極道の密にされる健気少年

安達

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冷血な極道

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「組長が心配か?」



寛也に外で待っていろと言われた2人は人気の少ない待合室のようなところにいた。そこで駿里はずっと何かを考え込んでいる。それも無理は無いかもしれない。松下は仕事をしている姿の寛也を沢山見てきた。幼い頃からだ。だが駿里は違う。だからこそ不安になるのだろう。そう思い松下は駿里にそう問いかけた。



「…ううん、寛也のことはもう心配してない。」

「ならどうしたんだ。何を考え込んでる。」

「寛也と陣さんの過去のこと…。俺もさ、親と上手くいかなくてすごく辛い思いをしてきたけど寛也と陣さんは耐え難いぐらいの苦労をしてたんだろうなって思って…。」



実際駿里の言う通りだ。松下もそれを見てきた。幼い頃から人が殺され拷問されていくのを。それはまさに地獄のようなものだった。だからこそ感情を捨て冷酷非道とまで呼ばれるようになったのだろう。だがそれはある日変わった。みんなが変わった。それは紛れもなく駿里のおかげで。




「その組長の辛い過去を変えてくれたのはお前だ。そうやって下を向いてる暇があるなら組長に気持ちを伝えて支えてやれ。それに…。」



そこまで言うと松下は駿里の頭の上に手を置き笑った。そしてその手は下に降りてきて頬まで移動する。



「聞けばいいさ。この先ずっと一緒にいられるんだから。そんでお前が組長の人生を塗り替えてやれ。もちろん駿里自身の人生もな。」

「…なんか康二さん時々凄いいいこと言うよね。」

「時々ってなんだよ。いつもの間違えだろ。」

「はは、そうだね。」



そう松下と笑いあっていた駿里だったが突如異変に気がついた。寛也は駿里が外に出る際は必ず数人の幹部を連れていく。だが今日は松下だけだ。最近では志方は当たり前のように連れてきていたが見当たらない。そしてかなりの確率で来ていた森廣もいない。まさかと思い駿里は松下にその事を問いかけるべく口に出した。



「そういえば志方さん達はどこにいるの?圷さんも森廣さんも見てない…。」

「仕事だ。」



橘鷹武虎らを拷問している最中だなんて言えるわけが無い。松下は駿里の質問にサラリと答えたが駿里はそれが嘘だと見抜いてしまった。それも無理はない。駿里はずっと寛也らと暮らしてきた。極道がどんなことをしているのか、そして駿里のことを大切に思ってくれている寛也らがもし駿里の身に何かあった時どうするのかを駿里は全て知っている。そんな彼らだ。こんな事件があったあとで呑気に仕事なんてしているわけが無いと流石に駿里でもわかった。だが松下もそれをわかっている上で嘘をついた。グレーゾーンのままにしておく方がいいと思ったからだ。しかし駿里はそれでもこの事件には自分も関わっているために知りたかった。だから寛也からも決して話されることのなかった事を松下に聞こうと駿里は口を開けた。



「…もしかしてさ、」

「ここにいたのか。」



駿里が何かを察したようにそこまで松下に言った時後ろから寛也が歩きながら声をかけてきた。ああ、なんていいタイミングなんだと松下はとても安心し危機を免れた。まぁ寛也の事だから話をずっと聞いていたのかもしれない。だがどっちにしろ松下を窮地から救ってくれたことには変わりない。だから松下はお礼の意味も込めて歩いてきた寛也に一礼をした。



「お疲れ様です。」

「どうした康二。急にそう畏まっちまって。」



最近ではプライベートの時は『お疲れ様です。』ということがあっても松下は寛也に対しては深々と一礼をすることが減ってきた。それなのに今深々と礼をする松下を不思議がってそう言った。その理由は駿里だけが知っていた。聞かれたくない話をされそうになってしまっていたところに寛也が来たからということを。そしてそれを松下は寛也に聞かれたくないだろう。だから駿里は松下を助けるべく話を逸らし寛也に微笑んだ。



「寛也、話は終わったの?」

「ああ、帰ろう。お前のお仕置きをしないといけねぇからな。」

「なっ、やだ!」



駿里は約束を破ってしまったとはいえ寛也に酷く抱かれたばかりだ。だから寛也はきっと体のことを考慮してくれて先延ばしにしてくれるだろうと思っていたのに帰ったら早速お仕置きをされてしまう事実を突きつけられ駿里はそう寛也に言った。それを聞いた寛也は真っ先に怒ると思ったがそうなることはなく逆に微笑みだした。そんな寛也をみて駿里はここで察した。とんでもない発言を自分はしてしまったのだと…。



「そうか。お前がそう思うなら仕方ねぇ。」

「っ…?」

「お前への身体の負担を考えて俺だけでお仕置きをする予定だったが…。お前が嫌がるんなら康二にも加わって貰うか?まぁそうなればお前は間違えなく朝まで解放されねぇだろうな。イきまくって失神を繰り返すかもしれねぇが俺の可愛い駿里の頼み事は聞いてやらねぇと。」

「違う違うっ、そうじゃない!寛也だけがいい!」



想像していたのよりもかなり危険な展開になってしまった。最近寛也は松下らにこういった行為への参加はさせない。それは単に駿里に触れらることが嫌だったからだ。側近であろうとも嫉妬してしまうのだ。いや嫉妬なんて軽いものでは無いかもしれない。それほどまでに寛也の独占欲が大きくなっているのだ。それなのに寛也はこの発言をした。だから駿里は直接聞かずとも今寛也がどれだけ怒っているかが分かった。だがそれを今察したところでもう遅い。寛也は1度決めたことはやり遂げる男だ。それがどんなものであろうとも。



「遠慮すんな。」

「違うって、康二さんも何とか言ってよ…!」

「男に二言はねぇぞ駿里。」

「ひどいっ、見捨てんなよ…!」

「駿里?」



この最悪の状況で駄目元と分かっていても松下に助けを求めるしか無かった。だが案の定彼が助けてくれるはずもなく駿里は松下に当たってしまう。そんな駿里の様子を見て寛也は再び微笑むとその顔にはふさわしくない低い声で駿里の声を呼んだ。



「…っ、ごめんなさい。」

「分かればいい。時間が無くなるからさっさと帰るぞ。」

「はい組長。」



完全に萎縮してしまった駿里とは裏腹に寛也も松下もさぞ楽しそうだった。これからあることが待ちきれない様子で軽い足取りで歩いていく。一方駿里は重い足取りだ。まるで足枷が着いているように足が前に出ない。そんな調子であまりにも駿里の足取りが遅いので松下が我慢ならないというように声をかけてきた。



「おい駿里、歩くの遅せぇよ。」



そう言われても仕方がない。足が動かないのだから。そう思って駿里は松下の言うことを無視して歩いていると今度は寛也が近くに来た。



「松下、駿里を担げ。」

「ちょ、自分で歩けるから下ろしてよ!」



松下は寛也に指示されると待ってましたと言わんばかり駿里を抱きかかえた。だがまだ病院内だ。だから駿里は下ろせと暴れまくったがそれを寛也が止めた。そして寛也は駿里の顔を固定し自分から視線を逸らせないようにすると再び口を開いた。



「なぁ駿里。騒いでるとこ悪ぃが一つ聞かせてくれ。今わざと遅く歩いてたのか?」

「っ、違う!」

「ならいい。もしそうだったらお仕置き追加しねぇといけなかったからな。」



そう言うと寛也は駿里に軽くキスをして歩いて行った。松下もその寛也の後に続くように歩いていくが…。



「っ…!!!」



駿里は危うく声が漏れるところだった。 その理由は今駿里を抱きかかえている松下だ。あろうことか松下は駿里を抱きかかえたまま器用に乳首を触ってきた。服越しとはいえ敏感な駿里は反応してしまう。だがその声を寛也に聞かれたら一大事だ。だから必死に声を我慢しているのに松下はそれをいいことに遠慮なしに触ってくる。服越しに揉んだり擦ったりして悪い笑みを浮かべている。駿里はそんな松下を睨むが彼は車に着くまで結局それをやめてくれなかった。そして車に着いたのはいいものの顔が真っ赤になっていたようで一瞬にして寛也に怪しまれた。



「お前…顔赤いぞ。どうした?」

「なんでもないっ、ただ恥ずかしかっただけだから!」

「おいおい駿里。嘘をつくとは感心せんな。」

「…え?どういう、こと?」

「康二に虐められて声我慢してんのバレバレなんだよ。またお仕置きが増えちまったな。」



必死にあれだけ我慢していたというのにバレバレだったとは…。それならばせめてわかった時にいって欲しかった。あんなに必死に快楽に耐えたのに駿里はお仕置きまで増やされてしまって納得いかないというように声を荒らげた。



「っ、さいてい!」

「なんとでも言え。」



そう楽しそうに寛也は言うと車に乗りこみ駿里を抱き寄せた。本当はそれを駿里は拒みたかったがそんなことをしてしまえば余計にお仕置きが増えてしまう。それだけは避けなければ…と駿里は必死に我慢をした。そして一瞬にして家に着いてしまい駿里は直ぐに松下と寛也によって寝室へと連行されて行った。



「おい抵抗すんな。」

「そんなのむりだっ、こんなの嫌に決まってんだろ!」

「駿里、自分の立場分かってるのか?組長をこれ以上怒らしてどうすんだよ。」



そう言われてハッとした駿里はチラッと恐る恐る寛也の顔を見た。するとそこには案の定怒りに満ちた寛也がいた。そして彼はそんな駿里に情状酌量の余地はないというように駿里の服を問答無用で全て脱がせると手にローションを持ち松下を見た。



「康二、抑えてろ。駿里が動けねぇようにしっかりとな。」

「言わんこっちゃねぇ。」

「やだっ、もうやめる!」

「まだ何も始まっちゃいねぇよ。これからだろ?」



手にローションを持って悪い笑みを浮かべる寛也と自分を抑えながら同じく悪い笑みを浮かべる松下に挟まれて駿里は泣き言を言い始めた。もう既にこの空気が怖いのだ。そして彼らはなんと言っても絶倫だ。1回や2回では決して終わってくれないだろう。駿里は考えただけで涙が出そうだった。早く終わって欲しい。駿里はお仕置きが大嫌いだった。いつもは駿里のことを考えて少し性欲を我慢してくれる寛也だかお仕置きの時は違う。遠慮をしない。朝まで解放されないことはもう決まっていた。それを考えて涙がポロリと駿里の目から落ちてしまう。そんな駿里に寛也は無慈悲にも指を後孔に挿れていった。
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