そしてそんな二人を見て圷は用も済んだことだし帰ろうとした。だがその時圷の視界にある花が入った。
「組長、この花どうしたんですか?立派ですね。」
「ああ。これか。駿里が育てたんだ。」
「お前が?すげぇじゃん。こんな立派な花初めて見たぞ。」
圷に褒められるとどうしてこうも嬉しいのだろうか。駿里は感情が今ハイの状態になっている。それも継続的に。嬉しくてたまらない。
「花がなかなか咲かなくてダメだって諦めそうだったけど咲いたんだ。」
「良かったな。」
圷は幹部の誰よりも優しい。駿里が言ったことに対してだいたい褒めてくれる。だから駿里は圷にあることを思った。
「圷さんも海斗を幸せにしてね。」
そうすることで1番幸せになるのは圷だから。その駿里の思いが通じたのだろう。圷も嬉しそうに笑った。
「勿論だ。でも駿里もな。」
「うん。寛也のことは任せてよ。」
「おいおい駿里。それは俺のセリフだろ。」
「はは、そうですね。組長の言う通りです。」
圷は今この瞬間が幸せでたまらなかった。こうしてずっと笑っていたい。誰一人欠けることなくこの組を継続していきたい。歳なんて取りたくもない。このままずっと…。だがそんな訳にもいかない。だから今のこの幸せをかみ締め明日に繋いでいく。
「この幸せがずっと続くといいですね。」
「そうだね圷さん。」
「安心しろ。お前らの幸せは俺が保証してやるから。」
寛也にそう言われると本当にそうなる気がした。寛也の言葉はまるで魔法のようだ。本当にそれが叶ってしまうのだから。だからこうして皆が慕う組長へとなったのだろう。まぁ逆を言えば新しい風が入ってこない。そういったデメリットある。だが今が幸せなのならそれでいい。だって今が幸せなら明日もきっと幸せなはずだから。
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